「刹那、父様に伝言を頼みます」
私の目の前に仰向けに倒れた4、5歳くらいの赤い瞳を持つ男の子が苦しげに話しかけてきた。
「はい、何でしょうか?」
返した私の声が、いつもよりも高い気がして、『ああ、これはあのときの夢か』と気が付いた。
「僕自身に、できる限り強力な封印をかけるようにと」
あのときと同じせりふ。何度も夢に見たせいで一言一句違わず覚えているせりふ。
それに対して、私はいつもの通りに、
「はい」
と、泣きながら応える。
「ああ、それともう一つ」
これもいつもと同じで、続く言葉が手に取るようにわかる。
「妹を・・・・・・木乃香をお願いします。あれで、意外と脆いところがありますから、そばで支えてあげてください」
「--------」
自分がなんと答えたのか、思い出すことができない。でも、彼が表情を緩めてくれたから、彼にとって満足のいく返答ができたのだと思う。
いつもなら、夢はここで終わり。このまま目が覚めて、日常に戻るはずだった。
「泣かないでください。別に、これで今生の別れと言うわけではないのですから」
だが、今日はまだ続きがあるようだった。
「10年。それだけ待ってください。刹那が14歳になるまでには、絶対に戻って来ます」
ああ、たしかにあの時、彼はそう言っていたはずだ。どうして今まで忘れていたのだろうか。
泣き止むことのない私を見て、彼は優しく笑ってくれた。
「安心してください。僕が約束を破ったことがありましたか?」
そんなことは一度だってなかった。彼が約束を破ったり忘れたりすることなどありえないだろう。
私が微かに首を振ると、彼は再び微笑んでくれた。
「それと、このことは木乃香には伏せておいてください」
「え?」
「僕が目を覚ましたとき、いきなり目の前に現れて驚かしてやりたいんです」
そうか、彼はとてもいたずらが好きだったな。
私が少しだけ笑ったのを見て、彼はゆっくりと目を閉じた。
「さて、それでは少し眠ることにします。後のことは頼みましたよ」
「はい。あなた様が目を覚ますその時まで、木乃香お嬢様のおそばにあり、お嬢様を守り、支えていくことを約束します。
どうか、安心してお休みください」
私がそう言うと、彼は少しだけ苦笑して、
「名前で呼ぶようにと、いつも言っているでしょう」
そう言った。
「そうでした。では改めて、お休みなさいませ、統魔様」
そこで、夢は終わった。
後書き
えと・・・・・・とりあえず初めまして?
うん、何だか知らないけどいきなり頭の中にネタが浮かんできたから書いた。
反省はしているけど、後悔はしていない。
とりあえず、続くかわからないけど、続いたときはまたよろしく。
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何か思いついたから書いてみた。
まだ全然展望が見えてない作品だけど、とりあえず始めてみる。