No.124758 真恋姫無双外伝 外史をかける一刀 14話2010-02-16 04:28:27 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:6860 閲覧ユーザー数:5405 |
一刀達が孫堅の元で客将になってから二ヶ月が経った。
「北郷様、出陣準備全て完了いたしました」
「ありがとう。文台様に報告してきてくれ」
報告に来た兵にそういうと一礼をして去って行った。
兵を送り出した一刀の元に一人の少女が走ってきた。
「すみません。雪蓮を起していて遅れてしまいました。先生」
一刀を先生と呼んだ少女は長い黒髪にメガネを掛けた後に三国で知らぬ者はいないであろう後の大都督
『美周朗』周瑜であった。
「おはよう、冥琳。その先生ていうのはやめてくれないかな?実際に勉強を教えてるのは奏香だし」
「いいえ、そういうわけにはいけません。確かに勉強を教えていただいてるのは司馬懿様ですが、私が分らなかった所を最後まで教えて頂けるのは北郷様ですし、自衛の為の訓練にも付き合っていただいてます。だから北郷様は私の先生なんです」
「はあ、まあいいか」
冥琳の答えに溜め息をつくと不意に冥琳の表情が曇ってるのが見えた。
「・・・怖いのかい?冥琳」
そう聞くと冥琳はビクッと驚き、小さく震えだした。
それを見ていた一刀は黙って冥琳を見ているとやがて彼女は小さな声で話し出した。
「はい。私は雪蓮と違って一度も戦場という物を見た事がありません。ですのでこれが初陣です。私は善悪関係なく人が人を殺すというのが怖いのです。そしてそれを何れ私が兵にそれを命令するようになると思うと・・・」
そういって冥琳は自分の震えを抑えようと自分自身を抱くように両腕を交差させた。
それを見た一刀は黙って冥琳の頭にやさしく手を置いた。
一刀の行動に冥琳は黙って一刀を見るように上を向いた。
その顔には今にも零れ落ちそうな涙が溜まっていた。
「『孫氏』九地篇に曰く『将軍の事は静かにして以って幽く正しくして以って治まる』・・・意味は分るね?」
その言葉に冥琳は小さく頷いた。
「戦場に立つ以上、誰にでも初陣はある。恐怖を抱くのもしょうがない。俺の時なんて気持ち悪くなって終わった後に気絶したほどだしね」
それを聞いた冥琳は一瞬信じられないといった顔をした。
「でもね、俺も冥琳も将として戦場に立つ以上その感情を表にしてはならない。だからこそ初陣の将が戦場でしないといけない事は一つ。戦場を見る事だ」
「戦場を見るですか?」
「そう。実際に戦場で武を示して敵を倒すのは俺や葉錬さん・マツリさんにサイさんが、知を以って策を出すのは奏香が、そして皆の旗になるのは文台さんに雪蓮もいる。だから冥琳はその人達を見て一つでも多くの物を学べばいい。冥琳は知識は十分戦場で役に立つ物を学べている。だからこの初陣で実際の戦場がどういうものか、そこでその知識を活かすにはどうしたらいいか学べばいい。心配しなくても冥琳の事は俺達が絶対に守って見せるからさ」
一刀の言葉とその笑顔に冥琳は、一瞬で顔を赤くしたがすぐに頭を振って気持ちを切り替えると真っ直ぐに一刀の顔を見た。
その顔には既に、恐怖も迷いもなくなっていた。
すると今度は冥琳より一回り小さい二人の女の子がやってきた。
「兄様、母様が全部隊準備が出来たって」
「北郷隊は先陣として直ちに出陣せよとの事です。師匠」
「分った。ありがとう、蓮華、思春」
そういって一刀はまだ幼い二人の頭を撫でた。
「それじゃあ悪いけど、文台様に了解したと伝えてきてくれるかい?蓮華」
そういうと桃色の髪をした少女は元来た道を走っていった。
「それじゃあ出発しようか。冥琳には先も言ったけど二人は初陣だ。焦らずに落ち着いて戦場という物を感じたらいい」
「「はい!!」」
こうして一刀は、二人の少女を連れ北郷隊としての初めての戦に赴くのだった。
後書き
まずは、やっと続きが書けるようになってほっとしてます。
今回の話ですが随分間がとんでしまってます。
これはこのまま書いていればだらだらとなってしまって何時までも話が進みそうに無かったからです。
ですので前話からの二ヶ月の間の話はこの第一章が終わってから番外編といった感じ投稿させていただきます。
さて今回の話の内容ですが黄祖との決戦に出る前といった感じです。
この辺りは次回で詳しく書きます。
この話から出てきた冥琳達と一刀がどういった関係かといいますと
冥琳 勉強の先生(学校でいう副担任のポジション)と武の特訓に付き合っている 呼び方 先生
蓮華 勉強の先生(こちらは担任ポジション) 呼び方 兄様又は一刀兄様
思春 戦い方を指導している 呼び方 師匠
雪蓮 一緒に孫堅の特訓を受けている 呼び方 呼び捨て
といった感じです。
詳しくは番外編になってしまうと思います。
ちなみに北郷隊にいるのは、一刀・黄権・司馬懿・徐栄・周瑜・甘寧
他は孫堅隊と葉錬隊となります。
所で先日投稿した第二章予告編は読んでいただけたでしょうか?
自分ではうまく書けたと思うのですがよかったら感想の方をコメしていただけたらありがたいです。
それでは次回も楽しみにしていてください。
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だいぶ遅くなりましたが続きの14話を投稿します。
だいぶ話が進んでしまいますが言い訳は後書きでします。