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英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~

soranoさん

第51話

2024-09-26 11:45:43 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:625   閲覧ユーザー数:585

~アルジュメイラホテル・最上階・受賞式会場~

 

「…………!」

「あ、あれは…………!」

「…………凄い…………」」

「…………ええ、どちらも。」

「ヘイムダル奪還の時を思い出すな…………」

「はい…………サァラさんなら、大丈夫だと思いますが…………」

受賞式会場に突入したヴァン達は大型のモニターに映るサァラとシャヒーナの”踊り”の対決に気づき、思わず魅入っている中ロイドが呟いた言葉にリーシャは頷いた。

「ハン――――――何とか踏ん張ってるみてぇだな。」

「フフ、仮面で強化された”超人”相手によく食らいつけるもんだよねぇ♪」

「”お姉ちゃん”だからです!」

ヴァンが呟いた言葉に続くように口にした声を聞いたヴァン達が視線を向けると拘束されたゴッチ監督やニナの前にメルキオルが立ちはだかっており、メルキオルの言葉に答えたフェリはヴァン達と共にメルキオルと対峙した。

「出やがったなサイコ野郎…………!」

「ハッ、今度は逃がさねぇぜ、棘(ソーン)!!」

アーロンとガルシアはそれぞれメルキオルを睨んで声を上げた。

 

「み、皆さん…………!」

「おおっ、助けに来てくれたんじゃな!?」

ヴァン達の登場にニナとゴッチ監督はそれぞれ明るい表情を浮かべた。

「ニナさん、ゴッチ監督も…………!」

「…………とりあえず怪我とかはないみたいね。」

二人を確認したアニエスは安堵の表情を浮かべ、グリムキャッツは二人は怪我を負っていないことを確認した。

「グ、グリムキャッツ…………!?噂のけしからん雌猫がどうして!?」

「けしからん言うなっ!!」

グリムキャッツに気づいて驚きの表情で声を上げたゴッチ監督にグリムキャッツは反論したが

「でも、どうしてここに…………」

「あー…………まあちょっととある女優に頼まれちゃってね。」

ニナから当然の疑問を問いかけられると気まずそうな表情を浮かべて嘘の理由を答えた。

 

「巷で噂の怪盗だっけ――――――僕らの”お宝”を奪いに来たのかな?裏解決屋(かれら)もそうだけど”エースキラー(そちらのひとたち)”とも対立してたかと思ったけど。」

「別に仲良くしちゃいねぇさ…………てめぇらをブチのめすのに都合がいいだけだ。」

「…………はい、仇討ちだけじゃなく、シャヒーナさんたちのためにも。」

「―――――悪いが、少し静かにしてもらおうか。舞台もいよいよクライマックスに差し掛かったところだ…………ここで見逃したら勿体ないだろう?」

メルキオルの問いかけにヴァンとフェリが答えるとゲネシスを片手に掴み、ソファーに座っているコートの男がヴァン達に指摘した。

「っ…………」

コートの男に指摘されたヴァンはコートの男が纏う只者ではない気配に思わず唇を?み締めた。

「フフ――――――ごめんよ、ボス♪」

「…………!」

「……おい、まさか…………」

「あ、あの人が…………」

「まさか今回はボス直々に動いていたとはね…………」

メルキオルがコートの男に向けた驚愕の呼び方にアニエスは目を見開き、アーロンとフェリは驚きの表情を浮かべ、ルファディエルは真剣な表情で呟き、ラヴィと視線を交わして頷いたイセリアは後ろのポケットに入れていた小型のカメラでコートの男に気づかれないように男の写真を撮った。

 

「”アルマータ”を仕切っているジェラール・ダンテスという。裏解決屋にエースキラー――――――だったか?裏解決屋の方は初めましてという気はしないな。これまでの縁もある――――――良ければ一緒に観ていくといい。」

コートの男――――――アルマータ首領であるジェラールは名乗った後ヴァン達に視線を向けて不敵な笑みを浮かべた。

「………ハッ、見届けはするが一緒にっつーのは遠慮しておくぜ。あの子たちの頑張りにケチがついちまいそうだからな。」

「フフ、それは残念だ。」

「”アルマータ”の首領(ドン)――――――脅威度SSクラスの危険人物ですか。これまでの縁はともかく――――――確かに”この地でも”初めてではありませんね?」

「…………なに…………」

「…………!も、もしかして…………」

「言われてみれば、カジノでディンゴさんを呼びに来た従業員とそっくりね…………」

リゼットの指摘にアーロンが驚いている中心当たりを思い出したアニエスは驚きの表情を浮かべ、ユエファは真剣な表情でカジノでディンゴを呼びに来た従業員を思い返しながらジェラールを見つめた。

 

「…………構成員や半グレの影はねぇ、なんてのはとんだ見込み違いか。まさかアタマ自らが”最初から”潜伏してたとはな。」

「なに、効率の問題だ。これでも”現場主義”なんでな。用済みの駒と陣地の廃棄に、”鍵”と”商品”の試験運用も含めて。そういう意味では”本来は用済みの駒の恐怖と死をもって今回の祭りの開幕”にする予定だったにも関わらず、お前たち”エースキラー”に出し抜かれた上、俺達の介入を想定した上での罠まで張っていた為、本来の予定を変えざるを得なかったのだから、さすがは中央と本国が結成しA(おれたち)を抹殺(キラー)する為の精鋭部隊と言った所か。」

「ほ、”本来は用済みの駒の恐怖と死をもって今回の祭りの開幕”にする予定だった”ってまさか…………」

「エースキラー(かれら)による先回りがなければ、ギャスパー社長はアルマータによって”口封じ”されていたのでしょうね。」

「しかもあの口ぶりだと、どうやらギャスパー社長を逮捕したあの時にもアルマータのボスと幹部は近くに潜んで様子をうかがっていたようね。」

ヴァンの指摘に対して答えたジェラールはロイド達に視線を向けて不敵な笑みを浮かべ、ジェラールの話を聞いてあることを察したフェリは真剣な表情を浮かべ、リゼットとマルティーナはそれぞれ推測を口にした。

「…………てめえ…………」

「…………なるほどな。色々ありそうだがお前らの主目的は要するに”実験”だったってワケか。その装置と、ドラッグを組み合わせてどれだけのことを引き起こせるかの。」

「あ…………」

自分達と対峙して余裕の様子で語るジェラールをアーロンが睨んでいる中、ヴァンは自身が推測したジェラール達の目的を口にし、ヴァンの推測を聞いたフェリは呆けた声を出してジェラールの手にあるゲネシスを見つめた。

 

「クレイユやラングポートでもそんなことを言ってましたが…………今のこの状況――――――”手段”ではなく、そのものが”目的”だったんですね?」

「フフ…………正解だ。”嗜好品”を絡めた新たな流通ルートに”遺産”を介した人工的な暴動発生。どのデータも今後の展開に”それなりに”有意義ではあるだろう。あの”仮面”は一回限りだがああいう使い方ならば惜しくはない。よくやったな――――――メルキオル。」

「ありがと、ボス♪人の弱みや昏い部分に取り憑いて”力”の代行者として傀儡化する――――――一年半前にヘイムダルに探りを入れて”予備”を盗んだ甲斐があったよ♪」

「なっ!?”ヘイムダル決起”の時点から裏で動いていたのか!?」

「”予備”の存在の可能性は見落としていましたね…………」

「ええ…………未来演算を絡めてあれだけ周到に練られた事件だったのだから、”元凶”が何らかの”イレギュラー”に対する”予備”も用意していて当然だったでしょうからね。」

アニエスの問いかけに答えたジェラールは説明を続けた後メルキオルを誉め、ジェラールに褒められたメルキオルは微笑んだ後ジェラールの代わりに説明を続け、メルキオルの説明を聞いて驚愕の事実を知ったロイドは驚きの声を上げ、複雑そうな表情を浮かべたリーシャの言葉にルファディエルは真剣な表情を浮かべながら頷いて答えた。

 

「…………脅威度SS+に格上げが必要そうですね…………」

(そうか――――――”彼女”達が関わったっていう。)

リゼットがジェラール達に対する警戒心を高めている中グリムキャッツはリーシャ達に視線を向けた後考え込んでいた。

「…………これ以上こんなことを続けさせるわけにはいきません。その”ゲネシス”―――――何としても手放してもらいます…………!」

「ああ、別にそれは構わんぞ?いずれ正当な所有者の元に集まる――――――元々”そういう代物”のようだからな。」

「え――――――」

(”いずれ正当な所有者の元に集まる事が運命付けられている”…………今までの事を考えれば、”正当な所有者”はアニエスと考えられますが…………)

決意の表情でジェラールを見つめて答えたアニエスだったがジェラールが口にした意外な答えに呆けた声を出し、メイヴィスレインはゲネシスに視線を向けた後真剣な表情でアニエスを見つめた。

「…………どうやら色々ご存じのようじゃねえか?」

「フフ、ほんの一部ではあるがな。――――――さて、こちらとしては成果を確認できた時点で目的は達成している。このまま退いてもいいんだが…………」

ヴァンの指摘に答えたジェラールが指を鳴らすと別室からシェリド公太子とナージェが現れた。

 

「なっ…………!?」

「シェ、シェリド殿下…………?」

「ナージェ嬢も――――――何とか逃れたんじゃあ…………!?」

二人の登場にグリムキャッツは驚き、ニナとゴッチ監督はそれぞれ困惑していた。

「っ…………」

「…………ヴァン君たち…………”すまない”。」

ナージェと共に疲弊している様子のシェリド公太子が謝罪の言葉を口にした瞬間二人は黄金のオーラを纏い始めた。

「!まさか…………!」

「殿下たちにもあの薬物の成分を…………!?」

「あはは、正解!ウェルカムドリンクにほんの数滴ね♪」

二人の状態を見てすぐに状況を察したヴァンは血相を変え、驚きの声を上げたアニエスの言葉にメルキオルは笑いながら答えた。

「これが最後の余興だ。あの踊り手たちに負けないくらい存分に愉しませてもらおうか?」

「っ…………おおおおおおおっ…………!!」

「ぐうううううっ…………!!」

ジェラールが光を放ち続けるゲネシスを掲げるとシェリド公太子とナージェはそれぞれ咆哮や呻き声を上げた。

「さぁさ、お立合い――――――目くるめく祭りのトリを飾るのは、熱砂の国の公太子とその忠実なる僕(しもべ)挑みたるは旧首都の裏解決屋と二大国の合同捜査隊――――――果たしてその運命やいかに♪」

メルキオルはわざとらしく両手を広げて戦闘の開始を告げ

「お、黄金の闘気…………!」

「ヤベえな、こりゃ…………!」

「霊圧上昇――――――砂岩窟の時とは比較にならないでしょう!」

「み、皆さん!?」

「ど、どうするつもりじゃあ!?」

フェリやアーロン、リゼットは黄金のオーラを纏っている二人を警戒し、状況を目にしたニナとゴッチ監督は思わず声を上げた。

 

「こうなりゃ是非もねぇ…………無力化させてもらいますよ!」

「大切なスポンサーだからこそ何とか目覚めさせてみせるわっ!」

そしてヴァンとグリムキャッツがそれぞれ決意の表情で戦闘で二人を無力化させることを仲間達に告げたその時

「―――――いえ、これ以上相手の思い通りになる必要はないわ。」

「ええ。それに”ゲネシス”が関わる騒動に関わった天使としても易々と”三度目”を見過ごす等許すわけにはいきません。」

「へ…………」

「メイヴィスレイン…………?」

ルファディエルとメイヴィスレインがそれぞれの武装を構えて宣言し、二人の宣言を聞いたロイドは呆け、アニエスは不思議そうな表情でメイヴィスレインを見つめた。するとルファディエルとメイヴィスレインは互いに視線を交わした後それぞれの得物をジェラールの手にあるゲネシスに向けた。

「「破邪の光よ!!」」

二人が同時に魔術を発動するとジェラールの手にあるゲネシスに向けた二人の得物から同時に聖なる光が放たれてゲネシスに命中した。

「何…………?」

「へ…………」

「二人が放った光がゲネシスに…………」

「!おい、公太子とその護衛を見てみろ…………!」

ゲネシスが光に命中する様子を目にしたジェラールは困惑し、メルキオルは呆けた声を出し、アニエスは呆けた表情で呟き、シェリド公太子とナージェの異変に気付いたアーロンは二人に視線を向けて声を上げた。

 

「おおお…………ぐう…………うっ…………」

「うあ…………く…………うっ…………!」

「僅かですが徐々にお二方の霊圧が低下し始めています!」

「ええっ!?」

「まさかメイヴィスレインと叡智がやろうとしていることは――――――」

二人が纏っている黄金の力が僅かに弱まり始めていることにいち早く気づいたリゼットは状況を報告し、リゼットの報告を聞いたフェリは驚き、ヴァンは信じられない表情でメイヴィスレインとルファディエルを見つめ

「ラヴィ、イセリア!念の為に予め渡しておいた”解毒弾”を二人に打ち込みなさい!」

「了解(ヤー)!」

「ったく、相変わらず人使いの荒い天使ね~!」

光を放ち続けているルファディエルに呼びかけられたラヴィとイセリアはそれぞれ答えた後それぞれの得物に特殊な弾丸を込めた後ラヴィはシェリド公太子に、イセリアはナージェにそれぞれ銃撃した。

「ぐあっ!?」

「があっ!?」

「ちょっ、あんた達!?殿下とナージェさんに何を…………!」

「落ち着け!叡智は二人に『解毒弾を殿下達に打ち込め』と言ったことから察するに、二人が殿下達に放った弾は恐らく殿下達を傷つける為のものじゃねぇ…………!」

銃撃に二人が怯むとグリムキャッツはラヴィとイセリアに詰め寄って文句を言おうとしたが、二人が放った弾丸はシェリド公太子とナージェを傷つけるものではないことに気づいていたヴァンがグリムキャッツを制止した。するとその時シェリド公太子とナージェの全身を纏っていた黄金の力が消滅し――――――

「…………見事…………です…………っ…………」

「ハハ…………まさか…………”解毒”する…………とはね…………さすがだよ…………」

それぞれ黄金の力が消滅したナージェとシェリド公太子は気を失い

「「昏き力よ、滅せよ!!」」

更にルファディエルとメイヴィスレインが放ち続けている光はゲネシスが放ち続けている光を呑み込んで消滅させた。

 

「昏き力が…………!」

「まさか”別の力によって、滅する”なんて…………」

「”力天使(ヴァーチャーズ)”二人がかりによるものであった事もそうだけど、”相性”がよかったというのもあるでしょうね。」

「それってどういう事かしら?」

ゲネシスが放ち続けた光が消えるのを目にしたフェリとリゼットは驚き、マルティーナの話を聞いたユエファは不思議そうな表情で訊ねた。

「同じ位階の天使同士による神聖魔術には相乗効果があるわ。――――――加えてあのゲネシスが放ち続けた力は”昏き力”――――――つまり、光にして聖なる魔術である神聖魔術が弱点となるのよ。」

「えー、そんなのってアリ?せっかく盛り上がってきた所で、こんなつまらない形で終わらせるなんてKYな天使達だね~?」

「映画祭を滅茶苦茶にしようとしているアンタ達にだけはそれを言われる筋合いはないわよっ!!」

ユエファの疑問に答えたマルティーナの説明を聞いたメルキオルが不満げな表情で文句を口にした後不愉快そうな表情を浮かべてルファディエルとメイヴィスレインを見つめて指摘したその時、説明に気を取られている隙にメルキオルの背後に回ったグリムキャッツがメルキオルに奇襲し

「おおっと!?」

奇襲に気づいたメルキオルは間一髪のタイミングで回避した。

「雷電!!」

「っとぉっ!!」

更にリーシャが投擲した雷を宿したクナイには自身の得物の一つである無限に爆弾を増やす事のできる古代遺物(アーティファクト)による爆弾を投擲して相殺した。

「うおおおおおお…………っ!」

「不味…………っ!?」

そこにロイドが吸引力があるクラフト―――――ゼロ・ブレイカーでメルキオルを自分の元へと引き寄せようとし、ロイドのクラフトによって引き寄せられかけたメルキオルはすぐに攻撃範囲の外へと跳躍してロイドの攻撃を回避したが

「くかかかっ!我輩達のターンはまだまだ続くぜぇっ!――――――暗黒の鎖!!」

「しまっ――――――」

ロイドの攻撃を回避した瞬間に放たれたギレゼルの魔術によってメルキオルの足元から現れた暗黒魔力によってできた鎖がメルキオルの両足を拘束した。

「らあああぁぁっ!!」

「ぐ…………っ!?」

両足が拘束されたメルキオルの様子を見て好機と判断したヴァンは一気にメルキオルとの距離を詰めて撃剣による連続攻撃を叩きこみ

「こいつで止めだっ!!」

「こいつも喰らっとけっ!!」

「へぶっ!?」

ヴァンが止めの一閃を放つと同時にヴァンの連続攻撃の間にメルキオルとの距離を詰めたガルシアがメルキオルの顔を殴り飛ばし、ヴァンの一閃とガルシアの拳によってメルキオルは吹っ飛ばされて壁に叩きつけられた。

 

「ハアアァッ!!」

「そこですっ!!」

一方アーロンとフェリはそれぞれ遠距離攻撃でジェラールを攻撃し、ジェラールはゲネシスを掲げたが何も起こらなかった。

「チッ…………」

何も起こらなかったことに舌打ちをしたジェラールは立ち上がると同時に襲い掛かる遠距離攻撃を自身の得物である長剣を片手で取り出した後一振りで無効化した。

「ターゲット、ロックオン――――――シュート!!」

「むっ…………!?」

そこにリゼットの正確無比な狙撃がジェラールの手にあるゲネシスに命中し、ゲネシス越しに感じる衝撃にジェラールは思わず表情を歪めた、

「やああっ!!」

「らああっ!!」

「…………!」

リゼットの狙撃によってジェラールの注意がゲネシスに向けられると更に攻撃を畳みかけるようにフェリとアーロンがジェラールに詰め寄ってそれぞれの得物による一閃を放ち、二人の同時攻撃を片手で持つ大剣で防いだジェラールだったが武器越しに伝わる衝撃波によってジェラールが持つゲネシスは弾き飛ばされ、それを見たアニエスは弾き飛ばされて地面に落ちたゲネシスを走って近づいて拾い、仲間達の攻撃によってメルキオルとジェラールがそれぞれ気を取られている隙にユエファとマルティーナはゴッチ監督とニナの拘束を解いた後人質にされないように、ゴッチ監督達の前で戦闘の構えをしていた。

 

「ハッ…………ザマあ見ろっての!」

「一矢報いましたっ…………!」

ジェラールからゲネシスを奪ったことにアーロンは鼻を鳴らして不敵な笑みを浮かべ、フェリはジェラールを睨んで宣言した。

「あいたた…………参ったね、まさか僕達のサルバッドでの実験がここまで乱されるなんてね…………それもボス直々が動いていた実験が。」

「クク、A(おれたち)を抹殺(キラー)する為に結成された精鋭部隊の名は伊達ではないということか。――――――特に”薬物汚染に対する解毒薬”まで用意していたことには驚いたな。”解毒薬”まで用意していたことから察するに、どうやらエースキラー(おまえたち)は薬物汚染による暴動まで想定していたようだな?」

ダメージを受けた場所から感じる痛みを感じながら立ち上がって疲れた表情で呟いたメルキオルの言葉に続くようにジェラールは不敵な笑みを浮かべながらロイド達を見つめて指摘した。

「そ、そういえば…………」

「ギャスパー社長を逮捕した時も、彼らは3日前の時点で導力シーシャによる薬物汚染を掴んでいたと仰っていましたね。」

ジェラールの言葉を聞いてあることを思い出したフェリとリゼットはロイド達を見つめた。

「ええ。だからこそ、3日前薬物汚染が判明した時点で帝都の仲間達に事が起きる前に予め”解毒薬”の開発・量産を頼んでいたのよ。」

「帝都の仲間達――――――”初代特務支援課”メンバーでもあり、今は帝都の”工匠特区”の中心人物でもある”匠王”の娘達であるディオン三姉妹か。――――――確かに”グノーシス”の解毒薬をも開発したディオン三姉妹なら今回の件の薬物汚染に対する解毒薬を開発できてもおかしくはないが…………」

「あの…………そんなにも早く薬物汚染に気づいていたのなら、現地の警察の方達にも説明をすればもっと早く導力シーシャによる薬物汚染を抑えることで、被害を抑えられたのでは…………?」

ルファディエルの説明を聞いて心当たりを思い出したヴァンはある疑問点に気づいて真剣な表情を浮かべ、ヴァン同様ある疑問点に気づいていたアニエスはそれを口にした。

 

「俺達も最初はそのつもりだったさ…………だけど、サルバッドでの調査の件で”本国”から何かわかったら現地警察に相談するより先に”本国側”と相談して欲しいという要請が予めあって”本国”――――――南カルバード州総督であるサフィナ総督閣下に連絡したら、『サルバッド警察に導力シーシャによる薬物汚染を知らせるタイミングは早くても映画祭の前日の夕方にしてください』という”指示”があったから、俺達はその”指示”に従わざるをえなかったんだ…………」

「ええっ!?そ、そんなにも早いタイミングでサルバッドで薬物汚染が広がっている事を把握していながら、どうして…………」

アニエスの疑問に対して疲れた表情で答えたロイドの話を聞いて驚愕の事実を知ったその場にいる多くの者たちが驚いている中フェリは困惑の声を上げた後疑問を口にした。

「理由は”薬物汚染の黒幕”――――――”アルマータ”がサルバッドでの計画もしくは実験の失敗を悟って撤退させない為――――――つまり、『敢えてアルマータの計画通りに事を進める事で、姿を現したアルマータの幹部クラスの捕縛や討伐する為』とサフィナ総督は言っていたわ。――――――だけど、それは”表向きの理由”でラングポートでの”黒月(ヘイユエ)”の”長老”達の件のように”サルバッドでのアルマータの計画を利用したメンフィル帝国の思惑が真の理由”だと私は推測しているわ。」

「ほう…………?」

「”薬物汚染を把握していながら、放置していたのはアルマータの計画を利用したメンフィル帝国の思惑が真の理由”だと…………?」

「しかも”煌都でのギエン爺さんの件のように”って、一体それはどういう意味だ…………!?」

ルファディエルの答えを聞いたジェラールが興味ありげな表情を浮かべている中、ヴァンとアーロンはそれぞれ真剣な表情で疑問を口にした。

「予め言っておくけど、あくまでこれは私の推測よ?サルバッドでのアルマータの計画を利用したメンフィル帝国の思惑は二つ。一つは現地警察であるサルバッド警察に対するGIDの影響力の把握並びにサルバッド警察に潜んでいる可能性があるGIDの秘匿職員(スリーパー)の把握よ。」

「”すりーぱー”…………?」

「”スリーパー”とは”秘匿職員”…………この場合、サルバッド警察に潜ませている”GIDのスパイ”の事を指し示しているかと。」

「なるほどな。メンフィルとクロスベルは先の大戦の件もあって国家間の関係自体は良好だが、元々GIDはカルバード共和国中央情報省(CID)――――――連合が滅ぼした旧カルバード共和国の情報処理組織だから、”中央”――――――クロスベル帝国からの干渉を最小限に抑え続けている上、”北カルバードの発展”という名目で”中央”から莫大な援助金を援助させた――――――悪い言い方で言えば分捕った現北カルバード総督であるグラムハート総督が自身の権限で自由に動かせる情報処理組織でもあるGIDの影響力が旧共和国領である南カルバード州に残っている可能性があるなんて話、南カルバード州を治めているメンフィル帝国にとっては放置できない状況だろうな。」

「…………それは……………」

ルファディエルの説明を聞いて聞きなれない言葉に首を傾げているフェリにリゼットが説明し、ルファディエルの説明を聞いて推測したヴァンの推測を聞いたアニエスは複雑そうな表情で答えを濁した。

 

「そしてもう一つの理由は恐らくだけどシェリド公太子殿下――――――つまり、”サルバッド公国”のメンフィル帝国に対する”瑕疵”を作るためでしょうね。」

「何ですって!?」

「ど、どうしてメンフィル帝国がシェリド公太子殿下――――――いえ、”サルバッド公国”を罠に嵌めるような事を…………?私達が知る限り、メンフィル帝国とサルバッド公国の間で何らかの問題が発生したという話は聞いたことがありませんが…………」

「そもそも殿下のメンフィルに対する”瑕疵”とは何の事なんじゃ…………!?」

倒れて気を失っているシェリド公太子に視線を向けた後に口にしたルファディエルの更なる驚愕の推測にその場にいる多くの者たちが再び血相を変えて驚いている中グリムキャッツは驚きの声を上げ、ニナは戸惑いの表情で、ゴッチ監督は困惑の表情でそれぞれの疑問を口にした。

「”メンフィル帝国に対する瑕疵”とは”今起こっている出来事そのものよ。”」

「”メンフィル帝国に対する瑕疵は”今起こっている出来事そのもの”って一体どういう事よ…………」

「…………!アルマータとギャスパー社長の暗躍によってこのサルバッドで薬物汚染が広まっているかつ”黒幕”であるそちらの二人が捕縛・討伐・撤退のどれにも当てはまっていない状況でもなお、映画祭を開催するように動いたのはシェリド公太子殿下だったわね…………」

ルファディエルの答えの意味がわからないユエファが困惑の表情で疑問を口にしたその時何かに気づいたマルティーナがジェラールとメルキオルに視線を向けながら真剣な表情である事実を呟き

「あ…………」

「なるほど…………サルバッドからアルマータの脅威が去っていない事を知りながらも映画祭の開催を強行した結果、映画祭を利用したアルマータによる”異変”が起これば、映画祭の開催を強行した人物――――――シェリド公太子殿下がメンフィル帝国に対しての”瑕疵”を作ってしまうことになりますね。」

「だが、公太子の話だと映画祭の開催にはメンフィルの許可を取ったって話じゃねぇか!だったら、当然映画祭の開催を許可したメンフィルにも責任があるだろうが!?」

「ああ。だが黒幕――――――『アルマータの脅威がサルバッドから去っていないと知っていながらも映画祭の開催の為に自ら動いた殿下』と、『映画祭の開催を強行した殿下による交渉で映画祭の開催を許可したメンフィル』…………この場合責任の比率で言えば、残念ながら殿下の方が高くなるな。」

「そ、それよりも…………何故メンフィル帝国がシェリド殿下――――――メンフィル帝国に対するサルバッド公国の”瑕疵”を作るような事を…………」

マルティーナの推測を聞いたフェリは呆けた声を出し、納得した様子で呟いたリゼットの推測を聞いて真剣な表情で声を上げたアーロンの反論にヴァンは真剣な表情で指摘し、アニエスは不安そうな表情で更なる疑問を口にした。

 

「それは…………」

「クク…………アークライド、話によるとテメェは相当な情報通らしいな。”表”と”裏”、どちらにも染まらずその”狭間”を保ち続けているテメェなら今の”叡智”が話した推測を聞けば、そこの金髪の小娘が口にした疑問が”メンフィルの真の警戒対象”に繋がっている事にも気づけるんじゃねぇのか?」

「”メンフィルの真の警戒対象”…………?」

アニエスの疑問にロイドが複雑そうな表情で答えを濁している中不敵な笑みを浮かべたガルシアはヴァンに指摘し、ガルシアのヴァンへの指摘にフェリは首を傾げ

「…………メンフィル――――――いや、メンフィル・クロスベル連合から北カルバード州の独立疑惑がかけられている現北カルバード総督――――――ロイ・グラムハート総督か。」

「ぇ――――――」

ガルシアの指摘に対してアニエスに一瞬視線を向けた後重々しい口調で答えたヴァンの答えを聞いたその場にいる多くの者たちが血相を変えて驚いている中アニエスは呆けた声を出した。

「ええっ!?ど、どうして北カルバード州の総督がメンフィル帝国もそうですがクロスベル帝国からそんな疑惑が…………」

「………グラムハート総督は先ほどヴァン様も仰ったように南カルバード州と違い、”中央”からの干渉を抑え続けていることに加えて”中央”に莫大な援助金まで援助させたとの事ですから、それらの件を考えますと恐らく”中央”のグラムハート総督に対する印象は決して良いものではないかと。」

「おまけに南カルバードとノーザンブリアの総督はいずれもメンフィル帝国の皇家の連中で、”現代のゼムリアの大英雄”と名高いエレボニア総督である”灰の剣聖”も数多くいる婚約者の中にメンフィル皇家もそうだがクロスベル皇家との繋がりがある人物もいることに加えてそもそも”灰の剣聖”は3年前の大戦での活躍の件で両帝国からの絶大な信頼があるし、東ラマール総督にしてクロスベル帝国のもう一人の総督でもあるカイエン総督はクロスベル双皇帝の片翼――――――”簒奪王”ヴァイスハイト皇帝の第一側妃――――――つまり、クロスベル皇家の一員だからな。元々”中央”や”本国”からの印象は良いものではないことに加えて他の総督連中と違って”皇家や中央政府の身内”でもなく”中央”からの干渉を抑え続けている――――――つまり、中央に逆らい続けているグラムハート総督は、連合から北カルバードの独立を目論んでいる事を疑われちまっているかもしれないって事だろうな。」

「そしてサルバッド公国は”カルバードが共和国だった頃からの友好国”で、カルバードが両帝国に併合された後も旧共和国大統領でもあり、前北カルバード総督でもあられたロックスミス総督の頃から今まで北カルバード州との友好関係を保ち続けていますから、もしかしたら北カルバードが独立騒動を起こした時にサルバッド公国が北カルバードの独立の支持や協力をする疑惑がメンフィル・クロスベル連合からかけられていた為、罠に嵌められたのかもしれませんね…………」

「そいつは…………」

「そ…………ん…………な…………」

「アニエス…………?(今のアニエスから感じる感情は…………――――――!まさかヴァン達にも語っていないアニエスの父は…………)」

フェリの疑問に対してリゼットとヴァンが答えた後リーシャが複雑そうな表情で更なる推測を口にし、リゼット達の話を聞いたアーロンが真剣な表情を浮かべている中表情を青褪めさせて震えているアニエスが気になったメイヴィスレインはアニエスから感じる感情からアニエスの父が何者であるかを察し、真剣な表情を浮かべた。

 

「そんな…………!――――――幾ら何でも北カルバード州が独立なんてありえませんよ…………!そもそも、メンフィル帝国やクロスベル帝国もそうですが、サルバッド公国も”ゼムリア連合”に調印しているのですから…………!」

「ああ、そういえば”ゼムリア連合”に条約違反したら、罰則として調印した全ての国家や自治州が違反した国家に対して敵対するんだっけ?」

「それと『ゼムリア連合』の条約内容の一つとして国境の変更――――――つまり、”独立を決して認めない”という内容もあった上、独立騒動を起こせば独立騒動を起こした勢力に対しても調印した全ての国家や自治州が敵になるという話だったな。」

「それ、間違っているわよ。正しくは”武力行使による国境の変更を決して認めない事”よ。だからこそ、故郷(ノーザンブリア)の独立を目指しているあたしたちがこうやってエースキラー――――――メンフィルとクロスベルに協力しているっていうのもあるけどね。」

「……………………」

ニナは信じられない表情で声を上げ、ニナの話を聞いたメルキオルとジェラールはそれぞれ興味ありげな様子である事実を口にし、イセリアはジェラールが口にしたある事実に指摘した後溜息を吐き、ラヴィは目を伏せて黙り込んでいた。

「むううっ…………!メンフィルとクロスベルの上層部が警戒している北カルバード総督の真意は知らんが、だからと言って儂らの映画祭が滅茶苦茶にされるのを見過ごした上、殿下を嵌める等間違っているじゃろっ!?」

「監督の言う通りよっ!これだから”体制”側の連中は気に入らないのよねっ!」

唸り声を上げた後声を上げたゴッチ監督の意見に同意したグリムキャッツは不愉快そうな表情を浮かべえた。

「先程ルファディエルさんは今回の件が”煌都の時と同様”と言っていましたけど、確かにその通りのように思えてきましたね…………」

「ギエンさんのあの言葉…………『外禍を通じ内患を見定める』、ですね…………」

「ああ。”外禍”は当然だが”アルマータ”。”内患”はサルバッドに潜んでいるであろうGID――――――いや、北カルバード総督の影響力だろうな。唯一違うのは煌都の件と違って、メンフィルはアルマータと密約のような協定を結んでいなく、”あくまでアルマータによるサルバッドでの実験を利用しただけ”だろうな。」

「つーか、煌都の時はレイ達の件でギエン爺さんに報復をした癖に、薬物汚染による暴動で死者が出る可能性があるとわかっていながら見逃していたとか、テメェ勝手過ぎだろう、メンフィルの連中は…………」

それぞれ複雑そうな表情で呟いたフェリとアニエスの言葉にヴァンは頷いて答え、アーロンは厳しい表情で呟いた。

「いえ、その懸念に対してもメンフィル帝国は一応対策は取っていたそうよ?”暴動”が起こって”死者”が出かねない事態にまで悪化した時は、サルバッドに潜ませているメンフィルの諜報関係者達が薬物汚染者達に麻酔弾を打ち込んで暴動を抑えるように指示していたと聞いているわ。」

「薬物汚染者達に麻酔弾を…………」

「そんなことになれば、パレードが滅茶苦茶になるじゃろうがぁっ!?」

「いや、既に今の時点で滅茶苦茶になっているわよ!?」

ルファディエルの説明を聞いたニナが複雑そうな表情を浮かべている中声を上げて文句を言ったゴッチ監督にグリムキャッツは疲れた表情で指摘した。

 

「わざわざ説明ありがと♪いや~、それにしても煌都での”黒月(ヘイユエ)”の時と違って、まさかアルマータ(ぼくたち)がメンフィルの想定通りに利用されるとは思いもしなかったねぇ、ボス?」

「ああ。それに今までの”実験”と違い、”前座”として世にアルマータ(おれたち)の”恐怖”を体現する者まで奪われたことも気に食わんな。――――――ならば、アルマータ(おれたち)を利用したメンフィルへの意趣返しの意味も込めてその帳尻を合わせねばならんな?」

一方メルキオルはルファディエルの説明に拍手をしてお礼を言った後意味ありげな笑みを浮かべてジェラールに問いかけ、問いかけられたジェラールは気を失って倒れているシェリド公太子とナージェに視線を向けた。

「まさか――――――」

「アンタ達、正気!?殿下達に危害を加えたら間違いなくサルバッド公国――――――”一国が本気でアルマータ(あんたたち)を抹殺するために動くわよ!?”」

シェリド公太子達に視線を向けたジェラールを見てジェラールが何をしようとしていることを察したリゼットは真剣な表情を浮かべ、グリムキャッツは信じられない表情でジェラール達に警告した。

 

「アハハハハッ!既に二大国がアルマータ(ぼくたち)を本気で潰すために”エースキラー”を結成したんだから、一国を敵に回すなんて今更だよ!」

「ましてやサルバッドのような”小国”等、”俺達の脅威にすらならない!”」

グリムキャッツの警告に対してメルキオルは笑いながら軽く流し、ジェラールは不敵な笑みを浮かべながらシェリド公太子達に襲い掛かり

「クソッタレ…………!」

「させませんっ!」

「奴を止めるぞ!」

「フフ、それは僕の台詞だよ♪」

ジェラールの行動を見たアーロンやフェリ、ヴァンはそれぞれジェラールに攻撃をしてジェラールの行動を止めようとしたがメルキオルが放った爆弾によって妨害され、ジェラールへの攻撃が妨害された。

「貴様の”死”を持って、想定外となったこの祭りの”幕切れ”にさせてもらうぞ、シェリド・アルヴァール公太子。」

「ダメ――――――ッ!!」

そしてジェラールがシェリド公太子目掛けて長剣を振るい、それを見たアニエスが悲鳴を上げたその時シェリド公太子目掛けて振るわれた長剣は何かにぶつかる音が聞こえた後”何かによって受け止められた。”

 

「何…………っ!?」

シェリド公太子への攻撃が受け止められたジェラールが驚いたその時、ジェラールの長剣を受け止めている存在――――――大剣でジェラールの長剣を受け止めているランドロスが姿を現した!

「クク、残念ながら”幕切れ”役を務めるのは公太子じゃなく、テメェになりそうだなぁ、アルマータのボスよぉ?」

「あ、あの人は…………!」

「ギュ、ギュランドロスへ――――――いえ、”仮面の紳士”さん…………!?」

「ナイトクラブで見かけたにも関わらず、エースキラー(れんちゅう)の中にいなかった事から別行動をしていると思っていたが…………まさか、ステルス機能を使ってエースキラー(れんちゅう)に同行していたとはな。ってことは”黄金蝶”もこの場に潜んでいるって訳か。」

「正解や♪」

「!?あぐっ!?」

ジェラールの長剣を受け止めているランドロスは不敵な笑みを浮かべ、ランドロスの登場にフェリとアニエスは驚き、ランドロスが突然現れた理由を察したヴァンが苦笑した後ある推測を口にした瞬間女性の声が聞こえると同時にメルキオルの側面に空間の裂け目が現れてルクレツィアが現れると同時に自身の獲物であるダスクグレイブをメルキオル目掛けて振るい、ルクレツィアの登場と奇襲に驚いたメルキオルはすぐに回避行動に移ったが回避が間に合わず腹の部分が切り裂かれて呻き声を上げると共に血を噴出させた。

 

「聖なる光よ、悪に裁きの鉄槌を――――――神槍!!」

「!!」

一方ルファディエルはランドロスと鍔迫り合いをしているジェラールに魔術による光の槍を放ち、側面から襲い掛かる光の槍に気づいたジェラールは長剣を引くと同時に後ろに跳躍して回避したが

「リーシャ、ラヴィ、イセリア!遠距離攻撃で敵の動きを止めて!」

「はい!」

「了解(ヤー)!」

「ええ!」

「チ…………ッ!」

ルファディエルの指示によって放たれたリーシャの暗器やラヴィとイセリアの銃撃によってその場で足を止められると同時に3人が放った遠距離攻撃に対処するために長剣を振るって自身への攻撃を無効化していた。

「今よ!ロイド、ガルシア、ランドロス!!」

「ああっ!」

「「おうっ!!」」

そこにルファディエルの号令によってロイド、ガルシア、ランドロスがジェラール目掛けて突撃し、それぞれ強烈な一撃を叩きこんだ!

「うおおおおおおお…………っ!!」

「「オオオオオオオォォォォ…………ッ!!」」

「ぐ…………っ!?」

同時に放たされた強烈な一撃を受けたジェラールはメルキオルの所まで吹っ飛ばされ

「”止め”は任せたわよ――――――アリオス。」

「―――――ああ。」

そしてルファディエルがある人物に向けての言葉を口にした瞬間、ステルス機能を切った全身をローブで纏った男が現れ

「風神烈破!!」

「がああああああ…………っ!?」

「うああああああ…………っ!?」

まさに”神速”のような速さでジェラールとメルキオルに接近して超高速の居合いで二人を切り刻み、攻撃を終えてロイド達の所まで跳躍してジェラール達から距離を取った瞬間ジェラールとメルキオルの全身から血が噴出し、全身から血が噴出した二人はそれぞれ呻き声を上げて地面に崩れ落ちて膝をついた――――――

 

 

ついに界の軌跡発売ですね!これからプレイするのが楽しみと同時に、盟主含めた結社勢の界の軌跡での暗躍次第で、こっちの物語の界編をどれだけ改変させる必要があるのかに戦々恐々としています(冷や汗)


 
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