No.135229

真・恋姫†無双 金属の歯車 第二十八話

・真・恋姫†無双をベースにMGSの設定を使用しています。
・クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺のMGSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定は知っていれば、にやりとできる程度のものです。
・この作品は随分と厨作品です

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2010-04-08 23:51:47 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1780   閲覧ユーザー数:1622

「当面の目的は達成されたか」

 魏の輜重隊と補給線と断った蜀は、呉との合流地点である夏口に急いでいた。

戦略的な目的は達成できたが、戦術的な問題は残されたままだった。

「はい、魏軍の進行速度は落ちると思います。周瑜さんはこのあと補給線と断っていくといってました」

「けどあれを墜とせなかったのは痛手だったかもな」

 翠があれというのは魏の御遣いだろう。

「恋も投入するべきでしたな」

「だが恋を投入してしまっては桃香様の守りが手薄になってしまう。あれでよかったのだ」

「私の判断が間違っていた。まさか一対六で互角以上の戦いをするとは・・・」

「お兄ちゃんは間違いじゃないのだ。どんな人間でも六人一気にかかれば倒せると思うのだ」

「そうですよ。それに次はおそらく船上戦。私と桔梗が主軸となります。彼は戦力とは考えないと思ってもいいでしょう」

 判断が正しかったのか否か。それは後の世の歴史研究家に任せよう。

 

 

二十八話 Ghost ~幽体行列~

 

 

 船上戦は紫苑の言うとおり、矢の雨の応酬となった。

船上戦に慣れている呉と防御に優れる蜀の弓兵が、魏の艦隊にかなりの被害を出し同盟軍は撤退した。

策がある。

そう思わせるには充分な時間だった。

そしてその夜・・・。

「苦肉の策」

「ああ、そうだな」

「知らないんじゃなかったのか?」

「有名だからな。しかし突拍子すぎる喧嘩だったな」

 かの有名な苦肉の策が決行されていた。黄蓋と周瑜の不仲を見せかけ、魏に壊滅的な被害を与えたあの策だ。

そろそろ祭が魏軍に向けて出発するだろう。

「さあどうなるだろうな」

「天のみぞ知る・・・天の御遣いである俺たちが言う台詞じゃないな」

 天は既に漆黒となっていた。

あたりがざわつき始め、寝ている体が起こされていく。

「始まった」

 一刀が身を乗り出すように動き出したそのときだった。

「そうだな・・・始まったなぁ」

 聞き慣れたくない声が後ろから届いた。相手を確認などせずにM9を発砲する。

声の主はアシッドだ。M9の弾丸は命中するがアシッドに効くはずもなかった。腹部にあたったようだが怯む様子は無い。

「アシッド・・・」

「そう焦るな、兄弟。今日はパーティーに来た」

「パーティー?」

 玲二もFive-seveNを構える。

二つの銃口ににらまれてもアシッドは不敵に笑っていた。そのアシッドの横に呉の軍服をきた兵が現れる。

「久しぶりだな・・・スネーク、ゴースト」

 外史の人間が知らない言葉。呉の兵士がそれを発した。

「貴様・・・マグナか?」

 玲二の表情が嫌悪感を丸出しになる。

「そうだ、ゴースト。俺は体を失っても意識は生きていける。これがサイキッカーだ」

「その体は貴様のものじゃない。とっとと持ち主に返すんだな」

 一刀はあくまで冷淡だった。

とはいえ体が呉の兵士である以上簡単にその体を攻撃はできない。玲二が手を出すまで待つ考えだ。

「焦るな・・・スネーク。俺の両手を打ち砕いた貴様はあとで相手をしてやる」

「・・・両手?」

「貴様がまだ餓鬼の頃、俺の両手を砕いた!それを覚えていないのか!?」

 今まで消えるような声を発していたマグナが突然激高し始める。

「私がまだ餓鬼の頃なんざ、そんなこと有りすぎていちいち覚えてられるか」

「まあいい、貴様の始末はあとで付ける・・・。ゴースト!!」

「ああん、なんだ。このカマキリモドキ」

 もはや、あの身体が呉の兵士のものでも関係なかった。

兵士の脳天に照準を合わせ、発砲しようとしたそのときだった。

「お前が今一番失いたくないもの・・・それはなんだ?」

「・・・まさか貴様ぁ!!」

「ゴースト!また貴様の絶望を見せてくれ!!」

 高らかな笑い声と共に呉の兵士の身体が力を失い地面に倒れる。

憑依しているものがいなくなったらしい。

「くそ!!」

 玲二は一刀にもアシッドにも目もくれず、呉の天幕へと走り始める。

一刀もそれを追おうとしたが、足元にナイフが突き刺さる。

「兄弟、お前の相手は俺だ」

「下種どもが・・・」

 どうやら今は玲二を信じてアシッドを止めるしかないらしい。

一刀は一刻も早く追いつくべく赤い眼を発露させ、アシッドもそれに答える。

「さあ、殺し合いを始めよう!兄弟!!」

 二人の蛇が殺し合いを始めた。一人は戦争をなくすために、一人は生まれた運命に抗うために。

双方右手で逆手に持ったナイフがぶつかり合い火花が生まれる。

しかし攻撃は圧倒的に一刀のほうが優れていた。

五合程度きりあったときに、腰からもう一本ナイフを取り出しアシッドの頸動脈を狙う。

無論アシッドはそれを意に介さないはずだった。だが真意はスローモーションで見えていた。ナイフには電撃が走っている。

(むう!)

 必要以上に上半身を反らせる。

喰らっていたら頸動脈を裂かれた上に、傷口を熱で焼かれ治癒できなかっただろう。

一刀がアシッドに向けて手のひらを向ける。手のひらから放射される電撃の応酬が始まった。

体組織を炭化させることができる一刀はアシッドにとって天敵となっていた。

一刀のほうももはや電撃を人に放つことに躊躇いはなかった。ナイフを持ち替え、脳天に向けて突進する。

「兄弟・・・俺が何もなしにその電撃に突っ込むと思うな!」

 アシッドが背中から何かを取り出す。

(・・・P90!)

 サブマシンガンだ。

バーサーカーの状況判断は危険を察知した。しかし一刀は速度を緩めたものの突っ込むのをやめなかった。

「お前と俺とでは!力の応用幅が違いすぎるんだよ!」

 一刀は意識を自分の体の前に集中させる。

P90の弾丸が彼を畏怖するかのように一刀を避け始める。

「何!?」

 アシッドが一瞬だけ隙を見せた。体勢を低く保ち、一気に間合いを詰める。

アシッドも応戦すべくP90を放り投げ、ナイフに持ち変え、鍔迫り合いとなる。

「そうか・・・体の前面に磁場を形成して弾丸を逸れさせたか!」

「なら・・・」

 一刀が大きく口を開けた。口腔部に火花が走り始める。

「これで終わりだ」

 

 

「貴様ら!誰に剣を向けているのかわかっているのか!?」

 雪蓮と蓮華の周りの親衛隊は既に操られていた。

今頃祭は曹魏の艦隊に火を放っているだろう。川岸に作られた呉の本陣は第三勢力によって蝕まれていた。

「姉様、後ろは守ります」

「ありがと、蓮華」

 多勢に無勢。

いくら二人が強力な将とはいえ、数で圧されるのはきつい。

「うおおおお!」

 決死と思われたそのとき、包囲網の片隅から男が一人突っ込んでくる。

手にはこの世界には存在しない、P90がもたれている。外史がもてあますその武器は一人の命も奪わないために、足のみが狙われていた。

「雪蓮!蓮華!」

 包囲網と突破し、玲二が二人の下にたどり着く。息を切らせているものの覇気は十二分だった。

「こいつら、操られている。妖術の類でな」

「この数をか?」

「ああ」

 蓮華の質問に答えた玲二は息を整え、呉兵に銃口を向ける。

「よくがんばっているな、ゴースト」

 その呉兵の中から一人、前に歩み出すものがいた。

「貴様ほど卑劣で効率的な人間は見たこと無いな。いや、もう人間じゃねえな!!」

包囲網が少しづつ形を変えていく。三人はどんどんと長江に向けて追い込まれていく。このまま川に落とすつもりだろう。

「さて・・・少し急がなくてはならないようだ。アシッドが後退したようだな」

 その一言で呉兵全員がそれぞれの武器を構える。

玲二は二人を守るように、自分の後ろに移動させる。

「玲二!?」

「殺せ」

 その一言で呉兵が一気に襲い掛かってきた。

「二人とも、耳をふさいで目を瞑れ!」

 その言葉と同時に玲二はスタングレネードを呉兵に向かって投げつける。

閃光と爆音が呉兵を気絶させるが、数は減る様子は無い。倒れた兵士を踏みつけ、次の兵士が彼らに迫った。

「さあ・・・絶望を見せてくれ」

弓兵が狙いを定め、全方向から呉兵が一気に迫ってきた。

操られている呉兵が狙っているのは玲二ではない。雪蓮と蓮華だ。

「雪蓮!蓮華!」

「死ねぇ!ゴーストォ!」

 すべてが遅く見えた。

自分の体が引き裂かれるのも、矢で貫かれるのも、自分が守った女性の無事も。

「ゴースト!」

 正史での特別な名前。それを叫ぶ一刀はこちらに手を伸ばしている。そして雪蓮も。

しかしあまりにも遠く、彼は自分の体が沈んでいくのを感じていた。

(・・・墜ちる)

 一刀と雪蓮が長江に墜ち逝く玲二に手を伸ばした。しかし何もかも手遅れだった。

「今度こそ・・・守れた」

 玲二の脳裏には一人の女性と雪蓮が重なって映っていた。

「今からそっちに逝くよ・・・アンジェ」

 そう呟いて、玲二は川へと堕ちていった。

「今回は女を守って死ぬか!ずいぶんな悲劇だったな!!」

「何ですって?」

 雪蓮が牙を剥きだし、敵意を通り越した殺意を向ける。

「あいつはな!俺が憑依した女をわが身可愛さに撃ち殺したんだよ!あいつは自分で自分の愛する女を殺したんだよ!」

「マグナァァァ!!」

 一刀は雪蓮より、タガが外れていたかもしれない。

「わかるぞ、スネーク。お前の怒りが、憎しみが!!そのときほど!心は弱くなっているんだよ!!」

 何かが自分の中に入ってくる感触。

その気味悪い・・・いや異常な感覚に一刀の頭が悲鳴をあげる。

死に逝くものの姿。肉を引き裂く感触、鳴り響く爆音、かみ締める血の味、硝煙の臭い。人を殺した感触。

広がる戦場、壊滅した都市、奪っていった命、そして自ら殺した少女の記憶。

すべての感覚が走馬灯のように一刀の体に一気に入り込んでくる。

 

――――ニクイ

 

 大気の名を与えられた蛇が目覚める。裸の蛇も、固形も液体の蛇はもういない。

全てを壊す破滅の雷が赤壁に響いた。

 

 

おまけ:設定資料集

電磁場防御帯:アトモス・スネークが使用した彼固有の技術。サンダーボルトを応用し、体の前面に磁場を形成し弾丸を逸れさせる。MGS2のフォーチュン、MGS3のヴォルギン大佐が同じような装置や能力を使用している。

 

おまけ:次回予告

歴史、過去、記憶。

全ての感情が解放する。

 

二十九話 赤壁決戦 ~PEACE WALKER~

 

蛇が目覚める。


 
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