No.119761

真・恋姫†無双~薫る空~第59話 覇道編司馬懿√

追えとの声がどうやら多いようでしたので、司馬懿√をあげていこうと思います。

2010-01-21 17:34:34 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7631   閲覧ユーザー数:6721

 

 

 

今更なオリキャラ注意

 

 

さすがにオリジナルも増えてきたので、紹介入れときます。

 

以下のオリジナルキャラが登場しています。

 

 

 

司馬懿 仲達(真名:薫)

 このルートのメインヒロイン。ですが、今回は出演なし。

 

 

曹仁 子孝(真名:琥珀)

 このルートではサブヒロイン。今回少し出ていますが、次回以降では出番は一気に減ります。

 

馬騰 寿成(真名:??)

 このルートでのキーキャラ。馬族の王で、翠の母です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

 ――答えは出た。

 もしかしたら、最初から決まっていたのかもしれないけれど、その答えを持って、俺は華琳から問いをかけられた翌日に兵舎に向かった。

 町から無骨さだけを寄せ集めたようないつも通りの内観に落ち着きながら、兵達の中心にいる彼女に話かけた。

 

 【華琳】「決まったかしら?」

 【一刀】「あぁ……」

 

 以前から大きく見えていた彼女が、何故か今日はその体が、俺には等身大に見えていた。

 曹操ではなく、華琳としての彼女が昨日から見えていたからかもしれない。

 

 【一刀】「行くよ、俺」

 

 だから、素直にそういえた。

 あいつを追うと。

 

 【華琳】「そう、なら準備してあるから、あちらから荷物を取ってきなさい」

 

 そういうのは分かっていたというように、華琳は兵舎の中のさらに奥を指差した。

 頷いて、そちらへ向かえば、兵の一人がその荷物を渡してくる。

 受け取って、馬をもらいに行こうとすると。

 

 【華琳】「ほら、待ちなさい」

 

 華琳が、俺の背に何かをかけるようにして、制止する。

 

 【一刀】「……これは?」

 【華琳】「この季節に、その格好でいくつもりだったの?」

 【一刀】「うっ……」

 

 そういえばと、今更になって自分の格好を見る。

 冬服とはいえ、制服のしたはシャツ一枚だ。所々補修された部分を考えれば、そこから風が入り込んでくるかもしれない。

 昼間ならばそれでも大丈夫だろうが、夜にこれはさすがに自殺行為だろう。

 それで、ふと、華琳がかけてくれたものを見ると、それはマントのように背中を覆う形になっていて、それ以外にも、肩や腕の辺りまで回りこむようになっている。

 生地もそれなりにしっかりしたもののようだ。

 

 【一刀】「ありがと、華琳」

 【華琳】「別に……それよりも、あの子をちゃんと連れて帰りなさい」

 【一刀】「あぁ……はは、前にも聞いた台詞だな」

 【華琳】「困ったものよ」

 

 笑いあってから、華琳は改めて、真剣な顔になる。

 

 【華琳】「いいわね、一刀。うちの軍師は四人なのよ」

 【一刀】「あぁ……!」

 

 確認するように、その意思をあらわにして、華琳は俺を見る。

 それに答えないで、何が天の御遣いだろう。

 強く頷いて、俺は歩き出す。

 

 

 【華琳】「…………はぁ、結局私も、あの子にいて欲しいだけなのかもしれないわね」

 【桂花】「華琳様……」

 

 いつから見ていたのか、桂花が華琳の様子を伺う。

 

 【華琳】「大丈夫よ。一刀ならば、上手くやるでしょう……。それより、馬騰の返事は?」

 【桂花】「は、それが……」

 【華琳】「?」

 

 いい濁す桂花に、首をかしげる華琳だが、次の言葉に、その表情は笑いへと変わっていた。

 

 【桂花】「同盟のしるしとして、御遣いなる者をこちらへよこせと言ってきております」

 【華琳】「…………っ……ふふ、あははは。さすがね馬騰。豪気とは聞いていたけれど、今の私を試すなんていい度胸だわ」

 

 いつか桂花にもぶつけた言葉を、華琳は呟く。

 

 【華琳】「いいでしょう、今そちらへ向かっている優男がいるから、好きにせよと伝えなさい」

 【桂花】「は」

 

 了解し、桂花は使者の準備に入る。

 

 【華琳】「馬騰はしばらく一刀に任せておくとして……こちらは……琥珀」

 【琥珀】「――……隠れてたのに」

 【華琳】「無駄に体力を使っていないで……それより、馬騰を押さえている間にこちらは北の麗羽を片付けるわよ」

 【琥珀】「…………誰?」

 

 首をかしげる琥珀はおいといて、華琳は広間へと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――side一刀

 

 

 【一刀】「しかし、行くとは言ったものの、結構遠いなぁ……」

 

 揺れる馬上で改めてもらった地図を見ると、馬の足でも結構かかりそうな距離だった。

 

 【一刀】「はぁ……」

 

 こっちに来てから、初めての独り。

 部下でも、上官でも、主でも、いつも誰かがいた頃とは違って、それはやはり寂しいものだった。

 向こうにいた頃も、何かにつけて友人が自分の部屋に遊びに来たりしていたから、人生全部をみても、孤独とよべるような状態は初めてかもしれない。

 特にすることは無く、しいて言うなら歩くことがそうなんだろうけど、退屈な事には変わらないわけで、つい、空なんて見上げてしまう。

 

 【一刀】「…………急がないとな」

 

 思い出したのは、最後に見た薫の顔で、最後の言葉だった。

 ”もうひとりのあたし”――。

 

 【一刀】「あぁぁぁ、わけわかんねぇ」

 

 前に聞いた時は、ただの悩みだと思っていたけど、どうもそうではないらしい。

 何より、以前も見たあの瞳と風はあきらかに異常だ。

 

 【一刀】「聞き出すしかないな」

 

 考えてもわからないんだから、本人に聞くしか把握する方法はない。

 答えは出ている。意思も決まっている。

 だから、あとは動くだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――涼州・天水

 

 

 

 【???】「母様っ!曹操から返事が来たぞ!」

 

 城内の広間に、飛び込むようにして少女が入ってきた。その手にはくしゃくしゃになった紙が握られていた。

 

 【馬騰】「翠ぃ、もうちょっと静かに入って来いよ……びびって酒落としたじゃねぇか」

 

 王座に座るのは入ってきた少女の母。

 なのだが。

 

 【翠】「また、昼間から酒なんか飲んで!なにしてんだよ!」

 

 がすがすと歩み寄り、強引に馬騰の足元に置かれた酒と手に持つ瓶を奪い取る。

 

 【馬騰】「あ、あぁぁ~~……」

 【翠】「あぁぁじゃない!ってうわっ……もたれかかるなぁぁ~!!」

 

 しなだれかかるように、翠に体を預ける母・馬騰。

 だが、この構図はどうみても親子逆転したもので、城内にいる者にとってはすでに見慣れたものになっていた。

 

 【???】「とぅっ!」

 【翠】「ぶはっ……だれだっって何してんだ蒲公英!」

 【蒲公英】「何っておば様の真似だよ~、姉様」

 

 で、見慣れたものなのだから、当然絡みだすものがいてもおかしくは無いわけで、そんな一人の蒲公英こと翠にとっては姪にあたる馬岱だった。

 

 

 【馬騰】「あははははっ!蒲公英はかわいいなぁ~」

 【蒲公英】「~~♪」

 

 よしよしと頭をなでられる蒲公英は機嫌よくするが、間に挟まれた長女はまったく納得していなかった。

 

 【翠】「だから、どいてくれってばーー!!」 

 

 どん、と二人を押しのけ、ようやく翠は解放される。

 

 【翠】「はぁ……はぁ……だからっ!曹操から返事来たんだってば!」

 

 と、手を前へ突き出すが、その手に持っているのはさきほど取り上げた酒で、肝心の手紙は――

 

 【馬騰】「お、っとこれか」

 

 馬騰の尻に敷かれていた。

 それを目で読み進めていくうちに、馬騰の顔はどんどん嬉しそうになる。

 

 【馬騰】「あっはっはっは!曹操って奴おもしろいじゃないか!」

 【翠】「そんな簡単に自分の部下を渡すなんて、何かあるんじゃ」

 【馬騰】「だったら曹操ごと潰してやるよ。どうせ袁紹で手一杯だろうしな」

 

 そういう目はさっきまでとは違って、随分とギラついたものだった。

 

 


 
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