No.134901

真恋姫無双~ありえたかもしれない外史~ 第16話 休息×文官 

ちいたさん

投稿です。生暖かく見守ってください。

2010-04-07 11:10:20 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:20788   閲覧ユーザー数:15391

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

 

前回のあらすじ

孫策との戦いを終えた一刀。美羽が自らだした結論。彼女は小覇王と友達になりたいと言った。そして、小覇王はそれを受け入れた。

真恋姫無双~ありえたかもしれない外史~始まります。

 

雪蓮との戦いが終わった。美羽の彼女らへの処遇はかなり寛大なものであった。それは、美羽のもとに降るだけというものであった。最初は渋っていた呉の面々だが雪蓮の説得によりそれを受け入れた。彼女らはしばらく美羽の居城に留まることとなる。呉を倒したことはその他の諸侯達にも知られることり美羽の名前は大陸に広がった。それと同時に、袁術軍に『天の御使い』が現れたことも知られるようになった。そんな中、一刀はほんの束の間の休息を得ていた。

 

雪蓮達との激闘からしばらく経ってからのある朝。

  (んっ?)

朝、一刀が目を覚めすと体の異変に気づいた。

  「何か体が……ダルい……」

体を起こすが倦怠感は取れない。額に手を当ててみる一刀。

  「熱があるな……風邪でもひいたかな?」

しかし、一刀はそんなことも関係無しに起き上がると服を着替えた。そして、頭の中で今日のスケジュールを確認する。 

  (とりあえずは……この前の案件を…)

そして、一刀の一日が始まる。

 

 

執務室で一刀は政務をこなしていた。しかし、今日の一刀は体調が優れないのでその速度はいつもより落ちるものであった。一緒に仕事をしている文官も気になっていた。

文官「あの……北郷様?今日は体調が悪いのですか?」

  「んっ?どうしてだ?」

文官「いえ……いつもの北郷様ならとっくに終わらせている量でしたから……」

そう言って一刀を見る文官。袁術軍一の仕事をこなしている一刀。その処理速度をいつも近くで見ていた文官はそう口にしていた。それを聞いて一刀は苦笑する。

  「ちょっとな……」

文官「あまり無理をしないでくださいね。」

  「……ありがとう。立花」

立花「いえ……」

立花と呼ばれた文官は微笑むとそのまま仕事を始めた。

 

  (やばいな……)

一刀が自分の体の不調を感じていると執務室の扉が開いた。一刀達が扉を見るとそこには美羽と月と詠がいた。

美羽「一刀~。息抜きに妾とお茶を飲むのじゃ~」

そう言って一刀のもとにきた美羽。美羽達を見る一刀。

  「そうだな。じゃあお茶をもらおうかな。いいかな立花?」

そう言って立花を見る一刀。すると立花も軽く頷き言った。

立花「ええ。大丈夫ですよ」

美羽「折角じゃから立花もくるのじゃ。今日は雪蓮達も一緒なのじゃ♪」

そう言って上機嫌な様子の美羽。そんな美羽を見て微笑む月とやや呆れ気味な詠。

  「そうか。じゃあ行く……か……」

椅子から立ち上がった一刀だが急に視界が歪んで体がふらつく。

  (あ……)

美羽「一刀!!」

美羽が一刀に近づく。そして、一刀はそのまま倒れると意識を失った。

 

一刀が目を覚ますとそこは自分の部屋であった。

  「ここは……そうか……」

一刀は自分の状況を確認する。そこで寝ていた一刀に声がかけられた。

美羽「一刀?」

  「美羽か?」

一刀に声をかけたのは美羽であった。倒れた一刀に美羽は付き添っていた。

美羽「一刀。体は大丈夫か?」

心配そうに声をかける美羽。そんな美羽に一刀は苦笑して答えた。

  「ああ……さっきと比べると随分と楽になったよ…」

そう言って体を起こそうとする一刀。しかし、それは美羽によって遮られた。

  「美羽?」

美羽「駄目なのじゃ!!まだ横になっているのじゃ!!」

  「しかし、俺はまだ仕事が…」

さらに続けようとした一刀だが美羽の顔を見て口を閉じた。

美羽「か・ず・と~」

その顔はとても怒っていた。あまりの迫力に一刀は黙る。そこに、七乃が入ってきた。

七乃「一刀さん~生きてますか~?」

  「生きてるよ」

七乃はそのまま室内に入ると美羽の隣につく。

七乃「お医者様が言うにはどうやら過労からくる風邪みたいですよ~。」

七乃の言葉に考える一刀。反董卓連合前から一刀の仕事量は袁術軍でずば抜けて多かった。文官と武官を兼任しており人の何倍以上の仕事をこなしてきた。さらに雪蓮達との戦いの準備などにより気をはりつめていた。しかし、戦いが終わって気が緩んでしまったのである。そして、一気に疲労が襲ってきたのである。

七乃「まあ~とても働いていましたからね~。」

  「だが……」

それでも反論しようとする一刀。しかし、それは美羽が遮る。

美羽「一刀!!命令じゃ!!体調が良くなるまで仕事は一切禁止じゃ!!」

  「……わかった」

美羽にそう言われて一刀は黙るしかなかった。そこに、また室内に誰かが入ってくる。

雪蓮「やっほ~。一刀が倒れたと聞いて見舞いに来たわよ~。」

そこには、雪蓮と冥琳と穏の三人がいた。

冥琳「お前も人間だったというわけだな……一刀。」

  「……どういうことだよ?」

冥琳の言葉に不機嫌そうに答える一刀。

穏 「だって~戦場であれだけの活躍をする人が風邪で倒れるんですよ~。」

ニコニコ答える穏。その言葉を聞いて一刀はますます不機嫌そうになる。

  「俺を何だと思ってるんだよ……」

その後、美羽達は部屋を出ていき一刀はそのまま寝たのであった。

 

一刀は体調が回復するまで政務などの一切の仕事を禁止されていた。一刀はそれを受け入れ自室で休養をしていた。そして、美羽や恋などが自室に見舞いにやってくるのでその相手をして過ごしていた。一刀自身には特に問題はなかった。問題は一刀の周囲で起こっていた。それは……

 

立花「……ということです。」

七乃「そうですか~わかりました。」

立花の報告を聞いて七乃は困ったような顔をする。立花の報告とは一刀が休養している間に城下などの機能が低下しているということであった。

七乃「しかし、一刀さん一人休むだけでこんなに顕著に影響がでるなんて困りましたね~」

立花「……そうですね。」

一刀は文官としても袁術軍の要であった。その一刀がいなくなることに対してある程度の影響がでるとは思っていた。しかし、それは七乃達の予想を遥かに超えていた。あらためて自分達は一刀におんぶに抱っこであったことを思い知る。

七乃「ちょっと一刀さんに甘えていましたね~」

立花「張勲様は仕方ありませんよ…」

立花は七乃が裏でやっていたことを知っていた。美羽に蔓延る屑を排除するために色々と工作を行っていたのである。そのことに集中するために一刀に仕事を任せていたし、一刀もそれを承知していたのである。それは結果として成功したのだがそのツケが今来たのである。

七乃「申し訳ないですけど文官の皆さんには今以上に頑張ってもらいます。」

立花「……はい」

七乃「後は…そうですね~冥琳さん達にも協力してもらいましょうね~」

とりあえずは一刀が復帰するまでの対策を練る二人であった。

 

袁術軍の文官達は現在地獄をむかえていた。

立花「皆さん!!私たちが北郷様の代わりを務めますよ!!」

文官達「応!!」

決意する者達。

文官1「馬鹿やろう!!その案件に関してはそうじゃないだろ!!」

飛び交う怒号。

文官2「追加入りま~す」

文官3「何!!まだあるのか!!」

次々と襲う敵。

文官4「まだ応援は来ないのですか!!」

文官5「無理です!!他の人達も現在敵と交戦中です。」

孤立する者達。

文官6「俺……これが終わったら彼女に告白するんだ……」

文官7「ここは俺に任せてお前達は先にいけ!!」

無意識に立っていくフラグ。

文官8「あばよ……俺はここで終わりみたいだ」

文官9「○○ーーーー!!!」

倒れていく仲間。

そこは戦場であった。そんな中で文官達が思っていたことはたった一つであった。

文官達(北郷様早く帰ってきて!!!!!)

 

倒れてから一週間が過ぎようやく医者の許可を得た一刀は執務室に向かっていた。首を鳴らしながら一刀は考えていた。

  「ちょっと体が鈍ってるな……鍛錬をしないと。政務のほうは……大丈夫だろ」

のん気に言って執務室に入る一刀。

  「皆久しぶり。調子はどう……だ……!!」

執務室に入るとそこには凄まじい光景が広がっていた。そこには文官達が今までみたことない形相で仕事をしていた。全員目の下に隈ができており目はかなり充血をしていた。

立花「皆さん!!頑張りましょう!!」

立花が一刀が聞いたことないような大声で文官達に檄を飛ばす。その檄に文官全員が答える。あまりの光景に驚いていた一刀だがすぐに立花に声をかける。

  「立花。大丈夫か?」

一刀の声に振り向く立花。そして、その顔が驚きに変わる。

立花「北郷様!!」

  「ああ。倒れてしまって申し訳な…」

一刀があやまろうとしたが立花が北郷に抱きついた。

  「ちょっと!!立花!!」

突然の立花の行動に驚く一刀。一刀の声に気づいた文官達。

文官1「あっ!!北郷様!!」

文官2「本当だ!!」

文官3「天の御使い様だ!!」

一刀に気づき次々と一刀に近づく文官達。そして、頭を下げる文官達。

文官4「北郷様!!すみませんでした!!」

文官5「俺達北郷様に甘えていました!!北郷様なら大丈夫だろうって勝手に決めていました!!」

次々に謝罪をする文官達。突然の謝罪に驚く一刀。文官達は一刀の仕事をしてあることに気づいた。それは、一刀の仕事の中で自分たちが一刀に頼んだ仕事もたくさんあったのである。唯でさえ多い仕事量なのに自分達がさらに負担をかけていたことに気づいた文官達。自分達が楽をしているのに一刀は多くの政務に追われて倒れてしまったのである。

文官6「俺達が駄目だから北郷様も頼らないのだなって思って……ぐすっ」

しまいには泣いてしまう文官達。もう戸惑うしかない一刀。

  「……皆はちゃんとやっているさ……。今回の事は俺の自己管理がなってなかったからさ……」

文官1「でも!!」

一刀の言葉に反論しようとする文官達。そこで一刀が言った。

  「これからはお互いにもっと頑張ろう。俺には皆の力が必要なんだ…。」

そう言って一刀は笑う。その一刀の言葉に感動する文官達。

文官2「俺達北郷様に一生付いていきます!!」

文官3「北郷様のために頑張ります!!」

  「いや……俺じゃなく美羽のために頑張ってくれ」

突っ込みを入れる一刀。そして、あることに気づく。

  「ところで立花……いつまで俺に抱きついているんだ?」

立花「えっ……?…………あっ///」

一刀に抱きついていたことに気づいた立花は顔を真っ赤にして一刀から離れる。それを見て文官達は笑うのであった。

 

文官達に休みを与えた一刀は政務に取り掛かった。すると、そこに冥琳ら呉の軍師達がやってきた。

冥琳「一刀。体調は大丈夫か?」

  「おかげさまで。冥琳達にも迷惑をかけたな…」

そう言って冥琳達を見る。冥琳の顔には疲労感が浮かんでおり、穏はもはや寝ていた。亞莎も目の下に隈を作っていた。一刀が休んでいる間、七乃が三人に頼んで仕事を手伝っていたのである。

穏 「本当ですよ~一刀さん。あんなに仕事があるなんて馬鹿じゃないんですか~?」

亞莎「穏様!!言いすぎですよ!!」

穏は寝不足すぎて一刀に毒を吐く。そんな穏を亞莎がたしなめる。

  「いや…いいんだ亞莎。穏も悪かったな。このお礼はするからな。」

冥琳「ふむ。では期待しているぞ一刀」

部屋から出て行く冥琳達。そして、一刀はあらためて政務に取り掛かる。

  「さてと……それじゃあ頑張りますか」

 

今回の出来事により文官達は一刀に負担をかけないように心がけた。その結果文官の質が上がり一刀の仕事量が減ったのは一刀にとって嬉しいことであった。あまりの効果に一刀が

  「また倒れるのもいいかもな…」

と呟くと文官達が全員「それだけは勘弁してください」と土下座をしたのであった。

また、一刀が倒れないように美羽が目を光らせるようになったのである。

 

後日、一刀は冥琳・穏・亞莎の三人にお礼としてプレゼントと料理を振舞ったのであった。冥琳達にプレゼントをあげたことを知った雪蓮が「私にも何か頂戴♪」と言ってきて一刀に付きまとうのであった。

 

おまけ   急に思いついたので書きました。

ある日の出来事であった。さっきまで執務室にいたはずの一刀は何故か中庭にいた。すると中庭から気配を感じた。

  「……誰だ」

気配の方向を見る一刀。そこから二人の人物が現れた。

???「おっ!!俺達に気づいたか。さすが一刀!!」

拍手をする長身の男性。隣には女性がいた。一刀はその二人に対して警戒をする。

  「お前達は誰だ…何故俺の名前を知っている…」

そう言って自分の愛刀を構えようとしてあることに気づく一刀。

  (『白夜』と『月詠』がない…)

腰にあったはずの愛刀がないことに驚く一刀。ほんの一瞬の隙。そこで男性が声をかける。

男性「おいおい……」

男性の声に気づいた一刀は戦慄した。何故なら……

  「なっ!!」

男性「あんまり油断すると背中とられるぜ一刀?こんな風にな……」

男性はいつのまにか一刀の背後にいたのである。

  (こいつ!!いつの間に!!)

背後を取られた一刀すぐさま男性から離れる。こんなに簡単に背中をとられたことない一刀は動揺していた。

男性「『常に冷静であれ』……だろ?爺さんの教えは」

祖父の教えまで知っていたことに驚いたがすぐさま教えを思い出し軽く深呼吸をして冷静さを取り戻す一刀。そして、男性に対峙する一刀。その様子を見て面白そうに笑う男性。

男性「おっ♪いいね~。一刀と試合うのも」

そう言って拳を構える男性。すると今までその様子を見ていた女性が声をかけた。

女性「そこまでよ……こんなことをするのが目的じゃないでしょ。」

男性「わかってるよ。ったく冗談だよ。」

そう言って構えを解く男性。女性が一刀に声をかける。

女性「いきなりごめんなさい。」

  「いや」

謝罪をする女性。さらに続ける。

女性「一刀。私達はあなたが生まれたときから知っています……」

女性はそう言って微笑む。その顔は姉のような顔であった。一刀は何故か二人を知っている気がした。

  「あんたらは一体……」

一刀が尋ねようとしたとき女性が言った。

女性「もう時間です。一刀。」

そう言ってどこかに行こうとする二人。

  「ちょっと待てよ!!」

声をかけて引き止めようとする一刀。そこで二人は振り返り一刀に言う。

男性「一刀!!俺達はどんなときでもお前の味方だからな!!」

女性「私達はあなたの『覚悟』を知っていますから…決して恨んでいませんから」

女性「あなたはあなたの信じた道を進んでください…」

男性「一刀!!おまえの大切なモノを絶対守れよ!!」

そう言って一刀の前から消える二人。一刀は追いかけようとして急に周囲の景色が変化していった。

 

  「はっ!!………ここは?」

首をあげて周囲を見る一刀。そこは、執務室であった。どうやら執務中に居眠りをしていたようである。

  「……夢か……」

そう呟く一刀。そして思わず苦笑する。

  「執務中に寝るとは…たるみすぎだな……でも夢にしては現実味があったな…」

おもむろに『白夜』と『月詠』を見る一刀。自分の相棒達は自分の無茶に答えてくれている。『白夜』と『月詠』はただの武器といえばそれで終わりである。しかし、自分にとっては『白夜』と『月詠』をそんな言葉で片付けたくはないのである。生まれたときからずっと自分の成長を見てくれたのである。兄弟と言ってもいい。

  「お前たちは俺のことどう思っているんだ?」

何気なく呟く一刀。剣が決して答えることがないことを理解している一刀。

  「何を言っているんだ俺は…」

自分の行動に苦笑する一刀。するとわずかだが『白夜』と『月詠』が光った……ような気がした。

  「今光ったか?」

首を傾げる一刀。ふとさっきの夢を思い出す。

  「まさか……あの二人は…『白夜』と『月詠』か?」

何故か急にそう思う一刀。そこで考えていると急に扉が開き美羽が入ってきた。

美羽「一刀!!休憩の時間じゃ!!」

そう言う美羽。一刀が倒れてからは一刀の体を心配して美羽は毎日こうして執務室にくるようになったのである。ちなみに一刀に拒否権はない。

美羽「ん?どうしたのじゃ一刀?剣をじっと見て」

一刀の行動に首を傾げる美羽。一刀は剣を戻すと立ち上がった。

  「いや…別に…。じゃあ行こうか美羽」

美羽「うむ。行くのじゃ。」

そう言って美羽と手を繋ぐ一刀。そして、部屋を出る。

  (これからもよろしくな。『白夜』『月詠』)

一刀は心の中で自分の相棒に声をかけたのであった。

 

後書き

今回、話は全然進めませんでした。何故かこんな話を思い浮かんだので書いてしまいました。文官としての一刀を書いてみようと思いましたが全然駄目でした……。ここでオリキャラを出してみました。この話の為に出したお試しキャラです。なので設定はあまり詳しくはありません。

ここで補足ですが一刀は文官としても実質のトップと思ってください。ちなみに文官の皆さんは決して無能ではありません。

おまけは軽くスルーしてください。ではみなさんまた

 

設定

立花(りっか)  袁術軍の文官。文官の中での地位は高い。文官の中で非常に優秀なので一刀と七乃の信頼は高い。元は袁術に蔓延る貴族の娘であったが美羽の成長を見て父親と決別をして文官として美羽のために頑張ることにした。そして、七乃の工作にも協力をした。性格は穏やかで大人しい。容姿は……皆様の想像にお任せします。

 

一刀の追加設定 一刀の袁術軍での地位。北郷隊隊長。文官統括官兼武官統括官。ようは武官と文官のトップ。美羽と七乃に次ぐ地位である。こんなところでしょうか……

 

 


 
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