真・恋姫無双アナザーストーリー
雪蓮√ 今傍に行きます 第8話
「まったく、どれだけ運が良いのよ、あなたは。左腕にひびが入っただけですんで」
病室のベットの上で左腕にギブスをして苦笑いを浮かべ頭をかいている一刀が居た
「そうだよ~、もうびっくりしたんだからね!華澄なんか腰抜かして座り込んで泣いてたんだから」
「っ!ちょっと、それは言わなくてもいいことではないかしら?」
「な~に恥ずかしがっちゃってんのよ、華澄らしくもない」
「くっ……そう言えばあなたはその場で立ち尽くしていたくせに」
「あ~言ったな!」
「あら、何か言ってはいけないことを言ったかしら?」
「むむむ~!」
「ははは、優未と琳は仲が良いな」
「良くないよ!」「良くないわよ!」
二人の声が見事にハモった
「そう言えば、雪蓮は?」
「ん?雪蓮なら少し歩いて来るって言って外に行ったよ」
「そっか……」
「なに?雪蓮が心配なの?一刀君」
「確かにあの子の取り乱し方は尋常じゃなかったわね」
「なに言ってんの、あんたも相当なもんだったじゃん」
「……余計なことを言うのはこの口かしら?」
「は、はめろ~!くひはひろがふ~!」
「ふん、余計なことを言う口は閉じないようにしてあげるわ」
「ははは、それだけ琳も心配してくれたんだろ?ありがとうな」
「~っ!べ、別に心配なんてして無いわよ、勘違いしないことね」
「かふひほうひょふひ~!」
「まだ広げ足りなかったかしら?」
「っ!いひゃい、いひゃい!……んっもう!あ~、痛かった」
優未は琳を口から引き離し頬を擦った
「それにしても、一ヶ月は外せないのだから無理に動かすんじゃないわよ」
「ああ、わかってるよ。でも、動かせないとなると剣道の練習出来ないな」
「当たり前じゃない、無理をして長引いたらどするのよ」
「そうだな、琳の言う通りだな」
「わかればいいのよ、早く直しなさいよ」
「ああ」
一刀と優未、琳が病室で話している頃、雪蓮は……
「ふぅ~、一刀が無事でよかったわ」
ベンチに座り空を見上げている雪蓮
(でも、あの時に見た光景は一体……)
横断歩道を渡っている時に起きた頭痛は雪蓮に印象深いものを見せ付けた
「はぁ~、考えても答えはでないわね」
(でも、一刀に助けられた時わかったような気がした……)
「私と一刀はずっと昔に出会った事があったのかもしれないわね……いいえ、出会っていたのよ、そうじゃなきゃこんな思いはしないもの」
雪蓮は胸元に手を当て目を閉じると風が吹き雪蓮の髪をなびかせた
「さてと、そろそろ病室に戻らないとね、優未や琳に心配かけるのもなんだし」
「そこのもの、少々聞きたい事があるのだが」
「え?私かしら?」
(なにこの子、こんな所でコスプレ?随分と大胆なのね)
「ああ、少々聞きたいことがあるのだが良いだろうか」
「ええ、別にかまわないわよ」
「ああん、こんな所に居たのね」
「え?」
「貴様は……」
「あら、雪蓮ちゃんも居たのね……そうそう、彼、意識が戻ったみたいよ」
「っ!本当?!」
「ええ、早く行っておあげなさい」
「でも、この人がなんか聞きたいことがあるって」
「……」
コスプレをした少女は貂蝉を睨み、手に持っていた刃物を力強く握り締めていた
「私がお話しておくから大丈夫よん、さ、早く行っておあげなさい」
「ええ、ありがとう!」
雪蓮はそのまま病室へと走っていった
「……」
「……」
雪蓮が行った後、少女は無言で貂蝉をにらみ続けていた
「一刀!」
「やあ、雪蓮お帰り、怪我はなかったみたいだね、よかったよ」
病室に勢い良く入ってきた雪蓮を迎えたのは一刀の温かな笑顔だった
「一刀の馬鹿!心配したんだから!」
「ごめん、でも雪蓮に怪我がなくてほんとよかったよ」
「一刀~」
「よしよし」
雪蓮は一刀に抱きつき胸に顔を埋め、一刀は雪蓮の頭を撫でた
「……」
「あの~私たちも居るの忘れてない?」
不機嫌そうにしている華澄と苦笑いを浮かべている優未が立っていた
「あら、あなた達居たの?」
「雪蓮ひど~い!一刀がここに運ばれてくる時なんて顔真っ青にしてたくせに!」
「そうだったかしら?」
「そんなことより、一刀から離れたらどうなのかしら?」
「いやよ、だって一刀は私のだもの♪」
「「なっ!」」
「え?雪蓮?なにを、ん?!」
「ん……ちゅっ……ふふふ、誰にもあげないわよ」
「「あーーーーー!」」
優未と琳はその光景に悲鳴を上げた
「雪蓮だけずるい!私もする~~~!」
「だ~め♪一刀は私のだもの」
「そんな事無いよね、一刀君!」
「え、あ、うん?」
「なんで疑問系なのよ~」
「ふ、ふふふ……」
「あ、あの琳さん?」
琳は一人笑いながら一刀に迫っていた
「一刀!」
「は、はい!」
「私の目の前で雪蓮とキスをするなんていい度胸をしているじゃない」
「どちらかと言えばされたほうなんですが……」
「おだまり!」
「はい!」
「お仕置きが必要ね。一刀目を瞑りなさい」
「は、はい……」
「ふふふ、覚悟しなさい」
一刀は目を瞑り来るであろう衝撃に備えた
「あ、ちょっと!」
「ん……」
「んっ?!」
「はむ……くちゅ……ぷは、ふふふ、ご馳走様」
「「あーーーーー!」」
今度は雪蓮と優未が悲鳴を上げた
「ちょっと、華澄!なにどさくさに紛れて一刀君にキスしてるのよ!」
「あら、私はお仕置きをしただけよ」
「なら私もする~~」
「え、ちょ!優未?!」
「ぶ~、一刀君は私とキスするのは嫌なの?雪蓮と華澄にしたのに?」
「いや、だから俺からしたわけじゃ……」
「そんなことはいいの!どうなのよ!したいの?したくないの?」
「え、いや、あの……」
(ガラガラッ!)
「あなた達!ここは病室なんですよ!静かにしなさい!」
勢い良くドアが開き看護婦が現れ雪蓮たち4人に注意をした
「「ご、ごめんなさ~い!」」
「もう、優未のせいで怒られちゃったじゃない」
「え~!私のせいなの?雪蓮や華澄が一刀君にキスしたのがいけないんだよ~」
「あら、私は一刀にお仕置きをしただけよ?」
「私は好きだからキスしただけよ♪」
「なら、私も一刀君のことが好きだからキスする~」
「うわ!優未?!」
「ちょっと!一刀にキスなんてさせないんだから~」
「や~だ~!私もす~る~の~~~~~!」
(ガラガラッ!)
「何度言えばわかるんですか!」
「「すいませ~ん!」」
再び看護婦が現れ注意をされる四人であった
「本当大丈夫なの一刀?」
二日後、病院の検査も終わり学校に登校していた一刀を心配そうに雪蓮は尋ねてきた
「大丈夫だよ、しばらくは部活にも出れないしね。ま、ゆっくりとするさ」
「そう、でもあんまり無理しないでよ?」
「大丈夫だって、雪蓮は心配性だな~」
「そりゃ、目の前であんな光景見せられれば心配にもなるわよ」
「そうだよな、ごめん。あとで、優未たちにも謝っとかないとな」
「そうね、でも、一番心配してたのは私なんだからね」
「ぶ~!私が一番心配してたんだから!」
優未は不満そうに頬を膨らませて立っていた
「おはよう、優未」
「うん!おはよう一刀君!それより、雪蓮が一番心配してたって誰が決めたのよ!」
「そんなの私に決まってるじゃない♪」
「それは公正な判断で決められて無いわよね、雪蓮」
「あら、琳まで来ちゃったわ。残念、折角一刀と甘~い登校を満喫しようと思ってたのに」
「それは悪いことをしたわね。でも、そんなことは私が許さないわ」
「そうだそうだ!私だって許さないぞ!」
「許さなかったらどうするのかしら?」
雪蓮は両腰に手を当てて琳と優未を見据えていた
「簡単なことよ。一刀」
「え?俺?」
「ええ、あなたよ、ちょっとこっちに来なさい」
「あ、ああ」
「ちょっと何するつもりよ琳」
「ふふふ、あなたは見ていれば良いのよ。優未、ちょっと来なさい」
「な、なによ……まさか!私の貞操を!」
「それはとても魅力的だけど違うわ」
「魅力的なの?!」
優未はありえないといった雰囲気で後ずさりをした
「いいから来なさい。……との……に……き…………を……よ。わかったかしら?」
「二ヒヒ♪オッケーそれなら任せてよ!」
琳からの耳打ちのあと優未はニンマリと笑った
「な、なんだか嫌な予感がするわね……」
「そんなことないよ~♪ほらほら、一刀君はこっちに来て来て~♪あ、雪蓮はそこから動かないでね♪」
「ほら一刀早く来なさい」
「あ、ああ」
一刀は戸惑いながらも言われたとおりに琳と優未の間に立った
「行くわよ、優未」
「うん!」
「「せーの!」」
「なっ!?」
「え、ええ~~~?!ちょっと優未に琳なに一刀にしてるのよ!」
「何って、頬にキスよ。見れば解るじゃない」
「そうそう、一目瞭然だよね♪」
「こら!私の一刀になにするのよ~!」
「あら、あなたの一刀ではないはずよ」
「そうだそうだ!」
「むむむ~!」
「そろ~り」
「一刀?声で言っていたら逃げてるのがわかってしまうわよ?」
「え?!あ、いや~……それじゃ!」
「あ!逃げた!」
「待ちなさい一刀!」
「待ってよ~一刀君!」
「逃がさないわよ一刀!」
一刀は三人から距離をとりダッシュに逃げた
「はぁ~、やれやれ、酷い目にあった」
教室に着き、席に着いた一刀は溜息を一つ吐いた
「なんや、かずピーなにかあったんか?」
「ああ、色々とな」
「そんなことよりかずピー!いい情報仕入れたで!」
「なんだよ、どうせくだらないことだろ?」
「ちっちっち、甘いでかずピー、あまあまや!」
「わけわからん奴だな」
「知りたいか?知りたいか?かずピー」
「なんだよ、もったいぶらずに言えよ」
「ふっふっふ、実はこのクラスに転校生が来るらしいで!」
「へ~」
「なんや拍子抜けやな」
「だって、転校生なんて珍しいけどそんなもんだろ?」
「はぁ~、わかって無いなかずピーは、転校生それは甘美な響き!」
「はいはい」
「かずピーのいけず~」
「そんなことよりいいのか?」
「ん?なにがや?」
「後ろ、お前も懲りないよな」
「後ろになに、が……は、ははは」
振り返る及川は見てはいけないものを見て顔が引きつっていた
「おはようございます北郷君、ちょ~っと及川さんをお借りしますね」
「かずピー助けては……くれないわな」
「ああ、俺にはお前を助けることは出来ないようだ」
「では、お借りしますね」
「か、かずピ~~~~!ゲフッ!」
「……い、今ボディーに見えない速さで何かが入ったような……」
「北郷君?」
「は、はい?!」
「知らないほうが幸せなこともあるのよ?ふふふ……」
「で、ですよね!は、ははは!」
不敵な笑みを浮かべクラスメイトの女子たちはノビた及川を連れて教室を出て行った
「……女子って怖いな……」
シミジミ思う一刀であった
しばらくするとヘロヘロになった及川が戻ってきた、それと同時に担任教師も教室に入ってきた
「ほら、ホームルームはじめるわよ!及川君も早く席に着きなさい」
「うぅ~、先生もう少し労わって欲しいわ」
「あら、逆に私を労わってもらいたいわね。ほら、良いから席に着きなさい。今日は転校生を紹介するわ」
「及川の言ったとおりだな」
「それじゃ、入ってちょうだい」
「はい」
「「……」」
教室に入ってきたのはポニーテールをした黒髪が美しい女の子だった
「我が名は、関う……んん!関愛紗だ、みんなよろしく頼む」
思わず教室の中が静まり返った
「……っ!」
関は教室を見回しある一点に目が止まった。そして……
「ご主人様!」
「「は?」」
「へ?」
関の一言で場の空気が一気に止まった
「ご主人様、私です!愛紗です!」
「え?ええ?!」
「か、かずピー、転校早々の女子にナンパでもしたんか?!」
「す、するわけないだろ!初対面だよ!」
「な!ご主人様は私を忘れてしまったのですか!一緒に乱世を乗り越えてきたではありませんか!」
「ご、ごめん、本当に知らないんだ……」
「そんな……」
関はその場に座り込み絶望に打ちひしがれている様だった
「その……なんて言ったらわからないけど、俺でよかったらいつでも力を貸すから」
「ご主人様……」
「それと、そのご主人様ってやめてくれるかな?俺、関さんの主人でも無いし、周りの目もあるからさ」
一刀は困りながらも関の手をとり立たせた
「わかりました。では、か、一刀、さまと呼ばせていただきます」
「さ、さまもなしには「出来ません!」……は、ははは」
「記憶が無くても私の一刀さまにはかわりありません!呼び捨てになんて出来るはずが有りません!」
「私の?」
「一刀さま?!」
クラスの立った数人の男子に睨まれる一刀
「おのれ北郷……天音先輩や優未先輩、そして、同学年でお金持ちの華澄さんまでも虜にしてまだ足りないか!」
「かずピー……今回ばかりは庇いたて出来へんわ……自分もちょっと許せんわ」
「む、一刀さまにあだなす輩はこの私が成敗してくれよう!」
関はどこからとも無く薙刀を取り出し一刀を庇うように立ちはだかった
「ちょ!か、関さん!やりすぎだから!」
「愛紗とお呼びください。一刀さま」
「あ、うん……愛紗」
「はい!」
愛紗はこれまでにないほど可愛らしく笑った
「では、さっそくこの輩どもを「ちょっと待った!」……なんでしょうか、一刀さま」
「すでに、戦意喪失してるんでもうやめようね。それと今は授業中だからその薙刀しまおうね」
「あ……す、すいません!ど、どうぞ、続きをお願いします!」
目を丸くする担任教師に愛紗は謝り話を進めるように伝えた
「あ、ああ、それじゃ関君の席なんだが……そ、それじゃ北郷の隣の席に座ってくれるかな」
「はい!これで一刀さまといつでも一緒ですね!」
「そ、そうだね。これからよろしくね愛紗」
「はい!全身全霊を持って一刀さまをお守りいたします!」
「どちらかと言うと男性が女性を守ると思うんだけど……とにかくよろしくね」
一刀はとりあえず考えることを止めた
(キーンコーンカーンコーン)
昼を知らせる鐘がなり、生徒は思い思いに昼食を食べる
「お昼だ~!ほら雪蓮、早く一刀君のところに行くよ!」
「わかったから落ち着きなさい」
雪蓮と優未は弁当を持ち一刀のクラスへと向った
「お~い!一刀く~ん!一緒にお昼たべ、よ……あれ?」
「どうしたのよ優未。早く一刀とお昼食べましょうよ」
「そうしたいんだけど、一刀君が居ないんだよ」
「え?……本当だ居ないわね……あ、確かあの子、一刀の友達の及川君だったわね」
「あ~、あのメガネの子?呼んで聞いてみよっか。お~い、及川君って人~」
「ん?確かかずピーのお知り合いの天音はんと音無はんやったかな」
「そそ、一刀君はどこに行ったの?」
「かずピーなら今日転校してきた女子とお昼に行ったで」
「「な、なんですって!」」
「ちょっと!それどういうことよ!」
「ちょ、あ、天音はんく、苦しい……」
「雪蓮!お、落ち着いて!」
「あ、ご、ごめんなさい。で、どういうことよ」
「げほ、げほ、なんか、今日転校してきて行き成りかずピーの事をご主人様とかいいだして」
(っ?!そ、それって前に管輅さんが言ってた二人のうちの一人ってこと?!これは不味いよ~)
「と、とりあえず一刀君とその人は何処に言ったの!」
「確か、中庭に行くとか言ってた様な」
「中庭ね!行くわよ優未!」
「あ、待ってよ雪蓮~!」
「……かずピーだけなんでこんな良い思いしとるんや、グスン」
一人涙を流す及川は後ろに慰めようとしている巨漢が居ることに気づいていなかった
(どぅふふ♪泣いてる及川ちゃんも可愛いわね。母性本能をくすぐられるわん♪)
「……あら雪蓮、優未も血相変えて何処に行くのかしら?」
琳は前から来る雪蓮と優未を見つけ話かけてきた
「琳!なんか一刀に他の女が居るらしいのよ!」
「なんですって!何処に行ったの!」
「中庭らしいわ。だから私たちも行くところなのよ」
「そ、そう、私は関係ないからどうでもいいわ」
「……そういいながらなんで一刀君の教室の方に向かってるのかな?それにいつもよりお弁当の大きさ大きくない?」
「っ!?き、気のせいよ。どうしてもと言うなら行ってあげても良いわよ」
「じゃ、来なくて良いよ。ほら、早く行こう雪蓮!」
「そうね。それじゃね琳!」
「ちょっと待ちなさい!行くわよ!」
「なら素直に行くって言えばいいのに」
優未は琳の素直じゃない態度に苦笑いを浮かべた
「う、うるさいわね!さっさと行くわよ!」
「本当あんた達って仲いいわね」
「「よくない!」」
「……本当、仲良いわ。さ、行くわよ!」
雪蓮は呆れながらも微笑ましく見ていた
「行くのは良いけど中庭の何処に居るのかわかっているの?」
「……さ!探すわよ!」
「はいはい、知らないのね。とりあえず中庭に行きましょう」
「なんで華澄が仕切ってるのよ!」
「優未、今はそれどころじゃないでしょ、早く一刀の所に行くわよ」
「でも雪蓮~、私達の方が年上なんだよ~」
「そんだけあんたが頼りなく見えるんじゃないの?」
「そんな~」
「ふふふ、頼りないほど可愛く見えるものよ」
「私はそっち系じゃな~い!」
「居た?」
「こっちには居なかったわ。雪蓮の方はどうだったの?」
「こっちもダメね~」
「となると私達が行って無い場所はあそこだけね」
「それじゃ乗り込も~~~!」
「優未それってものすごく強行突破みたいに聞こえるわよ」
「似たようなものじゃん!ほらほら行くぞ~~~!」
(とにかく確かめないと……ご主人様って言ってたって事は、きっと蜀の人の誰かのはず!……あれ?)
そこで優未はあることに気がついた
(ご主人様って言っていたって……まさか、記憶を持ってるってこと?そんなことって!)
「?どうかしたの優未?」
「え?!な、なんでもないよ雪蓮!早く行こう!」
「これ以上早く走れないわよ」
「それでも早く行くの!」
「それなら心配ないわよ。もう直ぐ着くわ」
琳の言ったとおり目的の場所は直ぐ目の前だった
「いた!一刀君だ!」
「あの子誰?一刀と一緒に居る子」
「あら、結構可愛いわね。ふふふ、食べちゃいたいくらいに」
琳は舌なめずりをしながら女の子を見ていた
「そんなことよりこれからどうするの?一刀君とこれじゃお昼食べられないよ!」
「あら、そんなの決まってるじゃない♪」
「そうね、やることは一つね」
「え?」
「「突入あるのみ!」」
「えええええ?!あ、ちょっと!」
止めるまもなく雪蓮と琳は一刀が居る所まで歩いていった
「ま、待ってよ!雪蓮~!」
「一刀!」
「あ、雪蓮、それに琳に優未もどうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ。教室に行ったら居ないし探したんだから」
「あ、ごめん、愛紗に構内を案内しててさ」
「愛紗?」
「うん。今日転校してきた関愛紗」
「はじめまして、関愛紗だ。よろし……」
「ん?どうしたんだ愛紗」
「なんでここに曹操殿がいるのだ!」
「「は?」」
「一刀さま!なぜ曹操殿が居るのです!」
「え……そ、曹操ってだれ?」
「誰って目の前に居るではありませんか!」
「あら、人に指をさすなんて失礼な子ね」
(やっぱり……あの世界の記憶があるんだ。でもなんで?雪蓮や華澄は記憶ないのに……聞いてみるしかないか)
「私のことを曹操と言うのは光栄だけど、私の名前は華澄琳よ。誰と間違えているのかしら?」
「そんなはずは無い!確かに曹操殿のはず!この髪の巻き毛具合!」
「と、とりあえず落ち着こうよ愛紗」
「しかし……」
「ね」
一刀は笑顔で愛紗の顔を見た
「は、はい……すまなかった、少々取り乱してしまった」
「別に良いわよ。それより私達もちゃんと紹介しないといけないわね」
「そうね、私は天音雪蓮。三年生よ」
「音無優未!同じく三年生!」
「さっきも言ったけど、私は華澄琳。あなたと同じ二年生よ」
それぞれ自己紹介をしお昼を食べる五人
「どうどう!一刀君!美味しい?」
「ああ、美味しいよ」
「本当?!やった~♪」
「ちょっと私のも食べてよ!一刀!」
「わ、わかったから、雪蓮落ち着いて!」
「ほらほら、一刀。あ~ん」
「え?!」
「あ~ん」
「あ、あの雪蓮?」
「あ~ん」
「……あ~ん」
「どう?美味しい?」
「う、うん。美味しいんだけど……」
一刀は苦笑いを浮かべながら周りを見ると機嫌が悪そうな顔が二つと般若の仮面を被った人が一人いた
「は、ははは」
「一刀、私の前でいい度胸ね」
「一刀君!私のも、私のも!あ~ん!」
「……」
「え……」
「ほらほら、一刀君!あ~ん」
「うぅ……」
「一刀君、私の食べてくれないの?」
優未は目に涙をためて一刀を見つめた
「う゛……あ、あ~ん」
「雪蓮と優未のも食べたんだから私のも食べてくれるわよね?」
「は、はい……あ~ん」
(ブチッ)
「あ、今なんか切れる音が聞こえなかったか?」
「え?私は聞こえなかったわよ?優未は」
「私も聞こえなかったよ?華澄は聞こえた?」
「聞こえなかったわね。でも、とりあえず一刀からは離れたほうが良いみたいね」
「え?なんで?……あれ、雪蓮に優未?それに琳までなんで離れるんだ?」
「か~ず~と~さ~ま~~~~」
一刀の後ろにどす黒いオーラが燃え上がっていた
「ひっ!」
「一刀さま?少々お話があるのでこちらに来ていただけますか?」
「え?でも今ご飯食べてる最中だし……」
「あ~一刀?気にしないで逝って来て良いわよ」
「ちょ、雪蓮?!なんか字がおかしくない?!」
「そ、そうです。愛紗さんのお話を聞いて来てください」
「私達はここでゆっくりとご飯を食べて待っているわ。だから一刀は逝って来て良いわよ」
「優未に琳まで!それに琳も字がなんか違う気がする!」
「三人とも感謝する。では、逝きましょうか一刀さま」
一刀は愛紗に襟を掴まれ引きずられて見えなくなった
「……愛紗って結構、嫉妬深い?」
「み、みたいだね。一刀君大丈夫かな」
「殺すことはないでしょ。さ、お昼を食べてしまいましょ」
「琳、あんたって結構冷たいのね」
「ふふふ、楽しんでいるだけよ」
「そんなもんかしらね。それにしても、また一刀のこと好きになった子が増えちゃったわね」
「私の一刀君なのに!」
「あら、聞き捨てなら無いわね。誰があなたの一刀ですって?あれは、私のよ」
「なに言ってんの二人とも。一刀は私のことが好きなのよ♪」
「ちょっと!なんで一刀君が雪蓮のこと好きってわかるのよ!」
「だって、私と一刀はこの時代で出会う前に出会ってたんだもの♪」
「え?雪蓮……今なんて?」
「ん?この時代で出会う前に出会っていたって言ったのよ。ま、でも、そんな気がするだけなんだけどね」
「なによそれ、だったら私だってそうよ。まあ私は?そんなオカルト的なことは信じないけれどね」
「……」
(雪蓮も華澄も記憶を思い出しつつあるってこと?でも、雪蓮はわかるとしても、華澄は完全に記憶がなくなってるって言ってたはず……どうなってるの?)
「あ、あの~」
優未が二人を見ながら考えていると、優未の後ろから声を変えられた
「?あら、なにかしら、私達に用でも?」
(あれ?この子って確か、蜀の……)
「はい、ここら辺でお昼を食べていると聞きまして、黒髪の男の子なんですけど」
「「……」」
三人は顔を見合わせて話し始めた
「黒髪の男の子って何処にでも居ると思うんだけど」
「そうだよね」
「あの子、天然?」
「あ、あの~……」
「あ、ご、ごめんなさい。それでその黒髪の男の子にどんな用事が?」
「はい!実はですね……」
丁度その時だった。一刀が愛紗の説教から帰ってきた
「ふぅ……つ、疲れた……」
「あ!見つけた!」
「「え?」」
女の子は走って行き一刀に抱きついた
「「なっ!」」
「やっと見つかったよ~!探したんだから」
「え?……あ、君はあの時の」
「うん!あの時は助けてもらってありがとうございます」
「いやいや、対した事してないから」
「そんなことないですよ!すっごく助かりました!」
「あ、あの一刀?その子は?」
雪蓮は一刀に抱きついている子に指をさした
「あ、挨拶が遅れました。私は、桜崎桃香って言います。二年生です!」
「それで、桜崎さんは一刀君とどういう関係なの?」
「はい、それがですね。放課後に荷物を運んでいるところを助けていただいたんです」
「流石は一刀さま、良い心がけですね」
「そ、そうかな?そ、それより桜崎さん?そろそろ離れてくれるとありがたいんだけどな」
「え~、なんでですか?私は離れたくないです。それに桃香って呼んでください!一刀さん♪」
「え?俺、教えたっけ?」
「いいえ、でも、クラスと人に特徴言ったら直ぐにわかりましたよ♪それに……」
「それに?」
「私は一刀さんを見た瞬間、好きになっちゃったんですから♪忘れられないですよ」
「そ、そうなんだ……で、でもとりあえず離れてくれるかな?そ、その色々と大変なことがあるからさ」
「え~、一刀さんがそう言うなら離れますね」
「……一刀?鼻の下伸びてるわよ?」
「え!そ、そんなことないよ!」
「「やっぱり、胸なのね!一刀はでかいほうが良いのね!」」
見事に雪蓮と琳の声はそろった
「だったら、一刀君は私の胸も好きって事だよね♪」
(ぷにっ)
「うわ!ゆ、優未?う、腕に抱きつかないで!」
「え~、いいじゃんよ~好きなんでしょ?」
「す、好きだけど……」
「あ~!ずるいです!だったら私も一刀さんに抱きつきます。えい♪」
「うわ~~!と、桃香さんまで?!」
「もう、呼び捨てで良いですよ一刀さん♪」
「「むむむ……」」
雪蓮と琳は自分の胸を押さえ唸っていた
「一刀さま……」
「あ、愛紗?!こ、これはその!って、うわ~~!」
愛紗は後ろから一刀に抱きついてきた
「あ、あの愛紗さん?!」
「わ、私だって胸は大きいほうですから……」
愛紗は恥ずかしそうに一刀の背中に押し付けてきた
「はっ!ちょっと?!あなたはこの桜崎って人のことはどうも思わないわけ?」
雪蓮は我に返り愛紗に問いただした
「それがなぜか、彼女には逆らってはいけないような気がするのだ。」
(それってやっぱり、主従関係だったからって事なのかな?でも、それよりも……)
「一刀君!私の胸の方が良いよね!」
「そんなことないです!私ですよ!ね?一刀さん♪」
「わ、私の胸はど、どうでしょうか。一刀さま……」
「あ、その、ど、どれもいいんじゃない、かな?」
「「っ!か、一刀の……」」
「え?」
「「バカ~~~~~~っ!」」
「ぶはっ!」
一刀の両頬に雪蓮と琳のパンチが入り見事に宙に浮いた
「ふん!気分が悪くなったから先に戻らせてもらうわ……一刀のバカ……」
琳は立ち上がりその場を離れていく時、小さな声で呟いていた
「優未、私達も帰るわよ」
「え~、一刀君がかわいそうだよ~」
「いいのよ、胸しか見てない一刀なんて……私だって胸が大きければ……」
「あれ?雪蓮、焼いてるの?胸が無いからって一刀君はそんなことで人を判断しないよ~」
「っ?!わ、わかっているわよそんなこと!い・い・か・ら、早く来なさい!」
「痛いよ!耳引っ張らないで!あ、歩く、歩くから!それじゃね!二人とも!一刀君によろしく言っておいてね!」
「……」
「行っちゃいましたね」
「行ってしまったな」
「えへへ、楽しい人たちですね」
「ふぅ、そうだな。これなら一緒に居ても飽きそうにないですね」
「あ、そう言えばあの人たちの名前聞いてなかったよ」
「次にあった時に聞けばよろしいかと。私は関愛紗と申します」
「うん!愛紗ちゃんこれからよろしくね!」
「はい、ですが、私は今日転校してきた身、逆にこちらがよろしくお願いしますと言わなければなりませんね」
「そうだったんだ~!それじゃ今日から私達は友達だね!」
「私と友達、ですか?」
「うん!そうだよ。だってその方が楽しいよ!」
「そう、ですね。桜崎殿よろしくお願いします」
「ダメダメ!友達になったんだから桃香って呼んでくれないと」
「呼び捨てはちょっと……桃香さまと呼ばせてください」
「え~、さまもなくていいよ~」
「いえ、なんだかつけなければいけない気がするので」
「そっか、それじゃ仕方ないよね。」
「いつつ……あ、あれ?雪蓮たちは?」
「一刀さま!お怪我は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。それよりお昼食べる時間なくなっちゃったな。もう直ぐ予鈴がなる時間だ」
「あ、もうそんな時間になっちゃったんだね。もう少し一刀さんとお話したかったのに……」
「それじゃ、また今度話そうか」
「え、いいの?!」
「ああ、いいよ。俺も桃香の事知りたいからね。もちろん愛紗もね。だから今度一緒にお昼を食べよう」
「うん!楽しみだな!一刀さんとお昼!」
「で、では、私も、お、お弁当を作って来るとしましょう。その時はた、食べていただけますか?一刀さま」
「うん、楽しみにしてるよ愛紗」
「は、はい!心を籠めて全力で作らせて頂きます!」
「うん……あ、予鈴が鳴っちゃったね。それじゃ、戻ろうか」
三人は予鈴がなり教室へと戻っていった
葉月「お待たせしました!前回の投票の結果発表です!」
雪蓮「それよりどういうことよ。二人も蜀から出てくるなんて!」
優未「そうだよ!不公平だ!」
葉月「ちっちっち、甘いですよ二人とも」
雪蓮「どういうことよ」
葉月「確かに桃香は蜀からですが、愛紗は違いますよ!」
優未「何処が違うのよ。愛紗は蜀の武将じゃない」
葉月「とにかく違います。読者の方はわかっている方が多いと思いますのであえてここでは言いません!」
雪蓮「私がわからないんだから教えなさいよ!」
葉月「教えませんよ~……さて、投票の結果発表は下記の通りです!」
一位:雪蓮(14票)
二位:桃香(9票)
三位:愛紗(8票)
四位:琳(7票)
五位:優未(6票)
葉月「このような結果になりました。やはり雪蓮さんはダントツですね」
雪蓮「ふふふ、当たり前よ。この作品の主役なんだから!」
優未「うぅ……私、最下位……」
葉月「やはり皆さん、新キャラのシナリオが気になるのか私の予想通りの三人が個別シナリオを獲得しましたね」
優未「は、謀ったわね!葉月の癖に~~~~!」
葉月「別に謀ってはいませんよ。これが、読者の声なのです!素直に受け入れなさい!」
優未「うぅ~、雪蓮~、葉月が苛める~~~」
雪蓮「よしよし、可愛そうに葉月に弄ばれたのね」
葉月「ちょ!そんなことするわけ無いじゃないですか!」
優未「だったら書いてよ私の話」
葉月「う……」
優未「……(キラキラキラ)」
葉月「じ、次回のお話で!優未と琳の個別を書くって事で納得してください!」
優未「よし次回の個別シナリオゲットだぜ!」
葉月「……もともとそのつもりでしたけどね」
優未「何か言った?」
葉月「な、何にも言って無いですよ!」
雪蓮「それより、次回の個別シナリオは誰からにするのかしら?」
葉月「あ、はい、それは、三人の仲で票が少ない順から行こうかと思ってます」
雪蓮「……また私が最後って訳ね」
葉月「そうなりますね……に、人気者は辛いですね!雪蓮」
雪蓮「ふ、ふふふ、そう言うことにしておきましょう……ってな訳ないでしょーーーー!」
葉月「そうですよねーーーー!でも、もう決定事項なので変更しません!では、さらば!」
雪蓮「待ちなさい!いい加減、私を最初に書きなさいよ~~~~!」
優未「あらら、行っちゃった……それじゃ、皆さん!また来週!」
愛紗「桃香さま、次回は私の話らしいです」
桃香「そっか~すごいね愛紗ちゃん!」
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トラックに撥ねられた一刀
そして、雪蓮見た光景とは?
後書きに前回の投票結果を載せています。
あと、段々と話が崩壊し始めてる気がする今日この頃ですが生温かく見ていただけるととても嬉しいです。
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