はじめに
この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫無双もどきな話です
原作重視、歴史改変反対の方
ご注意下さい
「もう…戦は避けられないのでしょうか?」
「此処まで来ちゃうと…ね、各諸侯に袁紹の檄文が廻ってしまっているわ、自分達が覇権の足掛りには…私達は好い餌だわ」
「御身に降り掛かる火の粉…我が誇りに掛けて必ずや振り払って見せましょう」
「そうはいうても数がちゃうで?…こればっかりは埋めようがない」
「………」
「…~殿」
「私達は事を急ぎすぎたのでしょうか?」
「「「「「………」」」」」
「もう…戦は避けられないのでしょうか?」
「「「「「………」」」」」
「なら…戦いましょう」
「「「「「…!?」」」」」
「私達が今日までしてきた事が…今日此処に居ることが…間違いではなかったことを証明するために」
「「「「「………」」」」」
「今日まで私達を信じてくれた人たちの為に…皆さんの力を今一度貸して頂けますか?」
「「「「「はっ!」」」」」
汜水関-
虎牢関と共に洛陽に続く道の防衛の要所であり、地形を巧みに建てられたその関は難攻不落として名高い
そんな関の上空を流れる雲を陣営から離れ一人、比呂はぼんやりと眺めていた
「姫が総大将の任に就くことになりました」
いつの間に来たのか、後ろから掛けられる声にゆっくりと振り向く
「まあ、大方予想通りでしたけどね」
「…そうか」
抑揚のない返事に悠はやれやれと肩を竦ませながら歩いてくる
「…何を考えていたのです?」
隣まで来て止まった悠は比呂が見上げていた雲に顔を向ける
「洛陽にいる…知り合いのことだ」
比呂もまた雲を見上げて答える
「おや?洛陽に知り合いが?」
「先の…黄巾の戦中に知り合った」
「…そうでしたか」
この雲が流れる先には彼女達がいる
先の討伐戦で絶対絶命の中、部下を置いて逃げまいと恐怖に震えながら宣言した彼女達が
自分は
彼女達を討てるのだろうか
「この戦に反対ですか?」
悠は比呂の心の内を読みに出た
「此処まできては…な、だが避けられたのではないかとも思う」
黄巾の乱が終結して半年が過ぎた頃
頻繁に袁紹の元へ来客が来ていた
その殆どは元高官、朝廷に仕えていた者達であった
寡の者達は口々に、洛陽で董卓が暴政を働いていると告げて廻った
何進の命で洛陽に駐留することになった董卓だったが、洛陽に辿り着いた頃には既に何進は十常侍に亡き者にされており、その混乱の中で劉協を保護、帝位についた劉協によって太師の任に命ぜられその権力を振り回し、圧政、暴虐を繰り返したという
「もちろんそんな話は間者の報告にはありませんでした」
悠の天幕の中で茶を淹れながら状況を確認する二人
「洛陽復興のために…先ずは邪魔者の排除に取り掛かったのでしょう」
悠から茶を受け取りながら
「自身の…否、おそらくは彼女お抱えの軍師が動いたのだろう…彼女の身の安全の確保を第一にと」
比呂の言葉に悠も頷き
「董卓の後ろ盾であったはずの何進殿が亡くなった以上、そうせざるを得なかったのでしょう」
「そして次に腐敗した官職の撤収、金儲けしか頭にない富豪共を洛陽から追い出し、街の回復に努めた」
洛陽の腐敗振りを自身の目で見てきた悠と、近に彼女達と面識がある比呂には、朝廷で何が起こっていたのかは想像に難くない
「…だが」
「事を性急に進め過ぎましたね、罷免した者達の動きを…洛陽の外まで追えなかった」
「ああ」
反発する者を斬り捨て、追い出したところまでは良かったが包囲網は着々と出来上っていた
「幼き帝は董卓によって捕われている…戦の大義名分は帝に忠誠を誓う諸侯にあります」
「表向きは…な」
手の中の湯呑の淵をなぞる比呂
彼女達が哀れでならない
「既に各諸侯に洛陽を追い出された者達からの話が広まってしまっていた以上、おそらく姫でなくとも誰かが立ち上がったでしょうね」
「…解っている」
湯呑の茶を飲み干して比呂
やりきれんな
だが
「我が主が動いた以上『董卓』の首は獲る」
立ち上がり悠の天幕を後にする
空を見上げれば一筋の雲
風に吹かれて流れていく
今この目に写る雲も彼女の元へ流れているのだろうか
彼女の最後に会ったときの
儚げな笑顔が浮かぶ
引き返せないのであれば…せめて
この手で…か?
あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございます
ねこじゃらしです
というわけで董卓の乱編の導入部です。
昔のえらい人が言ってました
-悲しいけど…戦争なのよね、コレ-
じゃ…そういうことで
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第17話です
黄巾が終わったとくれば次は…