No.132157

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん その6

汜水関ですね。

駄文ですがよろしゅう( ゚∀゚)o彡°

2010-03-24 23:06:57 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:22863   閲覧ユーザー数:15991

劉備軍と同盟を組むことができた雪蓮たちは、汜水関攻めの軍議を開くために劉備軍の天幕にお邪魔していた。そこに思春と明命を呼び出し他の軍の間諜、特に袁術軍の間諜が入りこまれないように天幕周りの警備を命じた。

 

 

そして一刀は劉備軍の将たちに奇異の目を向けられていた。

 

 

「ほう、このような可愛らしい少年が天の御遣いとは」

 

「鈴々より小さいのだ」

 

「はわわ。か、可愛いでしゅ」

 

「あわわ。し、失礼だよ朱里ちゃ~ん」

 

 

(趙雲に諸葛亮に鳳統までいるなんて俺の知っている歴史とだいぶ違ってるな。……まあ武将が女の子の時点でおかしいんだけどな)

 

 

一刀は改めて別世界に来たことを実感していた。

 

 

「それじゃあ、まず自己紹介しましょう。私は劉備、字は玄徳です」

 

「我が名は関羽、字は雲長。……先程は申し訳なかった」

 

「鈴々は張飛なのだ」

 

「趙雲、字は子龍と申す」

 

「わ、私はしょ、諸葛孔明れしゅ!」

 

「私はあの、その、えと、んと、ほ、ほーとうでしゅ!」

 

劉備軍が自己紹介を終えたが、カミカミな二人に思わず苦笑いする雪蓮たちだった。

 

 

「それじゃあ次は私たちね。私は孫策、字は伯符よ。この度の同盟、呉の王として感謝する」

 

「私は周瑜、字は公瑾だ。軍師をしている。よろしく頼む。先程の二人は甘寧と周泰だ」

 

「俺は北郷 一刀だ。字も真名もないから好きに呼んでくれ。一応天の御遣いってことになっている。よろしくお願いします」

 

見た目と反して堂々としている一刀に驚きを隠せない劉備軍だった。

 

 

 

「えーと、じゃあ一刀くんでいいかな?」

 

「それでいいよ劉備さん」

 

 

もはや子供扱いに何の抵抗もなくなってきている一刀だった。

 

 

「じゃあ、私の事は桃香お姉ちゃんって呼んでね!」

 

 

そこで何人かが噴き出した。あっさりと真名を許したと言うこともあるがお姉ちゃんと言うところで特に雪蓮と趙雲、真名は星が笑っていた。

 

 

「でもそれ真名だよね?」

 

「うん。でもいいの。せっかくこうして同盟を組んだのだからお互い歩み寄らないといけないと思うの。だから孫策さんも周瑜も私の事は桃香って呼んでください」

 

 

その言葉に雪蓮たちは驚嘆した。

 

 

本来真名は簡単に他人に許すものではない。それをあっさりと許した桃香の器の大きさを改めて実感したのである。それと同時に、この同盟はきっと良い物になるだろうということも感じていた。

 

 

「ならば私の事は雪蓮と呼んでいいわ。あと冥琳の事も真名で呼んでいいわよ♪」

 

 

冥琳の真名も勝手に許す雪蓮だが、冥琳も真名を預けるつもりだったのかやれやれとため息をついただけだった。

 

 

そして劉備軍の将たちも真名を預けるのだった。

 

 

「……でもお姉ちゃんは勘弁してほしいな」

 

「えー! だめかなー?」

 

 

すねるように訴える桃香に困る一刀。

 

 

「桃香様! 一刀くんが困っていますのであまりふざけないでください!」

 

 

ちゃっかり一刀くんと呼んでいる愛紗だった。

 

 

「でもでも、愛紗ちゃんもそう呼んでもらいたいよね?」

 

「うっ」

 

 

お前もか! っと叫びたいのを我慢して二人のやりとりを見守った。

 

 

そこで雪蓮は良いことを思いついた。

 

「一刀。この同盟は私たちが独立するために重要と言うことは解るわね?」

 

「あ、ああ」

 

「そしてさっき桃香が言ったようにお互い歩み寄らないといけないの」

 

真剣な話のようだがニヤニヤしている雪蓮を見るといやな予感がしてきた一刀。

 

「だからお姉ちゃんと呼んであげなさい」

 

「やっぱりかちくしょ~~~!!!」

 

予感が的中したのであった。

 

 

「……桃香お姉ちゃん」

 

「うんうん♪」

 

「……愛紗お姉ちゃん」

 

「はぁぁぁぁぁぁん」

 

「……鈴々お姉ちゃん」

 

「鈴々もお姉ちゃんになったのだ!」

 

「……星お姉ちゃん」

 

「ほう。これはなかなか良いものですなぁ」

 

「……朱里お姉ちゃん」

 

「はわー! わ、私もれしゅか!?」

 

「……雛里お姉ちゃん」

 

「あぅ。なんだかくすぐったいね朱里ちゃん」

 

 

(俺は何度羞恥プレイに曝されるんだ!)

 

 

「……冥琳お姉ちゃん」

 

「な、なぜ私もなんだ?」

 

「いや、なんとなく」

 

悪い気はしないなと思う冥琳。

 

そして雪蓮は次は自分の番だと目を輝かせていた。

 

 

「……雪蓮、軍議を進めよう」

 

「な、なんで私だけ呼び捨てなのよ!」

 

「仕返しだ」

 

「なんでよ~~~~~~!!」

 

 

思わず叫ぶ雪蓮を無視して軍議を進めるのであった。

 

 

 

「へえ、その華雄っていう将軍が鍵となるわけか」

 

「そうです。華雄さんは猪武者と聞くので挑発したり罵声を浴びせたりするとおそらく出てくると思います」

 

 

軍師たちを中心に軍議は進められ、大体の方針が決まっていた。

 

 

「まず愛紗さんと鈴々ちゃんが前に出て華雄さんに罵声を浴びせてもらいます。自分の武にとても誇りを持っていると聞くのでそのあたりを絡めて挑発すると効果的だと思います」

 

「なるほど……。確かに己が武を侮辱されると武人としては黙っておれぬな」

 

 

星の言うことに武官たちは一斉に頷いた。それほどこの時代の人たちは自分たちの武に誇りを持っているのだ。

 

 

「しかし朱里よ、もしそれで出てこなかった場合はどうするのだ?」

 

「……残念ですが、今のところそれ以外策がありません」

 

 

劉備軍は兵の数が連合軍の中で最も少ない。雪蓮の軍を含めても汜水関を攻めるには到底足りない。しかも雪蓮たちは袁術の目があるのでおおっぴらに行動はできない。

 

 

「大丈夫よ。華雄は必ず出てくるわ」

 

 

華雄は昔、雪蓮の母、孫堅に敗北した過去がある。そのことを掘り起こせば必ず出てくると言うのだ。

 

 

「それに秘密兵器もあるしね♪」

 

 

基本方針が完全に決定し、雪蓮たちは陣に戻った。

 

 

残された劉備軍は残念そうにしていた。

 

 

 

「はぁ~い桃香。なかなか手こずっているみたいね」

 

「あ、一刀くん! ……と雪蓮さん!」

 

 

連合軍の先頭に陣を展開している劉備軍の下に雪蓮と一刀がやってきた。言うまでもなく一刀は抱っこされている。

 

 

「なによー! 私がついでみたいじゃない」

 

「ご、ごめんなさい雪蓮さん……」

 

 

ぶーぶーと文句をたれる雪蓮。が、それもすぐ真面目な表情に戻る。

 

 

「っで、どうなの?」

 

「……敵さんが思ったより冷静みたいです。このままじゃ不味いかもしれませんね……」

 

 

劉備軍の先頭では、愛紗と鈴々が華雄を挑発している。何度か出てきそうな気配もあったが、同じく汜水関を守護する張遼に止められていたのだ。

 

 

「なら予定通り私が華雄の挑発を受け持つわ。袁術の許可はさっきとってきたから大丈夫よ。桃香は釣り上げた魚の調理をお願い」

 

「分かりました。頑張ってくださいね」

 

「ありがと。……じゃあ行ってくるわ」

 

 

そう言って雪蓮は劉備軍の先頭に向かった。

 

 

「……あれ? 雪蓮さん、一刀くんも連れてっちゃった?」

 

 

桃香の呟きは誰の耳に入ることもなく消えていった。

 

 

 

 

 

 

「汜水関守将・華雄に告げる! 我が母、孫堅に破られた貴様が、再び我らの前に立ちはだかってくれるとは有り難し! その頸をもらうに――」

 

 

連合軍の先頭に立ち、勇ましく言葉を発していく雪蓮。それだけならば良いのだが、一刀を抱っこしながら挑発するその姿はシュール過ぎる。自分の目を疑う兵士すらいた。

 

 

味方の兵士ですらこのような状態なのだから、敵軍が目の前の光景に唖然としているのは想像するに容易い。事実、しばらく敵は目の前の光景を理解できずにいた。しかし冷静に考えると、敵を目の前にして子連れで出てくるなどとは明らかに舐められているということに気付いた。なおも続けられる言葉に怒りがこみ上げてくる敵兵士。それは将も例外ではなかった。

 

 

「い……言わせておけばぁ……! しかも子連れとはどこまで馬鹿にする気だぁ孫策!」

 

怒りに震える華雄を全力で張遼が止める。

 

「待て待て待て待て! 落ち着け! 落ち着かんとアカンて! あんな見え透いた手に乗ってどうすんねんな!」

 

「我が誇りが傷つけられているのだ! 例え何らかの策があったとて、罠など食い破って見せる! だから止めるな張遼!」

 

華雄は暴れるが張遼が必死になって説得する。

 

「うぅ……あぁぁぁぁ!」

 

 

張遼の必死の説得によりなんとか踏みとどまった華雄。

 

 

 

「むー。なかなか出てこないわねぇ。……しかたないわ。秘密兵器を投入するしかないわね」

 

 

一旦下がった雪蓮だが、なかなか出てこない敵を見て、秘密兵器投入のため再び前に出た。そこで一刀を降ろして、雪蓮は一歩後ろに下がった。

 

 

「さあ一刀! あなたの出番よ!」

 

「くそぉぉぉ! やっぱり秘密兵器は俺の事かぁぁぁぁぁ!」

 

秘密兵器もとい一刀は雪蓮を睨みつけるがニコニコする雪蓮の顔を見て無駄と悟った。そして汜水関を見上げて覚悟を決めた。

 

 

 

 

「華雄将軍! 孫策と子供が再び出て参りました!」

 

「なにぃ! また来たのか!」

 

「はい! しかし今度は孫策は後ろに下がり、子供一人のようです!」

 

 

その報告を聞いた華雄は落ち着きかけた怒りが舞い戻り、城壁から一刀を見下ろした。

 

 

 

 

(逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ!)

 

 

この場から全力で逃げ出したい一刀だが、責任感の強い一刀にそんなことが出来るわけがなかった。

 

そして汜水関に届くように思いっきり腹から声を出した。

 

 

「こらー! 弱虫華雄! 出てこーい!!!」

 

 

 

 

プチん

 

 

 

何か嫌な音を聞いた張遼は恐る恐る隣にいる華雄を見た。すると華雄は俯いてプルプルと小刻みに震えていた。

 

 

「あー、なんや華雄? 寒いんか?」

 

自分でも何を聞いているのか分からなくなってきた張遼。

 

「………………出る」

 

「へっ?」

 

そして顔をあげて叫んだ。

 

 

「全軍出撃の準備をしろ! 口先だけの敵なんぞ、鎧袖一触で吹き飛ばすぞ! 孫策とあの生意気に子供に我らが弱虫ではないと見せつけてやるぞ!」

 

 

うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!!!

 

 

兵たちも我慢の限界に来ていたのかすっかり出撃態勢に入っていた。

 

 

「くっ、アカン、これはもう止められん……! 誰かおるか!」

 

「はっ!」

 

張遼は止められないと判断するやいなや、虎牢関にいる董卓軍の筆頭軍師賈駆に向け伝令を放った。

 

 

「華雄を見捨てられん……! 張遼隊! ウチらも出んぞ!」

 

「応っ!」

 

 

汜水関はすでに落ちたも同然だった。

 

 

 

 

「孫策様! 城門が開きました! 漆黒の華一文字、華雄です!」

 

「ようやく釣れたか……。明命、一刀を連れて後ろに下がっていなさい!」

 

「了解です!」

 

明命は一刀を抱え素早く後曲の部隊に向かって走り出した。

 

 

雪蓮は桃香と袁術に使者を出した。

 

 

そして張遼を劉備軍に任せ、自らは華雄を迎え撃つ準備をした。

 

 

雪蓮の号令によって士気を上げた孫呉の兵士たちはまず突っ込んでくる華雄隊に向かって大量の矢を放った。矢によって華雄隊の陣形が崩れるがお構いなしで突っ込んでくる。矢を二度、三度と放ち距離が近くなったところで弓隊が下がる。そこからは剣と剣とのぶつかり合いとなる。しかしここでも練度で勝る孫呉の兵によって華雄隊の前線は完全に崩壊した。

 

 

「ここは一旦、兵を退くのが上策かと!」

 

「こんな……こんな結果、誰が認めるか! 華雄隊は集合しろ! 再度突撃を仕掛ける!」

 

 

すっかり屈辱と怒りで冷静さを失っている華雄は、兵の言うことに聞く耳を持たないが、そこに張遼が駆け付けて諌めた。

 

 

「……分かった。下がる。……虎牢関で再戦し、次こそ孫家の血を大地にまき散らしてやる……!」

 

 

最初は話を聞かなかった華雄だが、張遼と兵たちの必死の説得により虎牢関に退くことに決めた。

 

 

 

こうして汜水関の戦いは連合軍側の勝利で終わった。

 

 

 

 

<おまけ>

 

後曲に下がる一刀と明命。

 

 

「…………(ぷるぷる)」

 

「…………」

 

「…………(ぷるぷる)」

 

「……どうしたの明命?」

 

「はぅわ! か、か、一刀様!」

 

「ど、どうしたんだいきなり!?」

 

「……もうダメみたいです」

 

「ダメって何が?」

 

「…………ここなら安全ですね(ボソッ)」

 

「なんか言った?」

 

「失礼します!」

 

「へっ? ってうおおぉぉぉ!?」

 

「はわ~。もふもふです~」

 

「み、みんめ~い!」

 

「もふもふです~」

 

「みんめーい!」

 

「お猫様は喋りません!」

 

ビシッ!

 

「うっ……(ガクッ)」

 

「もふもふです~」

 

 

 

完。

 

 

こんな感じ?笑


 
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