一刀達が成都に入ってしばらく経ったある日のこと。
一刀は桃香、朱里、紫苑&璃々と一緒にお昼を食べた。
そして璃々が最近何をして遊んでいるようなので、一刀は尋ねた。
「かちょーかめんごっこ!」
「ぶっ!」
朱里は思わず口に含んでいた茶を吹き出してしまった。
「あらあら、大丈夫? 朱里ちゃん」
「う、うみゅ……大、大丈夫、れす……」
「華蝶仮面?」
「うんそうだよ!」
璃々が一刀に元気よく答える。
「おかしいな……」
華蝶仮面の正体である星は華蝶仮面にならないように一刀がパピヨンマスクを没収し、厳重に保管しているうえに自分が基本的に持ち歩いているのだ。
一刀は上着のポケットを探って確める。ポケットにはマスクが入っていることをきちんと見て確認した。
「あるよな……」
一体何故と思う一刀。
そして先ほど吹き出した朱里の方を見る。
「な、何でしょうか……?」
「いや、別に……」
一刀は聞こうと思ったが、やめた。
「ところで璃々ちゃん。その華蝶仮面って人気なの?」
「うん! 街じゃ知らない人がいないくらい!」
「そんなにか……」
一刀は考える。
(まさかあいつ新しくマスクを手に入れたのか? それとも作ったのか?
どちらにしろ星が絡んでいるのは確かだ……。それと……)
一刀は再び朱里の方を見る。
(朱里も一枚絡んでいるのは確かだな……)
「確か、華蝶連者と名乗っているはずですよ。今は二人ですが、本当はもう一人いる三人組だとか……」
一刀が考えている時に紫苑が言ってきた。
「三人?」
「はい」
「ぶっ!」
朱里の顔は真っ赤になっていた。
(そう言うことか……。でももう一人は誰だ?)
一刀がそう考えていると……。
「大変なのだーーーーーーーっ!」
鈴々が慌てた様子で一刀達のところにやって来る。
「どうしたの? 鈴々ちゃん」
「他国の侵略か!?」
「違うのだ。街にちょうちょ仮面が現れたのだ!」
「何! 華蝶仮面が出ただと! っても緊急事態か?」
「えっと……。お姉ちゃんや璃々が見たいかな、って思って」
「あ、見たい見たい!」
「ちょっと桃香」
一刀が桃香の耳元でつぶやく。
「何、ご主人様」
「お前な。華蝶仮面は星だって知ってるだろ?」
「知ってるけど、華蝶仮面の時の星ちゃんはいつもと雰囲気違うから面白いんだもん。
だから見たいもん」
「そうかい……」
一刀は少々呆れてしまった。
「でもそれってご主人様も同じだよ」
「俺も?」
「うん。特に電王に変身してるときなんか」
「ああ……勘弁してくれ」
一刀は妙な納得をしてしまう。
「ねえ、お母さん。見に行ってもいい?」
「そうねぇ……。そう言えば、お母さんもまだ見たこと無かったわね」
「なら、皆で見に行くか」
「あ、あの、ご主人様。まだお仕事が……」
「お前も来い!」
「はぅわ!」
朱里は一刀に無理やり連れて行かれた。
そして一刀達は街に行ってみると、かなりの人だかりを目撃する。
「かなりの数だな……。ちょっとすいません」
一刀が先頭に出て、人だかりをどける。
そして人だかりの先を見た!
それは十人くらいのごろつきと一人の華蝶仮面が戦っていた。
「今日は一人のようですわね」
「おおーっ!」
一刀はその華蝶仮面を見る。
それはなんと星ではなく、紫色のパピヨンマスクを恋であった。
「何があった……」
恋が華蝶仮面をしているとは聞いていなかったので驚きを隠せない一刀。
「…あの、ご主人様」
紫苑が恐る恐る一刀に尋ねる。
「言わなくて良いぞ。紫苑」
「ああ、お気づきでしたか」
「普通分かるよ」
しかしそう言いながらも桃香と鈴々の方を見る一刀。
「おーっ! そこだーっ、がんばれーっ!」
「いけーっ! あっ、危ないのだ!」
桃香と鈴々は盛り上がっていた。
「紫苑」
「はい」
「実はここだけの話なんだが、もう一人は知らないが、噂のもう一人は星なんだ」
「あら、そうなのですか」
一刀は紫苑の耳元で華蝶仮面の最初の話を教えた。
「そんなことがあったのですか……」
「一応、星の仮面は俺が今持ってるから華蝶仮面になれないはずなんだけど…」
「何故か今、恋ちゃんが華蝶仮面をしていると……」
「とりあえず星を見つけたら理由を聞きださないとな……」
一刀がそう考えていると……。
壁側に居た朱里がへんな怯えを見せていることに気付く一刀。
「えと、その……」
「戸棚の上から三段目」
(この声……)
何やら聞き覚えのある声が物陰から朱里に言っているようであった。
「! ふ……ふふーんだ。もうその手は通じないですもんねー!」
(何だ?)
「そうか。そう言えば、寝台の下に移ったのだったな。確か……左の隅、だったかな?」
「……ひっ!」
「……では、待っているぞ!」
その物陰にいた影は消えていく。
(朱里、お前はどこの中学生だ……)
そう思いながら、朱里の方に寄る一刀。
「そう言うことだったのか……。脅されたな……」
「いろいろと事情があるんです。ご主人様」
「あまり知りたくないけどな……。とりあえず行って来い」
「……はい……」
そして朱里は別の物陰へと入って行った。
「さてと……出てこい、星」
そう言われると星が先ほど朱里が何者かと会話をしていた物陰から姿を現した。
「星……。どういうことか、聞かせてもらうぜ」
一刀はいつの間にデンオウベルトをしており、しかも赤いボタンを押してモモタロス状態になっていた。
「うむ……。こうなってしまっては……言わざるをえまい」
「じゃあ最初に聞くが何で恋が華蝶仮面をやってるんだ?」
「恋はどうもあの仮面が気に入ったようでな…。そこで私はあれと同じ仮面を探し出して恋にあげたのだ」
「そうなのか……。で、朱里の方は?」
「朱里の方は、人数を増やそうと思ってな。適当に朱里が隠してあるだろう本を言っただけです」
「適当で当たるって……勘がいい奴だな」
「ふ、それほどでも……」
「で、お前もあそこに行きたそうだな」
一刀がその星の行きたがってる場所を見る。
そう、それは華蝶仮面として戦っている恋のところである。
「恋なら一人でも大丈夫だろうが、やはり私が行かねば……」
「そうかい……」
一刀はそう言うと懐から星から没収したパピヨンマスクを星に投げ渡す。
「主……」
「そんなにやりたきゃやればいい。ただし、俺も行くからな」
「……分かりました。行きましょう! 主!」
「ああ!」
そして一刀と星は物陰からどこかへ姿を消した。
それからしばらくして……。
「待ってぇえええい!」
家の屋根には華蝶仮面星と華蝶仮面朱里と電王に変身する前の一刀が居た。
「あ、ご主人様に黄色の華蝶仮面さん! それに三人目の華蝶仮面も!」
「お、おまたせしましたぁ……」
「恋華蝶、戻れ!」
「そんな名前なんだ。あっちの華蝶仮面」
「おなか、すいた」
恋華蝶はお腹をすかせているようであった。
「後でご飯やるから!」
「………(コクッ)」
恋華蝶はうなづいた。
「それは餌付けだ」
「しかし、これでようやく名乗りを入れられる」
「え、えと……」
「堂々とやらなければ、気付かれてしまうぞ?」
「もう気付かれてるけどな」
「ふみゅう……」
「いざ!」
「変身!」
「ソードフォーム」
一刀は電王ソードフォームに変身した。
「今日はそっちに合わせるからな。早く言いな」
「は、はい……」
華蝶仮面朱里は少し間をおいて名乗り口上を言い始めた。
「天知る、神知る、我知る、子知る!」
そして華蝶仮面星がその後に続く。
「悪の蓮花の咲くところ、正義の華蝶の姿あり!」
そして名乗りが入る。
「朱華蝶!」
「…………?」
「と、恋華蝶!」
「星華蝶!」
「仮面ライダー電王!」
「かよわき華を護るため!」
「時のダイヤを護るため!」
「華蝶の連者」
「仮面ライダー」
「四人揃って」
「俺達!」
「………………ただいま」
「「「参上!!!」」」「…………さんじょう」
華蝶の三人が一刀のソードフォームのいつもの決めポーズを一緒にやる。
それと同時に四人の後ろは爆発の演出が入る。
「あっちゃあっちゃ!」
爆発で出来た火花が一刀の背中に飛び移って、一刀は熱がる。そして……。
「だああああああああああ!!」
一刀は屋根から落ちてしまった。
「ぐげっ!」
一刀は顔から落ちた。
電王なのでかなり高いところから落ちても死ぬことはまずない。
「あ、ご主人様!」
「お兄ちゃん、大丈夫なのか?」
「なんとか……」
一刀が二人の助けを借りずに起き上がろうとする。
「あの、ご主人様……」
「何、紫苑」
「あれ、工房で作っていた新兵器用の火薬では?」
「……桃香」
「何?」
「帰ったら、次の星の給料を減らすように言っておいて……。星には内緒で……」
「う、うん……」
一刀が桃香に星の給料カットを言っていると……。
「…ただいま戻りましたぁ」
「うん? 朱里は戦わないのか?」
「えと……名乗り担当なもので。戦いが終わったらまた戻らないといけませんけど」
「ま、仕方ねえか……」
一刀は完全に起き上がる。
「それで、ご主人様ぁ……」
「分かった。つうわけで子供達には黙ってくれ。当然璃々ちゃんにも……」
「うん♪」
「分かったのだ」
「はい、心得ておりますわ」
桃香も鈴々も紫苑も承諾してくれた。
「さてと、ここからが本番だ!」
一刀はチンピラ達の方を見る。
「手前!」
「俺は最初っから最後までクライマックスなんだ。途中で泣き言は聞かねえぞ!」
デンガッシャーを取り出す一刀。
「行くぜ! 行くぜ! 行くぜ!」
「では行くぞ、恋華蝶!」
横から電王、上から二人の華蝶仮面がチンピラ達の中に入って行き、瞬く間にチンピラ達を成敗していった。
「ふぅ~う。終わった……」
「では言うぞ」
「「正義は、勝つ!」「…………正義は、勝つ」
「それもあるのか?」
そしてまた後ろから爆発が起こる。
(桃香、星の給料いつもよりずっと少なめね……)
(う、うん……)
一刀が心で思ったことが伝わったのか、桃香もたらりと頭に汗をかくように承諾した。
「華蝶仮面! 警備の兵が来たぞー!」
見物人が警備兵が来たことを星華蝶達に伝える。
「む。では、これにて御免!」
三人の華蝶仮面はその場を去り、一刀も変身を解く。
「とりあえず、俺達も帰るか。愛紗に何言われるかわからないし……」
「そうだね。帰ろうか♪」
そして一刀達は城に戻ることにした。
「強かったね、華蝶仮面」
「それはせ……」
「おいおい、鈴々。それ以上は……」
「おっといけないのだ」
「なんの話?」
「何でもないよ、璃々ちゃん」
璃々の夢を壊さないようにするため注意する鈴々。
「ま、でもこれだけは言える」
「何?」
「次の星の給料は、だいぶカットだと言うことだな」
一刀は笑いながらそう言った。
「む、何やら悪寒が……」
一刀の考えを読み取ったかのように星は身震いするのであった。
おまけ
作者「初の拠点物語の続きものだ」
一刀「随分早かったな」
作者「連載するものよりは楽だし。それに原作を少し変えたくらいだからな。一から作るのよりは遥かに簡単だ」
一刀「そう言えばその新連載ものは…」
作者「ちゃんと書いてるが、なかなか思うように進まないのが現状だ。だが俺はそれでも書こうと思っている。後20%だな。最初の話を書き終えるのは」
一刀「随分かかってるな」
作者「色々あるんだよ。それとなこの話はまだまだちょびっと続くのじゃよ。
それでは…」
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基本的には真・恋姫†無双の蜀ルートの話ですが、もしも北郷一刀が仮面ライダーの力を手に入れたらという妄想から生まれました。
そして流れも基本的に原作のままですが、仮面ライダーの力があるためセリフや一刀の態度が違うところや話そのものが大きく違うところも出てきたりします。
そのためそんなの嫌だという方は閲覧をご遠慮願います。
それと今回はいつもよりも話は短く、仮面ライダーに関することはあまりありません。しかし先にも書いたように台詞が原作と違う部分もございます。それを了承の上で閲覧することをお願いします。
後、この話は『仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 拠点物語 新たな仮面ライダー現る!?』の直接の続編であり、その作品を読んでいないと分からない部分があることを前もってお知らせいたします。
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