北郷一刀は呆けていた。
「……何で?」
彼は自室で寝ていたはず。なのに目を覚ましたら見知らぬ土地にいたのだ。呆けるのも当然だろう。
「夢か?」
そう、普通ならありえない現象が起こったのなら、普通の人なら夢だと疑うだろう。
彼も例に漏れずそうだった。とりあえず服なり地面なりに触れてその感触から答えを得ようとした。
しかし
「夢じゃない……?」
触れてみるとそこに確かな感触があった。そうなるとよりパニックに陥る。何故、いつからこんなとこに?そもそもここはどこか?と。
そんなことを考えてると
「おい兄ちゃん」
と、彼を呼び掛ける声。
「はい?」
そう言って一刀は声がした方を向いた。そこにいたのは
「コスプレですか?」
普通の人ならその服を着て外を出歩くことはないよね、という格好をした男が6人。
それだけならまだいい。だが
(何かあまり良い雰囲気じゃないな……)
と一刀は不穏な気配を感じていた。
「こす……?まぁいい。オメェ珍しい服着てるな、ちょいとそいつと足元にあるこれまた珍しい剣、あと有り金全部よこしてもらおうか。そうしたら命までは取らねえぜ?」
そう言って男たちは剣を構え出す。
(ちょ……それに服?剣?)
そう思って自分が着てる服と足元を確認してみる。
(聖フランチェスカの制服……足元にあるのは『無銘』?)
寝巻だったはずの服装は制服に、足元には聖フランチェスカ入学時に祖父から預かった刀、ついでに通学鞄があった。
(いつの間に着替えてたんだ?そもそもなんで鞄と無銘まで)
等と悠長に考えていたのだが、状況が状況。そんな余裕はないわけで……。
「おい、何黙ってやがる!渡す気がないってならその首斬り落とすぞ!」
と脅される始末。相手は複数、更に凶器持ち。明らかな劣勢。
「その剣が偽物ってことはないですよね……?」
「あ?だったら斬られてみるか?」
しかも間接的に挑発して更に劣勢に追い込まれる始末。
(これがじいちゃんが言っていたやらざるをえない時なのか……?)
一刀は祖父から剣術を習っていた。剣道とは違う実戦で使うための剣だ。
「長い人生何が起こるか分からん。やらざるを得ない時がくるかもしれん。その時のために鍛えておくのは悪いことではない。無駄になるようなことでもないしな」
とは一刀の祖父の言。そして一刀の目の前の風景。ならば……
(覚悟を決めろ、北郷一刀。幸い、どいつも武器を持ってるだけで使えるという感じではない。数の利はないが負けないだろう。殺すのは無理だが……だったら殺さなきゃいい)
「分かった」
「お、ようやく譲る気になったか?」
男はそう言うが、相手にすることなく無銘を拾い上げ、抜く。右手に鞘、左手に刀のある種の二刀流。
「おいおい、おまえ人数差分かってるのか?」
そう言いながら下卑な笑みを浮かべる男を見て、一刀は一言。
「行くぞ!」
そう言って男たちに突進する。
彼の祖父が言っていた「やらざるを得ない」時。それが始まったばかりなのは、今の彼には知る由もない。
あとがき。
どうも初めまして、あお。と申します。
始まりました。始めてしまいました二次創作小説。
大まかな流れとか色々考えていたんですが一話目から形にするのが難しい難しい……。
何かしら意見があれば、可能な限り取り入れていきたいと思っていますのでどんどんお教えください。
あと、皆様の嫁についてですが「こんなんじゃねえよ!」って場合は……
言ってください。時間がないので拠点だけやってちょいと感覚取り戻します。
さて次は第二話。
やっとヒロインが出てきます。
その分動かしやすいと思うので今日が終わるまでに更新できたらいいなぁ。
では第二話のあとがきでお会いしましょう
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何かしら形にしたかったので投稿します。
ちなみに一刀君の武力上乗せ+思考回路変更(?)してます。チートにするつもりはないです。許容してくれるとうれしいなぁと作者は思ってます。