この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。
なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください。
前回のあらすじ
新しい日常は色々と大変であった。いろんなことを押し付けられる一刀。そこから得られる満足感。しかし、一刀は忘れていた今の時代を…初めての実戦に向かう一刀。真恋姫無双~ありえたかもしれない外史~始まります。
目の前の光景は何だ?
聞こえる人の悲鳴、血の臭い。奪われていく命、奪っているのは同じ人間である。
唾を飲み込もうにも喉が渇いてそれもできない。胃の中のモノが逆流しそうになる。
自分は忘れていた…いやそう思いたくなかったのだ。自分が来た時代のことを…
遡ること少し前…
賊出没の知らせを受け討伐隊を出した袁術軍。その指揮をとるのは七乃と一刀である。七乃は一刀が一緒にいるので比較的余裕の表情だ。一方の一刀はどこか冴えない顔をしている。現在は賊がいると言われている砦の近くにいる。
七乃「どうしました?なんだか冴えない顔をしてますね~?」
「いや…初めての実戦だから緊張をしてるんだよ」
七乃「そうですか~でも一刀さんは十分強いですから大丈夫ですよ~」
「そうか…ありがとう」
そう答えた一刀。しかし、一刀の顔は冴えないままであった。
(実戦ということは奪うのか命を…俺にそれができるのか?)
当たり前の話だが一刀は殺生をしたことがない。現代においても常にルールに縛られた中で試合をしてきたのだ。しかし、今から行うことは純粋な殺し、自分たちがやらないと殺される。そんな中一刀はまだ覚悟がなかったのである。人を殺めるという事に…
拳を強く握り締めた一刀はじっと空を見上げた。すると兵の一人が七乃と一刀に近づいてきた。
兵士「報告します。賊が先の砦にいるもようです。数はおそらく二百~三百ほどでは」
七乃「私たちよりも多いですね~。わかりました~では持ち場に戻ってください」
兵士にそう告げると兵士は持ち場に戻っていった。
七乃「みなさ~ん相手はこちらより数は多いですが賊です。恐れることはありません!」
そう言い七乃は剣を抜き号令をかけた。
「それでは全軍突撃ですよ~!」
兵士が七乃の声に従い声をあげ突撃していく。
そして冒頭に戻る。
一刀は死んでいく賊を見て悲しい顔をしていた。一刀は北郷隊に命令をだしながら考えていた。
(俺の命令で人が死んでいく……)
この時代では当たり前のことだが一刀は目の前の光景を受け入れられずにいた。
そうしていく内に賊達は壊滅状態になっていった。ほぼ袁術軍の勝利は確実であった。
(やっと……終わるか)
そう思った一刀の前に十人程の賊が現れた。
賊1「はぁはぁ…くそっ!」
そう悪態をつき一刀に剣を向ける賊達。
賊2「とりあえず指揮をとっているお前を殺ればなんとかなるだろ」
「待て!もうお前らは壊滅状態だ。抵抗せずに投降しろ。」
一刀はそう言うが賊達は聞く耳を持たない。
賊1「うるせぇ!誰がそんなことするか!」
そう叫ぶと賊が剣を振りかざしてきた。一刀に剣が迫ってくる。そして剣が近づく瞬間、無意識に手に持っていた双剣を振るった。賊は崩れていくがその体には首がなかった。そして、一刀は理解した。自分が人を殺めたことを。人を斬った感触を思い出す一刀。人はこんなに脆いものなのか…これが人を殺すことなのか…様々な思いが一刀の中をめぐっていった。それから、一刀は残りの賊達を見た。
「………投降するなら殺しはしない。だがもし抵抗するなら……」
一刀はそう言うといったん言葉を区切った。しかし、次の瞬間一刀は冷たくこう放った
「……お前らを殺す。」
そう言った一刀から凄まじい程の殺気が発せられた。しかし、その一刀の殺気に当てられた賊達はあまりの恐怖に逆に一刀に襲いかかった。一刀はそんな賊達をみてこう呟いた。
「……馬鹿が」
その後一刀に襲いかかった賊達は十秒もしない内に全員一刀に殺された。結果を言えば袁術軍の圧勝であった。当然といえば当然の結果である。意気揚々と城に引き返す袁術軍の中一刀と七乃は二人並んでいた。
七乃「こちらの被害はほぼ皆無でしたね~。一刀さんよくやってくれましたよ~」
「………ああ」
馬上で機嫌よく言う七乃に同じく馬上にいた一刀は沈んだ声で返事する。七乃は不意に言った。
七乃「人を殺したのは初めてですか~?」
その質問に一刀は七乃を見る。その目を見て七乃は理解した。
七乃「そうでしたか~天の世界ではそういうことと無関係だったのですか?」
「ああ…少なくとも俺が暮らしていたところではな」
そう言い俯く一刀。七乃はそんな一刀をみてこう言った。
七乃「私は生まれてからこういう状況にいますのでいつか人を殺してしまうと思っていました。そして、実際人を殺しました。また、人を殺める命令もしてきました。私はそれを恐いと思ったことはありません。私が…私が本当に恐いのは大切な人を失ってしまうことです。」
「…………………………」
一刀は七乃の言葉を黙って聞いていた。
七乃「私にとってそれは美羽様なのです。だから美羽様のために私は何でもします。今回は賊なので美羽様に影響はありませんけどね~」
そう言った七乃を見て一刀は何も言えなかった。その後、城に戻った一刀はそのまま自室に戻った。
自室に戻った一刀は寝具に横になり今日の出来事を思い出していた。初めての実戦、そして人を斬ったこと。今だにその感触は手に残っている。そして、七乃の言葉を思い出す。
(意外だったな。七乃さんからあんな言葉を聞けるなんて)
自分は確かに強いと思う。それは自惚れではない。少なくとも袁術軍では一番強い。しかし、自分は弱かった。人を殺めることをためらい自分が死にかけたのだ。
「無様だな。北郷一刀」
そう呟く一刀。覚悟なく戦場に立った自分を、今日の自分を一言でそう評価した。それから目を閉じてこれからのことを考えた。
これから時代は動くのだ、それは激動的に。一刀はそのことを知っている。今日のこと以上に数多くの命が奪われていくのだ。その時代を自分は生きないといけないのだ。『覚悟』がない人間は死んでしまうのだ。自分より弱い女性が『覚悟』を持って生きているのだ。自分も決めなければいけない…。閉じていた目を開ける一刀。
「俺はもう迷わない・躊躇わない、俺は…俺はもっと強くなる」
そう力強く言った一刀は起き上がり自分の愛刀である『白夜』『月詠』を抜いた。その目には先ほど戦場で見せていた迷いはなかった。そして、双剣を振るった。
「これからお前たちでたくさんの命を奪っていくが許してくれ」
そう自分の愛刀に声をかけた一刀。一刀が己の『覚悟』を決めたそのとき急に自室の扉が開いた。
美羽「一刀~ご飯を食べるのじゃ~」
扉を開けた人物は美羽であった。その後ろには七乃がいた。
美羽「なんじゃ~剣を抜いて」
剣を抜いていた一刀に美羽は疑問をぶつける。そんな美羽を見て苦笑しながら答えた。
「いや今日戦場で使ったからちょっと手入れを…ね」
そう答えた一刀は剣を鞘に戻した。そこには先ほどまでの緊張感はなかった。
美羽「そうなのか~それよりもご飯を食べるのじゃ。今日一刀は大活躍であったみたいじゃからの~」
それを聞いた一刀は七乃を見た。七乃はニコニコ笑いながら答えた。
七乃「はい~そうですよ~。一刀さん大活躍でしたよ~」
美羽「なので褒美に妾と一緒にご飯を食べる権利をあげるのじゃ~」
そう言って胸をはる美羽。一刀はその言葉を聞いてまた苦笑しながら
「ありがたき幸せです。美羽様」
そう言った一刀。その様子に美羽はさらに上機嫌になっていった
美羽「では行くのじゃ~七乃今日のご飯は何なのじゃ?」
七乃「今日は麻婆豆腐ですよ~美羽様」
美羽「辛いのは嫌じゃフカヒレが食べたいのじゃ」
そう言いながら部屋を出ていく二人。その二人の後に続く一刀。
(この笑顔を俺は守る)
一刀はさらに『覚悟』を決めたのであった
後書き
正直戦闘描写はさっぱりでした。これからもっと精進しなければ…。それとなかなか一刀無双ができません。結構チート設定のはずなんですが…とりあえずこれから様々なイベントがあるのできっと機会はあると思います。ではみなさんまた
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投稿です。初めての実戦描写は全然上手にかけませんorz