第4話 新たなる宿命の女! その名は孫権!
一刀達が洛陽を出てから数週間が経つ。
一刀達はとある村へとたどり着いた。
その村は花が咲き、水も豊富にある今の時代では楽園とも呼べる村であった。
天和「ねえねえ見てみて、花が咲いてる」
地和「へぇ~、最近じゃ花を見なかったけど……」
人和「それだけここは土地が豊かだってことね」
一刀「そうだな」
一刀が天和達ののほほんとした行動を見ていると……。
???「お前達何者だ?」
一刀の元にとても怖そうな雰囲気を出した女性が出てくる。
一刀「旅のものだが、お前は?」
甘寧「私の名は甘寧。この村の頭をしているものだ」
そう言うと甘寧はどこからか取り出した刃だけのものを一刀に投げつけるも一刀はそれを指の間で全て受け止める。
甘寧「なかなかものだな。用心棒としては及第点と言っておこう」
そう言うと甘寧は村の奥へと去る。
地和「何よあの女」
人和「大丈夫? 一刀さん」
一刀「問題無い」
天和達が一刀の心配をしていると……。
???「今のはあなたの女?」
一刀の後ろには先ほどとは別の気の強そうなピンク色の髪をした女性が立っていた。
一刀「………」
???「もしそうなのなら、他の人に取られないようにしないとね」
その女性は村の奥に行こうとする。その前に一刀達の方を振り向く。
孫権「私の名は孫権。覚えておくことね」
そう言うと孫権といった女性は村の奥へと行く。
天和「今の人、恐そうだったね」
地和「とても人を助けるような目じゃ無かったよね」
人和「一刀さん、あまり信用しない方が……」
一刀「……(あの孫権とか言う子……、あんな目をしてるが、あの目の奥にはまだ優しさがある……)」
それからしばらくするとこの村をいつも襲ってくると「牙一族」と言われる部族が襲ってきたのだ。
実は先ほど甘寧が一刀に対して用心棒と言う言葉を使ったのはこの牙一族に対しての用心棒として使えるかのものであったのだ。
とは言っても襲ってきた牙一族はまだまだ下っ端であり、一刀の敵ではなかった。
一刀「次に死にたい奴。こっちにこい」
一刀が牙一族の下っ端を片づけていると、村の奥の方から先ほどの女性、孫権が現れる。
牙一族「た、助けてくれ!」
牙一族の下っ端の一人が孫権にすがり、助けを求める。
牙一族「あの化け物を倒してくれ!」
しかし孫権はその言葉とは裏腹に助けを求めた牙一族の下っ端を切り裂いたのだ。
それも武器などを一切使わず素手のみである。
一刀「今のは……南斗水鳥拳!」
南斗水鳥拳!
動きは水面に浮かぶ水鳥のように優雅で華麗。
だが! その拳の威力は比類なき残虐非道の必殺拳である!
一刀「今のやり取りを見ると、君はあいつらの仲間だったようだけど……、何で裏切った?」
孫権「気が変わっただけよ」
一刀「……そうか……」
そんな時、孫権の後ろで倒れていた牙一族の下っ端が起き上がる。
孫権「まだ生きてたのね!」
一刀「慌てなくていい。そいつはもう殺してある」
孫権「え?」
一刀がそう言うと起き上がった男は北斗神拳により爆死した。
孫権はその男の死にざまを見て色々な意味で驚いていた。
孫権「(今のは……南斗聖拳と唯一匹敵すると言われてる一子相伝の拳法……北斗神拳!?)
あなた、北斗神拳の伝承者!?」
その様子を見ていた甘寧も驚く。
甘寧(ただの用心棒とは違う。あの二人は何者なんだ?)
孫権「それとさっき裏切ったことへの理由としてはもう一つあるの。
強い方に寝返っただけよ」
一刀「なるほど……」
孫権「それに私には目的があるの。白く神々しい光を纏った上着を着た男を探してるの。
そしてその男を殺すこと。それが私のたったひとつの目的。
そのために私は今日まで生き延びてきた」
一刀「………」
一刀はその時いつもの上着を村の洗濯籠に入れており、今は着ていない状態であった。
天和達はとりあえず今は安堵した。
それからまた少しして先ほどとは別の牙一族が村の住人の一人を人質にして来たのだ。
牙一族「貴様ら、よくも我が一族の血を流してくれたな!
我ら牙一族にたてつくと、どうなるか教えてやる!
そしてよく見ておけ! これがお返しだ!」
そう言うと牙一族はその住人の一人とされる少年を殺したのだ。
甘寧「蘇飛!」
牙一族「貴様らもこいつと同じように切り刻んでやる! 覚悟しておけ!」
そう言って蘇飛と呼ばれる少年の死体を放置して、牙一族達は逃げていった。
一刀「覚悟しておくのはお前達だと教えてやる……」
それから村人は蘇飛の遺体を回収。
村人達が悲しむものの頭である甘寧は涙を流さずにその場を去る。
孫権「あなた達、いい頭首をもったようね。なかなかの冷徹さよ」
村人A「あんたに何が分かるんだ!」
村人B「一番悲しいのは甘寧さんなんだ!」
村人C「この蘇飛は甘寧さんの義理の弟なんだ!」
孫権「え!?」
孫権と一刀はその事を聞いて甘寧を探す。
二人が甘寧を見つけると甘寧は人知れず涙を流していた。
それを見て一刀はどこかへと歩き出した。
それからすぐに、孫権も…。
一刀は村を出て歩き出す。
そして村の先にある谷に行くと、牙一族に囲まれている孫権を発見する。
一刀「なんだ?」
一刀は静かに見守ろうとする。
牙一族「我ら牙一族をただの野盗とは思うなよ」
そう言うと牙一族の一人が口笛を吹く。するとその集団は一定の陣形を取る。
牙一族「受けてみるがいい! 華山群狼拳を!」
孫権「喚いてないでさっさと掛かってきなさい」
一刀「確かによく喋る犬だな」
一刀はいつの間にか牙一族達の集団の中に居た。
そして一刀は孫権の方に向かって歩いて行く。
孫権「私を助けるつもりなら手出しは無用よ」
一刀「そんなつもりはないよ。君は強そうだしね。でもなんでここにいるの?」
孫権「たぶんあなたと同じ理由よ。お互い人の涙には弱いみたいね」
一刀「そうだな」
孫権は笑みを浮かべる。一刀も孫権の笑みに釣られるように笑みを浮かべた。
牙一族「なんだなんだ!? それが殺されに来た人間の態度か!」
一刀「それはこっちの台詞だ……」
牙一族「ぬうくくっ! 群狼拳の恐ろしさを教えてやれ!」
牙一族達の下っ端が一斉に二人に襲いかかるが、二人との力量差は圧倒的なものであり、下っ端達は一分もしないうちに全滅した。
二人はとりあえず下っ端を倒して一息つく。
一刀「しかし、まだ敵の頭がまだいるはずだ。気をつけろよ、孫権」
孫権「蓮華(れんふぁ)」
一刀「うん?」
蓮華「私の真名だ。お前に預けようと思ってな。北郷」
一刀「そうか。よろしくな蓮華。それと俺の事は一刀と呼んでくれ」
蓮華「ええ一刀」
一刀「それはそうと蓮華」
蓮華「何?」
一刀「何でその神々しい光を放つ上着を持ってる男を探してるんだ?」
蓮華「妹のためよ」
一刀「妹?」
蓮華「ええ。私も元は一城の将……正確には姫君だったのよ」
一刀「そうなのか」
蓮華「私が用事で城を離れた時に城が襲われたの。それで城を襲った者は私の妹を…尚香を連れ去ったの!
私と妹の姉様を殺して!」
一刀「……」
蓮華「姉様は先代の南斗水鳥拳の伝承者だったの。
でも姉様は病に冒されて……。もし病にかかっていなかったら城を襲った者に後れを取ることは無かった……。
そして姉様が息絶える前に言ったの。白くて神々しい光を放つ上着を着た男とだけ……。
だから私はその男を見つけだして殺す! 私には妹の小蓮(しゃおれん)(孫尚香の真名)が死んだとは思えないの。
きっと今もどこかで生きている。私はそう信じている!」
一刀「もし俺がその白くて神々しい光を放つ上着を持つ男だとしたら……」
蓮華「なんですって!?」
蓮華が立ちあがり、一刀の目を見る。
蓮華「悪い冗談でしょ。私は悪党の中を生き抜いてきたのよ。目をみればその人間の本質くらいわかるつもりよ」
一刀「…………」
一刀は笑みを浮かべる。
一刀「さてと行くか……」
蓮華「ええ」
二人が谷の奥を歩いて行くと……。
???「貴様らー!」
高台の方から声が聞こえる。そこには一人の大男が居た。
でかい男「そこまでだ!」
一刀「お前が牙一族のボスか?」
厳白虎「そのとおり。我が名は厳白虎。よくも、わしのかわいい息子達の血を流してくれたな!」
一刀「あれでかわいいと思えるお前の感覚がおかしいと俺は思うが……」
厳白虎「くぬぬっ! 言っておくがわし一人では無いぞ。見ろ! 南斗の女!!」
すると厳白虎は自分の後ろに隠していた小さな少女出してくる。
その少女を見て、蓮華の表情が一変した。
蓮華「あ…あれは……小蓮!」
一刀「何!?」
一刀もその蓮華と妹される孫尚香の方を見る。
孫尚香「お姉ちゃん? 蓮華お姉ちゃんなの!?」
蓮華「連れ去られたはずのあなたが何でここに!? それよりも、何で私がちゃんと分からないの?」
孫尚香「連れ去られた私はもう絶望しか感じられなかった。でも死ぬのも怖かった。だからこの目を……」
蓮華「小蓮……」
厳白虎「南斗の女! 貴様の弱点は分かっている! 身内を人質に取られると何もできん腑抜けだそうだな!」
一刀「外道め……」
蓮華「貴様ぁ!! 小蓮を放しなさい!」
厳白虎「ぐはははは!!」
厳白虎はあざ笑うかのような大声を出す。
厳白虎「お前は北斗の男を殺せ! 可愛い妹はわしの手のうちだぞ」
蓮華「くっ……」
一刀「蓮華、これは罠だ。あいつらは俺達二人だとやられるのが目に見えているからまずはどちらかをつぶそうと言う魂胆だ。
そんな誘いに乗るな。あいつはただの卑怯者なだけだ」
厳白虎「だが果たして、その女が妹を見殺しに出来るかな?」
蓮華「くっ……」
蓮華が小蓮の方から一刀の方に向き直す。
蓮華「ごめんなさい一刀!」
一刀「蓮華……」
一刀は今まで見せたことの無い構えを取る。
一刀「奥義を尽くさねば俺は倒せん!」
蓮華「その構え……」
一刀「いくぞ! 北斗龍撃虎!」
蓮華「南斗虎破龍!」
二人は捨て身の構えを取る。
二人はしばらくこう着状態になる。
その沈黙を先に破ったのは蓮華である。
蓮華は突きを繰り出すも一刀に止められ、一刀は蓮華の腹部に拳を当てるも蓮華はその受けたダメージを無視して一刀の胸を刺す。
一刀「くっ!」
蓮華「やっぱり相討ち……」
二人はその場に倒れこむ。
厳白虎「ぐはは! 都合よく二人とも死におったわ! わしの切り札の方が強かったようだな。
どれ、奴らにとどめを刺してやるか……」
厳白虎がそう言って倒れている二人の元に近づく。
厳白虎「叩き潰してくれるわ!」
厳白虎が己の拳をぶつけようとした瞬間、厳白虎の顔面に攻撃が加わる。
厳白虎「ぐぎっ!」
厳白虎は怯む。そして目の前を見ると平然と起き上がっている一刀がいた。
しかも孫尚香の方には蓮華が立っていた。
蓮華「小蓮は返してもらうわ」
厳白虎「貴様らーーーー! 謀ったな!!」
蓮華「敵を欺き活路を開くのも私達の拳法の奥義」
一刀「お前は最初っから死神を引いていたと言うことだ」
厳白虎「よくもわしをだましおったな!」
一刀「一番悪いのはお前だ」
厳白虎「ほざけ! わしの本当の切り札を見せてやるわ!」
厳白虎は深く呼吸をする。そして見る見る体の色が黒く変色していく。
厳白虎「華山鋼鎧呼法! さあわしの体は鋼鉄の鎧だ。どこからでも掛かってこい!」
一刀「仕方ない……」
一刀がそう言うと厳白虎の左右の横顔に一発ずつ、最後に顔面に一発の拳を当てた。
厳白虎の殴られた部分はへこんだもののすぐに元の状態になった。
一刀「大胸筋と言う秘孔を突いた。もはやお前の筋肉はぶよぶよの脂肪にすぎん」
厳白虎「ぬっ! なにをぉ!!」
すると厳白虎の体が先ほどの色に戻っていく。
一刀「お前の命も後わずか。今までの事を悔むが良い」
厳白虎「うおおおおお!! 殺してやる!!」
厳白虎が一刀を頭突きをかまそうと突撃するが……。
一刀「悪行を悔めと言ったはずだが……」
一刀は突撃してくる厳白虎の頭に向かって手刀を繰り出す。
一刀「岩山両斬波!!」
厳白虎「わーーーーーたーーーーーーーべーーーーーーーー!!!」
厳白虎はそんな断末魔を残し、斃れる。
一刀「滅せよ」
そして牙一族を滅ぼし、村に戻った一刀達。
一刀は目を閉ざしてしまった孫尚香の目を治すと言ってきたのだ。
蓮華「本当に治せるの?」
一刀「……」
一刀は孫尚香の目のあたりを優しく押す。
一刀「建明と言う秘孔を押した。もうすぐお姉さんの顔が見られるようになるよ」
孫尚香「本当に!?」
一刀「ああ。それと蓮華、少し話がある来てくれ」
そう言って一刀は蓮華を連れだす。
蓮華「一刀、話って?」
一刀「白く神々しい光を放つ上着を持つ男のことなんだが……」
一刀は建物の中に置いてあった自分の上着を取り出し、上着を着る。
蓮華「それって……」
孫尚香「お姉ちゃん!」
蓮華の後ろから孫尚香の声が聞こえる。
蓮華「小蓮。目が見えるの?」
孫尚香「うん。まだぼーっとだけどお姉ちゃんの姿が見える」
蓮華「小蓮」
蓮華が小蓮に抱きつく。
蓮華「一刀。あなたが小蓮を連れ去った本人だと言っても信じないわ。私にだってそれくらいわかる。
小蓮、あなたを連れ去った男の顔を覚えてる?」
孫尚香「ううん。あいついつも黒い仮面かぶってたから分からない」
蓮華「そう……」
孫尚香「それより、あなたが北郷一刀?」
一刀「ああ」
孫尚香「私は孫尚香。真名の小蓮で呼んで。私も一刀って呼ぶから♪」
一刀「分かったよ。小蓮」
地和「でも誰が一刀のふりをしたのかしら?」
一刀「……なんとなくだが心当たりがある……」
人和「え?」
一刀の名を騙る謎の男!
その男と一刀には深い関係があった!
そして一刀の北斗神拳伝承者としての戦いが始まる!
次回、北斗の恋姫の拳
北斗神拳伝承者よ、お前の真の戦いが始まる時だ!
一刀「北斗神拳伝承者としてお前を許さん!」
おまけ
作者「ヒャッハー! 第4話だ!」
一刀「本当に速いなおい」
作者「まあ今第8話の冒頭部分の作業に取りかかってるんだけどな。第8話はかなり長くなるかな」
一刀「分ける気は?」
作者「ない。だからいくつかの部分をはしょることにした」
一刀「それよくねえと思うぞ!」
作者「安心しろ。そこまで大事だと思わない部分だけだ。そして次回はあの偽物が出るのだが、恋姫キャラでの該当キャラがいなかったから三国志で出てきた人物のオリジナルキャラにした。
今回の厳白虎もオリジナルだ。元々牙大王のままにしてたしな…。投稿する今になって変えたのさ」
一刀「随分ぎりだな」
作者「そして次回でだがあの二人が先行登場するぞ」
一刀「あの二人とは?」
作者「話の流れで言ったら、一刀……ケンシロウにとってとても大事な人物二人だ。
まあこちらはちゃんと恋姫キャラに変えたし、ミスマッチだと思ってないからな。
明日か、気が向いたり第8話の完成具合によっては今日また投稿しようかと思ってる。
それでは…!」
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この作品では特に人が喋っていない部分には「北斗の拳」でおなじみのナレーションの声が出ているものと思ってください。
なお、可能な限り控えめにしておりますが流血表現があることをご了承ください。