No.122745

恋姫のなにか

くらげさん

恋姫の面々in現代っぽい設定で妄想、煩悩マミレな+αです。

今回は孫家三姉妹+祭さんで。

2010-02-06 17:07:43 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:31276   閲覧ユーザー数:19700

 

はじめまして。初投稿のくらげともうします。

今回真・恋姫†無双の二次創作を投稿させていただきました。

 

設定等おかしな所があるかとおもいますが、「ああそういうものか」と流して頂ければ幸いです。

 

 

 

 

普段周りから「美人」と称される女性が自宅ではズボラの極み。こんな人物が身近にいる人は果たして何人いるだろうか。

 

その言葉の真偽はさておき、ここ孫家ではその逸話はある意味正解、ある意味不正解である。

 

 

“美人三姉妹+母”として昔から近所では有名だったが、三姉妹が成長するにつれてその言葉も広がりを見せていた。

 

三姉妹で一番下の小蓮が中等部に入学する頃にはその界隈では非常に有名な三姉妹になっており、三人が三人とも知らぬ間に雑誌に載っていた事もある。

 

 

生来生真面目な次女の蓮華などは隠し撮りに怒ってみせたが、『街で見かけた美人』の謳い文句には思うところがあったのか、部屋でニコニコスクラップしていたのも微笑ましい記憶である。

 

閑話休題。

 

 

人にもよる所ではあるのだろうが、やはり人がだらしなくなるのは朝起きた時だろう。

 

長女の雪蓮は決める時にはキッチリ決める、所謂“カッコイイ”女性と称されているのだが、それを家族の前でも求めるのは酷だろう。

 

 

今日も今日とて大きな欠伸を隠そうともせず、寝癖のついた長い桃色の髪を揺らしながらテーブルの席に着く。

 

 

「姉さん、また夜更かししてたの?」

 

「しょーがないじゃない、イイトコだったんだから」

 

「どーせまたゲームだろうが」

 

 

孫家というのは大黒柱を筆頭に、四人の内三人が大雑把で細かい事は気にしない家系であるのだが、【目上を敬う】という教えは徹底させられている。

 

なので、長女に対してぞんざいな言葉を浴びせたのは蓮華でも小蓮でもなく、母の祭である。

 

 

「良い具合に乳と尻の育った年頃の女が来る日も来る日もブラウン管と睨めっことは・・・こりゃシャオの方が早いこと孫の顔見せてくれそうだ」

 

 

やれやれ、とでも溜息をつきたげに(というか実際に溜息を吐いて)祭はマグカップに入ったコーヒーを煽る。

 

 

「そーだよお姉ちゃん。あーでも、お姉ちゃんの本性見ちゃったら男の人はみーんな逃げてくかな?」

 

 

むふん。とでも言いたげに人差し指を口元に当てて、歳が歳なら魔性の笑みと称される顔で小蓮が祭に賛同する。

 

因みに先ほど“目上を敬う”と紹介した所だが、このような軽口も仲良しだからこそと言うことでひとつ・・・

 

 

「相変わらず人の神経逆撫でするのが巧いわねこの母娘・・・・・・」

 

「ま、まぁまぁ。でも姉さん?姉さんがだらしが無いのは事実よ?」

 

「あーもー蓮華までお姉ちゃんの事いじめて!!」

 

 

雪蓮と蓮華が仲良くじゃれ付いているのも何時もの風景。ここ孫家では家族は皆で仲良くが鉄の掟なのだ。

 

 

しかし、苦言を呈すのも家族の役目。

 

 

「雪蓮、お前もちっとは女らしいイベントを起こしてみんか。母はそろそろ娘の男の品定めをしてみたい!」

 

「それで徹底的にコキおろして再起不能なトラウマ与えるのが最近の夢だもんね~?」

 

「うむ!」

 

「うむ!じゃないわよ全く!!大体、母さんやシャオがそんなだからこっちだって彼氏を紹介出来ないんでしょうが!」

 

 

いきなりの長女による“私、青春楽しんでます”(意訳:勝ち組宣言)だが三人に衝撃はない。

 

 

「・・・・・・雪蓮、今なんと言った?」

 

「彼氏・・・?」

 

「しょうかい・・・?」

 

 

いや、ある意味あったか?

 

 

「な、何よ、こんだけ外見も中身も良いんだから、彼氏の一人や二人ぐらい―――って、なんで売られていく子牛を見る眼で私を見るのよ!」

 

「・・・・・・すまん、少しからかい過ぎたかもしれん」

 

「姉さん・・・謝るから、家族に嘘を吐くのはやめよう?」

 

「ゴメンね、雪蓮お姉ちゃん・・・そんなに彼氏が居ないことに苦しんでたなんて、シャオ気づけなかったの・・・」

 

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

憐れみ全開の家族の視線に、長女が爆発した。程度の差を含めれば何時もの事だが、ここまで大きいのは久々である。

 

 

「なによ!私に彼氏がいるのがそんなに変なの?!」

 

「いや、だってなぁ・・・?」

 

「だってなによ?!」

 

「姉さん・・・気軽に挨拶してくる男友達は彼氏じゃないのよ?」

 

「んなこたぁわかってんのよ!」

 

「近所の小学校にも行ってないような歳の男の子に『好き』なんて言われたの、ホンキにしちゃったの?」

 

「アタシどんだけアホの子認定されてんのよ?!」

 

 

猶も家族の“お前現実認めろよ”(意訳:精神科のある病院行こうか)口撃は続き、それに一々雪蓮が反応する。

 

それが四、五分続きいい加減雪蓮が肩で息し始めた頃である。

 

 

「大体、人の事ギャーギャー言える立場なわけ?!」

 

 

と、雪蓮の“人に茶々入れられる立場か”(意訳:負け犬の嫉妬乙wwww)発言に一番に反応したのは蓮華である。

 

三姉妹の中で良くも悪くも一番純真な蓮華は基本的に嘘を突き通せない。

 

しかし、今回の顔色の変化は恋人が居ないことを突きつけられた憤怒ではなく、恋人が居ることを隠していた照れによるモノだった。

 

そして、それを見逃す雪蓮ではない。この話には何の関係も無いが、体育祭で獅子奮迅の活躍を魅せ“小覇王”と称されるまでになったのは伊達ではないのだ。

 

 

「ん~~?何よ蓮華その顔♪」

 

「な、なんでも、ありまセんっ?!」

 

「明らかに動揺してるじゃないのよ・・・何、好きな男でも出来たの?」

 

 

姉の言葉は見事に図星をついていたのか、蓮華の顔が瞬時に茹で上がり視線が定まらなくなっていく。

 

 

「べ、別にそんなんじゃないわよ?!」

 

「そういえば、最近蓮華のケータイ代が増えたの」

 

 

三姉妹のウチ、蓮華だけは質素倹約を常としているので、母親としても財布の緩む。といった所か。

 

 

「えー!なんでシャオはお小遣いから引かれてるのに蓮華おねーちゃんはお母さんが払ってあげてるのー!?ズルイー!!」

 

「アホ!二万も三万もつかっとるオマエが悪い!」

 

 

ペチコンと頭を叩かれて、不満そうな顔を更に不満げに歪ませる小蓮。まぁ自業自得なので誰も慰めはしないが。

 

 

「それより蓮華!今はお前の男の話じゃ!」

 

「か、母様もお姉ちゃんも!別にそんなんじゃないったら!」

 

「蓮華おねーちゃん?顔真っ赤にしながら言っても怪しいだけだよ?」

 

 

シャオの言うとおり、蓮華の顔は朱色に染まり、視線は在らぬ方向へグルグルと。

 

何のジェスチャーかも判らないが、一応身振り手振りで否定してはいるが、怪しさ炸裂だった。

 

 

「名前は?」「歳は?同い年か?年上か?」「シャオより年下とかだったら犯罪だよねー」

 

「だ、だから彼氏とかじゃないったら!わ、私約束があるからもう行くわよ!!」

 

 

慌てて出て行ってしまった。

 

 

ドドドドド!!バタン!!!・・・・・カチャ、トトトト、トトトト、キィー、バタッ。

 

 

「どう思う?」

 

「羞恥プレイのあまり勇んで飛び出したはいいが、玄関のドアを閉めたぐらいで忘れ物に気付いて部屋に戻ったって所かの?」

 

「単純な蓮華お姉ちゃんが我を忘れるぐらいテンパってるのに思い出すぐらい【大切な】忘れ物・・・ということは~♪」

 

 

三人同時に、それはもう嫌らしい笑みを浮かべた。

 

「蓮華はちょっと危ないわよね~♪男に貢いで捨てられるタイプよあれ♪」

 

 

先ほどの大爆発は何処へやら、寝巻きを脱ぎ捨てて下着姿になると、ルンルンとスキップで洗面所へ向かう雪蓮。

 

 

「もしもし桃香?ごめ~ん、今日用事入っちゃったからいけなくなっちゃったの~。今度埋め合わせするから、ごめんね~♪」

 

 

速攻でケータイを取り出し今日の予定をキャンセルすると、フンフンフーンと鼻歌を歌いながら自室へ向かう小蓮。

 

 

「あー、なんだかかあさん外でご飯食べたくなってきたなぁーー!」「「わーい」」

 

 

必要以上の大声を出しながら、雪蓮のように部屋着を脱ぎ捨て―――一階にある自室ではなく、二階にある蓮華の部屋へ向かう祭。

 

気持ち乱暴に扉を開くと周囲をキョロキョロ。

 

付箋が夥しく張ってあるこの地域が紹介してある雑誌を手に取るとニヤリと哂い、迷う事無く付箋の付いたページを開く。

 

 

「最近のワカモンが行くような、洒落た店にでもいこうかなぁー!」

 

「蓮華のお気に入りは赤い付箋よー」

 

 

階下から雪蓮の声が響く。恐るべきはシンパシー、守られぬのはプライバシー。

 

なるほどと呟きながら赤い付箋の付いたページを捲っていると―――

 

 

「違うよー、蓮華お姉ちゃん最近は黒がお気に入りなんだよー」

 

 

この短時間ですっかりとオメカシを完了した小蓮が物知り顔で部屋に入ってきた。

 

 

「っていうかー、この部屋みたら一目瞭然だよね、カレシできたのって」

 

 

?と思いながら祭が落ち着いて部屋を見てみると―――まずは本棚に眼を引かれた。

 

小難しいタイトルの付けられたハードカバー、古典名作の文庫本、最近流行している著者の本など、凡そ年頃の娘らしくないラインナップは上に押し上げられ―――

 

 

「ほぉ、なるほどのぅ♪」

 

 

目線の高さ、最も取り出しやすい位置にあるのは、現在七部まで続く少年漫画の金字塔の文庫版全50巻。

 

そして、槍を持った少年が化物の相棒と戦う内容の漫画、これまた文庫版全19巻。

 

他にも多数、よほどの漫画好きでなければ女の子が真っ先に手を付けるとは言い難い漫画のラインナップが続いている。

 

少女漫画は一冊もないのだ、これで誰にも影響を受けていないと信じる者などいないだろう。

 

 

「う○とらはともかく、ジョ○ョなら私借りてきてあげるのになー」

 

 

身支度を整え、『綺麗な大人のお姉さん』へと変身を遂げた雪蓮がお待たせと部屋に入ってきた。

 

ニマリと哂う雪蓮の目線には、買ったはいいが恥ずかしくて件のカレシには言い出せないのだろう何も入ってない写真立て。

 

ほへーと呟く小蓮の目の先には携帯ゲーム機の箱と取り説、綺麗に折りたたまれた充電器に買ったゲームにその攻略本。

 

机の上に祭が目を落とせば、英語の教材CDの上に置いてある天国へコンサートしにいった男のアルバム(洋楽)。

 

そして三人の視線は【スク○イドver.1】と、蓮華以外の字で書かれたビデオテープに定まり―――

 

次いで目を移したのは壁にかかったカレンダー。蓮華はしていないはずの『~19:00バイト』の文字が多数赤いペンで書き込まれ。

 

 

そして今月末の所には―――

 

 

「「「誕生日、か」」」

 

 

しかもハートマーク付である。ご丁寧に色を変えてピンクで。

 

「どう思う?お姉ちゃん」

 

「ん~・・・・・・

 

 『出来れば誕生日は二人きりで過ごしたいけど、家族と用事があるかもしれないし、あんまり我侭言って嫌われるのも嫌!

  でもでも、せっかくのチャンスだし有効活用しない手はないわ!これを機にもう少し深い仲になるのよ蓮華!

  プレゼントだけは買って、その勢いで当日は私自信もプレゼントできちゃったりして♪』(めっさ芝居口調で)

 

ってトコかな?」

 

 

おー。と拍手を送る小蓮。真ん丸になった目からすると、一言一句とまでは言わずとも同じような想像をしたのだろう。

 

私自身もプレゼントの部分に引っかかるモノがあった祭だが、それを認めるか否かはこれから決めるのだ。

 

 

「ほら母さん、まさかそのカッコで外に出る気じゃないでしょうね?」

 

「そうだよお母さん。『誰に何処で会うか判んない』んだから、綺麗にしていかないと蓮華お姉ちゃんが恥かいちゃうよ♪」

 

「そうそう♪もし『バッタリ偶々偶然が重なって』蓮華と出会っちゃったりした時の事を考えると、一番のお気に入りを着てかないと♪」

 

「そうじゃのぉ、何せ『偶々』とはいえ、蓮華の買った雑誌を見て行くんじゃからのぉ♪」

 

「こんなに蓮華お姉ちゃんの話してたら、ホントに『たまたまぐーぜんに』会っちゃったりして~♪」

 

「ハッハッハッ!シャオよ、そんな『偶然』あるわけなかろ?」

 

「そうよシャオ、それでも出会っちゃったらそれは『必然』って事になるわよね~♪」

 

「「「ハッハッハッ!!」」」

 

 

蓮華、お前は今、泣いていいっ!!

 

 

 

 

きっとつづかない まる

 

 
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