地和「ねぇ人和~~、お腹すいた~~」
人和「はいはい、それじゃ何を……」
地和「何でもいいから早く作って~~っ!」
人和「……はぁ、天和姉さんは何かありますか?」
天和「………」
人和「天和姉さん?」
天和「……ねぇ地和ちゃん、人和ちゃん」
地和・人和「?」
天和「……私達ってなんで歌ってるんだっけ」
地和「はぁ?なんでって、姉さんが『歌で全国制覇しよう!』って言い出したんでしょう?!」
天和「……うん、そうだよね」
人和「天和姉さん?」
天和「……なんだか私……“歌”がよく分からなくなっちゃった。
最初は皆が集まって私達の応援をしてくれて嬉しかったけど……そのうち泥棒する人が出てきて……最後は……」
地和・人和「………」
天和が最後まで言わなくても地和達には何が言いたいのか伝わり、天幕の中が沈黙で包まれていた……その時
黄巾党「天和様!地和様!人和様!」
地和「ちょっと待って!こほんっ……いいよぉ~♪」
黄巾党「はいっ!失礼します!!」
黄巾党の一人が息を切らしながら入ってきた
人和「どうかしましたか?」
黄巾党「南方より砂塵がありとの報告が!」
地和「……まさかまた新しい入団者達かな?」
黄巾党「いえ!遠目にでしたが武装をしているのが見て取れたと!!」
人和「……遂に来た。貴方、将達に戦闘準備を急がして」
黄巾党「はいっ!!」
天和「……また、人が死ぬんだね……一刀」
愛紗「急げ!一刻…いや半刻でも早くご主人様達と合流するのだ!!」
鈴々「応なのだ!」
愛紗と鈴々が先頭を走り、数人がなんとかついて来て、その後ろから桃香達がゆっくりと来ていた
桃香「……ふふっ♪」
朱里「桃香様?どうかしたんですか?」
桃香「ん?えへへ~~♪やっぱり落ち込んでる愛沙ちゃんより一途な愛沙ちゃんの方が断然可愛いなぁって♪」
桃香はまた微笑みながら前を走る愛沙を見つめ
桃香「やっぱり愛沙ちゃんはこうじゃないと♪」
と、その時
鈴々「にゃっ!愛沙前!」
愛紗「むっ?あれは?」
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星彩達を助けてから翌日、その日の昼に星彩は目を覚まし、改まってお互いに自己紹介と
真名の交換をし合い、後もう少しで天和達がいる城に着く所に、今一刀達は居た
一刀「星彩さん」
星彩「なんですか?それとさっきも言いましたが、さん付けは止めて下さい」
一刀「あぁごめん、何か癖で……星彩、こんな事聞くのもなんだけど……本当に記憶が」
星彩「えぇ、美琴さんに助けて頂く前の記憶は全てありません。己が何者なのか……なぜ森を彷徨っていたのか」
星彩が俯きながら語る
一刀「……ごめん、やっぱりこんな事聞かない方がいいよね」
星彩「いえ、お気になさらないで下さい」
一刀「……ごめんね、ありがとう」
そういって一刀は星彩から少し離れた
一刀(何かで美琴さんと星彩の名前が出てたような気がするんだけど……なんだったかな……
それに胡桃ちゃん……聞いた事がない名だけど、ただの村人Aと同じなのかな?)
美琴「ご主人様」
一刀「……えっ?」
胡桃「どうかしたんですかご主人様?難しいお顔をしてますよ?」
一刀「あぁ、少し考え事……って美琴さんに胡桃ちゃん?なぜ俺の事をご主人様と呼びますか?」
胡桃「当たり前じゃないですか!ご主人様は胡桃達の命の恩人さんなんですから!!」
美琴「そうですよ?、もしご主人様達があの時来て下されなかったら今頃私達はあの男達の
○○○を無理矢理×××や□□、はたまた△△△などn……」
一刀「駄目~~~っ!それ以上言わないで~~~!!!!」
顔を赤くさせながら一刀はそれ以上言わせないように、美琴の口を塞ごうとするが、
危うく落馬しそうになったので途中で止めた
美琴「あらあら危ないですよご主人様?お気をつけ下さい」
くすくすっ、と微笑みながら美琴が言う
美琴「ふふふっ、初心なんですねご主人様♪」
一刀「~~~っ!!、胡桃ちゃんもなんか言ってあげて……」
パッ、と横にいる胡桃に話を振るが、そこには一刀より顔を赤くさせながら気絶して、今にも落馬しそうな胡桃がいた
一刀「わぁぁ~~っ!胡桃ちゃんしっかり~~!!」
美琴「あらあら、胡桃さんはご主人様より初心なんですねぇ」
零姫「……なにをやってるんですか」
ため息を1つ吐いて、一刀の横についていた零姫は胡桃の乗っていた馬を歩兵の一人に任せ、胡桃を自分の前に座らせた
白蓮「……はぁ~~」
そんな後ろの方で騒いでいる一刀達を見て白蓮がため息を吐く
星「どうかなされましたかな白蓮殿」
白蓮「……いや」
星「ふむ?……あぁなるほど、桃香や零姫だけではなく、更に美琴殿という美巨乳が集まって焦っているのですな」
白蓮「なぁっ!!」
星「まぁ致し方ありませぬな……なんせ」
1位 零姫→美巨乳
2位 美琴→美巨乳
3位 星→美乳
3位 星彩→美乳
5位 胡桃→美乳
最下位 白蓮→並t 「やめろ~~~っ!!」
星「いきなり大声をあげてなんですか白蓮殿、せっかく作sy……ごほんっ、私が今いる中で位付けをしていると言うのに」
白蓮「余計な事すんな!」
星「余計な事とは失敬な、人がせっかく「この戦が終わったら茶でも飲もう」と誘えばいいと遠まわしにお伝えしているのに」
星がニヤニヤしながら言う
白蓮「嘘だろ?嘘なんだろ?!そんなニヤニヤしやがって!!
それに何故だか知らないがそれを言ったらいろいろと終わりのような気がするぞ!!!」
星「いえいえまさかそんな……しかしやはりこれは納得いきませんな、何故私と星彩が同位なのか……」
白蓮「お~~~~~~いっ!!!!!!」
一刀「……白蓮さんどうしたの?」
白蓮「なぁっ!北郷!いつの間にこっちに?!」
一刀「えっ?そろそろ着く頃かなぁっと思って皆と今来たばっかだけど……」
そういう一刀の後ろにはやっぱり首を傾げている零姫達がいた
その時
公孫賛軍A「報告します!!一里(約4Km)先で黄巾党と思しき兵と蒼き鎧を着た兵の死体が多数あるとの報告が!!」
白蓮「何?!」
公孫賛軍A「更に一名、今は死んでしまいましたが、蒼い鎧を着た兵と少しだけ話を聞く事が出来たそうです」
白蓮「目的は言ってたか?」
公孫賛軍A「ハッ!聞いた所、朝廷から黄巾党本隊の居所か掴めた為、
黄巾党を女子供問わず一人残らず殺せと各諸侯に討伐命令が下されたと」
白蓮「一人残らず殺せか……なるほど、北郷、お前が恐れていたのはこれか!だとすると拙いな!!」
一刀「あぁ!急ごう!!」
白蓮「よしっ!私と星と星彩、それに零k「私はご主人様から離れませんよ」……はいはい、それじゃ私達三人と
兵は歩兵隊200人を除いた全員で正面からぶつかって行くぞ!」
星・星彩・公孫賛軍「応っ!!!!!」
白蓮「北郷、歩兵200人じゃ少なくて心配だと思うが……」
一刀「ううん、そんなこと無い。それに俺達は戦いに行くわけじゃないから、心配なんて無いよ、ありがとう」
一刀が満面の笑みで白蓮を見る、それを見て白蓮は顔を真っ赤にしてそっぽを向く
一刀「確か天和達が居る所は両側が崖で後方が森だったよね?」
零姫「えぇ、確か」
一刀「それじゃ後ろから近づいて連れて行っても見つからないよね?」
零姫「絶対……というわけにはいきませんがいけると思いますよ」
一刀「うん、それじゃ行こう!」
美琴「星彩、気をつけて」
胡桃「星彩さん頑張って下さい!」
星彩「えぇ、美琴さんと胡桃も気をつけて」
零姫「それじゃ白蓮ちゃん、兵を借りていくわねぇ……誇り高き公孫賛軍よ!我等に続け!!」
公孫賛軍「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
そう言って一刀、零姫、美琴、胡桃と歩兵200人は走り出していった
星「白蓮殿」
白蓮「あぁ!!こっちも負けてられるか!お前ら、行くぞ!!公孫賛軍の意地を見せろ~~!!」
公孫賛軍「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
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華琳「桂花、現状は?」
桂花「はっ!現在春蘭、季衣、凪、真桜、沙和に何かがあったという報告はありません……
しかし兵の消耗が激しいです、5万いたうちの2万程がやられております」
華琳「そう……甘かったわ、烏合の衆とはいえここまでやるとは……」
華琳が悔しそうに顔をしかめていると
魏兵「報告します!後方より砂塵あり!」
秋蘭「旗は?」
魏兵「白の牙門旗に公!」
秋蘭「公……確かここから近くの街を治めている太守で、名を公孫賛と……」
華琳「……使えるわね」
秋蘭「華琳様?」
華琳「秋蘭、今すぐ春蘭達に合図をしたら中央を空けるよう伝えなさい。
上手く中央に潜り込んで来たらすぐ撤退するわよ。これ以上朝廷に義理立てする必要は無いわ」
秋蘭「御意……しかし上手くいくでしょうか」
華琳「そこは公孫賛が春蘭みたいな子だと願うばかりよ」
――――――――――――――――――――
春蘭「……ぶぁっくしょん!!」
季衣「うわぁっ!びっくりしたぁ、春蘭様風邪ですか?」
春蘭「むぅ、そんなはずは……多分誰かが私の噂をしているのだろう」
季衣「誰かって誰ですかぁ?」
春蘭「それは……はっ!そうか!!華琳様がどこからか見て下さっていて褒めておられるに違いない!!
華琳様~~!」
――――――――――――――――――――
秋蘭「そうですね……それでは」
華琳「ええ……さぁ、私の可愛い部下達が傷つく前に早く来なさい。公孫賛」
一刀達と二手に別れた白蓮達、数刻が過ぎた時
公孫賛軍兵A「公孫賛様!前方を!!」
白蓮「ん!?あれは……黄巾党と蒼い鎧を着た兵の死体か!」
白蓮達の前には黄巾党と蒼い鎧を着た兵の死体が散乱していて、奥に進むにつれそれは多くなっていった
白蓮「くそっ……まだ落ちてなければいいんだが」
しばらくまた走り
星彩「……見えました!」
白蓮「よしっ!まだ城は落ちてない!」
そこには固く閉ざされた城門の前で戦をしている黄巾党と蒼い鎧を着た兵が戦っていた
……その時
バ~ンッ!バ~~ンッ!!バ~~~ンッ!!!!
と、銅鑼が鳴り
公孫賛軍「……っ!報告!蒼い鎧を着た兵が両翼に分断しました!」
星「……どうやら我々に黄巾党の相手をさせて後退するようですな」
星彩「ここに来るまでにあった兵の死体の数を考えると、もう被害は出したくないのでしょう」
白蓮「それならそれで好都合だ!このまま突撃するぞ!全員ば……」
星彩「抜刀!突撃~~!!」
公孫賛軍兵「「「おおおぉぉぉぉ~~~~~~!!」」」
白蓮「それは私が言う事だろうがぁ~~!!」
星「……ふふっ、星彩殿の将来が楽しみですな♪」
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…………バ~ンッ…バ~~ンッ…バ~~~ンッ……
愛紗「……まだまだ遠い……しかし、確実に近づいてきた!このまま急ぐぞ!!」
鈴々「応なのだ!!」
数里離れた所、愛紗達が“数万”もの兵を連れて近付いていた
???「ねぇねぇ関羽、そんなに天の御使いが心配?」
愛紗「うっ……」
???「あははっ♪顔が真っ赤♪かぁわい~~♪」
愛紗「う……ぅぅぅ……うるさ~~い!!!」
鈴々「愛紗~~!ちょっと待つのだぁ~~~……」
そう叫ぶと愛紗は馬に鞭を入れ、一人で走っていき、鈴々がそれを追いかけていった
???「……はぁ。雪蓮、あまり関羽を苛めてやるな」
雪蓮「ごめ~~~ん♪」
???「全く……」
雪蓮と呼ばれた女はあっけらかんと笑い、注意をしていた女は呆れながらも口元は笑っていた
???「せっかく“友好関係”になっているのだから、あまり……」
そう、あの時愛紗達より前に走っていたのは雪蓮が率いる呉軍だったのだ
目的が一緒だったのと雪蓮の勘で一緒に戦う事になったのだ
雪蓮「はいはい、そういうのは難しい事は冥琳にまかせるわ。私そういうの大ッ嫌いだから♪」
冥琳「……はぁ」
冥琳は頭を抑えため息を吐いた
雪蓮「……もぅしょうがないわねぇ、追えばいいんでしょ追えば?……皆の者、我に続け~~!」
そう叫ぶと雪蓮の雰囲気が変わり、愛紗達を追って走り出した
桃香「……ふわぁぁ」
冥琳「ん?いかがなされた劉備殿?」
桃香「……孫策さんっていっつもあんな感じなんですか?」
冥琳「あんな感じとは?」
桃香「いきなり雰囲気が変わったり……びっくりして気絶してしまいそうでしたよぉ」
朱里・雛里「はわわわわ……(あわわわわ……)」
実際にもう朱里と雛里は気絶寸前ではわわあわわとしか言えてなかった
冥琳「あぁ……苦労の一つだ、戦いとなるとすぐ前線に出たがる……王としての自覚をして欲しいよ」
冥琳はやれやれと首を振り
冥琳「さて、それでは我々はゆっくりと行かせてもらうとしよう……どうせ今から行ってもあの3人の邪魔になるだけだろうからな」
桃香「はい♪」
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一方その頃一刀達は……
一刀「……で、ここまで来れたけどこの後はどうしようか?」
一刀達は今、城の真後ろまで来ていた
美琴「そうですね……ここは二手に分かれてどこか城の内部に入れるような箇所を探しましょう」
零姫「そうね、それじゃ歩兵50人は私と一緒に右に」
美琴「それでは私と50人は左へ」
一刀「それじゃ俺と胡桃ちゃん、残りの100人はここで待機だね」
胡桃「はい!」
美琴「ある程度探したらまたここに戻ってきます」
零姫「それでは行ってきます」
一刀「うん、皆気をつけてね」
零姫・美琴「はい!」
そう言って歩兵を50人ずつ連れて、零姫と美琴は左右に分かれて行った
一刀「さて、それじゃ皆が戻ってくるまでここで待機してようか」
胡桃「あの……ご主人様」
一刀「うん?」
胡桃「一応周りの安全を確認した方がいいのではないでしょうか?」
一刀「うん、そうだね。それじゃ50人だけここに残って他の人は周りの安全を確認して来てくれるかな?」
公孫賛兵「はっ!!」
一刀「……さて、ホントこれからどうしよう……」
と、どうすればいいのか考えていると
一刀「……えっ」
一刀が周りをキョロキョロ見回すと、胡桃も周りを見回して耳を澄ましていた
胡桃「ご主人様……もしかしてご主人様も?」
一刀「うん、これは……歌?」
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地和「ちょっと姉さん!いつまでも歌ってないで早く逃げる準備してよ!」
天和「♪♪~~♪、♪~♪♪♪~~♪~~」
その城の一番上にある部屋で地和と人和が急いで荷造りをしてる中一人、
天和は戦場とかしている場所に向かって歌い続けていた
天和「♪~~♪♪♪♪、♪♪~~」
地和「ああああぁぁぁぁっ!!もう!姉さ……」
地和が遂にいつまでも歌い続けている天和を止めようと立ち上がるが
地和「……ちょっと、何で止めるのよ」
地和の手を掴み、止める人和
人和「……歌わせてあげて下さい」
地和「はぁっ?!なんでよ!!さっさとここから逃げないと私達も!!」
人和「……お願いです、地和姉さん」
地和「……あぁ~~もうっ!分かった!分かったわよ!!」
そういうと、地和は顔をムスッとさせながらまた荷造りをし始めた
地和「ただし!本当に危なくなったら“アイツ”に頼んで無理矢理にでも連れて行くんだからね!?」
人和「……ありがとうございます、地和姉さん」
地和「ふんっ////」
地和が恥ずかしそうにそっぽを向く……その視線の先に
???「……何故……連絡が……呉と魏だけ……蜀が動き出している……」
地和(……人?)
昼間だと言うのに何故かその場所だけ暗い部屋の隅に、地和は“黒い”服を着た人を見た
地和(ううんありえない!だって部屋の外には“アイツ”が……)
地和が驚き、見間違いだとゴシゴシと目を擦り、次に見たのは“黒”ではなく“白い”装束服を着た人だった
地和「……まさか!」
地和はおもむろに懐にあった笛を取り出し……
ピーーーーーーーーーーーーー!!!!
人和「!!!」
人和はどうしたのかと辺りを見回し、異変に気付いた
人和「敵?!」
地和「嘘……笛を鳴らしてすぐに来ないだなんて……」
“白装束”「……ならば……“アレ”の力になる前に……」
その人はブツブツと呟きながら、どこからともなく剣を取り出し
“白装束”「……障害……排除」
そのまま歌に専念していて気付いていない天和に向かい走り出した
天和「♪♪……?」
地和「姉さ……」
???「させぬぞぉ~~!!」
シュッ!
“白装束”「!!!」
“白装束”は横から飛んできた矢を難なく避け、飛んできた方向を見る
そこには血だらけになりながらも矢を構える老兵がいた
老兵「天和様達には……天和様達には指一本触れさせぬぞぉ~~~!!!!」
シュシュシュッ!!!
老兵は目にも止まらぬ速さで矢を放つ……が、“白装束”は難なくとそれを全て避け
“白装束”「……障害……排除」
ザシュッ!
老兵「がぁっ!」
老兵を斬りつけた
天和「っ!!!!」
老兵「ごふっ!……ぐぅ………まだ……まだじゃ~~~!!!」
老兵は何とか携えていた剣を“白装束”に向け斬りつける……が
パキンッ!
老兵「なぁっ!」
老兵の剣は“白装束服”に当たると、砕けてしまった
“白装束”「……障害……排除」
グサッ!
老兵「ぐっ!」
“白装束”は老兵の腹に剣を突き刺し、抉るように動す
グチャッ……グリュッ……
老兵「かっ……はっ………」
老兵の目から光が無くなり始めた……その時
???「でぇぇぇぇりゃあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ザンッ!
いきなり扉が開くと、そこから一人の女が飛び出してきて、
大の男でも振り回せなさそうな2mをゆうに超える幅広の刀で“白装束”を断ち切った
すると〝白装束〟はボフンッ!と白い煙に包まれ、一枚の人形の紙切れになった
???「くそっ!こいつもか!」
地和「秦蕐(そうか)!」
秦蕐「すまん!部屋の外にも〝白装束〟が現れてそっちに手間取ってた!
まっ、どんなに硬かろうが私の斬馬刀にかかればこんなもんだぜ!」
地和「そう……そうだ!姉さん!!」
地和達が天和がいた方を見ると、そこにはもういなく、天和は力なく倒れている老兵の傍らで手を取りながら歌っていた
天和「♪♪……♪~~♪♪~~♪……♪」
老兵「おぉ……天和様……ご無事で…何よりです」
天和「……♪♪…♪」
老兵「……どうか…泣かないで下さい」
老兵の真っ赤な血に濡れた手が天和の頬を覆い、その手に自分の手を添え、泣きながら歌い続ける天和
天和「♪……♪♪~~♪♪…♪~♪~~」
老兵「天和様の……この戦いを止めたい…という想い………少なからず私達には届……ごほっごほっ!」
天和「!、お爺ちゃん!!」
老兵が血を吐き、天和は歌を止めてしまった
老兵「はぁ……はぁ……天和様………どうかこの爺めに……天和様の歌を……」
天和「……♪~~♪♪~♪~」
天和はそれだけで老兵がどんな歌を望んでいるのか分かり歌い出した。
それはあの日、一刀と初めて会った時に歌っていた歌だった
老兵「あぁ……久方振りの……天和様の……こころ……安らぐ歌………」
天和「♪~♪♪~♪~~♪~~♪♪~」
老兵「……厨房の一番左にある棚の後ろに……隠し部屋があります……
そこに…100人ほど…その者達と……お逃げ下さ………私は…もぅ……」
それを聞き、天和は首を横に振る
老兵「……死んでしまった娘が……帰ってきたみたいで……うれしか………ありがとぅ……てん…ほ………」
天和の頬に触れていた手が……落ちた
地和「姉さん……」
人和「……行きましょう」
天和「……うん」
天和はゆっくりと立ち上がると扉に向かって歩き出した
地和「あぁ!ちょっと待って!秦蕐、そっちの荷物持って!」
秦蕐「おうよ!」
地和と秦蕐はまとめてあった荷物を取るとすぐに天和達の後を追った
天和「……必ず迎えに来るから……待っててね」
白蓮「弓兵は継続して味方に当たらないように注意して撃ち続けろ!
我々は矢に当たらないよう向かってきた奴だけ反撃するぞ!」
公孫賛軍「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」
白蓮「……といってもやっぱりこの戦力差じゃどうにもな……」
星「こちらは2万、あっちは……ざっと見て3万ぐらいですかな」
星彩「少し厳しいですね……」
白蓮「あぁ……まぁなんとかなるだろ」
星「ほぅ?その根拠は?」
白蓮「ん?そんなのないさ」
星彩「恋する乙女の力ですよ」
星「なるほど!」
白蓮「なるほどじゃねぇよ!ホントお前ら仲良いな!!」
妙に仲良くなっている星と星彩に怒鳴りつける白蓮……その時
公孫賛軍A「報告!!後方より砂塵あり!」
白蓮「ほら!なっ!なんとかなるもんだろう!!」
星「そのようですな……しかし」
星彩「これはまた……厳しい状況になりましたね」
白蓮「はっ?……そうか!」
星「我等は彼女達の"救助”で来ているから良いものの……他の諸侯達は“皆殺し”を前提に来ていますからな」
星彩「こちらにとっては戦力が増えていいですが……」
白蓮「くそっ!」
公孫賛軍A「……分かった、更に報告します!砂塵より前に単騎で来る者がいるようです!」
白蓮「単騎で?」
公孫賛軍A「はっ!三騎ですが……そのうち二人は、関羽殿と張飛殿だと!」
白蓮「……愛紗!愛紗達が来たのか!!」
星「ふむ……もう一人というのが気になりますが、これはもしかすると」
白蓮「あぁ!いけるかもしれない!……北郷、これだけお膳立てされてるんだ、さっさと終わらせろよぉ!!」
/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
地和「ちょっとちょっとちょっと!アンタ達なんなのよ!!」
今天和達は隠し部屋に潜んでいた人達と一緒に逃げている所だったのだが……何故か同じ黄巾党に囲まれていた
黄巾党(悪頭)「へっへっへっ、何って……黄巾党ですけど?」
地和「そういう事を言ってるんじゃないのよ!何でアンタ達は戦ってないでここにいるのかって事!!」
黄巾党(悪頭)「いやぁだって……最初は蒼い鎧の野郎だけだったのに後から白いのとか赤いのとか来て……
もう勝ち目ないし……だったら……」
黄巾党(悪)達は一歩……また一歩と天和達に近付き
黄巾党(悪頭)「どうせ死ぬなら……やっぱイイコトしてからだろぉ~!」
黄巾党(悪)「おおおおぉぉっ!」
黄巾党(善)「くぅっ!天和様達だけでもお逃げ下さい!!」
天和「でも!!」
???「あら、その必要は無いわよぉ?」
天和「えっ?」
どこからとも無く声が聞こえると、天和達に近付いていた黄巾党(悪)達は声を上げる間も無く血しぶきを上げて倒れていった
地和「えっ!えっ!?なになになにっ!」
地和がもう何がなんだか分からずにパニックになっていると、天和達の前にいきなり血塗れの女が二人立っていた
天和「……貴女達は?」
???「我々は怪しい者ではありません」
地和「そんな全身血塗れになって怪しい者ではないって、説得力が無いにも程があるわよ!」
???「それもそうよねぇ♪」
???「ちょっと零姫さん(汗)」
零姫「ふふっ♪」
???「はぁ……このような姿で申し訳ありません。私の名前は月英と申します、そしてこちらが……」
零姫「貂蝉よぉ♪」
人和「……私達に何の用ですか」
零姫「えぇっと……こほん、我が主が黄巾党党首天和様にお会いしたいと申しております……ご足労お願いできますか?」
零姫はそういうとニコッと笑った……血塗れの笑顔なので恐い事極まりn(それ以上言うとまた○○しますよ?)
……ガタガタブルブル
天和「……私」
地和「私が天和よ」
天和「!?、地……」
人和「………」
天和「……人和ちゃん」
天和が地和の名前を言うより早く隣にいた人和の手が天和の口を塞いだ
地和「私が天和よ。さぁ、切り刻むなり何なりしなさいよ!
……だけど、私の真名を貴女に許した覚えはないわよ?それがどういう意味か分かるわよね?」
零姫「……それで?」
地和「……私以外の人は見逃して」
天和・人和・秦蕐「「「!!!」」」
てっきり「自分を含め全員を見逃しなさい!」と言うと思っていた3人は驚きを隠せなかった
地和「この戦いが私達のせいだって事は分かってる……だから私一人でその責任を取ります!
だから……だから、お願いします……妹とこの人達を……見逃してあげて下さい……」
そういうと大粒の涙を流しながら地和は深く頭を下げた
天和(地和ちゃん)
零姫「……分かったわ」
そう言うと零姫は泣いている地和の肩に手を置き
零姫「〝張角〟ちゃん以外の人は全員見逃してあげる……それでいいかしら?〝張宝〟ちゃん?」
地和・人和・秦蕐「「「!!」」」
地和(コイツ!私が姉さんじゃないって知ってる!)
パシンッ!と肩に置かれていた手を弾き
地和「人和!姉さんをお願い!秦蕐!それに皆もお願い!!」
秦蕐「応!!」
黄巾党「おおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
地和達が零姫に向かって獲物を構える
人和「分かっ……」
天和「その必要はないよ」
人和「えっ?」
地和「姉さん!!?」
人和の隣に居た筈の天和はいつの間にか地和の横を通り、零姫の前に立っていた
天和「私が天和です…その、こんな事言えた義理では無いと思うんですが……先程の……」
零姫「えぇ、〝張角〟ちゃん以外の人は全員見逃してあげるわ」
天和「ありがとうご……」
零姫「まぁその必要は無いと思うんだけどねぇ」
天和「えっ?」
???「あっ!いましたよご主人様!」
???「もぅ、すぐに呼び戻して事情を説明したら、すぐに美琴にだけ何か話して駆けだして……
あの速さについて行ける人……」
天和「……かず…と」
一刀「えっ?」
天和「……一刀~~~~!!!!」
零姫達の後ろから息を切らしながら出てきた一刀を見て、
今まで我慢していた涙を一斉に溢れ出しながら天和は一刀に抱きついた
天和「一刀、遅すぎ……有名になったんだから……もっと早くに会いに……助けに来てよ……怖かったよぉ……」
一刀「……ごめんね、約束したのに遅くなって」
一刀はそう言いながら優しく天和の頭を撫でてあげていた
天和「うわぁぁぁぁ~~~~ん!!!」
『約束』 完
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どうも~こんば~~ん茶( ´ω)つ旦
ホント貂蝉√書くの久しぶりすぎてちょっと楽しかったww
五ヶ月前ってもぅねwww
零姫さんに殺されty「殺しに来ましたよ~~♪」……脱しゅt「逃がしませんよ?」ギャアアアァァァァァァッ……
―――――しばらく小説を読んでお待ち下さい―――――
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