No.117730

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 8話

虎子さん

拙い文章ですが、読んでやって下さい。

あとがきにQ&Aを載せました。

2010-01-10 15:36:39 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5211   閲覧ユーザー数:4357

~山小屋~

 

日が昇る少し前、豪臣はいつものように眼を覚まし

「おはよう朔夜。何もなかったか?」

と、挨拶をして、寝ずの番をしてくれていた朔夜に問う。

「特に何も。疲れていた様で彼女もぐっすりでした」

そう言って、二人は青蓮(しょうれん)を見る。

穏やかな寝顔をしていた。

「大丈夫そうだな。少し落ち込んでいたから心配はしたけど」

「この変態と居るのに熟睡出来るとは。何とも言えませんね」

(あれ?何故かいつもより冷たい様な・・・)

「え~と・・・朔夜?」

豪臣がおずおずと聞こうとするが

「朝日を浴びながら煙草を吸いに行くのでしょう?さっさと行って下さい」

「・・・はい」

朔夜の言葉に肩を落とし、煙管を帯に挿しながら出て行った。

 

豪臣が出て行った扉を見ながら愚痴る。

「まったく。無自覚な誑し野郎は困りますね」

そう朔夜が溜息を吐くと

「そう、彼は女誑しなのですか」

「!!」

眼を覚ました青蓮が、朔夜を見詰めていた。

 

「・・・・・・・・・しっぱい」

 

 

豪臣が小屋に戻ると、驚くべき光景が眼に入ってきた。

「・・・そうだったのですか。豪臣さんは別の世界の方で、仙人の修行のために来たと」

「ええ」

「・・・・・・」

(あっれ~?何で二人が話してんの?)

朔夜は青蓮の膝に乗り、(青蓮だけ)笑顔で談笑していた。しかも、その内容が別の世界云々の話。

これには、豪臣も開いた口が塞がらない。眼を丸くしたまま二人を見詰める。

そんな、豪臣に青蓮が気づき

「あ、お帰りなさい、豪臣さん。私、朔夜さんと凄く仲良くなったのですよ?」

そう言って、可愛らしい笑顔を向けてくる。

「あ、ああ。それは良かった。良かったんだが、これはいったい・・・」

「・・・すみません、豪臣。あたしとしたことが、彼女が起きていることに気づかず、独り言を聞かれてしましました」

「そ、そうか・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

黙る二人。そして

「さ、日も昇りました。私を連れて行って下さいね。豪臣さん!」

青蓮だけが笑顔だった。

 

~山の南・孫堅軍本陣~

 

本陣は孫堅という大黒柱が行方不明になったため、将兵は慌てていた。

「伯符!待ちなさい!」

「何でよ、冥琳!早く母様を見つけ出さないといけないじゃない!」

そんな中、伯符こと孫策、冥琳こと周瑜の二人が言い争っていた。

「落ち着きなさい!だからこそ、黄蓋殿と興覇に捜索してもらっているのだろう!

 今、本陣を空にする訳にはいかない」

「でも、見つからないじゃない!」

「分かっているわ・・・・・・」

冥琳は悔しそうに顔を顰める。

「・・・!!やっぱり私行くから!冥琳は本陣をお願い。

孫策隊!私に続けぇぇ!」

「雪蓮!!・・・くそっ!」

雪蓮は聞かずに行ってしまった。

 

冥琳は後悔していた。

先の戦闘での黄祖の撤退は、あまりにも鮮やかで、追撃してくれと言わんばかりのものだった。それを策と見た冥琳は、すぐに青蓮たちに伝令を送った。しかし、送った相手は比類無き統率を誇る孫堅隊。好機と見た青蓮は、伝令の到着前に精鋭200を以て追撃してしまった。

そして、追撃停止をし、軍の再編成をしていた孫堅軍の下に瀕死の伝令が到着した。

『孫堅隊全滅。孫堅様は行方知れずとなりました』

そう言って事切れる伝令。それを聞いた軍は大混乱に陥ってしまった。中でも雪蓮は酷かった。母でもある孫堅の行方不明を聞き、単騎で陣を出ようとしたのだ。

今の雪蓮は冷静な判断が出来ない、そう判断した冥琳と祭(黄蓋)は雪蓮を本陣に残し、捜索を祭と思春(甘寧 興覇)が、軍の鎮静を冥琳が務めることになった。

信頼する祭と思春が捜索に向かったため、雪蓮は落ち着いた。しかし、一晩たっても発見の報は無し。そのため自分も出る、と興奮してしまったのであった。

 

(今の雪蓮は危険だ。しかし、本陣を空にする訳にも・・・

 こんなことになるのなら穏を連れてくれば良かったか・・・)

そう考えたが、今更何を、とそう思い首を振った。

そして、いつ来るかも知れない劉表軍に対しての防衛陣を構築させていった。

 

~山道~

 

豪臣たち三人は、豪臣の採ってきた木の実や果物を食べた後、孫堅軍の本陣へ向けて出発していた。

 

「ふ~ん。じゃあ兵二万の軍勢を以て、兵八万の劉表の本拠、襄陽を奇襲したのか?無謀だな」

「仕方無かったんですよ。袁術ちゃんが貸してくれた兵は新兵一万で、私たちの兵と合わせて三万ですよ?

これじゃ正面から戦えない。ですから、その一万を今回私たちの本拠とした長沙に置き陸遜に守らせて江夏や夏口を素通り。我が軍二万で、四万で守る襄陽に奇襲。援軍が来るまでの短期戦で決めるつもりでした。そして、途中までは順調でした」

「しかし、思いの外援軍の到着が早かった、ということですか。黄祖は自分が江夏の太守と言ってまいたから」

「しかも、単隊での追撃。大将のすることじゃねぇぞ」

豪臣とその肩に乗る朔夜は呆れ、そんな二人を見て、豪臣に抱き抱えられる青蓮は苦笑い。

「まったく、おま「豪臣。見られていますが良いのですか?」・・・知ってるよ」

「え?」

二人の言葉が分からない青蓮。

「見られている?」

「ああ、兵としてなら、なかなかの者たちだな。さっきから、崖の上からこっちを監視している」

「数は三十程ですね。敵意は感じません。先程まで数人が行ったり来たりを繰り返していました」

「敵意を感じない、ですか?」

「お前ん所の兵じゃないのか?」

そう言って三人は、揃って崖上を見上げる。

 

ガサッ!

 

崖上の森の茂みが微かに揺れる。

そして

「今度は前方から来ます。此方は五百程です」

そう朔夜が言ってから少しして、前方から砂塵が上がった。

「お迎えだと良いんだけどね。青蓮、下ろすぞ」

そう言って青蓮を崖を背もたれにする様に座らせ、外套を頭まで被った。

 

隊が豪臣たちの15m程先で停止した。

青蓮は安堵の表情を見せ

「私の軍です」

と、豪臣に告げた。

すると、隊の先頭に弓を携えた女性が現れる。そして、その後ろに影の様にもう一人、女の子がいた。

「我が名は孫堅軍が将、黄蓋。旅の者と見受ける。そちらの女性は我が主である。引き渡してもらいたい」

かなり探し回ったのだろう。疲労の所為か若干殺気立っている。

豪臣は、そんな黄蓋に

「ああ、分かった」

そう言って青蓮の下へ向かう。

「すみませんね、豪臣さん」

部下の態度を苦笑いで謝罪する青蓮。

豪臣は

「気にすんな。こっちもそれなりの対応をするだけだ」

ニヤ、と意地悪そうな笑いを向け、青蓮の服の腰部分を右手で掴む。

「ひ、豪臣さん?私・・・凄く嫌な予感がするのですが?」

「そうか?」

そう言って、青蓮を宙吊りにして

「そら!受け取れや!」

黄蓋に向かって投げた。

「な!青蓮!」

 

ド! ドスン!

 

黄蓋は青蓮を受け止めたが、勢いを殺しきれずに落馬した。

そんな黄蓋を見て

「ハッハッハッハッハッハ!今度からは、少しは相手への態度を考えるんだな!くくく・・・」

笑う豪臣。何気に朔夜もニヤけている。

その様子を見ていた後ろの女の子は

「キサマァァ!」

そう怒鳴り、豪臣に斬りかかってきた。

 

文台様を連れていた者の顔は分からなかった。声で男と分かる程度だ。

その男が文台様を投げた。

黄蓋殿がそれを受け止め落馬する。

まさかのことに、私は思考が一瞬停止してしまった。

すると、男が

「ハッハッハッハッハッハ!今度からは、少しは相手への態度を考えるんだな!くくく・・・」

腹を抱えて嗤う。

そんな男を見た私は

「キサマァァ!」

気づいた時には、そう叫び斬りかかっていた。

 

しかし、男は笑みを崩すことは無かった。

怒っていた。確かにそうだ。しかし、だからといって鈍る私の剣ではない。

だというのに

「よっ、ほっ、はっ・・・当たらないぞ~」

当たらない。男に軽々と避けられる。

私は一旦後ろに跳び間合いを開ける。

すると、先程倒れた黄蓋殿が

「舐めるな小僧!」

そう言って矢を二本放つ。

私は、今しかない。そう思い間合いを詰める。男が矢を避ける瞬間を狙った。

しかし

 

パシシ!

 

男は左手、親指・人差し指・中指で黄蓋殿の二本の矢を挟み止めた。

「はい、残念」

私は、そう笑う男に

「く!しまっ・・・グ!」

剣を持つ左の手首を掴まれ、地に組伏された。

(負けた?この私が?男に?)

驚愕した私は首だけで男を見上げる。

すると

「筋は悪くないよ。ただ、ちょっと大振りかな?」

そう言って先程のものとは違う、優しい笑みを浮かべていた。

 

(こいつが・・・この男が、私を初めて負かした男///)

 

「興覇!」

 

そう黄蓋殿の声が聞こえるが、私はこの優しい笑みを浮かべる男から眼を逸らすことが出来なかった。

 

そして私は、顔に、怒りによる紅潮とは違う何か。

別の熱さを感じ、それを抑えることが出来なかった。

 

 

そんな私の耳に

 

「まだ増やしますか、このクズは」

 

という声が届いた気がした。

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

いつの間にかお気に入り登録が20人突破してました!

嬉しいですヽ(^。^)ノ

 

さあ、作品の話です・・・

今回、朔夜さんがドジりましたね。まあ、豪臣を思っているとこうなってしまう事もある、ということです。

次に、最後に出てきた女の子(分かりますよね?)なのですが。例の妹さんの護衛です。

で、その妹さんと一緒に居ると、なかなかデレないので、この作品では単独出演させました。

何で一緒に出さないんだよ! と思う読者の方。申し訳ありません。許して下さい。

で、次はですね。

何か、書いてて思うんですよ。 フラグ立つの早くね!? って。

そして、登場キャラが増える度に思うんです。 朔夜の立ち位置ムズッ! って。

まあ、作者の愚痴はこのくらいにしときます。

 

7話と設定資料のコメントQ&Aです。

Q.青蓮が外見が若くて、手料理まで出来るってズルくない?

A.いや~。ほら、年のこともありますし・・・それくらいポイント稼げる能力がないといけませんし、ね(^_^;)

 

Q.何故初対面がシャオじゃながったんDAA--!!!!

A.ごめんなざーーい!!!!

 

Q.龍と互角の漢女二人より恋が強いってどゆことよ!?

A.二人を強くすると、左慈たちも強くしないといけませんから・・・

  この作品では、左慈たちが――じゃないもんで

 

Q.設定資料の知力って、軍略にした方が良くね?

A.はい。私もそう思いました。が、しかし。ビジュアルブックには“知力”となっていましたので、このままでお願いします<m(__)m>

 

と、こんな感じです。

 

次回投稿は、早ければ12日。遅くとも13日終了までにと予定しています。

 

文章中に誤字脱字等ありましたら、コメントにガンガン書いてやって下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 


 
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