No.134785

北斗の恋姫の拳 最終話

BLACKさん

この作品では特に人が喋っていない部分には「北斗の拳」でおなじみのナレーションの声が出ているものと思ってください。
なお、可能な限り控えめにしておりますが流血表現があることをご了承ください。

2010-04-06 20:00:56 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3862   閲覧ユーザー数:3568

 

 

最終話  偉大な巨星よ! お前が俺には最大の強敵だった!

 

 

一刀は紫苑の村で紫苑を看病する。

そこに……あるものがやって来た。

 

一刀「あれは……赤兎馬!」

 

赤兎馬が一匹で一刀達のところにやって来たのだ。

一刀の前に行くと赤兎馬は膝をつける。

 

地和「これって……」

人和「曹操が呼んでいるってことね」

一刀「華琳……。行こう、天和、地和、人和。

お前達がこの最後の戦いを見届けるんだ!!」

天和「うん」

 

一刀は何とか三人を先に赤兎馬に乗せ、最後に一刀が乗り赤兎馬は走る!

華琳の元へ!

 

霞「一刀…」

紫苑「……私達も追いましょう」

霞「追うと言っても……」

???「馬ならあるぞ」

 

突然声が聞こえてくる。霞と紫苑は声がする方を向く。

そこには馬に乗る趙雲、桃香、蓮華、小蓮、美羽、七乃、白蓮、麗羽、斗詩、猪々子がいた。

 

霞「何でここに?」

桃香「星ちゃんが連れて来たんだよ」

紫苑「星ちゃんが?」

星「うむ。私もあの者の最後の戦いを見たくなってな…」

紫苑「そう…」

霞「せやけど一刀達がどこに行ったのか…」

桃香「見当はつくよ」

霞「ホンマか?」

蓮華「ただ問題は着く早さだな」

麗羽「ええ、赤兎馬はああ見えて早いですからね」

白蓮「とにかく一刀達の後を追おう!」

 

そして霞と紫苑も馬に乗り、皆で一刀達の後を追った!

 

 

一刀達は赤兎馬によってあるところに着いた。

 

一刀「北斗練気闘座、やはりここを選んだか」

天和「ここって何?」

一刀「俺達北斗の人間が北斗最強を目指し修行に励んだ場所だ」

地和「一刀、あそこ!」

 

地和が指さす方向を見る。

そこには華琳が立って待ちかまえていた。

 

一刀「華琳」

華琳「一刀。あなたの骨と北斗の歴史を葬るにはここより他はないわ!」

一刀「華琳、お前が天を握ることはない。野望と共にこの地に眠るがいい!」

華琳「もう天なんてどうでもいいわ!」

 

華琳がマントを脱ぎ棄てる。

 

華琳「いえ、私が望んだ天とは一刀、あなただったのかもしれないわね」

 

華琳はそう言って階段を下りて一刀に近づく。

 

天和「ねえねえどういうこと?」

人和「曹操は北斗を越え最強であるこそ、曹操の天ってことね」

 

一刀と華琳は対峙する。

 

華琳「最強の北斗を屠る者の名は曹操! この曹操より真の強者の歴史は始まるのよ!

一刀、塵と砕けよ!!」

 

華琳が一刀に向けて闘気を放ち、闘気と一緒に一気に一刀との間合いを詰め、一刀に向かって拳を振るう!

しかし、一刀は無想転生でその拳を避けたと同時に華琳に攻撃を与えた!

華琳は思わず前に倒れる!

 

一刀「北斗神拳究極奥義無想転生の前には死あるのみ。終わりだ!」

 

一刀が華琳に向かって拳を振るうが、華琳の実体が空に消え、華琳はいつの間にか一刀の後ろにいた。

 

一刀「何!?」

 

一刀の拳からは血が流れる。

 

 

一刀「華琳、お前無想転生を!!」

 

華琳は振り返る。

 

華琳「この私も心を血に染めて哀しみを背負うことが出来たわ!」

一刀「何!?」

 

華琳が黙ってある方を指さす。

一刀はその指の先にあるものを見る。

そこにいたのは石像の掌で眠る愛紗の姿であった。

 

一刀「愛紗! 華琳、お前愛紗を!!」

 

華琳が闘気で石像の手を破壊し、愛紗は地に落ちる。

その前に愛紗の体は急いだ一刀が抱きとめる。

 

一刀「愛紗…」

 

愛紗は無反応であった。

 

華琳「生まれて初めて女を手にかけたわ。でも愛紗の命がこの私に無想転生を吹き込んでくれたわ」

 

一刀はひとまず天和達のところに行き、愛紗を天和達のところに置いて、再び華琳の元に行き、対峙する。

 

華琳「今…全てが終わる!」

 

華琳は構える。

 

華琳「来い! 名もいらぬ! 光もいらぬ! この曹操が望むものは拳の勝利!!」

一刀「あたたたたたた!!」

華琳「はあああああああ!!」

 

一刀が拳の連打を繰り出すと華琳も拳の連打を繰り出す。

二人はその攻撃を避け、次に華琳は掌を広げ、前に出す。

一刀もそれに合わせるように掌を広げ、前に出す。

二人の掌は無想転生により、すきとおり、二人が交差した瞬間、二人は傷だらけとなり倒れた!

 

華琳「ああ!」

一刀「ぐあ!」

 

そして二人は傷だらけになりながらも立ちあがる。

 

華琳「心地よい痛みと言うべきね。私達はこの日を待ち続けていたのだから……。

互いに究極奥義無想転生を身にまとった今……奥義は武器にならないわ。

言わば無! 零に戻ったのよ。ならばこの戦いは赤子の戦いと同然!

いくわよ、一刀!!」

 

 

華琳が走り出し、一刀の胸に拳を当てる。

 

一刀「ぐおあ!」

 

一刀は攻撃を食らいながらもお返しとばかりに華琳の真ん中の胸よりやや下を拳で当てる。

 

華琳「ぬうあっ!」

 

華琳は掌を縦にして一刀を地面にたたき落とす!

 

一刀「どぅわ!」

華琳「でもあなたに拳を教えた身。この曹操に一日の長があるわ!」

 

一刀が立ちあがり、華琳は一刀に向かって言う。

 

華琳「神に感謝せねばなるまい。我が前にこれだけの男を送り出してくれたことを!!」

 

華琳と一刀は殴りあう!

二人は殴って! 殴って! 殴りあう!

その様子を見ている天和達は不思議に思った。

 

天和「まるで無防備に打ち合ってる……」

地和「でも変よ。一刀にも曹操にも憎しみが見えないわ」

人和「それよりも二人とも透きとおって見える…。

このままじゃ二人とも死んでしまうわ」

 

一刀と華琳が殴りあうのをやめる。

そして華琳は体から闘気を発し、その闘気は華琳を中心に広がっていく。

一刀はその闘気にゆっくりと入っていく。

 

華琳「一刀、あなた闘気を!?」

 

これは一刀の考えであった。

お互いに拳の見切りをつけた同士では勝負はつかない。

勝負をつける方法は一つ。闘気を誘い、それを間合いとし、その乱れに無想の一撃を放つことである。

一刀は間合いを詰めていく。

 

華琳「は!!」

 

華琳は一刀の目から涙が流れていることに気付く。

 

一刀「もはや次の一撃が俺達の最後の別れとなるだろう。

俺も桃香も同じく目指した、あの偉大な長姉曹操!

この心に未だ消えずに焼きついている!!」

 

一刀はさらに間合いを詰める。

その一刀の距離を詰めるのを見て、華琳の闘気が逃げていく。

 

地和「曹操の闘気が逃げてる!」

人和「闘気の一瞬の乱れも許さない一刀さんの無想の拳に、もう曹操はなすすべもないのね」

天和「関羽さん、もうすぐ来るよ。長かった二人の戦いの終わりが……」

人和「そして……」

天和、地和、人和「「「二人の魂に安らぎが訪れる時が!!!」」」

 

二人の間合いがかなり無くなる。

 

華琳「いいでしょう。ならば砕いてみせよう。この拳に我が生涯の全てをこめて!!

受けてみなさい! 我が全霊の拳を!!」

 

華琳は闘気を消す。

 

地和「曹操の闘気が消えた!」

 

そして二人はしばらく硬直する。

そして動きだす!

 

華琳「天に滅せよ! 北郷一刀!!」

 

華琳が大きく拳を振るう!!

 

一刀「はあああああああああああああ!!」

 

 

華琳の拳が一刀に入る前に一刀の拳が華琳の腹部に炸裂した!!

一刀がゆっくりと拳を抜く。そして華琳は地面に膝をつける。

 

華琳「馬鹿な……私の…この曹操の全霊の拳が……」

一刀「お前の心は一人。だが俺の中には華琳への桃香への愛紗への想いが生きている。

天地を砕く剛拳もこの一握りの心を砕くことは出来ない!!」

 

華琳が立ちあがろうとするが、全身から血を噴き出してしまう。

 

華琳「ああああああ!!」

 

華琳の脳裏には何故か桃香がよぎった。

 

華琳(桃香…)

桃香(華琳さん、勝負はこれまでです。もう言ってもいいはずです。あなたも愛を捨ててはいない。その心に愛を刻みつけたのだと!!)

華琳(言えない! それだけは死んでも言えぬ! 愛を帯びるなど我が拳には恥辱!!」

 

華琳はなんとか倒れないようにし、また地面に膝をつける。

 

華琳「私は北斗の長姉、死にも誇りがある!!

うおおお!! おのれ!! 見せよう! 世紀末覇者曹操の死に様を!!」

 

華琳は足の秘孔を突いて立ちあがる。

 

人和「これ以上は……」

 

その時愛紗の指が動いたように見え、三人が愛紗の心臓の鼓動を確認する。

 

地和「これって!?」

 

華琳は一刀にゆっくり近づいてい来る。

 

華琳「一刀! あなたと私は全てにおいて五分の筈! 我が拳で砕けぬはずはない!!」

 

華琳が二つの拳を一刀に振るう!

しかし華琳は一刀に当たる前で寸止めした!!

 

 

華琳「既に見切っていたのね。我が拳にはもはやあなたを砕く力など残っていないことを…」

 

一刀は前にある華琳の拳を静かに触る。

 

一刀「華琳」

華琳「今こそ悟った! あなたは今日まで死を見切って生きてきた。

熾烈なる強敵との戦いの中で生と死の狭間を見切ったのだと!!」

 

華琳はそう言って一刀から少し距離を置く。

 

華琳「強敵ね。私には強敵と呼べるのは桃香しかいなかった…。

見せて頂戴。この曹操を倒した者の顔を……」

 

華琳が一刀の顔を求めて手を伸ばし、一刀は応じるように華琳の手が届くように体をかがめ、華琳の手が一刀の顔に届く。

 

華琳「見事ね、弟よ!」

一刀「姉さん。俺にはあなたが最大の強敵だった」

 

それに応じるかのように愛紗が目を覚ます。

 

天和「一刀さん!」

地和「関羽が…」

人和「関羽さんが生きている!」

 

一刀は三人の言葉を聞いて、その方向を向く。

 

華琳「行きなさい!」

 

一刀はゆっくり愛紗達の元へと歩いて行く。

 

愛紗「一刀…」

一刀「愛紗…」

 

そして二人は再会した。

 

一刀「だが…何故?」

???「簡単な話だろ?」

 

そこには別世界の一刀がいつの間にか居た。

 

一刀「お前は…」

愛紗「一刀が二人?」

一刀(別世界)「俺に関するの説明は悪いがそっちの一刀から後で聞いてくれ。

関羽は死んじゃいないかったんだ。曹操が殺したふりをして仮死状態にしてたんだ」

一刀「だが、何故?」

華琳「愛紗は病に冒されていたのよ」

一刀「何!? 本当か?」

愛紗「ええ…」

華琳「私も驚いたわ。私が本当に殺そうとした時に発作が起きたの。そして初めて愛紗が病気だって知ったわ」

一刀(別世界)「それに本当に曹操が関羽を殺したら無想転生なんて使えないからな」

一刀「そうだったのか…」

華琳「私もまた天へ! 桃香の下に帰ろう」

桃香「勝手に殺さないでください!」

 

一刀達が声のする方を見る。

そこには馬から降りていた桃香達の姿があった。

 

 

華琳「桃香…あなた…」

一刀「いつからそこに?」

霞「さっき着いたばかりや」

蓮華「曹操が一刀に拳を止めたあたりからね…」

白蓮「隋分遅くなったが…」

麗羽「最後の最後は見れましたわ」

星「うむ。なかなかのものであった」

華琳「桃香……まさか!?」

 

華琳が別世界の一刀の方を見る。

 

一刀(別世界)「察しの通りだと思うぜ?」

華琳「そう…」

一刀(別世界)「正直な話、俺はお前をそのまま天にやる気はなかったけどな」

華琳「………そうなの……」

一刀(別世界)「それにこれからの世でもお前は十分に役立つと思うぜ。その力、そして知を使えばな……」

華琳「……」

一刀(別世界)「だから生きな。生きて、生きて……。そして世の中の安らぎと平和を長く続けさせるためにな…」

華琳「……分かったわ」

一刀(別世界)「それとな……。関羽、それに劉備もいるのは丁度いい。手間が省けた」

桃香、愛紗「「?」」

 

桃香は別世界の一刀のところに駆け寄る。

 

一刀(別世界)「黙っていたが、お前達の病は俺の居た世界だと対抗するための薬があるんだ。

これをしばらくのんでりゃ病気は治るぜ」

桃香「本当に!?」

一刀(別世界)「そんな嘘は言わないぜ。全部終わったら渡そうとして、あの時は渡さなかったけどな…」

愛紗「そうか……。一刀!」

 

愛紗は一刀に抱きつく。

 

桃香「……」

華琳「……」

星「……」

霞「……まあ、仕方ないか」

華琳「そうね……あら?」

 

皆が空を見上げる。空は先ほどまで曇り空であったが、雲が無くなり、そこから太陽が照らされる。

空が晴れる様子を別の場所で見ていた諸葛亮と鳳統はつぶやく。

 

諸葛亮「この世に光が甦ったね。雛里ちゃん」

鳳統「そうだね朱里ちゃん」

 

二人が自分達の下の方を見る。

そこには今まで覇王軍の兵士だった者達やそうでない者達が明るい顔で生活を送っていた。

 

諸葛亮「でも曹操さんに一刀さん、それに愛紗さんがいなかったらこの世は永遠に闇に閉ざされたよね」

鳳統「うん」

 

そして空が晴れるのを見て華琳は決意する。

 

華琳「決めたわ。私はこの世界を統治する。だがそれは今までのような暴力によるものじゃない。

愛によっての統治よ」

一刀(別世界)「そうだな。この大陸は恐怖でしか統治できなかった。だがそれじゃあ真の安らぎは来ない。

だが恐怖の統治を止め、愛を持ったお前なら出来るだろうぜ」

 

別の世界の一刀の前に銀色の壁が現れる。

 

一刀(別世界)「たぶんもう会わないだろうぜ」

一刀「そうか…」

一刀(別世界)「じゃあな……」

 

別世界の一刀は銀色の壁と一緒に消えた。

 

愛紗「あの者は一体……」

一刀「通りすがりの破壊者だそうだ……」

愛紗「そう…か……」

一刀「愛紗、これからはずっと一緒だ」

愛紗「……はい……」

 

 

それからどのくらいかの時が経った。

世は暴力による支配から解放された。しかしそれでも統治すべき人間がいないとまた暴力の世界に逆戻りになる。

そのため華琳が大陸の支配者となった。その補佐として桂花や諸葛亮に鳳統も加わっていた。人々はすぐには受け入れなかったものの、次第に安心を覚えた。

一刀は愛紗と一緒に暮らした。しかし一緒に暮らしているのは愛紗だけではない。

一刀のところには蓮華、小蓮、白蓮、麗羽、斗詩、猪々子とそして天和、地和、人和と一緒に暮らしているのだ。

最初は蓮華達は愛紗と一刀の間を邪魔しないように二人で静かに暮らした方がいいと言ったのだが、愛紗が皆と一緒に暮らしたいと言いだし、皆で暮らすことになったのだ。

そして……。

 

地和「一刀!」

天和「私達の歌、始まるよ!」

人和「一刀さん、早く!」

一刀「ああ」

 

天和達は現在は売れっ子歌手となっていた。

今はその歌を歌う会場で歌の準備をし終え、一刀達は天和達のコンサートに招待されているのだ。

そして天和達は歌い出す。

その歌は一刀達の戦いの歴史とそれに関わる愛を歌っていた。

 

愛紗「いい歌ですね」

一刀「ああ」

 

二人は寄り添い、一刀は愛紗の肩を抱く。

 

 

巨星の野望は堕ち、この世に光が甦った!

戦士達は世の光を守るために戦い続ける!

二度と世が闇に閉ざされることが無いように!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            北斗の恋姫の拳   完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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