ここはとってもあったかい。
ねねがいる。
「恋殿ぉぉ!ばかちんこのやつめがようやくねね達の働きを労おうとするみたいですぞぉ!」
愛紗が、鈴々が、星がいる。
「れぇぇぇん!早く来い。おいしい饅頭がたくさんあるぞぉ」
「んぐ……もぐ……早く来ないとぜぇんぶ鈴々が食べちゃうのだ!」
「ふむ、主よ。なぜメンマが私の前に“だけ”山盛りであとのところにはまったく見えないのだ?」
朱里が、雛里が、璃々がいる。
「雛里ちゃん、雛里ちゃん。このお料理ってもしかしたら……」
「うんうん、朱里ちゃん。もしかしなくても……」
「ごしゅじんさまぁ、“はんばあぐ”っておいしいね!」
翠が、蒲公英が、焔耶がいる。
「おい蒲公英!あたしの肉返せぇぇぇ!」
「お姉様、こういうことは早い者勝ちだよ。あ、これもおいしそぉぉ!」
「あ、こんの小悪魔娘!ワタシの“なまはるまき”を返せぇぇぇぇ!」
紫苑が、桔梗が、桃香がいる。
「あぁ璃々、口の周りにいっぱい“そおす?”つけて……」
「お館様よ、この“もろきゅう”というのは酒のつまみに調度良いですな」
「ご主人様、ご主人様。これって天の国の料理なんだよね?すっごくおいしぃ!」
食べ物も家族の皆がちゃんと食べられるほどいっぱいある。もちろん恋がお腹いっぱい食べても大丈夫。
でもここがあったかい理由はそれだけじゃない……。
「ん?恋どうしたの?おいしくなかったかな?」
ジッとご主人様を見ていたらちょっとご主人様の顔色が曇った。とたんにあったかかったこの場所が寒くなる。
だから恋はフルフルフルと首を振ってご主人様に恋の気持ちを伝える。
「なら良かった。たくさん用意したからいっぱい食べてくれよな、恋」
笑顔に戻ったご主人様。お日様みたいにあったかい。
恋の胸の奥がホワっとなってとてもあったかくなる。
ご主人様がいるからここはとってもあったかい。
「ばぁかぁちぃんこぉぉぉぉぉぉおおおお!ぬぁぁんでボクだけ呼ばないのよ!」
「詠ちゃん、だめだよぉ。ご主人様だって悪気があったわけじゃないと思うし」
「詠は俺が誘ったって来ないだろ?だけど月を誘えばもれなく詠も付いてくる」
「うっ……で、でもい、一応は誘いをいれるのが礼儀じゃない!」
「詠は相変わらずツン子だなぁ。それに引き換え月は良い子だよなぁ」
「へぅ……」
ご主人様と今来た月と詠が楽しそうにしゃべってる。
胸の奥がホワッとなるのが小さくなるけど、やっぱりここはとてもあったかい。
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短くてすみません。見習い突破を目指してやっつk(マテ
蜀の穏やかで賑やかな日常風景と恋の素直な気持ちが表現できればとおもって書いたものです。今はこれが精一杯……。
精進せねばorz