雨ト鴉
部屋の中まで響いてくる雨音を聞き、窓辺へと足を運ぶ。
天狗の目を持ってしても見通せない外の景色を眺め、文は大きく溜め息を吐いた。
連日のように降り続く雨は幻想郷から活気を奪ってしまったようで、新聞のネタに使えそうな事件が起こる気配もない。
それというのも、大多数の人間は雨が降ると家に引きこもりがちとなり、外に出てこなくなる。
また妖怪や妖精の中にも雨を嫌う者は多く、天気の悪い日などは騒ぎ出すこともない。
人間からしてみれば少しばかり嬉しいことかもしれないが、新聞のコンテストを控えた文にとってネタがないというのは大問題である。
「この様子だと今日も取材に行けないなぁ」
最近は愛用の写真機も調子が悪いし、どうにもツキがないらしい。
窓の外から部屋の中へと視線を戻し、机に積まれた没原稿の束を見据える。
「さすがにこれは使えないし、明日こそ晴れますよね……」
溜め息を、また一つ。
※改行は調整済み、画像は表紙と裏表紙
タイトルは最後まで思い付かなかったのでこんな感じに
ロゴは直筆ですが、平仮名の「と」が上手く書けなかったので「ト」になりました
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