たったった、ベン!
「わふっ!」
何もないところで転んでしまう私
今日、これで何回転んだのだろう。先を急がないと
今日は、理樹との待ち合わせ、ちょっと遅れ気味なので走っているところ
たったった、ぺし!
「わふっ!また転んでしまいました」
「オン!」
「ストレルカ!私のことが心配で来てくれたのですね」
「オン!」
「ありがとです!」
私は再び駆け出す。ストレルカも一緒についてくる
コテッ!
「わふっ!また転んでしまいました」
『くぅーん』
今度はベルカが現れ、私の顔をぺろっとする
「ベルカ!ありがとです。ストレルカとベルカ一緒に応援してくれるのですね」
『オン!』
元気な声を上げる二匹。私にとっても欠かせない存在
私は再び駆け出す
「走っているはずなのに、さらに遅れ気味とはどういうことなのでしょうか」
べしッ!
「わふっ!また転んでしまいました…」
どうしてこんなに転ぶのだろう、と思っていたらちょっと涙がこぼれてくる
「おいおい、クド公大丈夫か?そんなところで転ぶなんておまえ筋肉足りないんじゃないのか?」
「どうした?そんなに転んでばかりだと泥だらけになるぜ。それとも泥だらけになるのがおまえの希望かい?」
「井ノ原さん!それに恭介さんも」
二人に励まされ、再び走り出す私
「よし、その意気だ!おまえなら大丈夫」
恭介さんたちの声援を背中に受ける
今度こそ、転ばないぞ!と思いつつもやっぱり転ぶ
ドテッ!
「わふっ!」
「おい!大丈夫か?猫たちも心配しているぞ」
私が転んだ近くには、鈴さんをはじめとした猫たちがいっぱい集まっている
「クーちゃん、大丈夫?」
そして、後ろから小毬さんもこちらに駆け寄ってくる
「はい、何とか大丈夫です。先ほど、恭介さんや井ノ原さんにも助けていただきましたので」
「馬鹿兄貴でも一応気が利くからな」
「お二人ともありがとです」
お礼を告げ、再び走り出す私。理樹の待つ場所まであと少し
たったった…
「わふっ!」
また転びそうになる私。これで何度目だろうと思う…
”もふっ”
もふっ?もふって何でしょう。しかも転んでいない。。。
「大丈夫かい?クド」
私は理樹の腕の中。どうして理樹がここに?
「どうしたんだい?いきなり泣き出して。つらいことがあったのかい?しかも砂まみれだし」
私は今日の出来事を話す。ここに向かう途中に何度も転んでみんなの声援を受けて頑張ってきたことを
「そうか、僕の知らないところでクドは頑張っていたんだね。でもこれからは大丈夫だよ」
「私、ドジですからまた転ぶと思います」
「大丈夫だよ、転ばないように僕が支えるから」
「りきっ!ありがとです!」
私は彼に飛びつき、無意識のうちに彼の名前を呼んでいた
再び目頭には涙を浮かべていたが、今の涙は違う。彼の気持ちがそうさせているのだ
おじいさまがおっしゃっていた七転び八起きの意味が、今わかった気がします
どんなにつらいことがあっても立ち上がる。それを繰り返していくうちに報われる
やっぱり理樹は、私にとって大切な人なのです
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くどわふたー発表記念、クドに関するSSです
何もかも一生懸命な彼女。ちょこっと抜けているところもあるけれど、その部分がすごくかわいい
ぽてっ。ぽてっ、と転びながらもいろんな人達に助けられていく彼女。一人で生きていくのではなく、いろんな人達に支えてもらいながら生きていることを知っていきます
ちょこっとドジな彼女ですが、最後には自分の気持ちを再認識。そんなお話しです