No.118572

華ノ守人 第壱話《覇王との約束は・・・》

華の守人 第一話《覇王との約束は・・・》
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2010-01-14 21:54:08 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4443   閲覧ユーザー数:3544

第一章《覇王との約束は・・・。》

 

澄み切った空気の道場の中、祖父は座禅を組んでいた。

 

「来たか。一刀。」

 

「ああ。久しぶりだな、じいちゃん。」

 

向かい合う二人に、笑顔は無い。

 

「じいちゃん、もう一度言う。俺に剣術を教えてくれ。」

 

「ふん・・・。なにを焦っているのかは知らんが、まあよい。一刀、竹刀を持て。」

 

「じゃあっ「まだ誰も教えてやるとは、一言も言っとらんぞ?」・・・え?」

 

祖父の言葉に、不意をつかれる。

 

「まずは、貴様の《覚悟》を見せてもらう。」

 

「じいちゃん・・・。」

 

「ほれ。さっさと打ち込んでこんかい。」

 

言葉と共に、祖父の身体から圧倒的な殺気が噴き出す。

 

突然のことに、一刀が言葉を失ってしまうのも無理はないだろう。

 

なぜならば、ある意味感じなれた華琳や春蘭の気に匹敵するほどの

いや、それ以上の気を目の前の祖父が放っているのだから。

 

(ほほう?徒人なら卒倒するほどの殺気は放っとるんじゃがの・・・。これはこれは。)

 

「じいちゃん・・・、あんた、いったい何者なんだ・・・?」

 

「全てを知りたくば、ワシに認めさせてみろ。貴様の覚悟を!」

 

 

全て言い終わらないうちに、祖父が一気に間合いを詰める。その姿はさながら、雷<イカズチ>のようで。

 

「くッ!!」

 

眉間、心臓。確実に急所を狙った連続の突きを、後方を飛び退りかわす。

 

「ふう。まったく・・・、容赦ないなぁ。ほんとに何者だよ、あんた。」

 

苦笑気味に言う一刀の額から血が流れる。

 

「げ、掠ってたのかよ。」

 

「今の不意打ちに文句は無いのか?昔はギャンギャンと喚きおったのに。」

 

「無いよ。もしこれがホントの殺し合いだったら、そんなこと言ってられないだろ?」

 

(こやつ、変わったのぅ。)

 

「まるで経験したような言い草じゃの?」

 

「え・・・、あ、えと・・・、てへ☆」

 

「まあよい。早く打ち込んで来い。」

 

「ああ。いくぞ・・・。」

 

 

静寂が道場をつつむ。

 

最初に動き出したのは一刀。

 

裂帛の気合とともに祖父へとつっこむ。

 

「はあぁぁぁぁぁあああッ!!」

 

(速い!・・・ならば。)

 

左の胴を、”わざと”がら空きにし、隙を作る。

 

そこに吸い寄せられた、一刀の視線。

 

「もらったぁぁぁ!!」

 

確実に直撃すると確信し放った、まるで、目の前の空間ごとなぎ払うような横なぎの一撃。だが、

 

「まだまだ甘いわ。」

 

竹刀が胴に吸い込まれるその刹那、祖父の姿が消えた。頬にチクリとした痛みを残して、その場に溶けるように。

 

「へ?」

 

「なんじゃ?あの大振りは。」

 

 

背後から、突然の声と容赦ない一撃。

 

「がぁぁぁっ!っくぅ・・・、なんだよ、今の?」

 

(消えた?いやまて、それは無理だろさすがに。)

 

「じいちゃん・・・。今何した?」

 

「北郷流、参式。《天翔“アマガケ”》」

 

「北郷・・・流?」

 

わからない。そんなもの、聞いたことも無い。

 

「北郷流は影の剣。命を焼く殺人剣よ。」

 

「殺人剣・・・。」

 

「一刀よ。これだけは伝えておく。貴様が欲する力は、あまりにも強大で、危険な力じゃ。」

 

「ああ。」

 

正眼に竹刀を構える二人。

 

「絶対に認めさせてやる。」

 

「まあ、貴様ごときにやられるほどワシは甘くないぞ?このハナタレが。」

 

鼻で笑う祖父に、

 

「この、くそじじいっ・・・。」

 

「ほれ、さっさとかかってこんかい、ハナタレ。」

 

ワナワナと震える一刀。

 

「ふふふ・・・。くふふふ・・・。あはははははっ!!」

 

急に笑い始めた、一刀青年。で、

 

「ブッコロスッ!!!!!!!」

 

キレた。

 

この後、一刀が突っ込んで行ったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

数時間後。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」

 

道場には、すずしい顔で立つ祖父と、息を荒げる一刀。

 

「一刀。一つよいか?」

 

「はぁ、はぁ・・・。な、なに?早く、あんたに一撃入れてやりたいんだけど・・・。」

 

まだ怒ってる一刀。

 

「まあ、落ち着け。すぐ終わる。」

 

何を聞かれるのだろう?

 

「なにをそんなに焦っておる?」

 

「っつ!」

 

一刀の顔に驚愕の色が浮かぶ。

 

「い、いや、何言ってんだよじいちゃん。別に俺は焦ってなんか「いいや、焦っておるな。」・・・・・・。」

 

「すべて話せとは言わん。だが、貴様が焦る理由。力を欲する理由。それはなんだ?」

 

「・・・・・・。」

 

目を泳がせながら、戸惑う一刀。

 

しばしの沈黙の後、一刀が口を開いた。

 

「・・・・・・・。俺はさ、約束を守れなかった。」

 

眼を伏せて喋り始める。

 

「大切な人と、ずっと一緒に居るって約束。」

 

「彼女は俺に居場所をくれた。」

 

「その子はいつも凛としていて、決して人に弱みを見せなくて。でも、すごく寂しがりやで。」

 

一瞬、一刀が微笑んだ。だが、すぐに暗い表情に戻る。

 

「だから、彼女の心のよりどころになってやりたっかった。」

 

「ずっと側にいてやりたかった。」

 

「一緒に戦いたかった。でも・・・。」

 

祖父は無言で続きを促す。

 

「俺は弱かったから、いつも守ってもらってばっかりで。」

 

「いつも助けてもらってて。そんな俺に出来る事は、彼女の側にいてやることだけだったんだ。」

 

「それなのに・・・・・、もう、それすら出来ない!」

 

守れなかった約束が残した、決して塞がることの無く痛む心の傷。

 

一刀の心を締め付ける、最後に見た小さな後姿。

 

 

一刀が叫ぶ。

 

「もう・・・、もう嫌なんだっ!大切な約束も守れない自分が。弱いだけの、無力な自分が!」

 

「一刀・・・。」

 

「だから力が欲しいんだ。」

 

「戦う力が、守るための力が!・・・・・今のままじゃ、無力な俺じゃだめなんだよ!!」

 

あふれだす涙。止まることを知らずに流れ続ける。

 

「だから、だからじいちゃん・・・、力をくれ・・・・・・。」

 

「・・・・・・わかった。」

 

「じいちゃん・・・。」

 

「だが忘れるな。北郷流を継承するということは、日常に潜む闇に足を踏み入れることになる。」

 

「貴様も人の命を奪わなければならんことになるじゃろうて。」

 

それは、祖父から孫への最後の通達。お前まで人殺しをすることはないと。

 

「ワシは、国の命令でたくさんの人を殺した。」

 

「それを受け継げば、一刀お前も人を殺さねばならん」

 

「それでも、力が欲しいか?」

 

「力が・・・、欲しい!」

 

断言した愛孫の、涙にぬれた眼に灯った焔。

 

(どうやら、ワシも覚悟を決めんといかんか・・・。)

 

「わかった。ついてこい。」

 

「?」

 

 

 

祖父に連れて行かれたのは、庭の隅にあった、井戸。

 

「なんだ?」

 

「今から、この下の鍛錬場にゆく。」

 

そこには、武人としての祖父。

 

「これより、修行を始める。」

 

 

 

 

厳かに、祖父は言った。

 

 

 

 

                                       To be continue...

 

         華守☆インフォメーション・第一回  

 

 

作者「華守☆インフォメーション!メインパーソナリティ、CV.くまさんと?」

 

一刀「アシスタントの、北郷一刀です。」

 

作者「いやぁー、始まりましたね!」

 

一刀「始まったのはいいけど、なに?これ。」

 

作者「単なる後書きじゃつまんない。だから、毎回ラジオ風にいこうかと。」

 

一刀「ふーん。」

 

作者「第一回、記念すべき最初のゲストは・・・」

 

一刀「また唐突だな・・・。」

 

作者「もう、出番ないかもね!及川ですっ!」

 

及川「どうも、及川でって、うそーん!そんなぁ!もっとつこうてやぁ!!」

 

作者「やだ。」

 

一刀「これまたきっぱり断言したね(笑)」

 

作者「はい。及川さん、どうもありがt「ちょいまてぇ!もうおわりって・・」だまれ及川。」

 

及川「・・・。ごめんなさい(泣)そしてさよなら。」

 

とぼとぼ帰る及川に、合掌。

 

一刀「あいつ、呼んだ意味あったか?」

 

作者「ないけど、プロローグだけじゃかわいそうだろ?」

 

一刀「こっちのほうがかわいそうだよ。」

 

作者「まあいいや。さて。次回から一刀君、修行編!」

 

一刀「うん。いよいよだな。」

 

作者「種馬の君には悪いけど、女の子の登場はまだ先です。」

 

一刀「種馬言うな。」

 

作者「まあまあ。とりあえず、次回で修行編は書ききって、次回のラストに君には試練を与えます。」

 

一刀「まじ?」

 

作者「はい。大マジです。」

 

一刀「はぁ。つかさ、俺、ほとんど一言づつしか喋ってないな。」

 

作者「うん。クレームが怖いよ。というわけで華守☆インフォメーション。終わります。お相手はCV.くまさんと!」

 

一刀「終わり方も唐突だな。みなさんこれからよろしくお願いします。北郷一刀でした。」

 

作者「では、第二章でお会いしましょう。次回からは、小説の話もしますんで(笑)」

 

作者&一刀「ばいばーい!」


 
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