No.131299

真・恋姫†無双 〜白馬将軍 龐徳伝〜 プロローグ 4話

フィオロさん

白馬将軍龐徳伝の4話目です。
何と言うか・・・
まあ、作者はキングダムの愛読者です(しつこい)。

2010-03-21 01:57:07 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2900   閲覧ユーザー数:2461

 

 

 

匈奴単于、呼厨泉は必死に檄を飛ばし、恐慌状態に陥った自軍を立て直そうと務めたが、「恐怖が伝染した味方は敵に勝る」と言う言葉がある様に、混乱が混乱を呼び、恐慌が恐慌を呼び込む悪循環は、最早止める事は不可能であった。

 

そんな最中に後方から、匈奴軍相手にも威名を誇る錦馬超率いる5万の騎馬兵が突撃して来て、馬超程では無いが、優れた武威を誇る馬岱の騎馬兵が馬超の突撃を後方から援護しつつ掃討して行く。

 

逃げ道は後方しか無い。しかし後方はこれで完全に塞がれた。

 

即ち、逃げ道は最早無し。そう思った呼厨泉の視界に、涼州軍本陣を守っていた拒馬槍が撤去されているのが見えた。

 

呼厨泉からすれば、まさに千載一遇の脱出口が現れたのである。其処に連れて行けるだけの兵100でもあれば、なんとか逃げ延びられる。

 

そう考え、馬を走らせた呼厨泉の眼に移った光景は、絶望であった。

 

 

 

その旗は「龐」。

 

その軍兵の衣類と外套の装い。

 

その統率された騎馬軍。

 

その先頭を行く、白馬に跨がり、右手に握る細工が施された片刃の薙刀、せり出した肩当て、額に輝く宝石があしらわれた額宛。

 

 

 

匈奴が「怪鳥」と呼び、恐れる男。龐徳がついに、軍の先頭に立って突撃して来たのである。

 

 

 

 

 

 

その宝刀は大薙刀。柄が長く、刃も厚みがあり、非常に重い武器である。

 

しかし、龐徳が振るった宝刀は、その重量に似合わぬ音を生み出した。

 

ヒュオン! と言う音がやむと、匈奴兵の首が5つ。宙に舞った。その匈奴兵は、自分達が斬られた事さえ理解出来なかったのだろう。首が胴体から離れながらも、わずかに瞬きしていた。

 

続けざまに龐徳が愛馬「白影(はくえい)」を走らせながら、宝刀が煌めく度に、匈奴兵の命がいくつも狩り取られて行く。

 

そして、総大将の武の猛威に、さらに続く騎馬兵達が吶喊しながら槍で突き、剣で斬り、矢を放つ。

 

総大将に続く兵達の猛威は、凄まじいものであった。個人個人は訓練されており、確かに個の武は決して侮れない兵士達である。

 

それで居てなお、総大将龐徳に続く兵士達の猛威は、まるで龐徳が5万人も居るかのごとく、次から次へと匈奴兵を薙ぎ倒して行く。

 

混乱状態で組織立った抵抗は出来ず、バラバラで個の武を発揮するしか無い状況になってしまった匈奴軍にはなおさら、此の凄まじい突撃に抵抗する事は出来なかった。

 

その光景を例えるならば、象が蟻を踏み潰す、と言う表現が過剰に聞こえぬ程であった。

 

龐徳軍の行く所、常に匈奴軍の屍が増え、僅かに残った残兵も続いて歩兵達に掃討され、最早本陣前には生き残った匈奴兵の姿が全く見当たらない。

 

 

 

 

 

 

呼厨泉に取って、まさに悪夢であった。

 

そして、気付いた時にはもう遅過ぎた。

 

迫り来るその男から逃げる術は無く、一命を賭けて剣を構える。

 

龐徳は宝刀を掲げた。振り下ろして来る。

 

その予測は当たり、剣を掲げてその一撃に耐え・・・られなかった。

 

龐徳の振り下ろしの一撃は、呼厨泉の剣ごと、呼厨泉を真っ二つに斬り下ろしたのである。

 

呼厨泉が討ち取られ、恐慌状態はさらに酷くなり、中には呆然として命を奪う刃が接近しても何も行動出来ぬものが現れる始末。逃げ惑う匈奴兵達も次から次へと討たれた。

 

 

 

会敵した朝から、決着した時は未だに空が紅く染まらぬ頃であった。

 

その戦場は、戦場と呼べぬ程、凄惨かつ一方的なものであった。

 

転がる屍はほぼ全てが匈奴兵のもの。その数は、大まかではあるが、30万以上であった。

 

涼州軍の死者は2万に届かず、負傷者を含めても10万に届かない。

 

最早明確にするまでもなく、涼州軍の大勝利である。

 

その戦場に谺するは、涼州軍の勝鬨の声。

 

この前代未聞の大勝利は、草原の地の覇権争いに大きな影響を与え、騎馬民族はこれ以降しばらく歴史の舞台から姿を消したのである。

 

 

 

 

 

 

戦争が終われば後始末である。戦後処理は為政者にとっても非常に負担がかかる。

 

何しろ、戦争で疲弊した者達を労り、命を落とした者達を慰め、その家族を守るための手続き。

 

だが、これらを怠れば民の不満が為政者に向く事は火を見るより明らかである。華々しい戦争が大勝利に終わったからと入っても、それで全てが上手く行く訳では無い。

 

そもそも、此の戦で得たものは大きいと言えば大きいが、だからと言ってすぐそれが豊かさに直結する訳ではないのだ。

 

得たものは、「安心」。匈奴軍を壊滅させた事で、涼州が匈奴によって侵される可能性は完全に無くなった。

 

実際、此の前代未聞の大戦果に沸き立つのは民である。民は挙って酒樽を開け、戦場で戦死した馬の肉が並べられている。此の涼州の地ではお目にかかれない様な海の珍味までもが解放され、勝利を祝って飲み、喰い、歌い、踊る。

 

 

 

 

 

 

城内でも報告の後、戦勝の宴が控えていた。

 

「・・・北の地に置いて我が軍は匈奴軍30万以上を討ち取り、勝利を得ました。

今後、羌族、氐族に匈奴の監視を担当して貰う事になり、北の地に置ける脅威は完全に消え去ったと結論づけました。

報告は以上です。」

 

 

 

 

 

 

「ふふ、ご苦労。実に見事な戦ぶりだったのだな。此の目で見れなかったのが非常に残念でならぬ。

 

病さえ無ければ私自らが率いたのだが。

いや、最早私の様な年寄りは戦場には要らぬか。」

 

「何言ってるんだよお袋、老け込むにはまだ早いって。」

 

年を取ったものだねぇ、そんなつぶやきも交えた馬騰を励まそうと、馬超は声をかけたのだが、その返答はにべもない。

 

「やれやれ、お前が言えた義理じゃあるまいに。鷹だから全面的に任せたが、お前だったらとても安心出来ん。今回の様な戦だったら、病床からでも指揮を取るだろうね。」

 

「んな! あ、私だって戦場で活躍したんだぞ!」

 

「でも鷹兄様みたいにあそこを戦場に選んで誘き寄せたり、防衛陣を作ったりして、なんて翠お姉様が考えつく訳無いし。」

 

「うっ。」

 

「そもそも猪突猛進な翠様は、根本的に総大将向きじゃないですからねぇ。林檎様(馬騰の真名)が出れないなら、鷹ちゃん居てこその翠様ですしぃ。」

 

「付け加えるなら個人の武でも部隊統率でも鷹の方が一枚上手だしな。」

 

「うう〜、昔はアタシの方が強かったのに〜。」

 

「え〜。話を元に戻してよろしいでしょうか?」

 

 

これじゃいつまで経っても進まないっての。

 

 

 

 

 

 

「これで匈奴の戦は決着。以後は戦後処理が中心になりますが。」

 

「ああ、面倒な事は私が引き受けるので、お前は明日から休むが良い。」

 

「いえ、後処理のメドが経つまでは私も働きます。」

 

「はは、まあ厄介な事は此の後考えるとするか。では諸君! 見事な戦果であった。ささやかではあるが、宴席を用意した。思う存分飲み食いしてくれ。乾杯!」

 

 

 

そして勝利を祝う宴席から、地獄絵図に変わるまで、そう時はかからなかった。

 

 

 

 

しばらくお待ちください・・・。

 

 

 

 

「やれやれ」

 

 

 

 

これで後片付けするの女中達だけではなく、俺もなんだよな・・・。

 

まあ、こうして皆と騒ぐのも実に楽しい事ではある。

 

けど・・・

 

 

 

 

 

 

はい、白馬将軍龐徳伝のプロローグの第4話です。

 

・・・キングダムファンの皆様、言いたい事は解ります。

 

ええ、そうですとも。良い年になって厨二ですよ。

 

あのお方を模倣させていただきましたとも。

 

でもそれの何が悪い!! おぷッ!!

 

 

 

 

さて、激しい戦争が終わり、龐徳にとっても長年の決着が着いた訳ですが、そうなると龐徳を縛るものは無くなった事になります。

 

次回からは龐徳の生い立ちと、彼が今後何をするのかを書きたいと考えています。

 

それでは次のお話でお会いしましょう。此処まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

新しい職場の人が優しかった!!

 

 

 


 
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