No.121540 鬼畜王文台 蘇りし虎は桃園を荒らす 08 第十三章八節2010-01-31 06:09:35 投稿 / 全14ページ 総閲覧数:5760 閲覧ユーザー数:4295 |
第十三章
-8-
【絶対★鬼神 ~一刀と文台様の洛陽珍道中~】
~執務室~
一刀「……」
謎だ。
朱里「……すやすや……」
雛里「……ZZZzz……」
不思議だ。
どうしてこの二人は、爆睡しながら筆だけは動いているんだろう?
今日は、冬にしては珍しく、春並みの陽気だから、みんなお昼寝。
さすがの軍師たちも、このポカポカ陽気には勝てなかったか。
穏「うみゅうぅぅ……もう食べられな~い……」
菖蒲「……くぅ…」
お、こっちは普通だな。 筆が止まっている。
なるほど、半分だけ軍師だと、寝ながら執筆のスキルを備えていないのか。
麗羽の奴は、何をしてるのか知らん。 観劇にでも行ってるのだろう。
美羽は、今頃孫呉のこわーい人たちに、精神的にボッコボコにされているだろう。
七乃・斗詩「……」
そして驚いた。
七乃さんと斗詩は、少なくとも仕事の手際のよさはあいつらなしだと華琳と並ぶほどの能力を発揮したのだ。
一枚一枚の書類に目を通す速さが尋常ではない。
竹筒一枚五秒とかなんですか? 怖くて言葉など掛けられやしない。
孫呉にダークホース、現る!!
ドカーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!!
!!!?
煌蓮「くらああああぁぁぁぁ!!! 坊主うううぅ!! メシ行くぞ!! 付き合えぃっっ!!」
朱里「はわわっ!!?」
雛里「あわわ!!」
ダークホースじゃなく、大虎がやってきた!!!
あぁ、また扉の蝶番(ちょうつがい)が吹っ飛んだ……。
吹っ飛んだ蝶番はくるくると回転し、外の東屋まで飛んでいって……
さくーーー!!
猪々子のおちりにスマッシュヒット。
猪々子「あんぎゃぁーーーーー!!! 何かがケツにブッ刺さったあああぁぁぁ!!」
華雄「日頃の行いが悪いからだ、自業自得だぞ文醜!」
白蓮「それ、前にも聞いたような気がしないか?」
猪々子「何であたいってこんな役ばっかなんだ……」
煌蓮「くぉんらあぁ!! お前らぁ、静かにせい!!」
猪々子「ご…ごめんよ義母(かぁ)ちゃん……」 バタッ
猪々子、殉職。
いや、単に気絶しただけだって。
煌蓮「あん? なんじゃこれは?
………おいおいおいおい……もしかしてこれ全部、お前らが片付けたのかい?」
七乃「はいー、商況調査と税金収支の報告と
一刀さんが考えた郵政制度の普及率の調査と北郷隊の会計報告、
あとはほったらかしになっていた孫策隊と夏侯惇隊、
それから許緒隊の会計報告書もありますねぇー。
面倒なので全部片付けてしまいました」
斗詩「私は馬超隊と張飛隊、あと誰も手をつけてなかった漢女隊の報告書、
それから華佗さんの医療費の会計報告書を仕上げました」
煌蓮「な…なんと……!?
んなクソの山みてぇなめんどくせぇブツをたったの三刻(六時間)で……!!?」
七乃「はい、そうですよー。 私たちはこのまま執務を続けますから、
陛下と一刀さんはどうぞ、外でゆっくりしていって下さい」
煌蓮「んじゃ、そうさせて貰おうかいね。 オラァ、いくぞ坊主! さっさとせんかぁ!!
がはははははは!!!」
一刀「どっ、どわああぁぁあ!!!」
俺は文台様に体ごと担ぎ上げられ、無理やり外出の供をさせられた。
~城下町~
というわけで、七乃さんに半ば強引に叩き出されたわけだが。
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「皇帝って、宮廷から一生外に出ちゃいけないんじゃなかったけ?」
煌蓮「あん? んなビチグソ臭ぇカビの生えた漢王朝時代のしきたりなんぞ、
黄河の川にブン流して捨ててしまえばいいわ。 この大陸はあたしが法じゃ、坊主が法じゃぁ。
あんな糞まずい宮廷料理なんぞ、一度口にすれば十分さね。
あたしゃ屋台のラーメンが恋しいんじゃよ」
一刀「ひでぇww」
VIVA! ジャイアニズム!!
あの暴君項羽も、この人には勝てないだろうね。
だって、鬼だし。 人間じゃないし。
煌蓮「そういや、坊主が作った、あの“焼き鳥”と“お茶漬け”ってやつぁ美味かったぞ。
また食いたいねぇ。 華琳ちゃんは『低俗すぎる』だなんて抜かしてたけど、
あたしゃああいうもののほうが好きなんよ。 “おにぎり”・“お汁粉”・“せんべい”……
お前さんの作る料理は、どうもあたし好みのものが多いみたいだね。
どういうわけか知らんけど」
一刀「また暇があったら作ってあげるよ」
煌蓮「がはは、 そいつぁ楽しみじゃぁ! 宮廷料理なんぞ食わされるよりよっぽどえぇわい」
洛陽の町並みを二人して練り歩く。
いやぁ、なんかすごいね。
声を掛けてくれる商人、屋台の店主、その他もろもろ以下略。
文台様が道を歩くだけで周りの連中が皆大名行列よろしく、
献上品と称して色々持たせてくれるから……
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「これ、どうすんの?」
煌蓮「んなもん残った分はおチビちゃん共にでも食わせておけぃ」
今、俺と文台様が抱えている袋の中には、肉まんが十個、シュウマイが三十個、
包子(パオズ)が二十個、餃子が十個、ゴマ団子が三十個。
ゴマ団子は亞莎にでも渡すか。
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「あそこの新しく出来た公衆便所で何かやってる人たちって……どう見てもハッテn」
煌蓮「見たらいかんよ坊主!!」
一刀「そうします……」
漢女壱号「アッーーーー!!」
漢女弐号「アオオォォーーー!!」
後日、この便所には次の張り紙が張られたそうな。
[この厠を利用するにあたり
男色を行うべからず
皇都衛士(こうとえじ)隊長 楽文謙]
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「俺たちの後ろを何人か後をつけてきてるみたいなんだけど、
声掛けないでいていいのかな?」
↓百メートルほど後方で、曲がり角から覗いている孫家三人組↓
蓮華「母様と一刀ったら、一体どこに行くのかしら……」
思春「ふむ、今度は酒屋の方に行きましたな」
雪蓮「あら、もしかして見つかっちゃったかもしれないわね。 一刀が後ろを振り返ってるわ」
蓮華「む……」
煌蓮「ぬぅ、娘共め……こういう時は見て見ぬふりを決め込むに限るわい」
一刀「うーん……それで良いんだろうか……?」
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「あそこで暴れてる連中って、うちの将軍だよね?」
焔耶「は、放せ! 放しやがれってんだ沙和!! ワタシは“字音軍服”なんて着たくない!!
桃香様も、その手を放してください!! 大体、なんであのうらなり男の選んだ服なんか
着なくちゃいけないんだ!? これが未来の軍服だと!?
ありえない! 何かの間違いじゃないのか!?」
桃香「えー、絶対似合うと思うよー。 沙和ちゃんの選んだ服なら間違いないと思うし
それから、ご主人さまから教わった掛け声は、『じーく・じおん!』だそうだよ」
焔耶「そんなのワタシは知りません!!」
沙和「えーんやちゃーん、大人しくするのー! 桃香ちゃん、たんぽぽちゃん、焔耶ちゃん抑えといてね」
桃香・蒲公英「はーい!!」
焔耶「氏ね! 氏んでしまえ!! あのうらなり野郎があぁーー!!」
煌蓮「なるほど、帰ったら焔耶の軍服姿を拝めるかも知れんね」
一刀「なんとなく焔耶がかわいそうだな……」
でも俺って、あいつにうらなりだなんて思われてたのか……ちょっとへこむな。
*解説
うらなりとは、曰く元気がなく弱弱しいこと。
一刀に対する焔耶・桂花・詠の印象は共通しており、
たいした武芸も出来ない軟弱者の上に鈍いを通り越して愚鈍、
挙句慇懃無礼で手の施しようがない女垂らし、そのくせ男根だけは無駄に大きい。
そんなある意味糞以下の人間がどうして周囲に好かれるのか彼女たちは心底理解できないのである。
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「あれは野外公演かな?」
というより、むしろゲリラライブかあれは?
天和「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)♪」
地和「りんらん らんら もじぴったん♪」
人和「考えてもみてください。
曹操様のような乱世の姦雄や、猛将・呂奉先、一騎当千関雲長、
さらには鬼神孫堅陛下のような存在が、都合よく一堂に会するかのように登場するでしょうか?
これは、ちょっとした恐怖ですよ」
観衆「ほわああああ亜アァぁAaあああああぁぁぁ!!!」
観衆「うまうまあああぁぁぁぁぁ!!!!」
季衣・流琉「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)!!!」
鈴々・小蓮・璃々「うっうっーうまうま(なのだ)!!!」
詠「ちょっと!? 何なのよこの騒ぎは!!?」
月「ほ…ほ…ほわああぁぁ……へうぅ……」
亞莎「(一刀様もお呼びすればよかったなぁ……)」
美羽「ほわあああぁぁぁぁなのじゃ!!!」
音々音「むむむー、うるさいですぞ!! 気がおかしくなりそうなのです!!!」
一刀「……なんであいつらまで混じってるんだ」
煌蓮「放っとけぃ。 警備代わりにはなるじゃろうて」
一刀「いいのかよ!?」
つーか、見事なまでに年少組ばっか……。
なんだかんだ言って、歌会はみんな好きなんだなぁ。
天の皆様、時に我らが文台様は過激でしょうか?
というかあいつら、愛紗にボッコボコにされてるんじゃなかったのか??
さては抜け出してきたか!!
一刀「なぁ、煌蓮さん」
煌蓮「なんじゃ、坊主」
一刀「あそこに猫が大量に群がってるようなんだけど……」
五匹十匹って範疇じゃねーぞ。 まさしく猫の軍団。
101匹にゃんこちゃんってか?
明命「お猫様ああぁ~~~♪♪」
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
恋「……にゃあ?」
風「おおぉぉ~~明命ちゃん、もふもふしまくりなのでしゅねぇー。
この猫さんたちは、どこからこんなにたくさん集まってきたのでしょうか?
なーお、にゃーお」
猫「フーー!!」
風「おおおぉぅ、びっくりしたのでしゅよー。
こちらの尻尾の長い猫は翠ちゃんでしょうかー?
こちらの大あくびこいてる猫さんは猪々子ちゃんでしょーかー?
はてさて、猫又を見つけるには尻尾が二本ある猫を見つければいいわけですが……
残念ながら、この猫さんたちの中にはいないようですねー」
煌蓮「いや、おったらおったでそりゃぁ大騒ぎになるさね。
化け物はあたし一人で十分だよ」
一刀「うんうん」
煌蓮「おぉ、着いた着いた。 ようやく行きつけのラーメン屋じゃ。
城から結構歩き出があるわなここって」
一刀「歩いて半刻だもんな。 城は東の端で、こっちは街の西端だもんな」
ちなみに、ここからさらに西に一刻かけて歩いて見えてくる小高い山のてっぺんが、
洛陽の境界・函谷関。 函谷関の西、弘農側の門はこの前の戦いで
劉表が暴れてボッコボコになったのでまだ再建中だ。
再建が終わるまでは、二・三年はかかるだろうというのが冥琳たちの見立てだ。
煌蓮「ずぞぞぞぞぞーーー…… がはははははは、旨い旨い!!
店主よ、やはりここの店のラーメンとチャーシューは最高じゃぁ!!
歩いてきた甲斐があるわ!!」
店のおやぢ「へぇ、毎度ありがとうごぜぇやす、陛下」
一刀「本当に旨いなここのラーメンは」
煌蓮「さて、ごっそさん。 ほいじゃそろそろ帰るよ坊主。
店主。 金はここに置いとくよ。 また世話になる」
おやぢ「へぇ、ありがとうごぜぇやす」
~その日の夜~
孫家三人娘「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
曹魏三羽鳥「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
袁家五馬鹿「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
桃香・愛紗・霞「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
祭・紫苑・桔梗「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
菖蒲・悠「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」
孫呉のほとんどの連中が、満面の笑みで踊り狂っていた……。
第十三章八節終了
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