No.133930

魏√アフター 想いが集う世界――第零話

夢幻さん

アンケート、本当にありがとうございました。
アンケートを下さった皆様、『想いの帰る場所』をご覧下さった皆様に、心からの感謝をこの場をお借りして贈らさせて頂きます。


以下、作品の説明をさせて頂きます。

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2010-04-02 22:13:05 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:8221   閲覧ユーザー数:5901

 俺は、今際の際に華琳達と再会することが出来た。

 あの時は、本当に嬉しかったんだ。

 どれほど望んでも、会うことが叶わなかったから。

 

 なのに俺は、一人で何もない暗い空間を漂っていた。

 そう、俺は今一人だった……。

 

 もう二度と離れないと。皆の傍を離れないと約束したのに。

 やっぱり、あれは幻だったのか。

 

 ――いや、あれは幻なんかじゃない!

 頭じゃなくて、俺の心がそう叫んでいるのが分かるから。

 なら、俺はまた華琳達との約束を守れなかったのか。

 本当にごめん。ごめ、ん、華琳……皆。

 

『想いの残照……数多の乙女の願い……願いの欠片……』

 

 誰、だ……? いや、もういい。

 華琳達との約束を二度も破ってしまったんだ。

 このまま一人で、この死後の世界にいるのもいいさ……。

 

『乙女の願い、発端者の願い。それは、新たなる外史の世界の創造の鍵。

外史であり、正史である世界の創造。

死に行く瞬間の願い、永久の別れの瞬間の願い。

汝らの願いは、一つの世界を創るに値する想いなり』

 

 外史? 正史? ……一体、この声はなんだ?

 幻聴じゃないのか?

 

『悲しみに暮れる乙女達の願い。今際の際の乙女達の願い。

今、それが一つの世界を創造する。一つの世界の扉を、今開かん――』

 

 声が途切れると同時に、俺は――空間は光に包まれた。

 その瞬間、俺は自分という意識が途切れたのが、なぜか分かった。

 

『二度と、汝らが離れることはない。死が汝らを引き離すこともない。

世界たる我は、汝らの想いを認めよう――』

 

 

 

 ある世界のある大陸で、一つの噂が大陸に広まった。

『後に、光に包まれた男児が産声を挙げる。

産声の主は、後に起こる乱世を優しさと力で包み込み、大陸に永久の平和を齎(もたら)すであろう』

という噂が。

 誰がその予言を口にしたのかは、誰も知ることはなかった。

 気付けばその噂を一人、また一人と口にしていたのだから。

 その噂を耳にした人は、恐怖に慄(おのの)いた。

 今の平和が崩れ、戦乱の世になるのではないかと。

 この噂の出所が分からない王朝は、人々に緘口令を敷くこととした。

『噂を口にした者は、どんな立場の者でも刑に処す』と。

同時に、昼間に生まれた男児を隠す者達も出てきた。

 光に包まれた男児とは、昼間に生まれた男児ではないかと考えた結果だった。

 

 緘口令が敷かれてから、数ヵ月後。

 一つの家で、一人の男児が産声を挙げた。

 満月の光を浴びながら――。

 

 

 

 そして物語は、男児が生まれから七年後から記されていく。

 

 ――今、外史の扉は開かれた。


 
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