No.121181

華ノ守人 第弐話《弟と外史と・・・》

この作品は、真 恋姫無双の二次創作作品です。

もちろん、たくさんの人に楽しんでもらえるように頑張っていますが、まだまだダメなところがたくさんあると思います。

ぜひ、アドバイスなど貰えるとうれしいです。

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2010-01-29 13:50:49 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3645   閲覧ユーザー数:2963

第二章《弟と外史と・・・》

 

 

 

 

「これより、修行を始める。」

 

そう言うと、祖父は井戸の底に降りていった。

 

「・・・華琳。」

 

一刀の唇が、愛しい者の名を紡ぐ。

 

「もし俺が強くなって、君と再開出来たとして・・・、」

 

 

「君の瞳を真っ直ぐ見つめること、出来ないかもしれない。」

 

オレハ、ヒトゴロシニナルカラ。

 

 

 

自嘲的な声で発せられた呟きは、誰の耳にも届かずに風に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

「北郷流とは、雷を身に纏い、基本となる壱式から参式と、一撃必殺の零式からなる神速の殺人剣よ。」

 

祖父が説明を始める。

 

「修行の流れとしてはまず、貴様の内にある気の解放と性質の追加、そして増幅。」

 

「性質の追加?」

 

開放と増幅はまだわかる。

気は元々不可視で、流動的で運動し、作用をおこす。

武術では主に遠当などがあるし、華陀も気を治療に使っていた。

気の量が増えれば、凪のように凝縮させて、視覚でも捉えられるようにする事もできるだろう。

そこまではわかる。

だが、彼女たちの気に性質などなかった。

 

「うむ、少々荒行だが、気を練りながら身体に高圧電流を流し続ける。そうして無理やり気を、電気に似た物へ変えていく。」

 

とんでもないことを言う、祖父改め鬼。

 

「なっ!そんなことしたら俺死ぬぞ!?」

 

「先人たちも、もちろんワシも通ってきた道じゃ。嫌ならやめるか?」

 

「まさか。」

 

はっきりと、一刀が断言する。

 

「よく言った。・・・次に、壱式から参式まで一度だけ貴様に放つ。それで身に着けられなければ、才能がなかったと諦めろ。」

 

「ああ。それで、零式は?」

 

「知らん。」

 

しれっと、祖父は言った。

 

「なんだよそれっ!?」

 

「零式は、北郷の者全てが独自の技を持っていた。」

 

「それって、自分で作るのか?」

 

「うむ。・・・そろそろ、喋っている時間がもったいない。始めるぞ?」

 

空気が、一変する。

 

「竹刀を構えろ。」

 

「行くぞ。《北郷流・壱式 紫電(シデン)》」

 

 

 

紫電を受けた瞬間、唐突に、夢から覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じいちゃん・・・・・・。

 

 

「・・・・さん・・・。お・て・・さん!起きて兄さん!」

 

ガクガクとベンチで寝こけている青年を揺さぶっている少年。

 

 

 

んー。なんか・・・、揺れてる。

 

 

 

「兄さん!まったく・・・。<すぅーーー・・・>起きろぉッ!こぉのバカ兄貴っ!!」

 

少年が腹の底から叫ぶ。

 

 

 

なんか聞こえるなぁ・・・。ああ、今日は暖かいなぁ・・・。

 

 

 

が、起きる様子はない。

 

「・・・・・。耳元でこんだけ叫んで起きないって、どんな神経してんだよ・・・。」

 

ため息一つ。無言で腰のホルスターから無骨な拳銃を抜き、寝ている青年に向け・・・

 

「いい加減起きろっ!」

 

発砲。これ、普通なら寝てる青年死ぬよね。・・・だが。

 

「っつ!」

 

飛び起きた青年が脅威的な反射で銃弾をはじく。その右手には大振りの日本刀。

 

「優理!いきなり何すんだ!!」

 

「なにしても兄さんが起きないからね。撃った♪」

 

「撃った♪ じゃねぇよ!殺す気かっ!」

 

突然、寝ている青年に向け発砲した少年、名を【神谷優理】という。優理なんてかわい「誰だ!今かわいいって言った奴!」・・・・・・かわいい名前と女の子のような風貌をした、18歳の男の子である。

 

「なんだよ?急に叫んで。」

 

優理に疑問を投げかけた青年。北郷一刀・21歳。かなりイケメンになっている模様。彼最大の武器、種馬スマイルはいまだ健在である。

 

「いや・・・。誰かにかわいい言われた気がして・・・。」

 

「実際かわ「あ?」おほんっ!気のせいだろ。」

 

腐女子ならば確実にあらぬ妄想をするであろう、いい男二人で何をしているか?無論、ナニではない。

 

ここは、表向きでは一刀達が勤めている警備会社の屋上。そしてただいま昼休み。優理が一刀をランチに誘いに来ると、一刀がベンチで寝こけていたわけである。

 

「でも、めずらしいね。」

 

「ん、なにが?」

 

「普段の兄さんなら、僕が屋上に入ってきた時点で起きるでしょ?」

 

 

彼らは、警備会社に表向きはなっている所に勤めている。だが実際にこの場所は、日本政府直属の特殊部隊の事務所。

要人警護や、国のトップたちが集まる場所の警備。果ては地域紛争への介入や国の命令による殺人までこなせる人物がここには集まっている。

なかでも、一刀と優理は紛争介入や殺人の任務が多く、その中でも、この部隊で最強であり、裏社会では《鬼人》と恐れられる一刀が、零距離で拳銃をぶっ放されるまで起きないなんてことは普通ない。のだが、

 

「来たのがお前だってわかったんだ。起きる必要ないだろ。」

 

のほほんと、言う一刀に呆れる優理。

 

「まったく、戦闘の時とはまるで別人だよ・・・。それで?兄さんファンの女の子が見たら卒倒しそうなぐらい辛そうな寝顔だったけど。悪い夢でも見た?」

 

問いに対する答えは、

 

 

あらら。なんかすっごく遠い目してるよ。

 

 

その表情が、あまり良いものでは無いと告げる。

 

「昔の夢・・・。じじいにシバかれてた頃の、な。」

 

一刀が苦笑をもらすのと同時に、優理も一緒に遠い目をする。

 

「あの強烈なおじいちゃんね・・・。あれは、きつかった・・・・・・。」

 

一度、優理も会ったことがある、というか彼もボコボコされている。

 

「はぁ・・・、あんまり思い出したくなかった。まあいいや、ほら!ご飯行こう!」

 

「はははっ。ああ、わかった。」

 

「もちろん、兄さんの奢りでね☆」

 

満面の笑顔で優理が言う。それにつられてか、一刀も笑う。その姿は、本当の兄弟のようで。

 

「かわいいからってあんまり調子に乗るなっ!」

 

「きゃー!兄さんが切れたぁ(笑)」

 

あ、笑った。やっぱり兄さんってば、反則的にいい笑顔。こりゃ惚れるわ。

 

少し、女の子みたいな考えになってますね。優理君。

 

「あっ、僕はゲ○じゃないぞ。」

 

はいはい・・・。ぷっ!わ、わかっていますよ?

 

「さっきから何ブツブツを言ってんだ?」

 

「何でもないですよぉ(笑)」

 

 

 

 

 

 

二人の間になごやかな空気が流れているその時、

 

くぅ---。

 

「う・・・。」

 

優理の腹の虫がないた。

 

「ふっ・・・、くくくっ。」

 

「なんだよ!笑うことないだろ!?」

 

「いや・・・な?くくっ。」

 

みるみる顔が赤くなる。

一刀はというと、眦に涙を浮かべて肩を震わせていた。

 

「にぃさぁーん・・・。」

 

もう、優理は半泣きである。

 

「あぁもう。ほれ、泣くなって。昼飯なんでも奢ってやるから。」

 

「ぐすっ・・・。ほんとですかぁ?」

 

まったく・・・。こういうとこがかわいいって言われる原因って、コイツ気づいてるか?しかも精神年齢低いし。

 

「兄さん。今なんか失礼なこと考えてない?かわいい思ってたら、撃つよ。」

 

こいつはなんですか!?風さんですか!?人の心でも読めるんですか!?

 

「い、いいからさっさと行くz〈プルルル。プルルルル。〉ん?」

 

突然電話が鳴った。ディスプレイには、今は現場にいるはずの上司の名前。

 

「あれ、彼女?だめだよー。まずは僕にご飯奢ってもらわないと、デートには行かせません!」

 

急に何を言い出すか。このアホは。

 

「俺に女っ気ないのは知ってるだろ?「兄さんが全員ふってるだk」うるさい。片山さんだよ。」

 

上司の名を聞くと、優理の顔も引き締まる。

 

「はい。北郷です。」

 

『一刀!首相官邸に不審人物だ!くそっ、拘束しようとしたが逃げられた!』

 

二人の表情が強張る。

部隊内で、最強である一刀。

そんな彼と、実力は及ばないものの、肩を並べて戦える数少ない人間が、優理と電話の主、片山である。

その彼が、標的を逃したのだ。生半可な相手ではないだろう。

 

『奴はお前らのいる事務所方面に逃げた!追えるか!?』

 

「はい!そいつの特徴は!?」

 

「あ・・・、えと、だな・・・。」

 

なぜか、片山が言葉を濁した。

 

「片山さん?どうしました?」

 

「あ・・・。兄さんあれ・・・・・・。」

 

何か優理が言っているが、今は黙殺する。

 

『奴の特徴は・・・。』

 

黙って続きを促す。

 

『剃り上げた頭、二房の三つ編み。』

 

は?

 

『筋骨隆々で、ふ、ふんどし一丁の・・・、』

 

少しの間を空け、片山が震える声で言った。

 

『オ、オカマだ・・・・・・。』

 

「なんですかそれはぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

一刀が思わず叫ぶ。それに会わせたかのように、優理の叫び声まで響く。

 

「兄さんっ!な、なんか、ものすごいスピードで筋肉ダルマが走ってる!!」

 

「なんだと!?」

 

慌てて、街を見下ろしてみると・・・・・・

 

「なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

片山の言ったターゲットが”走っていた”。車の間を縫うように。しかも、軽く100キロくらいのスピードは出ているのではないか。

 

「ターゲットを視認!追います!」

 

『すまんが任せる!』

 

「「了解!」」

 

その言葉とともに、一刀と優理が駆け出す。

 

「準備が終わったら、玄関前!」

 

「わかった!」

 

階段で優理と別れ、自分のオフィスへ向かう。

オフィスに着くなり、黒いスーツとブラックのレザーグローブを身につける。

そして、窓際に立てかけてある、日の光を受け白銀に輝く一振りの日本刀を背負う。

 

「《千鳥》・・・。出来ればこいつは使いたくないけど。」

 

そう呟くと、机の上にあるキーを手に取り、窓から見える駐輪場に向けて飛び降りた。そこには、

 

「久しぶりに、こいつを全開で走らせてやれるな。」

 

HONDA・CBR600RR改。

漆黒の車体を持ち、ある特殊な改造がされた一刀の愛車である。キーを差し込み、エンジンを起動させる。

 

ブォォォォォンッ!!

 

バイクがうねりを上げ、轟音とともに玄関に向かうのと同じタイミングで、ビルから優理が出てきた。

太ももに一つ、腰の後ろに二つ、ガンホルスターを着けている。さらに、肩に黒く細長いバックのような物を背負っている。

 

「ケツに乗れ!全開で飛ばす。・・・落ちるなよ!?」

 

「りょーかい。兄さんのバイク久しぶりだな♪」

 

おもちゃを与えられた子供のような顔をする二人。

 

「さあ、行くぞ!」

 

一刀の声とともに二人は、漆黒の弾丸と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん、ターゲット確認出来た!」

 

彼らはすでに、10分近くターゲットを追走していた。

 

 

一刀と優理。

二人は、仕事でコンビを組み始めて三年になる。

彼らは、常に二人で戦場を駆けてきた。そこで培われた、ベテランにも負けないコンビネーション。すぐれた個々の実力。それこそが二人の最大の強み。

 

そんな二人の今回の任務は追跡任務。人を殺すこともなければ、戦場に立つこともない。いくら片山が逃した相手とはいえ、二人に掛かればすぐに終わるするはずだった。しかし、まるでターゲットとの距離が縮まらない。

 

「おいおい・・・。こっちはもう120キロ近く出してるぞ?」

 

「あの筋肉・・・、化け物?」

 

優理が率直な疑問を口にした瞬間だった。

 

「ぬわぁんですってぇ!?」

 

前を走っていたターゲットが、振り向いた。それはもう、鬼のような形相で。

 

「ぎゃああああああっ!」

 

「っつ!」

 

一刀の顔が引きつる。優理にいたっては、後部座席で一刀にしがみつき振るえだした。

 

なんだ、あいつ?気持ち悪い・・・・・・。

 

「あなた、今気持ち悪いって思ったわねぇい!!」

 

えらくドスの利いた声で、前を走るオカマに言われる。

 

あんたもか!あんたも人の心読めるのか!?

 

「ぬふぅん。まあいいわぁん。ご主人さま、ついてらっしゃい!アタシを見失わないようにねぇ。

・・・ま、アタシについてこれるならねぇん。」

 

「なに?」

 

そう言い残すと、オカマが左コーナーを曲がって姿が見えなくなる。

 

「あのカマ・・・。ついて来れるなら、だと・・・?」

 

言葉とともに、背中から怒気が立ち昇る。

 

「あの・・・、兄さん?」

 

恐る恐る優理が声を掛けたのと同時。

 

「ああ、ついていってやらぁ!!いやむしろ後ろから轢いてやる!!!!」

 

あちゃあ、兄さん切れちゃったよ・・・。これは・・・、

 

一刀に呼応するようにバイクがさらに加速し、カーブに突っ込む。

 

「やっぱりかぁ!あ、ああ・・・、うあぁぁぁぁ!!やめっ!

兄さん、ス、スピード落としてぇ!!ぎゃあぁぁぁぁ!死ぬぅっーーーーー!!!」

 

少年の叫びをよそに、限界まで車体を倒しコーナーをクリアする。

 

「むわぁてぇや、このカマ野郎!!!!!」

 

「はは、ははははは・・・・・。まじで走馬灯みた(泣)」

 

車体を立て直し、さらに加速するバイク。

 

そうして、オカマと一刀と優理は郊外に向けて、猛スピードで走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうどれほど走っただろうか。すでに見慣れない山中を、オカマと二人は駆けていた。

 

「あの野郎、どこまで行く気だ?」

 

一刀の口から舌打ちが漏れる。そのときだった。

 

「兄さん・・・、周り!」

 

「なっ!!」

 

周囲を見て、思わず言葉を失う。

 

いつの間にか、二人は深い霧の中を走っていた。

 

前方に意識を戻すと、数メートル先も見えない。

 

「どうなってんだ?」

 

さすがに前が見えないと危険なため、バイクの速度を落とす。

 

「兄さん、あれ・・・。」

 

「なんだ?」

 

指差した先を見た刹那、一刀と優理は眩い光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・。」

 

「正史と外史の狭間。始めまして、北郷一刀様、神谷優理ちゃん♪」

 

「「!!」」

 

目の前には、足を止めこちらを向いている、先ほどまで二人が追っていた人物。

 

「むふふ・・・。二人とも良いオ・ト・コ」

 

ウインク。

 

「ひいっ!」

 

ドン引き。

 

「何よ!失礼ねぇい!」

 

切れた。

 

「落ち着けよあんた!・・・まったく。」

 

どっと、一刀を疲労感が襲うがそれを無視して、目の前の人物に問いを投げかける。

 

「あんた何者だ?いったい何がしたい、なぜ俺たちの事を知っている。」

 

「アタシの名前は貂蝉。あなたに会いたいという人を連れてきたのよぉ。」

 

「兄さんに会いたい人ね・・・、誰?」

 

優理が怪訝な顔をすると同時に、疑問を口にした時。

 

「それは私です。」

 

突然の背後からの声に振り向いたさきには、どこか儚げな印象をかもし出す、女性の姿。

 

「北郷一刀様。貴方にお願いがあって参りました。」

 

「・・・お願い?」

 

「ええ。北郷様、貴方に・・・・・・。」

 

彼女の口から紡がれた言葉に、優理は言葉を失った。

 

 

                                        To be continue...

 

 

 

 

           華守☆インフォメーション 第二回

 

作者「さて。作風も変え、前回の後書きはなんだったんだ的な第二章!」

 

一刀「いいのか?それで。」

 

作者「だから言おう。皆さん、すみません!!」

 

一刀「謝っちゃたよ(笑)」

 

作者「編集の方と会議した結果、こういう風になりました。」

 

一刀「そうなんだ。それで?さっそくだけど、次回の展開は?」

 

作者「謎の女性の正体が明かされ、君と優理君が外史へ旅立ちます。」

 

一刀「優理もか?」

 

作者「だって、君の相棒でしょ?」

 

一刀「まあ、そうだけど・・・。」

 

作者「ならええやん。そして作者は眠いのです。」

 

一刀「なんで関西弁?そしてまた急だな。」

 

作者「では、次章で会いましょう。おやすみ。」

 

一刀「ほんとに終わるのかよっ!あ、えと・・・、皆さん、またお会いしましょう!以上!華守☆インフォでした。」


 
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