No.131079

恋姫異聞録34 武王編-絆-

絶影さん

武王編-絆-

武王編が当初の目的より長くなってしまっています
語りは今回で終わり、次回はようやく武王編終わり?

2010-03-20 00:48:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:21421   閲覧ユーザー数:15777

「あの時の言葉を取り消せるなら、今からでも取り消したい」

 

「惇ちゃん・・・」

 

「醜い私の心から出た言葉、今でも後悔をしている」

 

「惇ちゃんは昭のこと・・・」

 

「ああ、愛しているよ」

 

そういった春蘭の顔はとても美しく、輝くような笑顔だった

 

「あの時、昭はとても急いでいたようだ・・・・・・」

 

私のところに秋蘭との子供のことを報告しようと屋敷を走り回っていたらしい

私はそんなこととは知らず、相変わらず昭を避けようと逃げ回っていた

 

いくら探しても見つからない、それでも私を探すことを諦めず走り回り

とうとう逃げ場所が無くなって、昭の部屋に隠れているところを見つかってしまった

 

今思えばきっと本当は昭は私が逃げ回っているのが解っていたんだと思う

それでも昭は息を切らせながらここにいたのかといった風に話しかけてきてくれた

 

「探したよ、春蘭」

 

「あ・・・ぅ・・・ど、どうした?」

 

「ああ、聞いてくれ俺に子が出来た。秋蘭との子だ」

 

「・・・・・・え!!」

 

私はその言葉で頭が真っ白になった、何を言っているんだ昭は?

そんな冗談は聞きたくない、この間のことでか?!そんな、たった一度閨を共にしただけで!!

 

「それで、春蘭に、俺は春蘭に一番に秋蘭とのことを認めてもらいたいと・・・」

 

「駄目だっ!」

 

「・・・・・・」

 

「駄目だ!駄目だっ!」

 

「春蘭・・・」

 

認める?何をだ?秋蘭と昭が一緒になることか?それとも子を持つことか?

なぜ、なぜ・・・・・・私が認めなければならないのだっ!

 

私の心を何かどろどろとしたどす黒いもので一杯になる。湧き上がる感情に吐き気がしてくる

これは・・・嫉妬か?私が?こんな醜い、気持ちの悪いっ!

 

だがそんな私の気持ちをよそに口は勝手に動き出す、最低な、昭を困らせる言葉を吐こうと

 

「私はっ・・・秋蘭と一緒になるのは、私より強い男でなければ絶対に認めないっ!」

 

「・・・」

 

「私よりっ!私より強い男でなければ妹をやるわけにはいかんっ!」

 

最低だ・・・・・・昭は弱い、誰よりも弱い、武の才能も無く力も弱い、どれだけ剣を武術を鍛えようとも

私に勝つことが出来ないとわかっているのに、それなのに私は・・・・・・

 

「解った」

 

「・・・えっ!?」

 

「解ったよ春蘭、ただ半年待ってくれ。子が生まれるまでに俺は強くなる」

 

「昭・・・」

 

私は耳を疑った、今なんと言った?強くなるといったのか?僅か半年で?

絶対に無理だ!でも、でもあの眼は、昭のあの眼は昔から良く見ていた強い意志を秘めた眼

私の大好きな・・・嫌だ、嫌だ嫌だ!そんな眼をしないでくれっ!そんな眼で見られたら私は・・・

 

「ふ・・・ふんっ!出来るものかっ!良いだろう半年待ってやる。ただし私を超えることが出来ねば

子は私と秋蘭で育てるっ!お前が秋蘭と一緒になる事は認めないっ!」

 

また私の口から嫌な言葉が勝手に出てしまう、それなのに、それなのに昭は嫌な顔一つせず

優しく笑うと私に力強く頷いた

 

「約束するよ、必ず強くなる」

 

そう言って昭は部屋を後にした、残された私は己の醜い心と罪悪感で一杯になっていた

今すぐこの場から消えてなくなりたい、この胸の中に渦巻くものを胸から切り落としてしまいたい

私はその場にうずくまって頭を抱えて泣いていた、静かに、静かに、この世界から消えてなくなってしまいたい

そう思いながら

 

「ただいま・・・」

 

「昭、随分遅かったが姉者はに会えたか?何といっていた?」

 

「会えたよ、ただ一緒になるのはもう少し先じゃないと駄目だって」

 

「どういうことだ?」

 

「今は旗揚げで忙しいだろう?だからそれが落ち着いてからって事だろう」

 

「・・・・・・嘘だろう、お前は顔に出る。もしや姉者は昭に」

 

「嘘じゃないよ、もう少し落ち着いてから・・・」

 

「お前は妻に嘘をつくのか?子にお前の父は嘘吐きだといわせるのか?」

 

「・・・ゴメン、春蘭に勝たなければ認めてくれないと・・・待てっ」

 

「はなせっ!昭が姉者に勝てるわけ無いだろうっ!姉者は何を言い出すのだっ!」

 

「頼む、待ってくれ俺は必ず強くなる。約束する、俺は子に、妻に嘘をつかない」

 

「・・・昭・・・・・・馬鹿者・・・う、ううぅ・・・・・・すまない、姉者が・・・」

 

「泣かないでくれ、春蘭は俺を困らせる為に言ったんじゃないさ」

 

あの後、昭は秋蘭との話しでも私を決して攻める事は無かったそうだ、秋蘭もきっと私の心うすうす感じていた

私の行動や言葉もある程度予測できてしまったのだろう、姉妹だから余計にだ

 

次の日、私は会議を欠席したかったがそういうわけにもいかず相変わらず心がもやもやとして

吐き気が襲ってきたが、何とかそれを押し止め会議へと参加した。会議が終了後その場には華琳さまと

秋蘭、昭、そして私が残り秋蘭から重要な話があると切り出された

 

私にはもう話してあったことだが、もう一度その言葉を昭の口から聞くのかと思ったら、またどす黒いものが

私の心を覆ってしまう、秋蘭と昭は華琳さまの前に跪き、頭を深々と下げると話し始めた

 

「華琳さま、報告があります」

 

「何かしら?つまらないことではないでしょうね」

 

「私どもの間に子が出来ました」

 

「・・・・・・え?」

 

秋蘭の口から子が出来た、その言葉で華琳さまは動きが止まり、手に持っていた茶器を落とし

顔が青ざめていった、そして肩を震えさせ手で口元を押さえると混乱?されていたようだった

 

「私は昭と一緒になり子を育てようと考えております」

 

「どうかお許しを」

 

「・・・・・・~~~~~~!!!!」

 

私のときと同じだ、きっと華琳さまは私よりも、もっともっと恐ろしいことを、言ってはいけないことを

下手をすれば二人の命は・・・

 

 

そう思ったとき昭はゆっくりと立ち上がり華琳さまからかばうように秋蘭の前に立つと凄まじい気迫を放った

その眼は凄まじい意志と覚悟を持って、華琳さまの覇気に一切怯む事無く、まるで私達を守ってきた

曹騰さまそっくりな護る者の気迫、私達には決して出すことの出来ない厚い壁のようなもの

そんなものを向けられ曹騰さまと昭の姿が被って見えてしまったのだろう、華琳さまは

 

「くっ!・・・・・・勝手にしなさいっ!」

 

そう言って下がってしまわれた、私もなぜかその場にいるのがいたたまれなくなって

外に出ようとしたとき

 

「春蘭、待っていてくれ必ず強くなる」

 

と昭に言われた。その後ろで秋蘭は悲しそうな瞳を私に向けて、私は何度も秋蘭に心の中で

謝った、ごめんなさい、ごめんなさい秋蘭っ!私があんなことを言ったばかりにっ!

取り消したいっ!あの言葉を、今からでも遅くない、振り向いて昭にっ

 

「面白いっ!私は手加減など一切しないっ!」

 

私の口から出たのはそんな言葉、本当に最低だ・・・・・・

振り向きざまに下がったはずの華琳さまが遠くに立っており眼が合った、なんとなく私と同じような悲しい眼だと思った

 

次の日から昭は毎日の勤めを終わらせるとまずは自分の持てるものを確認していたらしい、自分にあるもの

交渉術などで手に入れた眼と皆から認められている舞、それをうまく使おうと考えたようだ

 

期間は子が生まれるまでの半年、一日も無駄には出来ないと考え元々武術の才能など無かった昭は

眼と舞を組み合わせて戦うことを考えた、それが剣舞で行う舞の極み

 

そこから私の攻撃に見立てて秋蘭の兵にあらゆる角度から攻撃を同時にさせた、三人から六人を一気に相手にする毎日

毎日ボロボロになりながら舞を模索する、時には肩を脱臼し満足に腕を振れずとも口で剣を持ち戦い続けた

 

「もうよせっ!死んでしまうっ!」

 

「はぁっ、はぁっ、大丈夫だ、まだいける」

 

「馬鹿を言うなっ!腕も身体も見てみろっ!血だらけではないかっ!」

 

「まだ動く」

 

「もうよいっ!私が姉者に言って」

 

「秋蘭、いいんだ俺を・・・俺を信じろ」

 

「・・・馬鹿者」

 

昭はボロボロの身体を立ち上がらせ、何度も何度も剣を使い模索した

時には脚で蹴り飛ばし、時には剣を指の股に挟み、何度も何度も自分だけの舞を、自分だけの戦い方を見つけ出す為に

 

そんな中、相手をする兵士達から不思議な噂が流れ出した。昭との手合わせを見ていると心が高揚すると

私はその噂と毎日ボロボロになりながら勤めをする姿にどうしても気になり、次第に昭が手合わせをする場所へと

赴くようになっていた

 

始めてそれを見た時は絶句した。その身を血で染めあげ、兵士達に打ちのめされ

地面に這い蹲り、それでも剣を掴み身体を無理やり起こして剣を振り続ける

 

震える足を剣の柄で叩き、無理やり押さえて泥だらけになりながら地面を転がり

気絶をしては兵士達に水をかけさせて起きる。それの繰り返し、そこから少しはなれたところでじっと

昭を見続ける秋蘭、眼を決してそらさず握る手は震えて、今すぐ止めたい!そんな気持ちを押さえていた

 

私はそんな秋蘭の姿を直視する事は出来なかった。痛々しい秋蘭の姿を罪の意識で見ることが出来なかったのだ

そんな中、私はもう一つの視線を見つけた、華琳さまだ。華琳さまもここに来て昭の姿を見続けていたようだ

昭がこんなことをしている理由もどうやら秋蘭から聞いたようだった、だが華琳さまは私を咎めることをしなかった

ただ、私と同じように遠くから見ているだけ、そんな毎日が過ぎて行った

 

手合わせをする毎日、すると次第に昭の舞は変わってきた。最初は一本だった剣が次第に二本、四本

七本、十本と増えていった。剣が増えると同時に相手をしている兵士が一人、また一人と打ち倒されていく

だがその代償に昭の腕は次第に浮かした剣に削り取られ、腕は血に染まり始める

 

「はぁっ、はぁっ、これならっ、これなら勝てるっ!」

 

「馬鹿を言うなっ!腕を削りながらなどっ!」

 

「この程度、大した事はない」

 

「駄目だっ!他の舞を考えるんだっ!」

 

「そんな時間は無い、もうすぐ生まれるんだ。名前も決めてある」

 

「昭・・・」

 

私はその日から昭を見ることをやめた、もうすぐ生まれてしまう、手合わせのとき私は手加減しないだろう

あの舞には決定的な欠点がある。浮いた武器を全て払い飛ばせば良いのだ・・・その後どうするのだ?

絶望を味あわせた後、また前のように笑い合えるのか?無理だ、私は全てを壊してどこに行こうというのだ?

 

そう思ったら自嘲し笑ってしまった。壊れる、きっと私も・・・・・・

 

それから更に日は経ち、ついに対峙する日が訪れた。

昭の手は包帯で厚く指先まで丁寧に巻かれ、腰には六本の剣を携え、地には大量の剣を刺して私の前に立つ

 

「春蘭、待たせたな」

 

「・・・やめておけ、お前では私には勝てない」

 

「そういうわけにはいかないさ」

 

「くっ・・・ならば手加減などせんぞっ!」

 

「私も見させてもらうわ」

 

「華琳さまっ!」

 

私と昭が対峙するのを何処かで聞いたのか、椅子に座っている秋蘭の横に立つとこちらにじっと静かに視線をむけた

この場には私達四人だけ、誰も入れない私達だけの戦いの場となった

 

私はこの瞬間も戦いたくない、今すぐ謝りたい、だが私の醜い心がそうさせてくれない、そんな葛藤で一杯だった

しかし無常にも戦いは始まってしまう

 

「行くぞっ!」

 

「来いっ!」

 

昭は脚で剣を掬い上げると私のほうへと飛ばしてくる、それを冷静に弾き落とし一気に距離を詰めてくる

昭に剣を合わせる、身体を捻り上段から来る剣を避けると脚を狙い剣を水平に薙いでくきた

それを弾くと昭は浮かせた剣を掴もうとするが私は浮いた剣を弾き飛ばす

 

ガキンッ!

 

「くそっ!」

 

剣を弾かれた昭はひたすら浮かせた剣を掴もうとするが私はそれを弾いていく、舞を舞わせることを

させない、それだけでこの舞は潰されてしまうのだ

しかし昭は剣を浮かせることをやめない、そして何とか掴むと攻撃に転じてくるが剣を叩き折り弾いてしまう

この時の舞はまだ未完成、舞の数も少なく組み合わせも多くあるわけではない、それどころか私に見られていたのだから

破られるのも当然だった

 

 

「諦めろっ!お前では勝てないっ!」

 

「諦めるわけには行かないよ」

 

「何故だっ!それほど子が欲しいなら別に秋蘭と一緒にならずとも子は昭が引き取る道もあるだろうっ!」

 

「駄目なんだよそれでは、確かに俺は繋がりを欲していたが」

 

「繋がりなら私達がいるではないかっ!私や華琳さま、秋蘭だって曹騰さまだって」

 

「ああ、俺もそれで良いと思っていた、いや今でもそう思っている。大事な繋がりだし家族だ」

 

「ならば何故っ!」

 

「秋蘭のおなかの子はきっと母は何処だと言うだろう、そのとき何と答えるのだ?」

 

「・・・」

 

「子は親を選べない、それが望む望まないにかかわらず。だが今から生まれてくる子には言ってあげたいじゃないか

君は望まれてこの世に生まれてきたんだよ、愛されて生まれてきたんだよと」

 

「昭」

 

「そのためなら俺はどれだけ傷つこうと構わない、両腕だってくれてやる、くれてやるんだっ!」

 

「馬鹿なっ!死ぬつもりか?!」

 

「死ぬわけにはいかない、生まれてくる子の為に必ず生き残り、俺は勝つ!」

 

そう言った昭の眼にはまた凄まじい意志がこもった、私は気圧されたが次の瞬間からだが自然と攻撃をしていた

 

「うおおおおおおおお!!!!!!」

 

昭は浮かせた剣を破壊されると破片を無理やり手で掴みこちらに投げ、更に破片で切りかかってきた

己の指が落ちるかもしれないというのに、そして私の剣を払う速度に追いついてきた、次第に眼が慣れてきたのだろう

 

ギンッ!ギギギンッ!!!

 

ついに剣と剣がぶつかり合う、昭は剣をその手に掴み私の剣を受け止めていた、だがこの舞は武器が無ければ

戦えない、私はとっさに後ろに引き地面に刺さる剣を破壊し始めた

 

そのとき昭は私に向かって走り、攻撃を避けながら私を木が背になるように追い詰めていった

 

「木に追い詰めたつもりかっ!だがここは剣が一本も無いぞっ!」

 

「ああ・・・無くていい、この手に二本あればいい」

 

そういうと昭の動きが止まり、歯を食いしばり身体を捻ると凄まじい気迫と共に轟音のような声を上げた

 

「ガア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!」

 

瞬間、昭の凄まじい剣撃に襲われた、まるで台風のようなとしか言いようの無い左右から途切れる事無く

繰り返される剣撃、あまりの速さに私の剣が左右に振られ、次第に動かなくなってしまう

そして昭の両腕からは血煙が上り霧のように目の前を覆った

 

ブチブチといやな音がする。私からではない昭の腕からだ,おそらく自分の振る剣に腕が追いついていないのだろう

剣を力の限り振り回し、無理やり軌道を変えて左右の振りに戻している

 

「や、やめろっ!」

 

私の頭にはもはや勝負がどうのといったことや秋蘭や子供のことなどどうでも良くなってしまっていた

ただ、目の前の昭の腕が嫌な音を立てて失われようとしていたそのことで頭が一杯になっていた

 

ガキィィィィィィン

 

次の瞬間私の剣は手から離れ、宙を舞って地に刺さっていた、昭は私が見ていない数日でこれを作り上げたのだ

目の前には剣を私の喉元で止め笑顔を見せる昭

 

「ヒュー・・・・・ヒュー・・・お・・・ヒュー・・・か、ち・・・ヒュー・・・・・・」

 

ドサッ

 

口から変な音を立てて息をする昭から辛うじて勝ちとの言葉が聞こえた瞬間、崩れ落ち地面に倒れてしまった

私はその光景で腰を地に付いてしまい、秋蘭は昭に駆け寄り涙を流しながら頭を抱え抱きしめていた

 

私もそれを見ながら負けた悔しさなど無く、ただ泣いていた声を上げて泣いていた

大好きな人を傷つけてしまった、それだけで頭がいっぱいになって後悔だけが残った

 

その後は華琳さまが医者を呼んでくれて、昭はすぐに治療されたがあと少し遅かったら両腕は

無かったらしい、筋肉が裂けて腱までも切れそうになっていたようだ

 

それから私と華琳さまは昭に付きっ切りで看病した、秋蘭はもう子供が生まれそうだったから

部屋でおとなしくさせていたがずっと昭の心配をしていた、きっともう秋蘭は昭のことを心から愛していたのだろう

 

昭の傷も落ち着き意識を取り戻したとき私は昭にお前の勝ちだと告げた

 

「そうしたら何と言ったと思う霞?」

 

「え?そ、それはやったーとか?」

 

「はっはっはっ!全然違う、昭はな・・・・・・」

 

真直ぐ私の眼を見ると手を握って頭を垂れて

 

「ありがとう、春蘭のお陰で子と妻を守る力を得ることが出来た」

 

そう言ったのだ、それは嘘でも嫌味でもなく本当にそう思っていると感じた

昭は私に感謝するだけで何も言わなかった、私は華琳さまが居るというのに泣き出し今までのことを全て

私の気持ちも全て吐き出していた、昭に抱きつき泣きながら、それをずっと何も言わず聞いていてくれた

私を抱きしめて、満足に動かない腕で頭を撫でて

 

「・・・・・・昭、あのっ」

 

後ろで聞いていた華琳さまも何か言葉を発しようとしたとき、昭は辛うじて動く人差し指と中指で優しく口を塞いでいた

そして首を横に振り何時もの笑顔を向けると私を胸に押し込んだ、きっと華琳さまは声を殺して泣いていたのかもしれない

昭は慧眼を持つ、全てを解っていたのかもしれない、私の心も華琳さまの心も、それなのに何も言わずただずっと

側にいてくれたのだ

 

その後、華琳さまは元の気高さを取り戻され、私も昔のように皆と笑えた、秋蘭は子を生みそれから程なくして

昭は秋蘭と結婚をし、我等の父と曹騰さまに報告して名を夏候昭に変えた、結婚の際に昭は自分の両腕は

私と秋蘭に捧げるといってくれた

 

「この腕は俺に生きる意味と力をくれた春蘭と秋蘭のものだ、今後いかなることがあろうともこの腕だけは

二人の下に帰ると約束する」

 

そう言って私達二人を抱きしめてくれた、これが両腕の話し、断ち切ることの出来ない四人の絆だ

 

「そのときから昭は私の最愛の弟になった、いや最愛の兄だな私のほうが心が幼い」

 

「惇ちゃん・・・ごめんこんな大事なこと聞いて」

 

「いいんだ、それから私は自分の未熟さを思い知って勉学に手を出し始めた。まだまだ解らんことばかりだが」

 

「そうだったんか、勉学を・・・・・・凄いなぁ」

 

「だから霞には悪いが関羽は私の獲物だ、私の大事なものを傷つけた。私の牙が必ず奴の喉を食いちぎる」

 

 

 

 

 

 

 

絶影です><また後書きをしました

今回出た主人公のもう一つの舞なんですがこれもまた使えませんw

 

デンプシーロールのような剣撃なのですが

 

無呼吸連打なので使用後動けなくなりますw

 

しかも相手を追い詰めなければ使えないし

 

発動すれば止まれない

 

止まらない

 

腕は負担がかかり、全身も筋肉を無理に可動させているので負担が大きいです

 

なので戦場ではやっぱり使えませんw

 

何と言うか極端な主人公ですがこれからもよろしくおねがいします><


 
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