No.1145909

「らくだ」

談春師匠のらくだは数年前に浅草公会堂で聴いて以来。席が前の方だったので、物語後半の屑屋と、らくだの兄弟分である丁斧目の半次が酒によって別々の酔い方をしてくる過程を間近で観ることができた。素人意見だが、改めてここの部分を一人の演者がやり切るのはとてもスゴい事だなと思う。

らくだといえば「雨ん中のらくだ」。志らく師匠の著書のタイトルにもなっているが、酒に酔った屑屋が生前のらくだを回想する場面。「この雨はいくらだ」と雨宿りするらくだが屑屋に尋ね、屑屋が勘弁してくださいと懇願すると、フッと笑って立ち去るらくだ。
いつも殴られ脅され、とても値段なんかつけられないものを買わしてくるらくだとは違う顔を、あの雨の日一瞬だけ見せた。
どこか叙情的で、悪漢の別の人間性が見えるという、談志師匠が作り出したこの場面だが、浅草公会堂で聴いた時にはあったそれが今回無かった。

続きを表示

2024-06-09 13:04:38 投稿 / 1024×1024ピクセル

2024-06-09 13:04:38 投稿
総閲覧数:110 閲覧ユーザー数:109
1024×1024ピクセル

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択