No.128930

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第9話

第9話です

ようやく黄巾の乱、本編

戦闘描写…果たして

2010-03-08 23:36:58 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:11006   閲覧ユーザー数:9964

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラを主人公にし、ただ恋姫の名を語る

不届きな文です

 

原作重視、歴史改変反対な方、ご注意ください

 

黄巾の乱…前編?

 

 

俺は生まれながらに耳が聞こえなかった

 

この時代、耳が聞こえないというのは一般の生活ができないのに等しい

 

周りの同年代の連中が俺を見て何か言うのも、聞こえはしない

 

でも、何を言っているかは解る

 

そんな俺に、お袋は文字を教えてくれた

 

決して裕福な家じゃないが学ぶ権利は平等だとお袋は教えてくれた

 

本当はそれを生かして文官にでも志願すれば、変わり者な奴が雇ってくれたかも知れない

 

…でも俺は自分の劣等感から、なるだけ人に関わらない仕事についた

 

森に入って木を切って降ろしの業者に届ける

 

木を渡して業者から金を受け取る

 

人と会うのはそのときだけ

 

そんな仕事でも仕事に就いたことを

 

お袋は喜んでくれた

 

ズタボロの布団の中で

 

これで安心して笑って逝ける

 

そういって笑っていた

 

お袋を土に返して、酒でも買って帰ろうかと街に寄ったとき

 

街角の人だかりに目が行った

 

小さな舞台を大勢の人だかりが囲んでいた

 

なにがあるのかと人混みを掻き分けて前に進めば

 

三人の少女

 

俺は耳が聞こえない

 

ただ

 

彼女達が一生懸命歌っているのは理解できた

 

それが静かな曲なのか

 

激しい曲なのか

 

楽しい歌なのか

 

悲しい歌なのか

 

俺には聞こえない

 

 

 

 

俺の耳は何も伝えてくれない

 

 

 

 

 

だというのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は涙が止まらなかった

 

 

 

「恐れ多くも天子様の忠誠を断り、天子様が子らである民を傷つけ世を乱す逆賊は今目の前の城に篭っておる!

我等が勇猛を恐れ!天子様が威光に震える者共がである!しかし彼の者の大逆を我等は許さぬ!

我はその身を剣となして彼の者共に天誅を成す所存である!天子様が勅命を受けこの地に集りし勇者よ

我に続き逆賊共を斬り捨て、踏み潰し、根絶やしにせよ!この戦は正義の戦!正義が勝つ戦!正義は我等にあり!皆、我に続けぇ!!!!!」

「「「「「「「おおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」

 

何進将軍を先頭に雄たけびを挙げながら突撃する軍団とは対象に、冷ややかな視線を送る幾つかの陣営

 

~袁術陣営~

 

 

「おうおう張切っておるのう、随分と勇ましいものだ」

「これだけの諸侯が集っているのですよ蔡殿、皆が前に立ちたがるものです」

「そうね~、やっぱ戦は一番槍が華よね♪」

「先に言っておくけど、それは却下よ雪蓮」

「め~り~ん!」

「はい却下」

 

 

 

~義勇軍陣営(+ハム)~

 

 

「は~、すごい光景だね~」

「はい、武人の血が騒ぐものです」

「鈴々も突撃したいのだ~」

「あわわ、駄目だよ鈴々ちゃん、ここにいないと」

「はわわ、はわわわわわわ」

「落ち着かんか軍師殿、今からそれでどうする?」

「あれ?星ちゃんなんでここに?白蓮ちゃんは?」

「…はて?」

「…」

 

 

~曹操陣営~

 

 

「なあ秋蘭、何故我々は待機なのだ?」

「姉者、先程の説明を聞いていなかったのか?」

「???」

(訳もわからず立ち尽くす姉者も可愛いなあ)

「私達の戦いは今この場に在らず、そうなのでしょう?」

「…はい、華琳様」

 

 

~袁紹陣営~

 

 

「何故に私達は後方待機ですの?誰か説明なさい!」

 

各諸侯が我先に突撃する光景に焦りがあるのだろう、彼女には落ち着きがなかった

彼女の怒鳴り声を耳にして、その場にいた者が一斉に軍師に視線を向ける

 

「田豊さん?私達は後方で指を咥えて見てる為にこんな所に来たのではありませんでしてよ!」

 

すぐ突撃なさい!と喚く袁紹だったが、悠は至って冷静だった

 

「その必要は御座いません我が君、これは攻城戦に在らず」

「貴方にはあれが何に見えるというのかしら?」

 

彼女が指差す先には古城、いつの頃に建てられた物かは解らないが、既に主はこの世におらず今は黄巾党を名乗る者達によって占拠され、その頭目であるの張角もそこにいるとのことだ

 

「…?城ですね?」

「貴方…私をおちょくるのもいい加減に…」

 

おいおい麗羽様がキレるぞ

 

比呂の視線を背中に感じ、悠はやれやれと説明を始める

 

「そうですね、まずは此方を」

 

そういって机の上にあるものを促す悠

なんだなんだと袁紹だけではなく他の将軍達も集まる

見てみれば机の上にはこの戦場の見取り図が敷いてある

 

「まず、此処があの城」

 

悠が示す先には城を描いた記号

 

「そしてこれが俺達」

 

凸の駒を城の周囲に囲うように置く

 

「わかりませんか?」

 

にっこり笑う悠とは対象に袁紹の顔が引き攣る

 

「…だから、そ れ が!何だという…」

「数が合いません」

 

袁紹の怒りを遮るように悠

 

「この戦は討伐軍二十七万、黄巾党三十万という大群同士の戦に御座います、敵が篭るこの城…俺は建築士でなければあの城に入ったこともありませんので中の構造など解りませんが…果たして三十万という人間が収まるのでしょうか?」

「…」

 

 

色の違う凸の駒を同じ数だけ並べ悠は続ける

 

「あの城を大きく見たところでおそらく我が軍と同数、二万が良いとこでしょう…となれば奴等黄巾党本体は別にいると考えるべきでしょう、いくら狙いがあの城にいるとはいえ背後を強襲されては手を焼くことになります」

「でも…そんな悠長に構えていたら張角の首が持ってかれちゃうんじゃ?」

 

斗詩の疑問に皆が賛同する

 

「そうです!いくら黄巾党を切って捨てたところで頭目の首がなければ意味がありませんわ!」

「たしかにそうだよな~」

 

じろりと睨む袁紹にも悠は済ました顔で

 

「いいんじゃないですか?」

「「「はあ?」」」

 

皆の驚愕を他所に悠は笑ってのける

 

「…だって、誰が証明するんです?この首が張角だと」

 

いつの間に持っていたのだろう、悠は湯呑を振って見せる

 

「この一ヶ月間、どの諸侯も情報を集めていたというのに張角については何も得られなかったのですよ、年齢、背格好、性別にいたるまで、唯解っているのは張角という名前だけ」

 

そうなのだ

今日に至る日まで捕まえた黄巾党を尋問しても、各地にいくら間者を放っても黄巾党の頭目にまつわる情報は一つも得られなかったのだ、それは袁家陣営だけに在らず、各諸侯も同じだった

 

「誰が張角か解らないのであれば、誰を斬ったところで同じ…ならば」

 

トンと湯呑を置く悠

 

「これこそが張角の首である…そう言い通せば良いだけの話」

 

 

悠の言葉にその場の全員が息を呑む…やがて

 

「素晴しいですわ!」

 

袁紹が胸を張って立ち上がる

 

「田豊さん、貴方の悪知恵…この袁本初、感銘を受けましてよ!」

「…悪知恵て」

「斗詩…あたいよく解んなかった」

「…文ちゃん」

 

ゆる~い空気が流れ始めたそのとき

 

「遠方に砂塵!」

 

天幕に入ってきた兵が報告する

 

「来ましたわね、皆さん!この戦、正義が戦に在らず!名家の戦!名家とは我等袁家のことですわ!存分に、華麗に!雄雄しく!全速前進ですわ!!!」

「斗詩…姫は何て言ってるの?」

「ごめん文ちゃん…私にもよく解らない」

 

何はともあれ迎え撃つべく、彼等は動き出す

 

 

~袁術陣営~

 

「ほほう、あれが冥琳が待っていた者共か」

「ようやくお出ましって訳ね?腕がなるわ~♪」

「うむ…だが」

 

 

 

~義勇軍陣営とハム~

 

「愛紗!星!いっぱいきたのだ~」

「待ちくたびれたぞ」

「凄い…皆、怪我しないようにね」

「ご安心を主、この趙子龍…存分に暴れて見せましょう」

「…」

「あわわわわわわわわわわわ」

「雛里ちゃんしっかり~!?」

 

 

 

~曹操陣営~

 

「来たぞ来たぞ来たぞ~!」

(ああ、子供のようにはしゃぐ姉者も可愛いなぁ…しかし)

「ふふ…面白いわね、あれも貴女の予想の範囲内なのかしら?」

「…いえ」

 

 

 

~袁紹陣営~

 

「なあ、斗詩…」

「うん、文ちゃん…」

「「何か多くない?」」

 

「…悠」

「すみません比呂…まさかこれほどとは」

 

さすがの悠もその表情から余裕が消える

 

城を包囲していた二十七万の討伐軍をさらに包囲して突撃してくる黄巾党

 

 

彼女達が逆賊として追われている

 

朝廷からのお触書にはそう書いてあった

 

街に張り出されたそれを見て、俺は何かの間違いだと思った

 

彼女達がそんな人間じゃないことぐらい、直に解る

 

だって、彼女達の歌は

 

俺にも届いたのだ

 

あの日、偶然にも立ち寄った街で

 

耳が聞こえないはずの俺にも

 

やがて…彼女達が追われる理由がわかった

 

彼女達の人気を利用して

 

彼女達の名を利用して

 

村々を襲っている人間がいる

 

しかも最悪なことに

 

彼女達はそいつ等に囚われている

 

助けなきゃ

 

気が付けば走り出していた

 

 

いつの間にか周りには大勢の人間がいた

 

彼女達の歌を聴いて

 

彼女達に救われた人々

 

彼女達を救おうとする人々

 

子供の頃、俺を馬鹿にしていた連中も

 

いつも木を買ってくれる業者のおっさんも

 

お袋の葬儀で泣いてくれた親戚も

 

皆、彼女達に救われ、救おうとする人々だ

 

あそこに彼女達がいる

 

悪い奴等に囚われている

 

何も知らないお上の連中が

 

彼女達を殺そうと集まっている

 

そんなことさせない…絶対に!

 

 

彼女達に報せなければ

 

 

助けに来たと

 

 

俺は耳が聞こえない

 

 

だけど彼女達は聞こえる筈だ

 

 

この足音が

 

 

助けに来たと

 

 

この声が

 

 

助けに来たと

 

 

 

 

 

 

 

「ほあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城に篭る黄巾党(偽)

 

総数二万

 

 

黄巾党討伐を命ぜられた連合軍

 

総数二十七万

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

役満姉妹親衛隊(仮)

 

 

 

総勢二百万

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

ここまでお読みいただきありがとう御座います

ねこじゃらしです

はいこんばんわ

 

よ~やく

 

よ~やく

 

黄巾の乱です(泣)

 

このペースで行ったら最終回までには何話行ってるんだろう…

 

そもそも前編なんて冒頭に書いたけど二部構成で間に合うのか!?

 

ちなみにどうでも良い話ですが11Pが不満です。

巧く書きたい事が書けてない気がする

表現の仕方というか何というか

 

 

まあ…いいか

 

 

それでは次の講釈で

 


 
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