あれ~?
今俺なんて言った?
『か、神様です……(笑)』
…………………………………………………………………………っ!!!
…………はああああああああああああああああああああああああああ!!?!!?
『第二話 改めて、私が神様兼天の御遣いです(迷)orz 』
「……か、神様…?」
劉弁が微妙な表情で俺のことを見ている。
なんていうか……こう……かわいそうなものを見るような目なのは何故でしょうか?
「そ、そのとおりデース!ワタシは…天の国から漢と陛下に助力するために来た神……天の御遣いデース!」
誰かこのくだらないことばかりペラペラ話す口を黙らせろ!黙らせてください!お願いします!
「天の……御遣い……」
劉弁が確かめるように俺の言葉を口に出して反芻する。
……っていうか天の御遣いって言っちゃったよ!?どーすんのコレ!?もうこの外史使えないじゃん!ああ~……またあの小うるさいジジイどもにどやされるよ……
「き、貴様ァ!恐れ多くも皇帝陛下の御前で天の名を語るとは何事か!」
衛兵の一人が俺の言葉に憤慨したように剣を振り上げる。
それを俺は身体を炎に変えて間合いから逃れる。
やめて!俺のライフはゼロよ!もう痛いのは勘弁してください!ただでさえヴリトラと闘った後で疲れてるんだから……
「おのれぇ……面妖な……!」
「妖か……!」
クソっ……!どうせもうこの外史は使えないんだ!もういっそ強行突破しちゃおっかなー?
「待ちなさい」
今こそ決断の時!
と、俺が今まさに強行突破しようというところで劉弁がそれを制した。
「あなたが……神だと……天の御遣いだと、証明できますか?」
劉弁が堂々と…しかし躊躇いがちに俺に問いかける。
そして俺はそれに……
「しょ、証明は難しい。し、しかし…俺が少なくともただの人間だとは思わないだろう?」
いや、答えるなよ!しかも微妙に肯定してるし……この口を縫い付けてしまいたい!あっ、やっぱ痛そうだからやめた。
「………彼と二人で話がしたい。皆、扉の前にて待機していてください」
そう衛兵達に向かって言い放つ。
これには衛兵も俺自身も驚いた。しかしそんなこといきなり言われても納得できないでしょう。
「へ、陛下!このような怪しい男と二人っきりになるなどなりません!」
「そうです!大体、まだ妖かどうかも解らないというのに……」
衛兵が口々に不満というか否定というか……そんな言葉を口にする。
まあ、そうだろうね。大体、神も妖も方向性が違うだけで怪しい力を使うってところは同じだし……
しかし劉弁は聞く耳持たず衛兵達を一瞥し再び命令する。
「私の……皇帝の命令が聞けないのですか?」
その言葉に衛兵達は押し黙り「了解……」と、一言告げて不満そうに部屋を出て行く。
まあ部屋の扉の前で待機ってのは一応警戒しているんだろうが……
「さて……ではまず、名前を教えてもらえませんか?」
「へっ?あ、ああ……俺は介象 元則。神です」
もう神で通すしかなくなってしまった……
「そうですか……では介象殿。私に力を貸していただきたい」
「ふぇっ!?」
いきなりですね!?
でも俺は外史の管理者。勝手に外史に介入する訳には………っ!!
「不本意なことですが……私は皇帝という地位についてはいますが実質的な政権は宦官達に奪われ今の私は傀儡でしかありません」
うんうん。知ってる知ってる。
「このままでは国が腐敗するばかりと思い政に関わろうとしましたが宦官達に妹を………」
ん?なんだか話が変わってきたぞ?
「私には劉協という妹がいるのですが……今は宦官達に人質に取られています。人質といってもあからさまな人質ではなく、いつでも手にかけようと思えばかけられる立場にある……ということです……私が逆らえば妹がどうなってしまうか……」
……………………………………。
「私の力が足りないばかりに妹は自由を奪われ、父上から受け継いだこの国の復興もままならない状況!もはや私一人では妹もこの国も救うことは出来ません……」
………………………………………………………………………。
「ですから……どうかお願いします!私に……この国に力を貸してください!」
…………………………………………………………………………………………………………………かっ
「感動したぁっ!!」
「!!?」
俺は滝のように涙を流しながら頭を下げる劉弁の手をとる。
ええ娘やーこの娘ええ娘やー!素晴らしきかな姉妹愛!なんて感動的な話しなんだ!イイハナシダナー。
「ぜひ協力させてください!!」
俺の異常な反応に若干……いや、かなり引きながらも笑顔をみせてくれる。
「そ、そうですか……協力、感謝します。では私のことは桜歌(おうか)と呼んでください」
「えっ?それって真名じゃないですか?そんな……陛下の真名を呼ぶなんて恐れ多い……」
「あなたには私に協力してもらうのです。真名を預けるのは私からの信頼の証と思ってください。敬語も不要です」
「それじゃあ……俺の真名――――」
って、俺って外史の調査、下見専門の仙人だから真名って持って無いんですけど!?
どうしよう………………ああ、そういえば例の外史で俺の食べた実を本当に食べていたのって……それでいいか。
「…………俺の真名は……栄守(エース)だ。よろしく桜歌」
「はい……栄守。ではさっそく……」
「へっ………?」
―――――玉座の間―――――
「紹介します。漢王朝に繁栄をもたらさんと天よりやって来た神……天の御遣いの介象 元則殿です」
「皇帝陛下の側近として漢の復興、及び繁栄のため尽力したいと思っております」
ざわ…… ざわ…… ざわ…… ざわ……
騒がしい……まあ仕方ないことだ……
突然の緊急招集されたかと思えば、さっき皇帝の私室に落ちてきた怪しい男がいきなり皇帝の側近として紹介されてんだからな。
「皇帝陛下……陛下の決定に異を唱えるわけではありませんがそのような得体の知れない男を……」
ギロリッ!(俺の睨む音)
「ひいっ!」
「確かに……俺のような得体の知れない男が陛下の側近になるのは古参の宦官の方々から見れば陛下の命令といえど不本意だろう……だから、俺の陛下への忠誠の証を見せよう!」
そう言って俺はりゅ…桜歌から借りた短剣で迷わず自分の左腕を切り落とした。
『ッッッ!!!!!』
切り落とした腕は地に落ちる前に炎に包まれ霧散した。
それと同時に劉弁が立ち上がり……
「介象 元則の漢王朝、ひいては私への忠誠しかと見とどけた!これより彼を私の側近とすることに……異論はないですね?」
『……………………………………』
結果として異論はなかった。
ただ切り落とした腕がなぜ燃え尽きたのか?と、いう疑問が出たが「神の肉体はこの世のものではないために俺の身体から離れると消滅してしまうのだ」と、答えて誤魔化しておいた。
「いったたたたたたたた……ヒデェよ桜歌……」
俺が斬った左手を押さえながら文句を言うと少し申し訳なさそうに……
「あなたが斬られても死なないし傷つかないことは既に解っていましたから……第一印象のあまりよくない栄守を私の側近として迎え入れるためにはさらに衝撃的な出会いで上書きするしかなかったのです」
「そうは言っても……もっとやりようがあったと思うんだけど……」
そう言いながら左腕を虚空にかざすとどこからともなく火の粉が飛んできてそれが空中で集まり腕の形になり左腕が元通りになる。
「もとに戻るんだからいいじゃないですか」
「もとに戻っても痛みはあるんだよ!次からはもっと俺の身体を労わってくれ……」
悪びれもせずさらりと言い放ちやがった!はやまったかな……逃げちゃおっかな?
などと考えていると……桜歌が俺の左手を手にとり……
「申し訳ありません、栄守……私のわがままに協力していただいているのに……」
ナデナデ……サスリサスリ……
ま、まあ……もう少し……そう!劉協を助け出すまでは桜歌に協力しよう!そのぐらいはあのじじいどもも許して……くれるかな?くれないよね……俺はいったいどうなってしまうのだろう?
―――――――了―――――――
キャラ紹介
名前:劉弁
真名:桜歌
髪型:濃紺のポニーテール
身長:154センチ
体重:(血痕で見えない)
武器:皇帝専用の宝剣
特徴:えらくゴテゴテした十二単みたいな服を着ている。普段着は装飾を抑えた上等なチャイナ服。
ツリ目がちで厳しそうな外見、皇帝として振舞う為に普段は常に気を張っている。
また目的の為なら手段を選ばない面も…出会ってすぐの英守の腕を切り落とさせたり…だが妹想いで心優しい性格。
武力は一般武将より少し強い程度。今も強くなる為に特訓中。
あとがき(仮)
どーもーミスター加藤です。
いきなりですが前話のコメント欄で主人公の真名は○ースじゃありません。
と、書いたのですが結局思いつかず○ースにしてしまいました。
ところで四月一日から初出社なんですがなんだかもう五月病です。
まだ三月のうえ初出社もまだなのに五月病……出社したらどうなってしまうのだろう……
それでは今回はこの辺で、また次の話しでお会いしましょう。
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オリキャラを主人公にした恋姫作品です。
ヒロインは劉弁と劉協の二人になると思います。思います?
おもしろいと思ったら見てください。
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