第一章《覇王との約束は・・・。》
澄み切った空気の道場の中、祖父は座禅を組んでいた。
「来たか。一刀。」
「ああ。久しぶりだな、じいちゃん。」
向かい合う二人に、笑顔は無い。
「じいちゃん、もう一度言う。俺に剣術を教えてくれ。」
「ふん・・・。なにを焦っているのかは知らんが、まあよい。一刀、竹刀を持て。」
「じゃあっ「まだ誰も教えてやるとは、一言も言っとらんぞ?」・・・え?」
祖父の言葉に、不意をつかれる。
「まずは、貴様の《覚悟》を見せてもらう。」
「じいちゃん・・・。」
「ほれ。さっさと打ち込んでこんかい。」
言葉と共に、祖父の身体から圧倒的な殺気が噴き出す。
突然のことに、一刀が言葉を失ってしまうのも無理はないだろう。
なぜならば、ある意味感じなれた華琳や春蘭の気に匹敵するほどの
いや、それ以上の気を目の前の祖父が放っているのだから。
(ほほう?徒人なら卒倒するほどの殺気は放っとるんじゃがの・・・。これはこれは。)
「じいちゃん・・・、あんた、いったい何者なんだ・・・?」
「全てを知りたくば、ワシに認めさせてみろ。貴様の覚悟を!」
全て言い終わらないうちに、祖父が一気に間合いを詰める。その姿はさながら、雷<イカズチ>のようで。
「くッ!!」
眉間、心臓。確実に急所を狙った連続の突きを、後方を飛び退りかわす。
「ふう。まったく・・・、容赦ないなぁ。ほんとに何者だよ、あんた。」
苦笑気味に言う一刀の額から血が流れる。
「げ、掠ってたのかよ。」
「今の不意打ちに文句は無いのか?昔はギャンギャンと喚きおったのに。」
「無いよ。もしこれがホントの殺し合いだったら、そんなこと言ってられないだろ?」
(こやつ、変わったのぅ。)
「まるで経験したような言い草じゃの?」
「え・・・、あ、えと・・・、てへ☆」
「まあよい。早く打ち込んで来い。」
「ああ。いくぞ・・・。」
静寂が道場をつつむ。
最初に動き出したのは一刀。
裂帛の気合とともに祖父へとつっこむ。
「はあぁぁぁぁぁあああッ!!」
(速い!・・・ならば。)
左の胴を、”わざと”がら空きにし、隙を作る。
そこに吸い寄せられた、一刀の視線。
「もらったぁぁぁ!!」
確実に直撃すると確信し放った、まるで、目の前の空間ごとなぎ払うような横なぎの一撃。だが、
「まだまだ甘いわ。」
竹刀が胴に吸い込まれるその刹那、祖父の姿が消えた。頬にチクリとした痛みを残して、その場に溶けるように。
「へ?」
「なんじゃ?あの大振りは。」
背後から、突然の声と容赦ない一撃。
「がぁぁぁっ!っくぅ・・・、なんだよ、今の?」
(消えた?いやまて、それは無理だろさすがに。)
「じいちゃん・・・。今何した?」
「北郷流、参式。《天翔“アマガケ”》」
「北郷・・・流?」
わからない。そんなもの、聞いたことも無い。
「北郷流は影の剣。命を焼く殺人剣よ。」
「殺人剣・・・。」
「一刀よ。これだけは伝えておく。貴様が欲する力は、あまりにも強大で、危険な力じゃ。」
「ああ。」
正眼に竹刀を構える二人。
「絶対に認めさせてやる。」
「まあ、貴様ごときにやられるほどワシは甘くないぞ?このハナタレが。」
鼻で笑う祖父に、
「この、くそじじいっ・・・。」
「ほれ、さっさとかかってこんかい、ハナタレ。」
ワナワナと震える一刀。
「ふふふ・・・。くふふふ・・・。あはははははっ!!」
急に笑い始めた、一刀青年。で、
「ブッコロスッ!!!!!!!」
キレた。
この後、一刀が突っ込んで行ったのは言うまでもないだろう。
数時間後。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
道場には、すずしい顔で立つ祖父と、息を荒げる一刀。
「一刀。一つよいか?」
「はぁ、はぁ・・・。な、なに?早く、あんたに一撃入れてやりたいんだけど・・・。」
まだ怒ってる一刀。
「まあ、落ち着け。すぐ終わる。」
何を聞かれるのだろう?
「なにをそんなに焦っておる?」
「っつ!」
一刀の顔に驚愕の色が浮かぶ。
「い、いや、何言ってんだよじいちゃん。別に俺は焦ってなんか「いいや、焦っておるな。」・・・・・・。」
「すべて話せとは言わん。だが、貴様が焦る理由。力を欲する理由。それはなんだ?」
「・・・・・・。」
目を泳がせながら、戸惑う一刀。
しばしの沈黙の後、一刀が口を開いた。
「・・・・・・・。俺はさ、約束を守れなかった。」
眼を伏せて喋り始める。
「大切な人と、ずっと一緒に居るって約束。」
「彼女は俺に居場所をくれた。」
「その子はいつも凛としていて、決して人に弱みを見せなくて。でも、すごく寂しがりやで。」
一瞬、一刀が微笑んだ。だが、すぐに暗い表情に戻る。
「だから、彼女の心のよりどころになってやりたっかった。」
「ずっと側にいてやりたかった。」
「一緒に戦いたかった。でも・・・。」
祖父は無言で続きを促す。
「俺は弱かったから、いつも守ってもらってばっかりで。」
「いつも助けてもらってて。そんな俺に出来る事は、彼女の側にいてやることだけだったんだ。」
「それなのに・・・・・、もう、それすら出来ない!」
守れなかった約束が残した、決して塞がることの無く痛む心の傷。
一刀の心を締め付ける、最後に見た小さな後姿。
一刀が叫ぶ。
「もう・・・、もう嫌なんだっ!大切な約束も守れない自分が。弱いだけの、無力な自分が!」
「一刀・・・。」
「だから力が欲しいんだ。」
「戦う力が、守るための力が!・・・・・今のままじゃ、無力な俺じゃだめなんだよ!!」
あふれだす涙。止まることを知らずに流れ続ける。
「だから、だからじいちゃん・・・、力をくれ・・・・・・。」
「・・・・・・わかった。」
「じいちゃん・・・。」
「だが忘れるな。北郷流を継承するということは、日常に潜む闇に足を踏み入れることになる。」
「貴様も人の命を奪わなければならんことになるじゃろうて。」
それは、祖父から孫への最後の通達。お前まで人殺しをすることはないと。
「ワシは、国の命令でたくさんの人を殺した。」
「それを受け継げば、一刀お前も人を殺さねばならん」
「それでも、力が欲しいか?」
「力が・・・、欲しい!」
断言した愛孫の、涙にぬれた眼に灯った焔。
(どうやら、ワシも覚悟を決めんといかんか・・・。)
「わかった。ついてこい。」
「?」
祖父に連れて行かれたのは、庭の隅にあった、井戸。
「なんだ?」
「今から、この下の鍛錬場にゆく。」
そこには、武人としての祖父。
「これより、修行を始める。」
厳かに、祖父は言った。
To be continue...
華守☆インフォメーション・第一回
作者「華守☆インフォメーション!メインパーソナリティ、CV.くまさんと?」
一刀「アシスタントの、北郷一刀です。」
作者「いやぁー、始まりましたね!」
一刀「始まったのはいいけど、なに?これ。」
作者「単なる後書きじゃつまんない。だから、毎回ラジオ風にいこうかと。」
一刀「ふーん。」
作者「第一回、記念すべき最初のゲストは・・・」
一刀「また唐突だな・・・。」
作者「もう、出番ないかもね!及川ですっ!」
及川「どうも、及川でって、うそーん!そんなぁ!もっとつこうてやぁ!!」
作者「やだ。」
一刀「これまたきっぱり断言したね(笑)」
作者「はい。及川さん、どうもありがt「ちょいまてぇ!もうおわりって・・」だまれ及川。」
及川「・・・。ごめんなさい(泣)そしてさよなら。」
とぼとぼ帰る及川に、合掌。
一刀「あいつ、呼んだ意味あったか?」
作者「ないけど、プロローグだけじゃかわいそうだろ?」
一刀「こっちのほうがかわいそうだよ。」
作者「まあいいや。さて。次回から一刀君、修行編!」
一刀「うん。いよいよだな。」
作者「種馬の君には悪いけど、女の子の登場はまだ先です。」
一刀「種馬言うな。」
作者「まあまあ。とりあえず、次回で修行編は書ききって、次回のラストに君には試練を与えます。」
一刀「まじ?」
作者「はい。大マジです。」
一刀「はぁ。つかさ、俺、ほとんど一言づつしか喋ってないな。」
作者「うん。クレームが怖いよ。というわけで華守☆インフォメーション。終わります。お相手はCV.くまさんと!」
一刀「終わり方も唐突だな。みなさんこれからよろしくお願いします。北郷一刀でした。」
作者「では、第二章でお会いしましょう。次回からは、小説の話もしますんで(笑)」
作者&一刀「ばいばーい!」
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華の守人 第一話《覇王との約束は・・・》
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