No.129985

漆黒の狂戦士と薄幸の魔王

流狼人さん

初めてですが頑張らせてもらいます。

2010-03-14 14:08:14 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:5858   閲覧ユーザー数:5170

 

 

≪side少女≫

ここは、主に騎馬民俗が住まう国 涼州。今、私は走っている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

森を駆け、いや・・・にげている。

 

「くくく。追いついちゃうぜ。御嬢ちゃん。まぁ、貴族様なんだから金目のもの置いてけば助けてやらんこともないがな。くくくく。」

 

と、賊の一人が追い詰めてくる。他の賊たちも「そうだそうだ」と、便乗する。

 

遂に私は森の祠の前で座り込んでしまう。

 

「いやぁ。いやだ。来ないで下さい。」と私は心細く言うが、

 

「無理だ。散々走らされたんだ。小さいなりでも慰めも者には、なってくれるだろう。」と。

 

賊たちは、いやらしく下賎な目で私を見下す。もう駄目だと諦めてしまいそうになる。

 

目が熱くなって涙が溢れて出て来る。

 

「助けて。誰でもいい・・・助けてください!!お願いします!!」

 

私は頭を下げ、願う。感嘆する。助けて詠ちゃんと。華雄さん、霞さん、恋さんと。

 

 

 

すると・・・

目の前に

さっきまでなかった、黒い大きな壁があった。

 

 

≪sideEND≫

 

≪side巨人≫

 

私は消え行く。塵に消え行く。

 

「ハ、他愛もないな。とっとと王の前から消えるがいい。」

金色の髪をしたイレギュラーが無数の武器{宝具}を放ち、私を塵にした。

 

そいつの目はもう自分に向いておらず、わが主たる白き少女の方を向いていた。

 

「・・イリ・・・ャ・・・・に・・げ・・」

 

この身、バーサーカーたる存在でも、生前から狂っている身だ。声を上げ少女を逃がそうとした。

 

されど、もう首まで塵になった身。ただただ、少女が危機を脱するのを願うしかなかった。

 

 

 

私が最後に見たのは・・・・・・

 

 

少女が・・金色のイレギュラーに・・心の臓器を抜かれる様だった・・・・。

 

 

≪sideEND≫

 

ずーーんとひときわデカイ壁が、否。漆黒の巨人がただずんでいた。

 

更にいえば、巨人の右手には無骨ながら巨大な斧剣が握られていた。

 

「な、なんだ。なんなんだ。これは。」

賊たちは突然現れた、巨人に驚き腰を抜かしたものまでも現れた。無理もない。

 

「あ、あの、あなたは、いったい?」

 

少女は勇気を出し、壁になってくれた存在に問う。

 

「__________」

 

巨人も顔は仏頂面だが、内心混乱している。だがこの少女には主・イリヤに何所か似た雰囲気があった。

 

故に、するべきは一つ。

 

「__問う___貴女は___我が_新たなる__主_か_」と、巨人は途切れ途切れに問う。

 

少女は戸惑いながら。されど、強く。・・・・うなづいた。

 

 

巨人もそれを確かめると賊たちのほうを向いた。いや、にらんだ。

___汝らは、__敵か__、と。

 

 

「ひ、ひーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!無理だ!!お、おれは抜けるーーーーーー!!」と去っていく。

 

一人抜け、二人、十人と逃げ去り、賊は一人だけ残った。

 

「畜生ーーー!!だ、だ、誰だてめー。俺をだ、誰だと思っている。黄巾にそ、その人ありと言われた程遠志さまだ!!この大斧で頭かち割られたくなければ、とっとと消え失せろ。」

 

そう言っている・いや喚{わめ}いている賊がいた。

 

手に持つ斧を水車の如く回す賊・・いや女将はびびりながらも。巨人に突貫した。 

 

 

 が

 

「かっっっっっ!!はが!!」

 

と、何かに当たり負けしたが如く、地をのたうち回りながら後ろにあった大木に激突し気絶した。

 

巨人はただ拳を、されど鉄拳を女将にお見舞いした。

 

その時、少女にある言い伝えが頭を過ぎった。

 

王が嘆くとき

次元を破りて荒々しき黒き英雄がこの地へと来る

その者、破壊と勇士の力をもって全力で主を守護するもの

 

その者のは__________。

と。

 

 

「これが、いえ。あのお方が、伝説の英雄≪馬嵯禍{バーサーカー}≫。」

 

言い伝え曰く、白き少女を護るもの。

曰く、その武 兵一万は足らず、その脅威 英雄百人で同等なり。

曰く、命がけの試練、十二関門も突破し十二の命を与えられた者。

曰く、その剣技・弓技は無双なり。

曰く、その者を引き連れるものは≪王たる器なり≫、と

 

少女が伝説を思い出していると、巨人がこちらを向いているのに気づき なにかと、首をかしげた。

 

 

「__契約__完了した____我、__主の障害を__打ち破ること_我が力__狂戦士{バーサーカー}として___誓う_」

 

巨人はそういって少女に膝を折って忠誠を示した。

 

 

「あ、はい。お願いします。馬嵯禍さん。」

 

少女も頭を下げ

 

「私の名前は董卓、字を仲穎。あ、真名を月{ゆえ}といいます。月と呼んでください。」

 

と笑顔で名乗った。

 

次回≪開戦前夜≫

 

 

 
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