――俺は、あの人を殴り殺した――
誰かを助ける為と……死体をその場に残して
仲間が見つけて俺たちに復讐しに来るか…
野犬や狼、熊などに喰われてしまったか
今はもう、わからない……
あれから毎晩夢に……殺した男が、俺を殺しに来る夢を見る……
叫びを上げて目を覚ますと……白い服を着た女の子と妹が心配そうに俺を見ていた。
新しい門下生が増え、新たな知識を一緒に学ぶ事になった。
その子は、今一刀お兄様の服を着て私の隣に座っている……
ここまで来るときに、盗賊に追われて荷物を落としたらしい
そして、襲われ服を破かれて……辛い目にあったのはわかりますけど、
ちょっと羨ましいです…
二人で、先生に教えを受け、一息つくときに先生が尋ねてきた。
「北郷さんの様子はどうですか?」
「先生…普段は、無理をしてなんとも無いようにしてますけど…」
「……毎晩うなされて、叫んで目を覚ましてます」
「そう……」
「す…すみません私の所為で……」
「……そ、そんな事無いよ、いつかこうなる事は、覚悟してたから」
「そうね…雛里の所為じゃないわ」
この女の子、雛里ちゃんには、まだ一刀お兄様のことを伝えていない……
流星が落ちた場所に居た事も、噂になっている天の御使いかもしれない事も、
そして…今雛里ちゃんが着ている服が、天の御使いの証になる可能性も……
「もし罪の意識があるなら…」
先生が雛里ちゃんに何かを話している、いろんなことを考えながら聞いてると……
「夜添い寝してあげたらどうかしら」
「あわわ!っそ、そ、そ、添い寝でしゅか!?」
「はわわ!っだ、だ、駄目でしゅ!」
「……でも、人の体温…誰かがそばに居ると落ち着くでしょ」
「は、はひ」
「……」
もし私が…雛里ちゃんの様に襲われてたら……
駄目だよね、こんな事考えたら、一刀お兄様がきっと怒る。
それに雛里ちゃんも、心に傷を残したまま…
今着ている白い服…この服を着ていないと、誰かに寄りそっていないとお風呂も入れなかった。
先生と雛里ちゃんの話をそばで聞きながら……
私は、雛里ちゃんに一刀お兄様の事を任せようと
「はわわ!そうなると雛里ちゃんが私のお姉ちゃんに!?」
「あわわ!ななななんででしゅか!?」
一緒に寝るだけでここまで落ち着くとは思いませんでした。
一刀さんと一緒の布団で寝てるだけですけど、今夜はうなされてませんでした
水鏡先生はやっぱり凄いです…こうなる事がわかってたんですね…
隣で、女の子が寝ている…朱里が言うには…俺の為らしいが……
いつまで理性が持つか……
でも、落ち着く、今夜は、あいつは出てこないよな……
――何か…鳥の夢を見ている……
二羽で、一緒に飛んでいる……
そう言えば、何か諺あったよな――
「おはようございます、なんだか鳥になった夢を見ました…」
「うん、二羽一緒に仲良く飛んでたね」
「ふぇ!?なんで?」
「偶然かな?」
「……」
雛里は、その日ずっと考え込んでいるようだった……
そして水鏡先生のとこで何かを話しているようだった。
鳳凰…とか言葉が聞こえたような……確か一文字ずつで雄雌に分かれてるんだったか……
数日後、まだ生きているのに、戒名を貰った。
はわわ!まさか、本当に雛里ちゃんが、お姉ちゃんになるとは思いませんでした…
一刀お兄様と雛里ちゃんが一緒に寝る事になってから数日、覚悟はしていましたが……
…寝台に…赤い染みが……一線を越えたんでしょうか……
妹として、友達として……祝福するべきなんでしょうか?
それとも、問い詰めるべきなんでしょうか?
二人が、言い出すのを待つべきか……
まぁ、今は先生に、三人で倉庫の整理を頼まれてますから
聞こうと思えば聞けるのですが……今の関係を壊すのも……
「あわ、銅鏡ですね?」
「こんなのもあったんだ…」
「銅鏡ですか?」
銅鏡なんてあったかな?
……たまにここを整理してるけど、おかしいな?
――ィン――
…何の音?
―キィン――キィン――
……光!?
周りが光に…っ!
「一刀お兄様!雛里ちゃん!」
「雛里!」
「あわわ!?」
「――きて――ねぇ―おき―って」
「うぅ…一体何が……」
「あ、おきたー」
「あれ……君は?」
目を開けると、小さな女の子が居た
「璃々は、黄敍」
周りを見ようとしたら女の子が名前を教えてくれる。
周りを見渡すと、さっきまで居た筈の倉庫ではなく……
ここは…どこかの町の中?
朱里は隣で倒れたまま……雛里は!?
「あ、おかーさーん」
――俺と朱里は、雛里を探す為に旅をしている。
もしかすると、あの銅鏡が元居た世界への鍵かもしれない
「もし、雛里ちゃんが私たちと同じようにこの大陸に飛ばされたなら……」
真剣に俺の目を見つめて
「……一刀お兄様の代わりに天の御使いにされると思います」
いま、聖フランチェスカの制服を着てるのは――
ここで最初のテストに戻ると思います
ではこれで。
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このテストで……これは、テストになるのかな?