とある日の成都。蜀の将達が会議を終えて、一息をつこうとしたとき突然兵士が広間にやってくる。
「どうした! 他国が動いたのか!?」
愛紗が緊迫した表情で兵に聞く。
「街に華蝶仮面が現れました!」
「何だよ。びっくりさせない……で……」
一刀がそう言うが、愛紗の表情は険しいままであった。
「ふむ。最近出てこぬと思っておれば…我らが警備の日に現れるとは、狙っていると見える!」
「愛紗さん?」
「翠、すぐに出撃するぞ! 今度こそあの変態蝶々どもをねじ伏せてくれる!」
「おうよ! これ以上アイツにこの街ででかい顔をさせるもんか!」
そう言って、愛紗と翠は駆け出しっていった。二人は華蝶仮面なるものに色々ひどい目に遭わされているのだ。
「行っちまったな」
その様子を見ていた左翔太郎がつぶやく。
「私も行きたいなぁ」
「桃香様…そんなに見たいのですか?」
「うん……でもまだ、お仕事残ってるしね。行こ」
「桃香様。護衛を付けて、すぐに帰ってくると約束していただけるなら……後の事は私が何とかいたします!」
「ホント!? いいの?」
(不安だ……)
焔耶の言葉で桃香は喜びを見せるが、翔太郎は不安でしょうがなかった。桃香じゃなくて焔耶に…。
桃香は喜びながら鈴々と雛里をつれて見に行く事にした。
その出掛ける様をただ寂しそうに見る焔耶。
「いい奴だな、お前」
「うるさい!」
一刀は焔耶に声をかけたが、怒られてしまった。
で、朱里が行ってない事に一刀と翔太郎が気付く。
「あれ? 朱里は行かないの?」
「聞こえない聞こえない聞こえない…何も聞こえない……」
「こりゃあ重症だな」
「何やら現実逃避しているようですな…」
「まあ、星に華蝶仮面を押し付けられて、色々大変なんだろうさ…って、星!?」
星がその場にいたことにようやく気付く、一刀と翔太郎。
「何か?」
「何かじゃないだろお前。華蝶仮面が街に出たって言ってるのに何でお前がいるんだ!?」
翔太郎が星に問い詰める。
「やはり、お気づきであったか…。
主たちを見込んで告白してしまいますが…。確かに、この趙子龍こそが華蝶仮面をしておりました」
「わかってるよ、んなこと」
「最初っから知ってたよ」
翔太郎と一刀の言葉に驚く星。
「な………。絶対にばれておらぬと思っておりましたのに……。さすが、主たちと言うべきか」
とそこに突然、星の後頭部にスリッパが現れ、そのスリッパには「あほか!」っと書かれており、そのスリッパは星に向けて叩かれた。
「あいた!」
「気付かないわけないでしょ! あんな目だけを隠した変装で!」
星が後ろを振り向く。そこには鳴海亜樹子が立っていた。
「相変わらずのツッコミですな、亜樹子殿」
「まあ気付いてないのもいるけどな……」
ちなみにフィリップはいちいち地球の本棚に検索して、華蝶仮面の正体を知ったのだが…。
「しかし恋も庭でセキトと遊んでたし……。朱里もこうだから、華蝶連者の誰かじゃないのは確かだな」
「仕方ねえ、フィリップ」
翔太郎がスダッグフォンで書庫にいるフィリップに検索をしてもらう事にした。
「翔太郎、その偽者の華蝶仮面の正体は……」
「……わかった。じゃあ俺たちも行こうか!」
翔太郎達は急いで街へと向かった。
街では愛紗と翠はよくわからない南蛮戦闘員達によりどこかに行ってしまっていた。
そして遅れてきた桃香達がその華蝶仮面を見つける。
「おーっほっほっほっ! そろそろ年貢の納め時ですわね、馬面仮面さん!」
「馬面言うなーーーーーーー! 白馬だ、白馬! 仮面白馬!」
仮面白馬と呼ばれるアイマスクをした女性がこれまたアイマスクをした別の女性と口論していた。
「馬面でも白馬鹿でも何でも構いませんわ。私の新生むねむね団を裏切った貴方には、相応の報いを受けていただきます事よ! 文さん、顔さん!」
「おう!」
「はぁ」
何かノリノリの文とため息をつく顔。
「そもそもお前のへんてこな組合なんかに入った覚えはないっつーの! ご丁寧に変なかぶり物まで準備しやがって!」
それは仮面白馬も同じである。
「なぁんですってぇ! 私の崇高な新生むねむね団を馬鹿にするおつもりかしら? 馬面!」
「だから馬面言うな!」
ほとんど子供の喧嘩だった。
そこにゴロツキの一人がやってくる。
「あの…袁のお頭? この軍団の正式名称は、むねむね団と華蝶仮面に仕返しをする友の会同盟軍、何ですが…」
「そんな長い名前、覚えられるわけないでしょう。新生むねむね団になさい」
袁と呼ばれる頭の言う事も微妙にだが、一理ある。そんな長い名前はいちいち言ってられない。
「………」
「すいません。麗羽様、人の話なんか全然聞かないから……」
そう、この頭の正体は麗羽。そんでもって顔は斗詩。文は猪々子という袁紹達トリオだったのだ。
ちなみに仮面白馬は白蓮である。
「ううっ、顔のアネゴー…ふご!」
ゴロツキが猪々子に殴られる。
「手前…どさくさにまぎれてあたいの斗詩に抱きつこうなんざ、百年……いや、百年経っても許さねえ!」
「埒があきませんわね。ま、いいですわ。これをご覧なさい! 馬面さん!」
そこに出てきたのは縄で縛られているねねと蒲公英であった。
「なっ! 人質だと! テメ、麗羽! そこまで落ちたとは思わなかったぞ!」
「おーっほっほっほっ! 好きにおっしゃい! あのチョウチョ軍団用の秘密兵器でしたけれど、お人好しの貴方なら十分効果はあるでしょう!」
そんなやり取りをしている二人だが、当の人質二人は…。
「お花、何か聞いてた話と違うです。こいつらの人質になれば、恋殿が助けに来てくださるのではないのですか?
あんな影の薄いのなんか、用はないです」
「……あっれぇ。おっかしいなぁ…。おばさん達の遊びに付き合えば、星姉さま達が助けに来てくれるハズ……なんだけどなぁ」
かなり余裕だった。しかし蒲公英のおばさん発言になんとなく気付いた麗羽は蒲公英のほっぺたをつねる。
「助けてーーーー、恋華蝶様ーーーー!」
「ひゃふへへーーー! 星華蝶様ーーーーー!」
完全に仮面白馬、眼中になし。
「ちょっ! お前らっ! 名指しかよ!」
そして麗羽達三人はそれぞれ、爆乳の袁、巨乳の顔、貧乳の文と名乗った。麗羽はともかくあとの二人は恥ずかしがった。
その様子を見ていた桃香はかなり焦っていた。
「ちょっと、たんぽぽぽちゃんとねねちゃんが人質になってるよ! どうしよう!」
「たんぽぽちゃんの事ですから、何か考えがあるんだと思いますが……」
「きっとそうなのだ。たんぽぽは鈴々の次の次の次くらいに強いから、きっと大丈夫なのだ」
「そっか、それにしても……」
仮面白馬こと白蓮は斗詩と猪々子と戦うが、二人ともそれなりに強いので白蓮では苦戦する。
その隙を見てゴロツキが攻撃しようとするが、簡単に返り討ちにあった。
「ああ、名も知らないゴロツキの人が!」
「大丈夫ですか、名も知らないゴロツキの人!」
二人の言葉は地味にひどかった。
そこへようやく翔太郎や星達が到着した。
「主のにらんだとおり、やはり偽者か…。雛里。状況はどうなっておる?」
星が雛里に状況を尋ねる。そして白蓮の方を見る。
「なんだ、あの仮面は。あれでは白蓮殿だと言うておるようなものではないか……」
亜樹子は再び星の後ろに立って、今度は「お前が言うな!」と書かれたスリッパを取り出し、星の頭を叩いた。
「あいた!」
「お前が言うな!」
翔太郎もあわせたように言う。
「で、星どうする? 華蝶仮面は出動禁止になってるけど……」
「ふっ。我が正義をその程度で止められると……主は本気でお思いか?」
「全然、思えない」
鈴々が星と恋が来たから自分も加勢に行こうとするのを一刀が止める。
その時既に星の姿はなくなっていた。
白蓮が完全なピンチの時、どこからか声が聞こえる。
「待てぃ!」
「だ、誰ですの!」
「はーっはっはっはっは! はーっはっはっはっは!」
「袁紹さま、あそこです!」
猪々子が指を指すほうを麗羽が見る。
「あれは!」
そこに立つのは華蝶仮面のアイマスクをした星たちである。
「可憐な花に誘われて、美々しき蝶が今、舞い降りる! 我が名は華蝶仮面! 混乱の都に美と愛をもたらす……正義の化身なり!」
星華蝶こと星の登場に喜ぶたんぽぽ。
「きゃーっ! 星華蝶さまー!」
「いいなぁ、お花は、ねねも、早く恋殿に助けに来て欲しいです」
「出たな、何とか仮面!」
星が白蓮の下に駆け寄る。
「大丈夫か? ニセ華蝶仮面」
「ニセ華蝶仮面ではない! 私は仮面白馬。悪のむねむね団と戦う、正義の使者だ!」
「ふむ、むねむね団か…検索してみよう」
「検索しなくていい!」
フィリップの検索を止めようとする翔太郎だが、フィリップの検索は止まらない。もっとも検索はすぐに終わった。
「あーら、チョウチョ仮面さん、並乳さんと組むおつもりですの?」
「…………」
星が白蓮を哀れむように見る。
「何だ、その視線は」
「……なるほど」
「…なんだよ。何か文句あるか」
「いや…」
しかし星と白蓮は組む事になった。仮面の戦士たちの激闘が始まる。
そこにむねむね団の援軍として無乳の孟こと美以が来た。
美以は自分の子分たちとその量産型戦闘員達と共に戦う。
それを見た恋はようやく自分の出番だと言い、出て行った。
「…私も、そろそろ行ってきます」
朱里もいやいや行く事にした。
そして恋華蝶こと恋、朱華蝶こと朱里も来た。
その状況を見た、斗詩と猪々子はたんぽぽとねねを解放してあげた。
二人とも本気ではなかったから……。
「ニセ華蝶仮面。貴公も加わるが良い」
星が白蓮に自分達の名乗りに加わるように言い、白蓮もそれに乗る。
それぞれが名乗った。まさに仮面のヒーローショー。
「ええい、何をてこずっていますの。たった二人増えたくらい、ぱぱぱーと片付けておしまいなさい!」
麗羽が皆にそう命令すると、突然麗羽達の前に銀色の壁のようなオーロラが現れ、そのオーロラが消えると同時に一人の青年が現れた。
「な!?」
「この世界のお宝、華蝶仮面の黄色の仮面を頂きに来たよ」
青年は自分の右手を銃のようにし、星の方に向けて撃つように狙いを定める。
「あなた、誰ですの?」
麗羽が青年に尋ねる。
そして青年はどこからか銃とカードを取り出す。それはディエンドライバーとライダーカード、「ディエンド」のカードである。
「通りすがりの仮面ライダーさ」
そう言うと青年はカードをディエンドライバーに差し込む。
「カメンライド」
ディエンドライバーから待機音がなる。
「変身」
「ディ、エーーーーンド!」
青年がディエンドライバーを上に向け、トリガーを引くとそこからカードらしきものが飛んでいき青年の体を包んで青年の姿を変えた。
仮面ライダーディエンドである。
「仮面ライダー……、フィリップ!」
翔太郎が急いで、ダブルドライバーを装着し、フィリップの体にも現れ、翔太郎はジョーカー、フィリップはサイクロンのガイアメモリを構える。
「サイクロン!」「ジョーーカーー!」
「「変身」」
フィリップのサイクロンメモリがダブルドライバーに装着され、翔太郎の方に転送。翔太郎はジョーカーメモリを差し込む。
「サイクロン!」「ジョーーカーー!!」
二つのメモリが装着され、翔太郎は仮面ライダーWに変身。フィリップの体は突然倒れる。
Wは走り出し、ディエンドの方に向かう。
「てゃあ」
Wのパンチをディエンド受け流すように止める。
「この世界に仮面ライダーが来ていたとはね」
「お前、何のつもりだ!」
「言ったはずさ。この世界のお宝、黄色い華蝶仮面の仮面を頂きに来たのさ」
ディエンドがキックをし、Wがそれを受け止め、Wもお返しにキックをし、ディエンドがパンチをし、受け止められると同時にディエンドライバーでWを撃つ。
「ぐわぁ!」
Wは思わず後ろずさりする。
「くそだったら!」
Wがトリガーメモリを取り出し、ジョーカーメモリと入れ替える。
「サイクロン!」「トリガー!」
Wはサイクロントリガーとなり、黒が青に変わり、体についているトリガーマグナムを取って、ディエンドに対して撃つ。
「うわぁっ」
今度はディエンドが後ずさりした。
「それがメモリチェンジというものかい。さてとだったら、これはどうかな」
ディエンドはまた違うカードを入れようとするがその時、倒れていた名も知らぬゴロツキが突然発狂したかのように立ち上がる。
「ぐぁぁぁぁぁっぁああああああ!!」
「うん?」
「どうしたんだ?」
『翔太郎、あれを!』
「あれは!?」
そのゴロツキは何故かガイアメモリを持っていた。そのガイアメモリの種類は「ソード」
「ソード!」
ゴロツキの男の腕にそのガイアメモリが挿入されると、男は剣のような姿に変化した。
「今度はなんですの!?」
「よくはわからんが……、あの男を放っておくことはできぬという事だな」
「翔太郎!」
「何ではわからんがメモリブレイクだ!」
「僕のことはいいのかい?」
「そんなことより、ドーパントを止めるほうが先だ!」
Wがメモリチェンジする。
「ヒート!」「メタル!」
Wはサイクロントリガーからヒートメタルにチェンジした。
ディエンドが入れそびれた、カードを2枚入れる。
「カメンライド、タイガ」
「カメンライド、アナザーアギト」
ディエンドがディエンドライバーを恋達に向けて撃つと、その先に仮面ライダータイガとアナザーアギトが現れる。
「よろしく」
タイガとアナザーアギトが恋と白蓮に襲い掛かる。
「お前、どういうつもりだ!」
Wが攻撃を受け止めながら、後ろを向いてディエンドに対して怒りの声を上げる。
「何、僕はさっきも言ったようにお宝が欲しいだけさ」
そういうとディエンドは今度は麗羽達の方を向く。
「それと君たちにもこれをプレゼント」
ディエンドはまた新たなカードを入れる。
「カメンライド、ライオトルーパー!」
麗羽達の方に向けられたディエンドライバーからは3人のライオトルーパーが現れる。
「よろしく、僕の兵隊さんたち」
ライオトルーパーが麗羽達の前に立ちふさがり、残ったのは星のみとなった。
「さてとそのお宝をいただこうか」
「悪いが、この仮面は譲れぬ」
ディエンドが銃を撃ち、星は槍で防ぐ。
ディエンドは次に格闘戦に持ち込み、星もそれで防ぎ、星の攻撃を受け流しすように防ぐを続けるディエンド。
「まずいな、星の奴……」
Wが星の方を向いて隙が出来たと思ったドーパントがWに向かって小さい剣のような弾を打ち出すがWはメタルシャフトで落とすが、
そのうちの一つがある建物の壁を壊してしまう。
「しまった!」
「うん? あああああ!!」
星があわててあるものの所に向かう。それは自分が大事にしていたメンマを置いてくれている店だった。
「何だい? それは」
「私の宝だ……」
「それが君の……」
ディエンドは何を思ったのか、星と戦うのをやめてドーパントの方に向かう。
「今度はどういうつもりだ!」
「いいお宝を見させてもらったからね。その礼さ」
「そうかい!」
Wが再びサイクロンジョーカーにメモリチェンジする。
ディエンドはファイナルアタックライドカードを取り出し、ディエンドライバーに挿入する。
Wは腰のスロットにジョーカーメモリを挿入する。
「ファイナルアタックライド、ディディディ、ディエンド!!」
「ジョーーカーー! マキシマムドライブ!」
ディエンドの前に何枚ものカードの束の円が現れ、Wは空中に浮く。
「はあああああああ!!」
「『ジョーカーエクストリーム』」
ディメッションシュートによりアナザーアギト、タイガ、ライオトルーパーがカードに戻り、Wは体半分が二つに分かれて、ソード・ドーパントにキックを入れる。
ディメッションシュートとジョーカーエクストリームをまともに食らったドーパントは爆発。ゴロツキの男からはメモリが排出され、砕けた。
Wは変身を解き、ディエンドも変身を解く。
元に戻った青年は星からメンマの入った壷をいただく。
「それじゃあ、このお宝は僕が貰うよ」
そう言って青年は来たときと同じオーロラで帰っていった。
「なんだったんだ? あいつ」
「さあ?」
その後、ようやく愛紗達が到着し、ゴロツキの男は捕縛、麗羽達は騒ぎに乗じて逃げ出し、華蝶仮面達は一刀達の説得により何とかなったそうだ。
おまけ
作者「今年の投稿はこれで終わりです。ちなみにこの話は魏編を書いてるときに思いついたものです。蜀編でも拠点の話として少々アレンジして出すかもしれません。次回の投稿は来年。内容は魏編の拠点の話です。なお拠点の時系列はバラバラで書いた順番となる事をご了承下さい。それでは来年…」
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この話は今まで書いた話やこれから書く話とは一切関係ありません。
なお普通に仮面ライダーに出ているキャラがいますが、何で居るかは気にしないようにお願いします。
もし気になるというのでしたらご閲覧はご遠慮願います。
また今回の話はカオス成分が多めですので、ご了承下さい。