真・恋姫無双アナザーストーリー
雪蓮√ 今傍に行きます 第10話
部屋に入り優未は驚愕した
「?!なんでここにこれが!」
(しかもガラスケースに入れられてないって!)
部屋の中には一振りの剣が飾られていた
「綺麗……」
雪蓮は飾られていた剣に近づく
「あ、雪蓮!」
優未は雪蓮を呼ぶが聞こえていないようだった
「南海、覇王……これがこの剣の名前……」
南海覇王と名づけられた剣は1800年経った今でもその輝きは失われず光り輝いていた
「綺麗な剣だね」
横に立った一刀は、一言、雪蓮に言った
「ええ、すごく綺麗……でも、なんだか懐かしい感じもあるのよ」
「懐かしい感じ?」
「ずっと昔に……この剣、南海覇王を持ったことがあるような気がするの」
「楽しい時も、辛い時も……それに、悲しい時もね」
「そっか……」
「ええ……」
何も言わずに南海覇王を眺めている二人の後ろで
(そりゃそうだよ……だってそれはあなたが……孫伯符が呉の王として所持していたんだから)
優未は部屋の入り口付近で複雑な表情で見ていた
「それにしてもなんでこの剣だけガラスケースに入れられてないんだろうな……雪蓮?」
一刀は雪蓮からの辺が無いので横見るとじっと南海覇王を見つめていた
(この音は何?誰が呼んでるの?)
雪蓮は辺りを見回すがこの部屋には一刀と優未しか居なかった
「雪蓮どうしたんだ?」
「一刀、声が聞こえない?」
「声?俺にはなんにも……優未」
「え?あ、なに?」
「なんか声聞こえる?」
「声?……ううん、聞こえないよ」
「そ、そう……」
(一刀も優未も聞こえていないの?でも確かに……)
雪蓮の耳には確かに誰かを呼ぶ声が聞こえていた
(でもこの部屋には私と一刀に優未、それにこの剣しか……剣?)
雪蓮は剣を見ると淡く輝いているように見えた
(剣が輝いてる?)
雪蓮は徐に剣に手を伸ばした
「雪蓮、待って!」
「え?」
優未が止めに入ったその瞬間、
「な、なに?!」
「「雪蓮!」」
「一刀!優未!」
剣は輝きを増し目を開けていられなくなった
「う……こ、ここは?」
目が覚めた雪蓮は真っ白な空間に居た
「か、一刀!優未!」
だが声は返ってこなかった
「一体どうなっているの?それに私たちは資料館に居たはず……とにかくここから脱出しないと……あ、あれ?」
しかし、雪蓮は思うように動けなかった
「どうなってるのよ」
困惑する雪蓮にまた声が聞こえてきた
『我の声が聞こえるものよ』
「だ、誰!そこに言るのは!」
『我は王を守護する者』
「王を守護する者?」
『我の名は、南海覇王……歴代の王を見守り、そして国を守護してきた』
すると先ほど資料館展示されていた剣が現れ、光と供にその形を変えていった
「なっ?!」
『……』
光りが治まるとそこには一人の女性がただずんでいた
『我が主、孫伯符よ、お久しぶりです』
「え……主って私?」
『そうです』
「何かの間違いじゃないかしら、私はそんな剣持っていたことは無いわよ」
『そのようなことはございません』
「それに、孫伯符って確か三国志で江東の麒麟児とか小覇王って呼ばれてる呉の王様の名前じゃない、あと孫伯符って男でしょ?人違いもいいところよ」
『いいえ、あなた様は確かに我が主でした』
「でした?」
『はい、やはり覚えていらっしゃらないのですね』
「覚えていないも何も生まれてこの18年間、あんな剣見たことも触った事も無いもの」
『判りました……では、わたくしから見た、あなた様の記憶をお見せしましょう……』
「ちょ!な、なに?!」
女性は目を閉じ、念じ始めるとあたりは急に真っ暗になった
『では、参ります……』
「ま、参りますってちょっと待ちなっ!きゃーーーーー!」
女性の声が聞こえなくなったかと思ったら雪蓮は足元から落ちて行った
「……れ……しぇ…………しぇ……ん」
(んん……誰か私を呼んでいる声が聞こえるわ……)
「雪蓮!聞いているのか?」
「え?なによ冥琳、ちゃんと聞いてたわよ」
(な、なによこれ!どうして私が目の前に居るの?!)
『気がつきましたね、我が主よ。これがわたくしが記憶しているあなた様です』
「はぁ……まったく、さっきの流星の件だ」
「ああ、それがどうしたのかしら?」
「どうしたのではない。もし、あやかしの類ならどうするつもりだ」
「もしそうだったら叩き切ればいいじゃない♪」
(随分と破天荒ね)
『それが孫策さまでしたから』
(私より優未の方が性格は似てるわね)
『……』
(所で貴女の名前は南海覇王でいいの?)
『はい。それ以外に名はございません』
(まあ、確かに剣の名前がそうなんだから当たり前よね)
「さて、そろそろ流星が落ちた地点だが……なにもないな」
「っ!いいえ、誰かが倒れているわ」
「なに?……確かに、だがあれは……」
「冥琳も気がついたみたいね」
「ああ、この暗闇の中であれだけの輝きを放っているのだ気づかないほうがおかしいだろ」
(なになに?人が倒れてるの?)
『はい、これが孫策さまと天の御遣いであられる北郷一刀さまとの最初の出会いです』
(な、なんですって?!一刀がなんで居るのよ!)
雪蓮は光りを放っている方へと目を向けると見覚えのある服を来た青年が横たわっていた
「あら、随分とかわいいあやかしさんだこと」
「冗談もほどほどにするんだな、それよりどうするのだ?」
「ぶー少しは付き合ってくれてもいいのに……もちろん、連れて帰るわよ」
「はぁ、そう言うと思ったわ。誰かある!」
「はっ!」
「この者を……雪蓮、何をしているのだ」
「なにって連れて帰るのよ?見れば判るじゃない」
さも当たり前のように孫策は自分の馬に一刀を乗せていた
「いくら雪蓮でも勝手が過ぎるぞ。まだ敵かどうかもわからないのだぞ」
「大丈夫よ。こんな所で寝てる間抜けな敵なんて居ないわよ」
「しかしだな……はぁ、わかった。どうせ何を言っても聞いてもらえないのだろ、だが注意はしておくのだぞ」
「さっすが冥琳!だから好きよ♪」
「まったく……では、戻るぞ!」
孫策たちは馬に乗り、来た道を戻っていった
(……ちょっと、どういうことよ、なんでこの世界に一刀が居るわけ?)
『それは望まれた結果、北郷一刀さまは望まれこの地に降り立ったのです』
(……確か、これは貴女の記憶って行ったわよね)
『はい』
(それじゃなに?現代の一刀が過去に過去に飛ばされたって事?そんなのありえないわ)
『ですが、事実です。北郷一刀さまは乱世を孫策様と供に駆け抜けていました』
(ありえないわ……でも、私の勘が正しいって言っているのよ。認めたくないけど……)
『孫策様は勘の鋭いお方でした……では、次の記憶に飛びます』
(え?次の記憶って!ちょ、まっ!)
南海覇王が念じたその瞬間、目の前が歪みだした
(うぇ~……気持ち悪い……)
雪蓮は膝を突きうな垂れた
「姉様、この者は何者ですか」
「彼は北郷一刀よ」
(うわー、なにあの目つきがきつい娘は)
『彼女は孫仲謀さま、孫策さまの妹君です』
(へ~……って!あの娘、孫権なの?!)
雪蓮は驚きまじまじと孫権を見つめる
「蓮華に思春、それに明命。一刀はあなた達の夫になる人だからよろしくね♪」
「「「ええっ!?」」」
「ね、姉様!なにを冗談を言っているのですか!」
「やぁね、冗談なんかじゃないわよ。ね、冥琳」
「ああ、そういう契約になっているな」
「契約とはなんなのですか、雪蓮さま?」
黒髪のロングヘアーの少女、明命が孫策に質問をした
「一刀は今、巷で噂になっている管輅って占い師が言っていた天の御遣いなのよ。で、そんな一刀の血を孫呉に入れられればいいかなぁって思ったわけ」
「「「なああっ!?」」」
(随分と大胆なことするのね……)
『ですが、結果的に呉の重鎮全員にお子様が居られます』
(ええ?!なによそれ!一刀ったら……私と言う者が居ながら……)
『……やはり貴女様は紛れもない孫策さまなのですね』
(?)
『なんでもありません』
南海覇王は微笑みながら首を振った
{しかし、姉様!」
「しかしはなしよ蓮華、それにこれは母様の夢を実現させる為に必要なことなのよ」
「そう言われては私はなにも言えなくなってしまうではありませんか……」
「ごめんなさいね、でも安心しなさい。本気で嫌なら無理にはさせないわ、一刀にもそう言ってあるから」
(確かに、一刀は無理やり女の子の嫌なことはしないけど……まさか、ここに居る全員の子供を産んだの?)
『……は、はい……』
(?どうかしたの)
『いいえ、なんでもありません……では、次の記憶に行きます』
南海覇王はまたまた目蓋を閉じて瞑想を始めた
(だ、だから、行き成りはやめてっ……)
(うぅ~、この気持ち悪さは何とかならないわけ?)
「ねえ、一刀」
「ん?なんだ、雪蓮」
「一刀は天の世界、自分の居た世界に帰りたいって思ったことはないの?」
「そりゃ帰れたら帰りたいと思ったさ。家族も居るし、友達も居るからね」
(友達……私のことも友達と思ってるのかな一刀は)
「へぇ~、一刀にも友達って居たんだ」
「なっ、失礼だな~、友達くらい居たさ、及川って言う悪友がね」
「へ~、彼女とか居なかったの?」
「居たらどれほど良かっただろうね」
「ふ~ん……なら、私がなってあげようか?」
「なるって、なにに?」
「だから、彼女よ」
「ふーん……はぁ?!な、何言い出すんだよ雪蓮!冗談もほどほどにしてくれよ」
「あら、私はいつでも本気よ」
「よけい、たち悪いよ……」
「ん~もう、かわいいんだから一刀は」
「ん~~っ!」
(同じ顔なのになんなのよあの胸は……)
雪蓮は自分の胸に手を当て孫策の胸を恨めしそうに睨んだ
『北郷一刀さまは、胸だけで人を見るような方ではありませんよ』
(あの顔を見ても?)
『……胸だけで人を見る人ではありません……多分』
(多分って言ったわね……はぁ~、もし私があれならなんで胸が小さいのよ)
『気にし過ぎではないでしょうか』
(どう見てもあの胸は90以上あるでしょ……)
「失礼します。姉様、ここに一刀……何をなさっているのですか、姉様っ!」
「げっ、蓮華……や、やっほー」
「やっほーではありません、姉様!一刀を放して下さい!」
「や~よ、だって折角の休みなのよ、一刀とのんびりしたいもの」
「今日、一刀は休みではありません!これから私と警邏に行くのです!」
「そんなの誰かと代わってもらえばいいじゃない」
「わ、私だって一刀と警邏できるのを楽しみにしていたのですよ!」
「あら」
「れ、蓮華」
「……っ!あ、いや、これはその……」
「ふ~ん、あんた達いつの間にそんな仲になったのよ」
「ね、姉様に言う必要はありません!」
「あるわよー。私が一刀を拾ってきて、みんなの夫になるように進めたのよ?なら、そう言った事も知っておかなきゃ♪」
「~~っ!一刀!」
「は、はい!」
「行くわよ!では、姉様失礼します!」
孫権は一刀の腕を取り強引に部屋から連れ出した。それと入れ違いに周瑜が部屋に入ってきた
「もう、ちょっとからかっただけなのに蓮華ったら面白いわね」
「はぁ~、からかうのもほどほどにしないさい雪蓮」
「は~い」
(見れば見るほど優未と性格が一緒なのよね~)
『そんなに似ておいでなのですか?その優未と言う者は』
(ええ、まあ、時代が違うせいもあるけど、同じようなことやってるわよ)
『そうですか……』
(どうかした?)
『いいえ、それでは、また飛びます』
(あの飛んだ後の気持ち悪さはなんとかならない訳?)
『それは慣れていただかないことには』
(はぁ~)
その後も何回は記憶の断片を見続けた雪蓮
『今回の記憶は少々、衝撃的なものになると思いますのでご覚悟ください』
(どういうことよ?……っ?!)
雪蓮は南海覇王の言ったことに疑問を投げかけたが直ぐにその理由がわかった
(な、なによこれ……)
『戦場です……』
一言、たったその一言で雪蓮は気が遠くなりそうになった
「はぁ、はぁ……うっ」
「孫策さま!周囲の敵、全て討伐しました!……孫策さま?」
「わかった……下がれ」
「は?……っ!わ、わかりました!」
(ねぇ、孫策どうしちゃったの?いつもの様子じゃないみたいだけど)
『……』
(ちょっと!)
南海覇王は答えなかった。だが、雪蓮は薄々気がついていた
(これって、私の時と同じ状態?まさか……)
しかし、確証も無く、成り行きを見守った
「そ、孫策さま、兵の帰宅準備整いました!」
「……わかった。帰るぞ」
「はっ!」
体に付いた血を適当に拭い、馬に乗り込む孫策
「……熱い……体が熱いよ…………一刀………………」
呟く孫策の瞳は感情もなく、ただ、ここには居ない者を見据えていた
(……)
『……覚えがお有りなのですね。孫策さま』
(っ?!いいえ、そんなことあるわけが……)
雪蓮は否定したかったが出来なかった。それは、次に起こる孫策の行動によりはっきりと自覚してしまったからだ
「孫策さま!建業が見えてきました。…………孫策さま?!」
「……」
孫策は無言のまま馬の速度を速めた
「まだよ……もう少しで…………」
孫策はブツブツと独り言を言っていたがその声は後方に居る兵には聞こえなかった
数分後、建業に着いた孫策を出迎えたのは周瑜に黄蓋、陸遜そして一刀だった
出迎えた一刀以外の三人は一様に険しい顔をしていた
「…………」
「……っ!」
一刀は驚き少し後ずさりをしそうになったが踏みとどまった
「来て」
感情の篭っていない声に戸惑う一刀、しかし、孫策は返事を待つことなく一刀の腕を掴み城内へと歩き出した
(…………)
『如何ですか、これでも身に覚えがありませんか?』
(無いわけ、ないじゃない……つい先月になったばかりよ……)
そう、雪蓮は半年に1回は孫策のような状態になるのだ、が……
『そうですか……では、一刀さまとはすでに結ばれたのですね』
(む、結ばれた?え、えええ?!まだに決まってるじゃない!そんな付き合っても居ないのに!)
『そうなのですか?孫策さまは興奮状態になられると体を慰めてお鎮めになるのですが』
南海覇王はさも当然のごとく言った
孫策は私室に一刀を連れ込み、抱きつくと一刀の口を自分の口で塞いだ
「んっちゅ、っはぁ…………かず、と…………私、もう…………我慢できない…………」
「……しぇ、れん……俺も……」
「…………よかった」
(わーー!わーー!こ、こんなところ見せないでーーーーっ!)
『見かけによらず初心なのですね』
(何言ってんのよ、同じ顔の人間が目の前で見れるわけが無いじゃない!)
『そうですか、最後まで見なくてもいいのですか?』
(見なくても判るわよ、どうせ孫策が自分がああなった原因をなぜ聞かないのか一刀に聞くんでしょ?それで一刀はどうせ気にしてないとか言ってるのよ)
『良くお解かりですね』
(そりゃね、私も同じようなことしたし)
『そうでしたか。では、次で最後です……』
南海覇王は瞑想に入る
(やっと次で最後か……~~っ!)
安堵した雪蓮だったが横目で一刀と孫策の行いを見てしまい顔を真っ赤にさせるのであった
「雪蓮、ここは?」
(あれ?一刀の声が横から聞こえる)
「ここは母様、孫文台のお墓よ」
(え……なんで私の口から?)
『今、貴女さまは孫策さまの視点で見ております』
(南海覇王!どういうこと!)
しかし、南海覇王の姿も見当たらなかった
『私は今、孫策さまの脇におります』
(え?……)
雪蓮は目線を降ろすと確かに確かに剣が脇に吊るされていた
『成り行きをお見守りください……これが、孫策さまとの最後に記憶になります』
(最後って……どういうことよ?)
『…………』
しかし、南海覇王からの返答は帰ってこなかった
「母様、……やっとここまで来れたわ」
孫策は墓石に語りかけ始めた。
今までのこと、これからのこと、そして一刀のことを孫策は嬉しそうに語っていた
(……結構辛い人生を送ってきたのね)
雪蓮は孫策が語ることに耳を傾けていたが急に嫌な感じが周りから漂い始めた
(なに?この嫌な感じは……)
雪蓮は周りを見回したかったが、今は、孫策の視点なのでそうも出来なかった
(ここに居ちゃ危険な気がする……っ!)
「そこから見ていてね母様。私達の戦いぶりを、そして呉の未来を――――」
その時だった……孫策の真正面の草むらが揺れた
「ぐっ!?」
(いっ!?な、なによこれは……なんで私まで痛みが……)
孫策の左肩には矢が刺さっていた
「な、によ……これは……」
「雪蓮っ!」
雪蓮は矢を肩から抜き取ったが体の中を駆け抜ける痛みは抜けることが無く膝から崩れ落ちそうになった
(な、なんで肩をやられたのに……体中が痛いの?……まさか、毒?)
その後、孫権が駆けつけて曹操が率いる魏軍が攻めてきたと伝えてきた
「姉様、早く治療を!」
「そんなことより、貴女は早く出陣準備を整え曹操を迎え撃ちなさい」
「ですが!」
それでも食い下がる孫権に孫策は
「孫仲謀!」
どこから出てくるのか孫策は力強く孫権の名を呼んだ
(なぜ彼女はそこまで強いの?死が怖く無いの?そんなに民の事が大事なの?一刀と別れてしまう事が怖くないの?)
あらゆる疑問が雪蓮を混乱させる
孫権が走り去った後、孫策は先ほどとはうって変わって顔をゆがめた
「う゛……」
「雪蓮!」
「あはは……どうやら鏃に毒が塗ってあった見たいね」
「なっ!どうして直ぐに言わないんだ!とにかく医者に」
「一刀、皆には黙っていて」
「どうして!」
「お願い……」
「……わかった。でも、城近くまでは俺が連れて行くからな」
「うん、お、ねいがいね……一刀」
孫策は弱々しく微笑むと気を失ったかのように目を閉じた
だが、雪蓮には孫策が目を閉じていてもその光景が見えていた。いや、正確には感じていた
(一刀のこんな顔見たこと無いわ……怒りに震えた顔、でも私は一刀にこんな顔して欲しくはないわ……)
「くそっ!とにかく早く城に戻らないと……」
一刀は孫策を抱き抱えて走り出した
「曹操はこんな卑怯な事までして勝ちたいのか!?」
一刀は曹操に対して強い憎しみを抱いたが
「……いや、俺の知っている曹操はこんな事をしない……正々堂々と真正面から敵を打ち倒すやつだ」
「それに反董卓連合の時に見た曹操がこんな卑怯な事をするような娘には見えない……ならやつらは?」
だが、答えが出るわけもなく一刀は考えるのを止め、ただひたすらに城に向かい走った
「はぁ、はぁ、しぇ、雪蓮……着いたぞ」
「う……ありがとう、一刀……もっと抱き抱えて欲しいけど……ここで降ろして」
「ああ……」
一刀は孫策を降ろした
孫策はふらついていたが一呼吸するといつもの堂々とした振る舞いに戻った
「……一刀、行くわよ」
「……雪蓮……わかった」
(なんで一刀も止めないの!このままじゃこの人が……私が……)
戸惑う雪蓮だったが、一刀が孫策を止められない事は既に判っていた
「「雪蓮さま!」」
「姉様!」
「何よ皆して、それより現状はどうなっているの?」
雪蓮が玉座に現れると孫権に呂蒙、周泰が心配そうに駆け寄ってきたが何事も無かったように立っている孫策を見て少し安心をしていた
「敵は建業からニ里先に兵を展開しています」
「わかったわ。私たちも直ぐに出るわよ!」
「姉様!姉様はまず医者の治療をお受けください!」
「でも!」
「でも、では無いわよ。まず私たちがしなければならない事は何?」
「……敵を、曹操を我が呉の地から撤退させる事です」
「そう、なら判るわよね?」
「…………はい」
孫権は長い沈黙のあと返事をした
「ですが姉様。この戦が終わった後、直ぐに医者に見てもらいますからね」
「あはは、私医者嫌いなんだけどな」
「それでもです。縛り上げてでも見てもらいますから」
「わかったわ。さぁ、蓮華、兵を連れて出陣しなさい。私も準備が出来次第向かうわ」
「わかりました。みんな行くわよ!」
「「御意!」」
「はい!」
「一刀、姉様をよろしくね」
「ああ」
玉座には孫策、周瑜、黄蓋そして一刀の4人が残った
「あとどれくらい保ちそうだ……」
(どうしてそんな言い方をするのよ。貴女は孫策と断金の仲なんでしょ!)
「冥琳!そんな言い方!」
「いいのよ一刀……やっぱり、判っちゃうのね」
「まあな、お前とは長い付き合いだからな……で、どうなのだ?」
「ふふふ……さ、っすが冥琳ね……そう長くは持ちそうも無いかも」
「……そうか」
(みんななんでそうまでして戦うの?死んだらそれで終わりなんだよ!)
だが、雪蓮の叫びはみなには決して聞こえる事はなかった
「さ、行くわよ……孫伯符、最後の大芝居をね」
孫策は歩き出した。孫権たちが待つ戦場へ
「姉様、兵の展開は完了しました」
「わかったわ。蓮華、しっかりそこで見ていなさい。王というものをね」
「姉様?」
孫策は微笑むと前に歩き出した。それに答えるように曹操の軍からも一人の女性が前に出てきた
「さ、見ていなさい蓮華……私の大舞台を」
そして、孫策による口上が晴れ渡った空に響き渡った
孫策の口上が終わり、曹操は驚きの顔を、孫権たちは青ざめていた
次に曹操の顔は味方である兵に怒りを見せ、孫権たちもまた曹操軍に怒りを放っていた
「みなのもの!我が目にみなの雄姿をしかと刻ませよ!……かかれ!」
「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!」」
孫策が南海覇王を振り下ろすと雄たけびと共に孫策の横は駆け抜けて行った
「……もうこれ以上は無理っぽいわね…………」
(え?ちょっと!こんな所で倒れたら!)
孫策はそのまま膝から崩れ落ちたが来る筈の衝撃は来なかった
「…………あ、ら……一刀、ありが、と…………うっ!」
「……よく頑張ったな雪蓮」
「あ、あはは……一刀に撫でられるのは…………気持ちが、いいわね……癖になりそう」
「ならこれからもずっと撫でてやるよ……だから」
しかし、それから先の言葉は出てこなかった。いや、正確には言う事が出来なかった
(うっ……私もなんだか息苦しくなってきたわ……ど、うなっているのよこれは)
「か、ずと…………あなたは呉の、軍師よ。何を……するか、わかるでしょ?」
「……ああ。…………シャオ!雪蓮を頼む!」
「うん!」
「雪蓮、俺の背中を見ててくれよ」
「……ええ、ちゃんと…………見てるわよ」
一刀は孫策に背を向け歩き出した。その頬に一筋の涙をせ
(一刀……い、行かないで苦しいよ…………一刀)
雪蓮も孫策とシンクロするように苦しさが増していた
「はぁ、はぁ……うっ」
「雪蓮姉様!」
「だ、いじょうぶよ、シャオ…………それより、貴女も見ておきなさい。これが孫呉……私たちの戦いなのよ」
「うん、うん!ちゃんと見てるよ。ちゃんと見てるから、しっかりしてよ姉様!」
孫尚香は目に一杯の涙を溜めていた
やがて魏軍の兵が撤退を始めると
「亞莎……」
「は、はい!」
「蓮華を……冥琳と一刀を呼んできて……」
「わ、わかりました!」
呂蒙は駆け出し孫権たちの元へと向かっていった
「雪蓮姉様、直ぐに一刀とお姉ちゃん来るからね」
「はぁ、はぁ……うぅ…………そ、うね」
孫策の額には玉のような汗が出ていた。それでも一刀が戻ってくると聞くと弱々しく微笑んだ
「うん!そうだよ、だからしっかりして!」
「雪蓮っ!」
「姉様!」
「二人とも遅いよ!雪蓮姉様、一刀が来たよ」
「か、ずと……れん、ふぁ…………」
「ああ、ここにいるぞ!」
「私も居ますよ姉様!」
(一刀…………戻ってきてくれた、うれしい……でも、私はもうだめみたい)
雪蓮は目の前に一刀の顔が見え喜んだ
これが、南海覇王の見せる記憶でこの苦しさも孫策のものと知りながらも
「か、ずと…………これからも、呉の、蓮華の為に……尽くしてくれる?」
「ああ、当たり前じゃないか!」
「そう…………よかった、わ………………蓮華はま、だまだ王としては未熟……あなたがしっかりと導いてあげてね」
「任せておけ。俺が立派な呉の王にして見せるから!」
「や、約束よ?…………ゆ、指きり…………」
孫策は右腕を上げ小指を出してきた、一刀も小指を出し、孫策の小指と絡めた
「ふふふ…………約束し、たわ……よ…………蓮華」
「はい!ここに居ます。姉様!」
「…………これを」
孫策は腰に掛けていた南海覇王を孫権に渡した
「これか、らは…………あなたが呉の王よ…………しっかりと、民を導いていきなさい」
「はい……はい!姉様……ですから、今は医者に見てもらってください!」
「あ、はは……医者は嫌いなのよね…………それに、もう無理みたい…………母様の顔が見えてきちゃったわ」
「蓮華……しっかりね…………めい、りん…………」
「……ここにいるぞ」
「シャオ、と二人を…………お願い……ね」
「わかっている」
「…………ふふ、素っ気無いわね」
「性分だからな…………安心しろ、私もいつかそちらに逝く」
「うん…………ずっと…………ずっと、待ってる……からね」
(段々と瞼が落ちて……最後に、一刀に一言言わないといけない気が、する)
それは雪蓮の思いなのは、はたまた、孫策の思いなのかわからなかった、もしくは雪蓮と孫策、二人の思いか
そして、言葉が重なる
「(さよ、なら……かず、と……あなたにあえて―――)」
《本当に良かった。あなたを愛して私は変われた気がした。だから、ありがとう一刀》
『孫策さま……孫策さま』
(っ!?……ここは)
雪蓮が目を覚ますとそこは最初に訪れた真っ白な空間だった
『お目覚めになられましたね』
(っ!あの後は、あの後はどうなったの!?)
『孫権さまが呉の王となり、反乱・叛旗を翻した者たちを打ち倒しその力を見せ付けました』
『そして、蜀と連合を組み魏を打ち倒しました。しかし』
(しかし、なによ)
『……周瑜さまは赤壁の戦いにてご病気によりなくなられました』
(そんな!誰も気がつかなかったの?!……そうよ、一刀は!)
『どうやら、一刀さまは気がついておいでだったようですが、周瑜さまに硬く口止めをされていたようです』
(はぁ、まったく、冥琳はいつもそうなんだから、少しは自分の体を労わっ、て……あれ?何言ってるの私)
自分の言った事に途惑う雪蓮を見て南海覇王は
『どうやら、記憶が戻りつつあるようですね』
(どういうことよ)
『私が見せていたのは実は八割程度なのです。残りの二割は孫策さま自信の記憶によるものです』
(そんな、まさか……私の記憶ってどういうことよ!)
『ここからはわたくしがお話いたしますわ』
(だれ!)
声のした方へ振り向くと物腰が落ち着いた女性が立っていた
『わたくしは管輅と申します。貴女さまとはこれで二度目ですね。孫伯符さま、いえ、天音雪蓮さま』
(管輅ですって?あなたは確か三国時代の人のはずよ。それに二度目って……)
『覚えていないのでしたね。ではまずわたくし達についてお話しましょう』
管輅と名乗った女性は自分のことを、そしてこの世界のことを説明した
(それじゃなに?あなたは監視者でこの世界、外史を管理しているって言うの?)
『はい、その通りです』
(それじゃ、あの世界の孫策も生かすことが出来たはずよ!なぜそうしなかったの!)
『それは正史が望んだ事、わたくしたちにはそこまでの干渉は許されていません』
(なによそれ……)
『申し訳ありません……話を戻してもよろしいでしょうか』
(……ええ)
『では……雪蓮さまが見た記憶、それは雪蓮さまの封印されていた記憶です』
(封印されていたって、どう言う事?)
『それは、生を全うした雪蓮さまの最後の願いでもあります』
『我々は死の間際、雪蓮さまの魂魄を監視者の世界に一時止めたのです』
『そして、そこで孫伯符としてではなく、一人の女性、雪蓮として願いを聞き入れました』
(その願いって?)
『北郷一刀と一緒に居たいっと。ですが、それには色々と問題がありました』
(問題?)
『はい、まずは記憶です。あなた様がこちらの外史に来るには正史の力により今までの記憶を消去しなければなりませんでした』
『そこでわたくし達は雪蓮さまの記憶を封印する事により記憶の消去から免れました』
『しかし、記憶の消去から間逃れても、雪蓮さまは一刀さまと出会い、恋仲になるかまでは判りませんでした』
『ですが、そこは杞憂に終わったようですね』
そこで雪蓮は顔を赤らめた
『ふふふ、もう告白はしたのですか?』
(ええ?!し、したと言えばしたの、かな?)
『初々しいですね……そして、最後にもう一つ』
『記憶が蘇るかです』
『わたくし達は記憶が戻るように色々と手を尽くしました。まずは夢です』
(夢?ってもしかしていつも見るあの夢の事?)
『はい、その通りです。そして、あなた様をサポートする為に一人の女性を遣わせました』
(それってまさか!)
『察しがいいですね。その通りです音無優未。彼女は我々監視者が雪蓮さまの記憶を蘇らせる為の存在なのです』
(そんな……そんなことって)
(それじゃ優未は私の記憶を蘇らせるためだけに私に近づいたって言うの!)
『いいえ、そうではありません。あれは忠義です。彼女の本当の名は太史慈、立派な呉の武将です』
(そんなことどうでもいいわ、要はそこに付け入ったって事でしょ!)
『確かに、そうかもしれませんね……ですが、優未は喜んでいましたよ。「孫策さまのお役に立てる」と』
(っ?!なによ……それ)
『そして、こうも言っていました「雪蓮と楽しく過ごせている」、「私も雪蓮と同じ人を好きになれた、一刀君はとても優しくて大事にしてくれる」とも』
(優未がそんなことを……)
『……』
(ごめんなさいね、取り乱したりなんてして)
『いいえ、かまいませんよ……では、これが最後です、南海覇王よ、ここに』
『はい』
(?何をするの)
『今からあなた様の記憶を全て蘇らせます。すでに殆どの記憶は断片的にですが蘇っているようなのでそれを繋ぎ合わせます』
『孫策さま、お幸せにお過ごしください』
南海覇王は微笑むと光を放ち始め剣の姿に戻った
『さあ、雪蓮さま、今一度この剣を御掴みください』
(……)
雪蓮は手を伸ばし南海覇王を握り締めた
(っ!?)
その瞬間、南海覇王は強烈な光を放ち、優未は目を開けていられなくなった
光を放ち意識が途絶えようとした時、声が聞こえてきた
『……これで、私の役目もお仕舞いだね……よかったね雪蓮』
(優未?!何処に居るの!)
次の瞬間、世界は真っ暗になり意識を手放した
「な、なんだったんだ?今の光は……」
「……」
「雪蓮?どうかしたのか?」
「え?か、一刀?一刀よね?」
「え?そうだけど、どうかしたのか?」
一刀は不思議そうに雪蓮を見た
「一刀!」
「うわっ!」
(カランッ!)
雪蓮は一刀に抱きついた。その瞬間、手に持っていた南海覇王は床に落ちた
「一刀、一刀、一刀~~!」
雪蓮は何度も一刀の名前を呼び泣いていた。
「……」
そんな雪蓮を見て一刀は黙って雪蓮の髪を優しく撫でていた
(今この気持ちは、呉の雪蓮としての喜び!また一刀に逢えた事に対する喜び!やっぱり、一刀に撫でられるのは気持ちがいいわ)
しかし、あの時、最後に聞こえてきた声を思い出し辺りを見回した
「優未!何処にいるの!優未!」
「な、なあに?」
「優未!」
声が聞こえた方を見ると優未は尻餅をついていた
「いたた……今の光はなんだったの…って!雪蓮!そ、それ!南海覇王落としちゃってるよ!」
「え?ああ、本当ね。でも大丈夫よ。どうせ、私の剣なんだから」
「え?何言ってるんだ雪蓮、それはこの資料館のだろ?」
「あ、あ~そうね。そういうことにしておきましょう。それより、優未は大丈夫なの?」
一刀に言われお茶を濁した雪蓮
「え?う、うん、だいじょ、っ!ぶだよ……」
一瞬、苦痛に顔を歪めたが何事も無かった用に言った
「……」
雪蓮はその一瞬の表情を見逃しては居なかったが、何も言わない事にした
「そっか、ならよかった」
「そんなことより、いつまで一刀君に抱きついてるのよ雪蓮~!」
「あら、いいでしょ~。でもダメよ、今は『私が』再会を喜んでいるんだから」
「っ!……はぁ~、仕方がないな、今だけだからね!その次が私が一刀君に抱きつくんだから!」
「ふふふ、それは、私を倒してから言う事ね」
「なにおー!なら、今から剣道場に行って勝負だ!」
「あなたが、私に勝てるとでも思っているの?」
「ふふん、あの時は引き分けだったけど、今回は負けないんだから、愛の力は絶大なんだから!」
「あら、それなら私も負けないわ。一刀を思う気持ちはね」
「あ、あの……二人してなんの話をしているのかな?」
「それは」
「「秘密」」
声をそろえる雪蓮に優未は楽しそうに笑っていた
その後、資料館を見て回った三人は剣道場に訪れ不動先輩に許可を得て、一刀を賭けて勝負をした
「はぁ、はぁ」
かれこれ1時間以上打ち合いをしていた二人だが結局勝負はつかなかった
「また決着がつかなかった~~~」
雪蓮と優未は肩で息をしながら立っていた
「ふふふ、私に勝てないと一刀は上げられないわよ」
「う~む、やはり、惜しいでござるな……。天音殿に音無殿、やはり剣道部には入部していただけぬか?」
「私はパスよ。かたっくるしいのは苦手なのよね」
「私も~、一人暮らしだから家事とか色々と大変だしね」
「ふむ、そうか……実に惜しい……」
不動先輩はそれでも諦めきれない様子だった
「しかし、天音殿はあのような性格であったでござろうか?以前にもまして活き活きしているでござるな」
不動先輩は雪蓮の変化に薄々だが気がついた
「か~ずと!どうだった?私の戦いぶりは」
「う、うん、凄くかっこよかったよ」
「本当?うれしい~~」
「あ~!ずるい!ねえ、一刀君!私は?私はどうだった!」
「優未もかっこよかったよ。二人とも本当に強いよね」
「えへへ~♪」
「んん!北郷殿、一応、部活中なので道場ないではご遠慮頂きたいのでござるが」
「あ……す、すいません!直ぐにお暇します!」
周りを見回すと女子の目が一刀と雪蓮、それに優未に集まっており、一様に顔を赤らめてみていた
「……」
ただ一人、般若の仮面を背に座っていた人が居たが一刀は見てみぬ振りをし雪蓮たちと道場を後にした
こうして、記憶が蘇った雪蓮は今まで以上に傍若無人になり一刀を困らせていった
そして、優未は……
「なんとか、あの時に消える事は間逃れたけど……なんか、雪蓮には気づかれちゃったぽいな」
優未は部屋に帰り自分のベットの上で胸を押えていた
「はぁ、はぁ、こんなに辛いなんて……でも、一刀君と出きるだけ一緒に居たいからこれくらい我慢しないと……うっ」
「一刀君……私、消えたくないよ……ぐすっ……」
優未の頬に一筋の涙が流れた
葉月「今回も更新が遅れてしまいました。本当にすいません」
雪蓮「まったく、更新出来ないなら日曜日じゃなくて平日にすればいいじゃない」
葉月「そうですね……最初のうちは土曜日更新だったんですけどね、何ででしょうね?ハハハハハ」
雪蓮「まあ、そんなことより等々私の記憶が戻ったわね」
葉月「はい、やっとこ自分の中では折り返し地点に来ました」
雪蓮「それにしても結構長くなっちゃったわね」
葉月「これでも削ったんですけどね。南海覇王の記憶回想なんてばっさりと」
雪蓮「あら、そうなの?」
葉月「はい、実は反董卓軍でのやり取りとか美羽と雪蓮のやり取りとか、削っちゃいましたね」
雪蓮「桃香とのやり取りは兎も角として、袁術とのやり取りは削って正解だったわね」
葉月「なんでですか?」
雪蓮「もし書いてたら、私が葉月を八つ裂きにしていたからよ♪」
葉月「え、笑顔でそんな事言わないでください」
雪蓮「ふふふ、なんなら番外編で書いてみる?」
葉月「そ、それにしても、最後の優未は一体どういうことでしょうね?」
雪蓮「葉月はわかってる癖にそういうこというわけ?」
葉月「な、なぞかけですよ!そりゃ知ってますよ!筆者ですから!」
雪蓮「そうね、それにしてもなんであんなに苦しんでいるの?」
葉月「それは、本編再会の時に判明しますのでお楽しみください」
雪蓮「やっぱり延ばすのね……このまま首を狩ろうかしら?」
葉月「~~~~っ!さて、次回のお話ですが!」
雪蓮「あら、話をそらしたわね」
葉月「次回はいよいよ琳の別荘のお話です!夏だ!海だ!水着だ!っと言うわけで皆さん水着姿をお披露目です!ご期待ください!」
雪蓮「挿絵は無いけどね~」
葉月「そういう事は言わないでください!……皆さんの妄想……もとい、ご想像にお任せします
雪蓮「位置的にはサブストーリーなのよね?」
葉月「はい、そうですね」
雪蓮「まさか、三人だけって事はないわよね?」
葉月「そうですね、今回はペアを組んで三回に分けようかと思っています」
雪蓮「あら、そうなの?」
葉月「はい、流石に今回は全員書かないと読者や特に、琳と優未が怖いですから……」
雪蓮「そうね、前回は読者投票で『選ばれなかった』からね」
葉月「わー!きょ、強調しないでください!」
(ドドドドドドッ!)
葉月「ん?なにやら地響きが」
優未「太史慈キーーーーーーック!」
雪蓮「(ひょい)」
葉月・優未「え?」
葉月「ぐはっ!」
優未「あ~~!葉月が!なんで避けるのよ雪蓮!」
雪蓮「だって当たると痛いじゃない」
優未「雪蓮があんなこと言うからでしょ!」
雪蓮「あんなこと?」
優未「『選ばれなかった』なんていうからでしょ!琳の絶が飛んでこなかっただけ……っ!」
(ヒュンヒュン……ザクッ!)
雪蓮・優未「……」
琳「あら残念、もう少し右だったかしら?」
雪蓮「流石にそれは洒落にならないわよ、琳」
琳「あらこれくらいあなた達なら軽く避けられるのではなくて?」
雪蓮「……まあいいわ、葉月が優未のせいでのびちゃったから今日はここまでね」
優未「私のせいなの?!」
琳「あなたのせいでしょうね」
優未「そんな!葉月!起きなさいよ~~~!」
葉月「うぅ~~~ゆ、優未の、今日のパン……」
優未「~~~っ!死に去らせ!」
葉月「ゴハッ!」
雪蓮「本格的に止めを刺したわね」
優未「だ、だって葉月が!」
琳「ふむ……私も興味があるわね今日の優未の」
優未「わーーー!わーーー!わーーーーーー!」
琳「わかったわよ……そんな耳元で騒がないで頂戴」
優未「うぅ~、私汚れちゃったよ……お母さん……ぐすん」
雪蓮「はいはい、ほら、もう終わりにするわよ。それじゃ皆さん」
琳「また次回も楽しみにしなさい」
優未「……またね~~~~……ぐすん」
葉月「はっ!ゆ、優未の今日の!パ」
優未「もう一度、三途の川原を見てこい!」
葉月「ぐはっ!……(バタッ)」
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第10話になります
いつの間にかお気に入り登録してくださった方が600人を越えていてビックリしました
これも皆さんのおかげでこの場を借りてお礼を申し上げます
毎回、毎回誤字を報告し下さる方もこの場を借りてお礼申し上げます
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