No.120414

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 15話

虎子さん

きゃら崩壊になりつつある、なんて言いません。
完全に崩壊してます。
閲覧は、ご了承の上でお願いします。

拙い文章ですが、よろしくお願いします。

2010-01-24 21:22:16 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:4734   閲覧ユーザー数:3905

<雪蓮>

 

 

~執務室~

豪臣と青蓮の手合わせから数日。

青蓮、雪蓮、冥琳、豪臣での軍事や執政についての話し合いが一区切りついた。

豪臣が立ち上がる。

「じゃ、俺は鍛錬に戻る。何かあったら、また呼んでくれ」

「ああ。ためになる話が聞けて良かった」

「そうですね。豪臣さん、ありがとう」

「・・・・・・」

冥琳と青蓮が礼を言い、豪臣は手を振って部屋を出て行った。

冥琳が、雪蓮に向き直る。

「雪蓮。どうした?さっきから黙ったままだぞ」

「ん?考え事してたの」

そう答えて、雪蓮は青蓮の方を向く。

「ねぇ、母様。良いこと思いついたんだけ「却下だ」・・・めーり~ん」

全てを言う前に、冥琳が即座に否定する。

しかし、青蓮が言う。

「まあまあ、冥琳ちゃん。聞くだけ聞きましょう?どんなに・・・どんなに下らないことでも、聞かないと分からないでしょう?」

「そうでした。聞きもせずに否定は、あまりにも狭量でした。どこまでも下らないことかもしれませんが、人としては聞かなければなりません」

「・・・・・・・・・」

二人の言に、雪蓮は黙る。

「「さあ、どうぞ雪蓮」」

「これだけ言われたら、流石の私でも落ち込むわよ」

声を揃えて言ってくる二人を、雪蓮は恨めしそうに見る。

「言いたくないならそれで良いぞ」

「そうですね、解散にしましょう。冥琳ちゃん、お昼は食べましたか?」

「待って待って~!言う、言うから待って~!」

雪蓮は、若干泣きそうになりながら、立ち上がった二人を止める。

「ただね、豪臣をどうやったら引き留められるかな、って考えてたのよ!」

「「ん!」」

二人は、豪臣、という単語に動きを止める。

「それで、答えは出たの?雪蓮」

青蓮が座りながら訊く。

「彼の子供を作れば良いのよ」

「「・・・・・・は?」」

二人が固まる。が、雪蓮は気にせずに続ける。

「子供を作れば、豪臣は出て行けない理由になるわ!」

雪蓮の言葉に、冥琳は少し考えて訊く。

「・・・それを、誰がやるんだ?呉や健業に残してきた諸将は無理だぞ?」

「私と冥琳、後は思春かな?」

「私もか?」

冥琳は、自分の名前が出るとは思っていなかったので訊き返す。

「そうよ。人数が多い方が良いでしょ?それとも、冥琳は嫌?」

「・・・嫌ではない。先程話を聞いていたが、なかなかに博識だ。さらに、武に関しても一流。性格も悪くない。これだけ揃っている男だ。不満など無い」

雪蓮は、満足そうに頷く。

「母様、どうかしら?」

「好きにして良いですよ」

青蓮は、簡単に答える。

青蓮の答えに、雪蓮は、これからどうやって籠絡してやろう、と考えようとする。

しかし

「でも、雪蓮がやる必要はないかもしれないわよ?」

青蓮が言ってくる。

雪蓮と冥琳は首を傾げる。

そんな二人を見て青蓮は、クス、と笑って言う。

「あなたの子が出来る前に、あなたに新しい弟か妹が出来るかもしれないからですよ」

「「・・・・・・え?」」

呆然とする二人だった。

 

執務室を後にした雪蓮と冥琳は、雪蓮の部屋に移動して話していた。

「まさか、既に母様が手を出しているなんて・・・」

「ふふ、またも強敵だぞ、雪蓮」

悔しそうな雪蓮と笑う冥琳。

「こうなったら、積極的に仕掛けるわよ!」

拳を握る雪蓮。そんな雪蓮に冥琳が諭すように言う。

「まぁ、紫堂と閨を共にすることは、よしとしよう。だが、問題はそこだけじゃないぞ」

「?何のこと?」

雪蓮が訊くと、溜息を吐く冥琳。

「紫堂が此処に残るのは、劉表との睨み合いが一段落するまで。攻めてこなかった場合、袁術の援軍が来る一月程で出て行くのではないか?その期間に、いくら胤を貰っても出来たか出来てないかは分からんぞ」

「あ!・・・・・・どうしよう」

「気づいていなかったのか」

顔を、手で覆う冥琳。

冥琳の態度が気に入らなかったのか、雪蓮は頬を膨らませる。

「良いわよ!籠絡させれば良いのよ!そうすれば、出て行けなくなるわ!」

「・・・まぁ、頑張りなさい。ハァ」

 

それからというもの、雪蓮は暇を見つけては豪臣について回る様になった。

そして、そんな日が一週間続いたある日。

 

~雪蓮の部屋~

 

【視点・雪蓮】

夕食を済ませた私たちは、私の部屋に居た。

「はい、豪臣。杯を出して」

「・・・ああ」

二人は、椅子に座り酒を飲み交わす。

杯の中身を一気に飲み干して豪臣が言う。

「なあ、雪蓮」

「な~に?」

「最近、様子が変だぞ?何を企んでるんだ?」

「・・・べっつに~」

私は、一瞬、ドキッ、としたけど素知らぬ顔で返す。

しかし

「俺を籠絡しよう、なんて考えてないだろうな?」←朔夜に聞いた

「!!」

自分の目的を言われて、流石に驚いた顔が一瞬出てしまう。

「やっぱりか」

呆れ顔の豪臣。

「俺を此処に留まらせるために、だろ?・・・あまり、自分を安売りするのはやめろよ」

「ちがっ、違うわ!私は、そんなつもりで豪臣の傍に居たんじゃない!」

(あれ?何で私は、こんなに必死になって言い訳してるの?)

私は、豪臣に軽い女と言われたことを必死で否定していた。

「まぁ、どうやっても俺の逗留条件は変わらないよ。だから、付きまとうのはこれっきりな?」

そう言って、豪臣は立ち上がって扉に向かう。

私は、立ち上がって止めようとしたけど

「ちょっ「それじゃあ、おやすみ。雪蓮」・・・」

 

パタン

 

豪臣は、そのまま出て行ってしまった。

私は、ポテン、と椅子に腰を落とす。

(何だろう・・・何だか泣きたくなってきた・・・)

そう思い、涙が出ないように上を向いて呆っとしていた。

そうしていると、ふと自分の気持ちに気がついた。

 

(そっか~・・・私は、豪臣のこと・・・好きだったのね)

 

そう、戦場で豪臣の戦いを見たときからきっと・・・

この気持ちに気づいたとき、私は涙を堪えることが出来なかった。

【視点・終】

 

次の日。

【視点・豪臣】

俺は、朝の散歩を終えて部屋に戻ってきた。

ドアを開ける。しかし、そこには朔夜しか居なかった。

「お帰りなさい、豪臣」

「ただいま」

そう短く答えてから、少しだけ喪失感を感じた。

(此処のところ、毎日待ち伏せされていたんだけどな・・・迷惑だって思ってたけど、無くなると寂しいもんだな)

俺は、改めて身支度を整えると朝食を取るために朔夜を肩に乗せて食堂に向かった。

 

その途中、背中から誰かが抱きついてきた。

「っ!雪蓮!」

驚いた。抱きついてきたのは雪蓮だった。

雪蓮は、すぐに離れて俺の前に回り込む。

そして

 

「私は、諦めないわ!」

 

満面の笑みを浮かべて、そう言いきった。

そのまま食堂へと向かって行く雪蓮。

その頬が、少し赤みが差していた様な気がした。

 

「ハハ・・・こりゃ、これからも忙しそうだな」

 

俺は、そう笑って食堂に歩いて行った。

 

 

 

 

余談だが、この後、何故か朔夜に噛みつかれた。

 

<思春>

 

 

青蓮との手合わせがあった次の日の朝。

「は?稽古をつけて欲しい?」

「はい。お願いします!」

豪臣は思春に、自分を鍛えて欲しい、と頼まれていた。

なんでも、自分の恩人である孫権仲謀という青蓮の娘を護る力が欲しい、ということらしい。

「何で俺?祭さんにでも頼めば「豪臣様が良いのです!」はい!」

そんなこんなで、豪臣は思春に押し切られる形で稽古をつけてやることになった。

 

~屋内鍛錬場~

 

「外の方が良かったのではないのですか?」

思春が、そう訊いてくる。

「いや、屋内の方が都合が良い。・・・だろ?」

「はい」

豪臣が肩を見ると、朔夜が返事を返した。

「朔夜殿?」

「豪臣は気がつかなかった様ですが、あなたは術が使える可能性があります」

「術?・・・仙術!?」

朔夜の言葉に思春が驚く。

「本当に私に仙術が使えるのか?」

「・・・厳密に言えば仙術ではありません」

思春の問いに、朔夜はそう答える。思春には意味が分からない。

「一応、仙氣と氣について説明します。

 まず、仙氣を無色無味無臭の水と例えます。そして、あなた方の使う氣を、何かしらの不純物の混じった水とします」

「不純物?」

「はい。仙術とは、基本的に水(仙氣)に何らかの不純物を混ぜた水(調整された氣)の状態にしてから発動させます。

 先ほど言った、厳密には、というのはこれです。あなたが、いくら豪臣と同じ術が使えても、それを仙術とは呼びません。ただの技です。威力も違ってきます。

 で、です。あなたの氣も何らかの不純物が混じった状態です。そして、その氣はある術を発動させることに適した性質なのです。

 ついてきていますか?」

思春は、若干混乱していたが頷く。

「あなたの氣が適している術は『疾(しつ)』と言います。この術ならば、あなたも使うことが出来るかもしれません。

 逆に、それ以外の術は、使うことの出来る可能性すらありません。

 ちなみにですが、仙氣についてもう一つ説明すると、仙氣はどんな氣にも変化させることが出来ます。まあ、能無しには限界がありますが・・・ねぇ?」

朔夜が豪臣に眼をやると

「うるせぇ」

と、豪臣は眼を逸らした。

思春は、そんなことよりも、自分が出来る可能性のある術がどのような術なのかが気になった。

「朔夜殿。その『疾』とは、いったいどのような術だ?」

「簡単に言えば、脚力を強化させる術です」

「脚力・・・どんな状況で役に立つ?」

「それは、使う者次第です。豪臣の例で言えば、戦いの中で、速さで相手を翻弄り、尋常ならざる蹴りを繰り出します」

思春は、なるほど、と頷いた。

「では、そろそろ始めましょう」

思春が納得したら、朔夜は肩から飛び降りて思春の前に出る。そして、身体に氣を込め巨大化した。

「さ、朔夜殿が相手なのか!?」

後退る思春。

「ええ。仙術は私。戦い方は豪臣が教えます。仙術に関しては、豪臣は無能の中の無能ですから・・・ねぇ?」

「・・・お前、何か俺に恨みでもあるのか?」

豪臣は、恨めしそうに睨んだ。

「自分の胸に手を当てて下さい。そして、分からないなら死んで良いですよ。それが嫌なら、隅に行って精神統一でもやっていて下さい。」

 

こんな感じで、思春の鍛錬が始まった。

 

それから思春は、『疾』を朔夜から学び、豪臣からは、それを活かした戦闘スタイルを確立させる術を学んだ。

鍛錬を始めて約一ヶ月後の、稽古が終った時のこと。

朔夜が、満足そうに思春に声を掛ける。

「良く頑張りました。まだまだではありますが、基本が出来るようになりました。後は、地道な積み重ねです」

思春は滴る汗を拭いながら、大きく深呼吸してから答えた。

「朔夜殿、礼を言う」

「いえ、あなたの努力の賜物です。呑み込みの早さなら、豪臣とは比べ物になりませんでした。もちろん、あなたが上です。

 では、先に戻ります。豪臣が、あなたに話があるそうですから」

そう思春を褒め、朔夜は鍛錬場を出て行った。

 

「思春」

「は、はい!」

出て行った朔夜を見ていた思春の目の前に、豪臣が立っていた。

「取り敢えずは、お疲れ様。よくもまぁ、この短期間で少しとはいえ使えるようになったもんだ」

「豪臣様と朔夜殿のお陰です」

豪臣は笑顔を作り、思春の頭を撫でる。

思春は、恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうに頬を緩める。他の者には見せない表情だ。

しかし、豪臣の一言が、その表情を壊す。

「これで、何の憂いも無く此処を去ることが出来る」

「・・・・・・え?」

思春の顔が凍りついた。当然、豪臣はその表情に気づく。

しかし、豪臣はそれでも続ける。

「この一ヶ月、結局劉表は動かなかった。そして、孫堅軍も袁術からの増援で、かなり良い状態になった。俺の留まる理由が無くなったんだよ」

思春が、ゆっくりと顔を上げる。

その表情は、今にも泣きそうだった。

「ごめんな」

「・・・いえ、最初から決まっていたことですから」

豪臣の謝罪に、思春は無理やり笑顔を作った。

 

【視点・豪臣】

「・・・いえ、最初から決まっていたことですから」

俺の謝罪に、思春は無理やり笑顔を作った。

そのとき、いつも、キリッ、としていた眼から一筋の涙が流れる。

 

俺は

 

その笑顔が、あまりにも痛々しくて

その涙が、堪らなく愛おしくて

 

思春を強く、強く抱きしめた。

 

そして、俺の胸の中に居たのは

とても小さくて

最高に可愛くて

ただ、俺のためだけに泣いてくれる女の子だった。

【視点・終】

 

【視点・思春】

こんなに泣いたのは初めてだった。

豪臣様の胸の中で、子供の様に泣きじゃくった。

豪臣様は、そんな私を泣き止むまで頭を撫で続けていた。

 

豪臣様は、私が泣き止むと、私を抱きかかえて部屋まで運んで下さった。

そして、立ち去ろうとしたとき、私は無意識のうちに豪臣様の着物の袖を掴んでいた。

「思春?」

首を傾げる彼。

 

私を、男では初めて倒した方。

私が、初めて眼が離せなくなった方。

私が、家族以外で初めて頭に触れることを許した方。

私を、初めて泣かした方。

 

此処を去ると聞かされたとき、私の頭の中は悲しみと切なさで一杯になった。

そして、気づいた。

私は、この方に好意を抱いていたことに。

 

豪臣様が去るのであれば、私もついて行きたい。

本気でそう思った。

しかし、それは出来ない。大恩ある蓮華様に恩を返さずに此処を去ることは出来ない。

だから、言った。

 

「今日だけは、今夜だけで良い。此処に居て下さい。・・・離れたく、ありません」

 

私の思いを乗せて。

自分は今、どんな顔をしているのだろう。顔が熱くて堪らない。

でも、今を逃したら、二度と言う機会が無い気がした。

 

「その言葉の意味・・・分かって言っているんだろうな?」

 

豪臣様が言う。

彼の顔は真剣だった。

 

だから私は、もう一度言った。

 

「離れたく・・・ない!」

 

豪臣様は、黙ったまま頷き、近づいてくる。

 

そして、彼との距離が無くなった。

 

 

その日は、私が今まで生きてきた中で、最も悲しく、そして最も幸せな一日となった。

【視点・終】

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

 

いきなり作品の話ですが・・・

 思春ですが・・・ちょ~っと、壊れ過ぎですかね。原作の面影が全く無くなってる気がするんですが。

しかも、書いてて可哀想になってきて、このまま呉√でいいんじゃん? って何度思ったことか。まぁ、残ったら残ったで問題山積になるんで、このまま行きますがね。

 次に雪蓮。何かチョー女の子になってしまいました。こっちは、許容範囲ないかなぁ、って思ってます。

 仙氣についてですが、作中で述べた通りです。

仙氣とは、基本的には身体能力の向上にしか役に立ちません。

仙氣を完璧に使いきれれば、どんな技でも使える、ということです(豪臣は無理)。まぁ、技については今後も出てきますので、その都度説明していきます。

 

14話で、一つ質問あったのでお答えします。

Q.仙術使わない場合、豪臣の強さってどのくらい?

A.格闘術に関してなら達人レベルです(恋姫たちに比べたら、打たれ弱いけど)。

  剣術は、仙氣の強化をしていなければ新月を振り回すなんて出来ません(才能無い)。

  豪臣の強さは、仙氣の強化と仙術によって支えられています。

 

と、こんな感じです。

 

次回投稿は、早ければ26日。遅くとも27日終了までにと予定しています。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

『我が心(しん)を以て、我が身、風と為る――疾(しつ)』

仙氣により、脚力をより強化させる術。速度重視の術〈疾風〉

 


 
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