No.126967

『舞い踊る季節の中で』 第18話

うたまるさん

『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。
明命√の作品となります。

ついに、一刀は賊討伐のため、軍師として戦地に向かう。
一刀は、現実に耐えられるのか・・・・

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2010-02-27 12:14:17 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:23883   閲覧ユーザー数:17637

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』

  第18話 ~ 舞い落ちる暗闇に沈む魂(前編) ~

 

 

(はじめに)

 

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

        :●●●●

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(ただし本人は無自覚)

         気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

         神の手によるマッサージ(若い女性には危険です)

 最近の悩み:・・・・・・・俺に悟りを開くのは無理なのか?・・・

         最近、明命が以前より輪をかけて、スキンシップをはかってくる。

         義兄のように慕ってくれるのは良い、だが、そんなに抱きしめられたら、色々と俺が困る。

         明命は、自分が魅力的な女の娘と言う事を、もっと自覚してほしい。

         やはり、この無警戒さは、孫策の影響としか思えない、何とかしなければ・・・・

         でも、此処の人達って、その手の話は聞いてくれないんだよなぁ・・・とほほ

  (今後順序公開)

 

★オリキャラ紹介:

諸葛瑾:

  姓 :諸葛    名 :瑾    字 :子瑜    真名:翡翠

  武器:"双天" 対の双剣

  武力:52(平均的な将を60とした場合)

  智力:81

  政治:89

  家事:92

  魅力:想像にお任せします(w

  焦った時の口癖:『 あうあう 』又は 『 ぁぅぁぅ 』等の類語です

  性格:基本的に温厚で、外見に反して大人の女性

     だが、焦ると地が出てしまう。(朱里と違って、自分を律しています)

     警戒心が強い性格だが、一度心を許されると、親身になってくれる。

     妹がいるため、基本的には面倒見が良く、放っておくと、食事を取るのを忘れる明命を心配してよく

     食事を差し入れていた。

     やはり、妹がいるためなのか、時折人をからかって、その反応を楽しんだり、とんでもない悪戯を仕

     掛ける悪癖もある、だが性質の悪い事に普段が完璧なだけに、周りは怒るに怒れないでいる。

     家事全般は人並み以上に出来、そこらのお店以上と自負していたが、丹陽で知り合った男性の腕を見

     て自信を喪失。 以降こっそり腕を磨いているが、全然敵わないと嘆く毎日を送っている。

     武術は好きではないが、妹達を変態共から守るため、必要最低限身に付けたもの。

     姉妹揃っての発育の悪さをコンプレックスに思いつつも、それを武器にする強かさを持っている。

     自分を子供扱いしない男性が好みだが、言い寄ってくるのは変な趣味の持ち主ばかりで、17の時、現

     実の男(変態の多さ)に愛想が付いた時に『八百一』と出会う。 以降のめり込み、妹達を洗脳する

     も、基本的には周りには秘密にしている。 そのうち執筆も行うようになり、掲載されるようになる。

     数年たった現在では、定期的な愛読者もつき『八百一』の主要作家の一人となっている。

     黄巾の乱後、作品が益々洗練され、世に愛読者を急増させる要因となった。

一刀視点:

 

「ひぃぃぃぃ」

 

俺は悲鳴を上げるが、そんなもの、誰も聞いてくれやしない。

本来の行軍であれば、騎馬に、こんな速度を出させない。

ましてや、二人乗りなら、なおさらだ。

今回の件まで馬に乗った事のない俺が、こんな状態で馬を制御できるはずも無く、馬は一向に速度を緩めない。

別に、暴走しているわけではない。

なぜなら、

 

「一刀、下手に声なんて上げると、下噛むわよ」

「だったら、速度を・んぐっ!」

「ほら言わんこっちゃ無い、時間が無いんだから我慢しなさい」

(だったら、寄り道なんてするなっ!)

 

舌を噛んで喋れない分、心の中で文句を言う。

 

 

 

 

 

事の起こりは、こうだ。

馬に乗るのは初めてとは言え、俺に宛がわれた馬は、訓練されている上、歩く速度であれば、すぐに慣れる事ができた。

行程の半分以上過ぎた頃には、軽い駆け足程度の速度なら、やや危なっかしくも、既に不自由なく乗り回せるようになっていたのだが、

 

「一刀、全速力で、長時間いけそう?」

「はぁ、孫策なに考えてるんだよ、さすがに無理に決まっているだろ。

 それとも、何か事態が変化したのか?」

 

もっとも、ずっと隣に居たから、そんな報告が来ていないのは、分かり切ってはいた。

だからこそ、孫策の考えが分からずにいると

 

「其処の、貴方、ちょっと一刀の馬を預かってて、

 一刀は、こっちに乗り移りなさい」

「はぁ? いきなり何を」

「時間が余り無いから、とっとと動いて頂戴」

 

孫策のそんな言葉に、俺は言うとおりにする。

必要も無いのに、走ったまま、乗り移る事などできないので、馬を停めて孫策の馬に跨ると、俺の後に孫策が跨る。

 

「ちょ、孫策、この格好はさすがに」

「このほうが安全なのよ。 役得と思いなさい」

「いや、そんなの思いたくないからっ、 それに、どういう事か教えてくれよ」

「穏っ、騎馬50程 連れて行くわ、 間に合うように合流するから、心配しないでちょうだい」

「きちんと、間に合ってくださいよ~~」

「蓮華達には、穏が説明しといて」

「えっ、え~~~っ! 酷いですよ~~~」

 

そんな声を無視するように、孫策は馬を走らせ始める。

 

「ちょ、何処へ行くんだ」

「ちょっと寄り道~」

 

 

 

 

 

孫策に連れられて、やがて見え始めたのは、

 

何の変哲も無い、大きめの集落だった。

 

だだ、違うのは、家は壊され、焼かれた物が目立ち、

 

住民いや、かつて住民だった者達の、成れの果ての姿だった。

 

「こっ、これはっ・・・」

「降りなさい一刀」

 

孫策は、兵に集落周辺を警戒にあたらせ、

俺を馬から無理やり降ろし、連れまわす。

 

 

人であったもの

 

もはや部品としか、言えなくなったもの

 

一体、どれだけの人達が居たのだろう・・・

 

ただ、一つ言えるのは、もう此処に、生きている者はいないと言う事

 

「・・うぐっ・・・げえーーーーーっ・・・・ごほっ・・」

 

あまりの光景に、俺はその場に両手をつき、吐き出した。

 

「そう、吐くのね」

「・・・えっぐっ・・うぇーーーっ・・・」

 

そんな孫策の呟きなど、今の俺には、どうでも良いことだった。

こんな、酷い事・・・・こんな情景・・・見せておいて、何を

 

「なら、今のうち吐いて置きなさい。

 戦場で吐くなんて真似は、許さないから」

 

つまらなそうに言う孫策を余所に、俺は吐き続け、

胃液すら、吐けなくなったころ、

孫策は、ショックを受け弱っている俺の襟首を掴み、

俺を引き摺って、集落の中を、惨劇の痕を、強引に見せていく

 

こんなもの見たくないっ!

 

そう、心の中で叫ぶも、

俺は、その光景から目を逸らす事ができなかった。

体が、俺の意思に反して、目を逸らす事を拒絶した。

そして、その惨状に、ただ、涙を流し、下唇を強く噛んでいた。

やがて、

 

ドサッ

 

放り投げられた、俺の目の前には

 

老婆らしき者と、まだ年端もいかない子供が、抱きしめあったまま横たわった姿があった。

 

らしきと言うのは、もうそれが人の姿をしていなかったのと、

 

その近くに、その者のものと思われる 首 が、転がっていたからだ。

 

子供は、恐怖に歪めた顔のまま、背中から矢を生やして、事切れている姿があった。

 

「一刀、よく目に焼き付けておきなさい」

「・・・・な・・なんで、こんな・・・酷い光景・・・を俺に・・・」

「なんで?

 分かっているんでしょ一刀。

 貴方に、見せるためよ。

 この世界の現実って奴をね」

「・・・な・なんで・・・こんな・・酷い事・が・・」

 

俺の掠れる様な言葉に、

 

「一刀、貴方は運が良いわ。

 明命や翡翠に拾ってもらえたのだから、

 この世界の住民はね、常にこんな目にあう危険と背中合わせなのよ」

「・・・ぅ・ぁ・・」

「弱者は、こうして、獣共に蹂躙されるだけ、

 いいえ、獣だけではないわ、心無い者達に、支配されれば、生き地獄しか待っていないわ」

「・・・・・・」

「一刀っ、黙ってないで、しっかりと見なさいっ! 答えなさいっ!

 貴方は、こんな惨状を許せるというのっ!」

 

孫策は、目を逸らすな、とばかりに、俺の頭を掴むと、目の前の惨状を見せ付ける。

目を瞑る事を、体が拒否している俺は、その惨状を見るしかなかった。

だが、そんな事、どうでも良い

こんな事が、許せるかだって?

そんなもの決まっている。

 

「・・っ許せるわけ無いだろっ!」

 

俺の叫ぶような言葉に、孫策が大きく息を吐き出す音が聞こえる

 

「そう、目の前の出来事から、逃げ出さなかった事は褒めてあげるわ」

 

逃げ出せないようにしておいて、よく言う。

 

「・・・なんで、こんな酷い・・事が」

「生きるためよ」

「えっ?」

「此処はね、袁術が支配している土地なの。

 さっきも言ったけど、支配者が民に関心を持たなければ、民は貧困に喘ぐ事になる。

 如何しようも無くなった民達が、他の民を襲い、奪う事で、生きながらえているの。

 彼らも必死なのよ、だからその罪から逃れるように、人であった心を捨てるの、

 襲う相手が、自分達と違う生き物であれば、罪の意識は無くなるし、幾らでも残虐になれるから」

「・・だ・だから・・って、こん・・な」

「許される事ではないわっ、あたりまえよっ!

 人の心を捨てて賊に堕ちた人間は、もう人じゃない、獣と同じよ。

 放っておけば、此処の人達の様に、嘆くことも出来なくなる。

 人の形すら出来なくなる。

 攫われ、家畜として飼われる。

 だから、賊達は殺さないといけないの、

 歯を食いしばって、生きている人達を守る為にも、

 堕ちそうな人達に、堕ちればどうなるかを、教えるためにもね」

「・・・だからって、殺さなくても、話せば」

 

ギリッ

 

俺の言葉に、孫策は、そのまま俺の頭を強く締め付けながら、歯を噛締めながら、

 

「ここは、一刀の住んでいた天の国じゃないっ、

 そんな甘いことを言う余裕は、何処にもないのっ、

 こんな事を引き起こしたくなければ、力をつけるしかないわ、

 力をつけて、そんな事しなくても良いように、民を導くしかないわ、

 一刀、貴方には、それだけの力も、知識も、知恵もある。

 この惨状を知っても、貴方は立ち止まるつもり? 逃げるつもり?」

「・・・俺にそんな力は」

 

良いよどむ俺に、孫策は、

 

「無いとは言わせないわっ!

 私達将数人を、苦もなく一蹴するだけの力を持ち、

 冥琳を驚愕させるだけの知識を持ち、

 翡翠に認めさせる程の、先を見る目と知恵を持っていながら、

 力が無いなんて、言わせないっ、

 いい一刀、貴方に足りないのは、経験と覚悟よ!

 民を守るという覚悟っ!

 自分の手を血で汚すという覚悟っ!

 敵の命も、味方の命も奪う覚悟っ!

 多くの命運を背負う覚悟っ!」

 

俺を、強引に振り向かせ、胸倉を掴み、鼻と鼻がくっつきそうな距離で、俺に言い放つ、

孫策の目は、瞳は、怒りも悲しみも飲み込み、冷たく、焼けるほど熱く、王たる決意に満ちていた。

俺に、王たる意思を、俺の目に叩き付けた。

 

「それとも一刀、それでも、貴方は目を逸らすの?

 また、翡翠達の背中に、女の背中に隠れるつもり?

 なら、貴方は天の御遣い所か、人を捨てた獣達と一緒よ、此処で斬り捨ててあげるわ。

 選びなさい、

 獣として死を迎えるか、

 こんな惨状を二度と引き起こさせないため、自分の足で歩くか」

 

孫策の静かに言い放つ言葉が、俺の心深くに突き刺さる。

斬り捨てるか・・・・確かに今の俺の状態なら、孫策でも可能だろうな。

いっそ、その方が楽だろう。

もう、あんな苦しみも、

心が裂けるような痛みも、

人を殺す感触に泣く事も、

悪夢に魘される事もない、

 

もし、俺が孫策達と歩めば、

俺は、もっと、人を殺さなければいけなくなる。

多くの人達の命を、背負わなければいけなくなる。

そんなもの、俺に背負えるわけが無い。

俺は只の一般人だぞっ、

雪蓮達とは違うっ、

見知らぬ世界で、見知らぬ人達の為に、

俺がそんな苦悩を、背負わなければならない理由は無いっ、

 

そんな、暗い闇が、想いが、俺の心を染め上げていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

 

こんにちは、うたまるです。

  第18話 ~舞い落ちる暗闇に沈む魂(前編)~ を、此処におおくりしました。

 

今回は、シリアス一辺倒のお話になりました。(冒頭の紹介文以外(w )

脳内の雪蓮に引っ張られるままに、書いてしまい、雪蓮らしく、荒療治に出てしまいましたよー(涙

一刀が、今まで、決意していた物が吹っ飛ぶような方法で・・・・あの苦労はなんだったんだろう(汗

(ちなみに、今回の作中の雪蓮の台詞は、200%本気です)

・・・・まぁ、このままGAME OVERさせる気はないので、この後の展開は想像通りになると思います。

 

まぁ、このまま、引き篭もりにさせて、翡翠に囲われて、自堕落に、淫らに、余生を送らせるのも、ある意味見てみたい√ですが、それだと一刀らしくないし、なにより終わっちゃうので(汗

 

次回は、このまま一刀視点の続きとなります。

 

 

どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。


 
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