ゼフィロスと呼ばれる、時間が巻き戻りやすい「黄」の地球。
その世界の国の一つ、日本にあるとある町では、「怪」と呼ばれるこの世のものではない存在の力が、×印状の罅から漏れ出していた。
見たものを石にするギリシャ神話の怪物、メデューサ。
ネス湖に棲む首長の巨大生物、ネッシー。
冷たい息であらゆるものを凍らせる美しき妖怪、雪女。
人間に強い恨みを抱いた、古代エジプトの王、ツタンカーメン。
小さくか弱いながらも人間を吸い込む力を持つ爬虫類、ツチノコ。
吸血鬼の中で最も有名なドラキュラと、そのドラキュラの弟、ヴァーニー。
3mの宇宙人と呼ばれたロボット、フラットウッズ・モンスター。
空から様々なものが降ってくる怪奇現象、ファフロツキーズ。
生物の死骸を使って何かを作る天才科学者、フランケンシュタイン。
新たな仲間が加入した、コティングリーの妖精。
地球空洞説によって地下から地上に現れようとした、地底人。
平安時代の恐怖の象徴、鵺。
アメリカに無数に現れた動く死体の怪、ゾンビ。
人間との悲しき恋を経験した、人魚。
霊界通信機を用いて亡くなった妻と再会しようとした、エジソン。
あらゆるものを燃やす炎の精霊、サラマンダー。
不幸を呼ぶパンドラの箱と、海に沈んだアトランティス大陸。
そのアトランティス大陸で遭遇した、狼に姿を変える怪物、人狼。
そして、全ての怪事件の元凶である、人間の闇から生まれた、邪鬼。
邪鬼は遺跡の調査をしていたある考古学者の身体に取り憑き、様々な怪を利用して町を恐怖に陥れ、人間を滅ぼそうとしていた。
しかし、その考古学者の息子の少年を中心とした人間は決して諦めていなかった。
怪達が町を破壊し、人間が絶望に覆われる中であっても、少年は諦めずに邪鬼に立ち向かった。
様々な世界で少年が出会った人々が少年を応援し、少年は邪鬼と戦い、ついに邪鬼は考古学者の身体から離れる。
そして、上のエルフが邪鬼と魂を融合し、世界を再構築した。
特別な力を持つ少年達によって邪鬼の脅威が消え、町が平和になった頃。
その隣町では、再び事件が起ころうとしていた。
「……」
緑の毛が生えた怪物が、三つ編みの少女から10m離れた位置で立っている。
三つ編みの少女はじっと、怪物を睨んでいる。
怪物は、少女の持っている「何か」目掛けて、襲い掛かろうとしていた。
「そこっ!」
少女は高く飛び上がり、怪物を蹴り飛ばそうとするが、怪物は体当たりで反撃し、少女を突き飛ばす。
「痛い……でも、やる」
少女は素早く間合いを詰め、怪物目掛けてキックを繰り出す。
怪物も体当たりで反撃し、お互いにダメージを受ける。
「錬気轟縮」
光の力で気の塊が生まれると、怪物に直撃して体力と気力を大幅に減らす。
怪物もまた体当たりで反撃し、少女の何かを狙おうと飛び掛かる。
少女は安全な場所に移動して気を集中し傷を癒した後、再び気の塊を怪物にぶつけて大ダメージを与え、混乱させる。
その隙に、少女は気の塊を怪物にぶつけて容赦なく攻撃した。
「ウウウウ、ウウウウウウ、ウウウウウ」
何度もダメージを受けた怪物は、怯えて飛び跳ねながら逃げ出した。
去る者追わずという事で、少女は何も言わずに歩いて行った。
「わたしのホワイトチョコは、渡さない」
そう言って少女は、怪物から守ったホワイトチョコを食べた。
無表情の少女が、ゆっくりと笑顔になる。
「早く、戻らなきゃ」
少女は真っ直ぐに空を見つめながらそう呟いた。
ホワイトチョコを食べながら。
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本日から毎週土曜日に「怪帰師のお仕事」の二次創作を連載します。
二次創作らしく、設定改変や原作に登場しないオリジナルキャラがいますので、苦手な方は読むのをおやめください。
まずはプロローグですが、これはもう1つの作品の二次創作でもあります。