No.131041

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第15話

第15話です

乗馬マシンですが何か?

3/20追記

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2010-03-19 22:42:39 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9554   閲覧ユーザー数:8643

はじめに

 

この作品は恋姫無双を題材にしたオリジナルキャラが主役の話です

 

原作重視、歴史改変反対の方、ご注意下さい

 

黄巾終わったのでちょいと小休止

 

 

 

 

 

二人の動きが連動するように

 

 

 

 

 

 

二人の呼吸も一つに合わさっていく

 

 

 

 

 

 

彼女の息遣いが悩ましくて

 

 

 

 

 

 

彼女の息遣いに自分が高ぶるのを感じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の息遣いがやけに耳障りで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の唇を自らの唇で塞いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

窓から指す朝の光と、窓から漂う朝の匂いに比呂は目を覚ました

 

隣を見れば麗羽が静かな寝息をたててまだ寝ている…彼女は朝が弱くこの時間になっても中々起きることはない

尤も、今朝はその原因に比呂も一枚噛んでいる訳だが

 

彼女を起こさないように寝台から起き上がり背伸びをする…頭に掛かっていた靄が少しずつ晴れていく

もう少し寝ていたいというのが正直な処だが、今日の彼にはやらねば為らない事が山積みにある

彼女が簡単には起きないことは承知の上だが、それでも静かに扉を開けて出て行く

 

「お早う御座います、比呂さん」

 

髪を洗おうと水汲み場に来てみれば、そこには先客がいた

 

「斗詩か、朝から早いな」

「二週間も外に出てましたからね、仕事が山積みで」

 

欠伸をしながら斗詩

 

「確かにな…相方はどうした?」

「今日は一日寝てるって言ってました」

「報告書は今日中にと伝えてくれ」

「…はい」

 

黄巾の乱が終結して五日

 

昨夜冀州にようやく帰ってきた一行だが彼等を待ち受けていたのは今回の遠征における報告書の始末だった

戦闘に於ける人的被害、及び今後の兵の調練、どさくさに紛れて逃げた兵士達の処遇報告、持ち込んだ兵糧の計算、何故か黄蓋殿から律儀に返された空の酒瓶について…等々

 

「何分、大規模な遠征でしたからねぇ」

「そうだな、報告書は今日中にと伝えてくれ」

「………はい」

 

そう言って比呂は桶に水を汲み…自分の髪を浸す、まだ髪が短かった頃は頭から水を被ってお終いだったのだが今となってはそれだけでは洗えない

しばらくしてボサボサだった髪がようやく水に馴染んで纏まった頃、桶から漬けていた髪を上げて絞っていく

 

「…なんだ?」

 

その間、斗詩がずっと此方を見ていることに比呂は気づいた

 

「…いえ、そうしていると女の人みたいだなぁ…って」

 

斗詩の惚けた表情に黄巾党の城の中での出来事を思い出し渋面になる比呂

この長髪が理由で危うく殺されかけたのだ

 

「…昨夜麗羽様に御願いしたのだがな」

「駄目だったんですか?」

 

昨夜、髪を切りたいと交渉したのだが頑として受け入れられず

 

「却下です」

「肩先までだけでいいですから」

「却下です」

「では背中…」

「却下です」

「そ…」

「却下です」

「………」

 

結局押し切られる形で許しを得られることはなかった

とはいえ既に腰まで伸びている髪がどうしても鬱陶しい

 

「後で少し切ってあげますよ」

「…すまん」

 

片手で髪を纏め上げ先日までより高い位置で布で巻いていく

長さが背中に達してからバレない程度に少しづつ切っていたものの、自分で切るといつも不自然な形になっていたのだが…今回は助けの船が出るようだ

 

「報告書は…明日の昼までだ、それ以上は待てんと伝えてくれ」

「はい♪」

 

結局のところ自分は甘いのだな

足取り軽く去っていく斗詩を見て思う

 

斗詩が去ったのを見て上着を脱ぎ、水に浸した布で身体を拭き始めた

 

さて、午前中にどこまで終えれるか

 

 

比呂が将軍職に就いて書類書きをするようになって解ったことは、書類を手掛けるというのは集中力が必要だということだった

各報告書を纏め、それを清書していく…普段であればそれほどの物でもないが、今回のような長期遠征の後ではその報告書の数が尋常ではない、三度の失敗を経てようやく完成が見えて来た頃

 

「アニキ~っ!メシ行こうぜ~っ♪」

 

勢いよく開け放たれた扉の方から猪々子の声

清書に集中していたせいだろう、扉に近付く気配に気が付かなかった、そして手元を見れば…どうやら五回目の挑戦が必要なようだ

 

「…今日は一日寝ているんじゃなかったのか?」

 

ワザとらしいため息をついて比呂

椅子の背もたれに肘を掛けて振り向く

 

「その心算だったんだけど…いや~腹が減っちゃって」

 

その先には頭をポリポリと書きながら猪々子

目覚めて間もないのだろう、寝癖がピョンと刎ねている

 

「相方を誘え…俺は今終わる予定だった物をやり直す仕事ができた」

「斗詩はもう食い終わったところだったんだよ~」

 

比呂の言い草に両手の人差し指を胸の前でつんつんと突く彼女の様はまるで遊ぶことを拒否された子供だ、だが比呂は気が付けばもうそんな時間なのかと窓を見る、日は当に高く昇っており午後を告げる定刻の鐘が鳴り響く…どうやら今回の集中は並々ならぬ物だったらしい

 

とはいえ

 

「コイツだけは夕刻までにと言われているのでな」

 

ひらひらと失敗作四号を振って見せる

 

「悠の旦那にやらせればいいじゃんよ、今回の遠征に付いて来たわけだし…」

「遠征前からちょくちょく引っ張りまわしたせいで仕事が溜まっているんだそうだ」

 

昨夜城に到着して間もなくに暫くは徹夜ですねぇとため息を吐いていた悠を思い出す

その上今回の遠征の報告書まで押し付けることになれば後が怖い

 

というか

 

「…旦那?」

「うん?」

「俺は兄で悠は旦那なのか?」

「だって悠の旦那の方がアニキより年上じゃないのか?」

 

ふと壁に備え付けている鏡に目が行く、実年齢では一年しか変わらない二人だがそこまで顕著に見た目に出る物だろうか

 

「確かにそうだが…いや…まあ」

「…?」

 

猪々子はそんな比呂をみてうーんとうなり

 

「第一アニキは見た目で年がわかりにくいんだよな~」

 

髪か?またこの髪か?

 

「そんだけ髪が長いと若作りしてるみたいだしぃ」

 

…二十二で若作りが必要なのか?

 

もういい無視しようと筆を墨に浸したその時

 

ぐううぅぅ

 

部屋に響いた音に再び振り向けばにゃははと顔を赤らめる猪々子

 

……はあ

 

「しょうがない、め…」

「よっしゃあ斗詩も誘ってくる~!」

 

ドタドタと部屋を後にする猪々子

 

「…さっき食ったと言ってなかったか?」

 

一人置いてけぼりを喰らった部屋で彼の呟きに答える者は誰もいなかった

 

 

「…で、なんで街に出る必要があるんだ」

 

午後の通りは賑やかで道行く人で混雑していた、その中を歩く三人

 

「だってせっかく三人で食うんだし城の厨房じゃ勿体無いじゃん?」

 

先頭を進む猪々子、手には何やら雑誌を丸めて持っている

 

「まだ報告書出来てないのにぃ」

 

猪々子の後に続くは斗詩、そもそも飯を食ったのではないか?

さらにその後ろに続く比呂は報告書よりもそちらの方が気になっていた

 

「何言ってんだよ斗詩、報告書の上に涎垂らしていたじゃんか」

「なっ!?」

 

猪々子の発言に耳まで真っ赤になる斗詩、どうやら比呂とは違う意味で出来ていなかったらしい

 

「ところで猪々子、その手に持っているのは何だ?」

「これ?」

「うん、部屋を出たときからずっと持っていたよね?」

 

二人の視線に猪々子は丸めていた雑誌を拡げてみせる

 

「「…麻符流(まっぷる)食べ歩き…三月号?」」

「そそ、あたいこれを購読してんだ」

 

城に勤めているといろんな人間が尋ねてくる、黄巾党とは違うが宗教の勧誘、生命保険の勧誘、雑誌の定期購読の勧誘…等等

何故これらの訪問を取り締まらないのかと常々思っていたが、まさか購読者がいたとは

 

「これに新規開店の店の情報と割引券が乗ってるんだ~、今日早速行ってみようと思って」

 

にっしっしと猪々子、どうやら雑誌で紹介されている店が目的らしい

 

「ちなみに何の店なんだ?」

 

この手の情報誌に全く興味がない比呂だが同僚が持っているのであれば聞きたくなる

序に言えば周りからは貧乏舌と呼ばれ何を食べても美味いしか言わなかったりする

 

「餃子の店らしいよ、なんでも珍しい焼き餃子とか?」

 

一般に餃子といえば焼き餃子が主流の現代日本だが、発足の地である大陸では水餃子がメジャーである

 

 

「餃子を焼くのか?変わった店もあるもんだな」

「ですねぇ」

 

雑誌の挿絵を覗きながら二人は感想を口にする

 

「でしょ~?これは一度食べるっきゃないと思ってさぁ」

 

前を行く猪々子はぎょうざ~♪と鼻歌を歌っている

と…店が見えて来た、昼時は疾うに過ぎた事もありそれほど並んでいないようだ

 

 

・・・・・

 

 

 

・・・・

 

 

 

・・・

 

 

 

「なんか…イマイチ」

「…うん」

「そうか?これはこれで美味いと思うが?」

 

どうにも箸が進まない二人を他所に黙々と食べ続ける比呂

 

「なんか想像してたのと違うんだよな~、巧く言えないけど」

「私は純粋にいつもの餃子が好きだな~」

 

焼き餃子に只ならぬ期待をしていた猪々子と、水餃子を食べなれている斗詩は気に食わないらしい

 

「…よし!次の店に行こう」

「「ええっ!?」」

 

立ち上がる猪々子に二人は驚愕する

 

「もう一軒気になるところがあるんだよ~、そっちに行こう」

「私もうお腹一杯だよ~」

「というかもう戻らないと報告書がだな…」

「すいませんお勘定~!」

 

二人の意見を無視して店主を呼び出す猪々子

 

 

「ごめん…アニキお金貸して」

「は?」

「財布…忘れてきちゃった」

 

てへっ♪と舌を出す猪々子

 

「店主よ、皿洗いの人手は足りていないか?」

「うえーん!御願いだよぉ!!!!」

 

結局比呂が三人分奢ることになった

 

 

 

 

 

二軒目

 

居酒屋雰囲気の創作料理屋

 

「…店の構えはともかく味はイマイチだな~」

「…う~ん」

「そうか?悪くないと思うが」

 

 

 

 

三件目

 

若者に今評判の甘味所

 

「ここは美味いと思うが」

「でも…なんかな~客層がイマイチ」

「恋人ばかりみたいだね~」

 

 

 

 

四件目

 

頑固親父が仕切る味自慢のラーメン屋

 

「美味い…が言いたいことは解るぞ猪々子」

「…私も」

「なんでこんな圧迫感を感じながら食わなきゃならないんだよ~!」

 

 

人通りが少なくなった通りを城に向かって三人は歩いていた

 

「まあ…食う分には食ったな」

「…はい」

「ちくしょ~ハズレばっかりじゃないかよ!」

 

腹を抑え気味に歩く二人の前をプンスカと進む猪々子…雑誌は疾うに投げ捨てていた

あれからさらに三件の店を廻ったのだがとうとう彼女の気に入る店は出てこなかった

辺りはすっかり暗くなり、月の光に三人の影が道を真直ぐに伸びていた

 

 

 

 

はて?何か忘れていたような

 

 

 

 

城が近付くにつれて何かを思い出しかける比呂

 

 

 

 

なんだったか…大切な物だったような

 

 

 

 

う~むと腕を組みながら歩くが思い出せない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな時間まで街の視察、御苦労様です、勿論できているんですよね?ほう・こく・しょ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

門の前で腰に手をあて仁王立ちの悠、目に隈を浮かべてにっこりと笑っている

 

 

 

 

 

振り向けば

 

 

 

 

つい今しがたまで一緒の二人の姿が見えない

 

「…逃げたか」

 

 

 

さてどうしたものかと考える比呂だが

 

「いや~提出が待ち遠しくて門の前で待ってましたよ!ずーーーーーーーーーっとね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや自分は逃げられないことを悟り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場に膝をつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまん!」

 

 

 

あとがき

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございます

 

ねこじゃらしです

 

いや~随分と時間かかったね~今回の投稿は

 

この一週間青少年がなんちゃらだ云々かんぬんでいろいろと騒いでいたようですが

しょっぱなからフルスロットルですわ自分

 

…まあこの時代に電気なんかないし乗馬マシンも手動だったということで

 

わざわざ人様に助言まで頂いたのにこのザマです、はい

 

 

さて次回も一応閑話休題、というか桂花にスポットを当てようかと

 

勿論アノ話ですぜ旦那♪

 

天の御使い様との×××

 

ふっふっふ……はあっーーーーーはっはっは!!!!

 

 

…それでは次の講釈で

 

 


 
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