No.134221

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第24話

第24話です

春は曙…

曙(横綱)って今何してるんだろう?

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2010-04-03 23:24:15 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8236   閲覧ユーザー数:7566

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどき名作品です

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

ご注意下さい

 

 

何が起こった?

 

 

突然目の前で起きた出来事に誰もがその目を疑っていた

 

 

天の遣いとして彼らの前に降り立ち

 

 

天の遣いとして彼らの横に立ち

 

 

今日まで

 

 

つい今しがたまで

 

 

其処にいた本郷一刀が

 

 

霧が晴れるように

 

 

泡が消えていくかのように

 

 

その姿を消した

 

 

「御使い様が消えた!?」

「隊長が!?」

「どうなっている!?」

 

誰もが『理解』し、誰もが『理解』出来ずにいた

ざわめく陣営の中で

華琳は自分の手を見つめていた

 

一刀…どうして?

 

やがて

 

「…天は我等を見捨てたのか?」

 

誰かの呟きが右に左に伝染し始める

 

「まさか…!?」

「…しかし!」

 

拡大し始める動揺の声に

 

「鎮まりなさい!」

 

華琳の声が響いた

 

「緘口令を敷く!これより今起きた出来事を外部に漏らす者があれば即刻斬り捨てる!!」

「…っ!?」

 

主の宣言にその場の誰もが息を飲む

 

「各自持ち場に戻りなさい…たとえ同じ部隊の者同士でもこの事は機密とする」

「「「はっ!」」」

 

臣下の礼を取る兵達に頷き

 

「誰か桂花を此処に」

「はっ!」

 

華琳の号令に各自が慌ただしく持ち場に戻る中

一人動かない者の姿が目に入る

 

「沙和…立ちなさい」

 

目の前の出来事に座り込んだままの沙和

座り込んだまま一刀が消えた位置を虚ろに見つめていた

 

「沙和?」

 

華琳に話掛けられても今だ惚けたまま…そして

 

「隊長が…消えちゃったの」

 

 

 

 

 

 

パンっ!!

 

 

 

 

 

赤く腫れた頬を押さえ、涙を浮かべた視線がようやく華琳と合う

 

「…華琳様」

「言ったでしょう?…次は首を刎ねるわよ」

 

なんて我侭な自分

なんて卑怯な自分

 

よろよろと沙和が立ち上がる

そして華琳は彼女の肩を掴み

 

「本陣の守備に就きなさい、私は流琉を連れて前線に出た春蘭と合流するわ」

 

有無を言わさぬ物言いにコクコクと沙和が頷く

 

「行きなさい」

「は、はい!」

 

走り去る沙和から視線を自分の右手に移す

一刀がすり抜け、沙和を叩いた感触だけが残った右手

 

 

情けないわね…八つ当たりだなんて

 

 

拳を開いて…閉じる

 

 

…私はこんな小さな女だったの?

 

 

やがて沙和と入れ替わるように桂花が近付いてくる

 

「華琳様…この騒ぎは一体?」

 

辺りの様相に桂花は眉を顰める

 

「一刀が消えたわ」

「はい?」

 

意味を理解出来ずにいる桂花…それも尤もだ

 

「目の前で一刀が消えたの…霧のようにね」

「あの変態男…面倒なことを!」

 

消えた事に動揺より腹を立てる桂花の姿に華琳にもようやく余裕が戻る

 

「今この陣営に入り込んでいる間諜は?」

「私が把握している所では三名です…袁紹、孫策、馬騰よりそれぞれ」

 

周りに聞こえぬよう、互いの耳に直接話掛ける二人

 

「取り押さえられるかしら?」

「可能です…しかし今連合内で事を荒立てるのは」

「勿論解っているわ…でもこの事を外部に知られるわけにはいかないわ」

 

華琳の言葉に頷く桂花

 

「動向に目を光らせておいて頂戴、外に出ようものなら貴女の判断で構わないわ…斬り捨てて」

「はい」

 

たとえ今は連合を組んでいても、洛陽陥落の後の事を考えれば此処で隙を見せられはしない

この戦いが終われば、いよいよ各諸侯による覇権争いが始まる

少なくともそれまで天の遣いというアドバンテージを失った事を悟られる訳にはいかない

 

そして

 

「沙和、季衣と共に本陣の守備を任せるわ…私は流琉を連れて春蘭に合流する」

「バ…春蘭とですか?」

 

華琳の案に桂花が渋い表情になる

 

「一刀が言ったの、消える直前に春蘭が危ないと」

「…まさか」

 

だが桂花の言葉に首を振り

 

「天の知識だけに無碍には出来ないわ…万が一という事もある」

「…解りました、本陣の守りはお任せ下さい」

「季衣にはこの事はまだ伏せておいて、流琉には…私から言うわ」

「はい、どうかお気をつけて」

 

そういって頭を下げ、親衛隊の元へ歩き出す桂花

その彼女に向け

 

「貴女がいてくれて助かったわ…桂花」

 

華琳には見えていない…が、華琳の言葉に桂花の頬は赤く染まっていた

 

 

~左翼~

 

 

 

「そらあぁ!!」

 

横薙ぎの一撃を屈んでかわし

 

「もういっちょお!!」

 

返す勢いに繰り出される突きの反動そのままに刃の逆を踏みつけ、後ろへ飛び跳ねて距離を取ろうとする比呂にそうはさせまいと

 

「逃がすかい!」

 

 

 

 

な~んてな♪

その手には乗らへん!

 

 

 

距離を詰めようと踏み出し掛けた自身を踏み止まらせる

 

ザザっ!

 

そして彼女の足元に

 

トトン!!

 

二本の矢が突き刺さる

踏み出していれば心臓の位置であろう所に

 

「ちっ!」

 

着地と同時に聞こえる比呂の舌打ちに

 

「しっしっし~」

 

白い歯を見せる霞

 

「言うたやろ…華雄の様にはいかへんて」

「……」

 

ブンっ!と飛龍偃月刀を振り

 

「先の戦いであんたのやり口は見せてもろてん…ほんま大したやっちゃ」

 

愉快そうに、しかし冷静に比呂を見据える

 

「相手を追い込む先に矢を射る…それが張郃必中の弓術の種や」

 

その間も弓を構える比呂は動かない…動けない

 

「やられた相手はたまらんなあ…まるで操り人形にされた気分や、動いた先に釣られるように矢が飛んでくるんやからなあ」

「……」

 

足元のに突き刺さった矢を蹴りつけて折る

 

「気づけば矢が勝手に刺さっとる…ホンマたまらんわ」

「……」

「予め其処に動くように誘導しとるだけなのになぁ…誘導したトコ目掛けて弓を射るだけやのに」

 

そして弓を構え此方を見据えたままの比呂に向け得意気に胸を反らす

 

「どや?当たりやろ?」

「そうだな…狩の基本だ」

 

返ってきた回答に大満足の霞

 

「うちはそうは行かへんで…先読みなら負けへん!当たりには行ってやらんねん」

 

チョイチョイと指を振る…

目に見えての挑発に比呂が目を細めた

 

「だから…どうした?」

 

比呂の低い声に霞は飛龍偃月刀を水平に構える

 

 

ほれ見ぃ乗って来たで♪

今度はウチの番や

 

 

霞の構えに比呂は弓を引き絞り、弦がキリキリと音を立てる

 

「『当たりに来ない』のであれば」

 

比呂の目に再び殺気が篭り

 

「当てに行くだけだ」

 

言い終えると同時に放たれた矢を

 

「はんっ!」

 

半身に上体を反らし避ける

 

ヒュン

 

更に同時に迫る二本の矢…しかし

 

「甘いで!」

 

避けた体制から

 

ガキン!

 

飛んできた矢を飛龍偃月刀で突き落とす霞

 

 

まさかこの距離で『それ』をやってのけるか!?

 

 

比呂の顔に驚愕の色が浮かぶ

二人の距離は5mも無い、いくら狙いが読まれているとはいえ

その間を飛んでくる矢を避けるのではなく弾くのでもなく

 

『突いて撃ち落とす』などと

 

身体を走る悪寒と共に一筋の汗が頬を伝う

 

「そうか張遼…そうだったな」

 

比呂の声に霞はやはり満足気に口の端を吊り上げる

 

 

 

 

「神速の名は…伊達やないで?残り五本…ウチにも見えてきたわ」

 

 

 

 

あとがき

 

間に合ったぞおおおおお!!!!

 

ビンタ祭りぃ!!!(勝手に命名)

 

ねこじゃらしです。

 

此処までお読み頂き有難う御座います!

 

一刀は暫く出番お休みします!

 

次回は華雄さん主役です!

 

それでは次の講釈で

 


 
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