第二十話 親衛隊
「それではよろしくお願いします」
ユーノは幼稚園の先生にそういったあとフェイトの方を向く、そこでは………
「お友達と仲良くするんだよ、あと先生の言うこともよく聞いてね。帰りは授業が終わってから迎えに来るから……あと、あと」
「「か、かあさん(お、おかーさん)だいじょうぶですから」」
「でもでも………」
そんなやりとりにユーノは苦笑する、隣を見ると三十台ほどに見える先生も同じようだった、もっとも微笑ましい物を見たなという感じだったが
「フェイト、ストップ。そのくらいでね?」
「……わかった、それじゃあ先生よろしくお願いしますね」
「ええ、お願いされました」
先生はその様子を微笑ましく思いながらそう言う
「「じゃ、行ってらっしゃい。エリオ、キャロ」」
「「行ってきます」」
そういって二人がかけていったのを見るとユーノとフェイトは学校に向けて歩き出した………
通学路の途中で稟に楓、桜の三人も加えてユーノとフェイトは学校に行っていた。今は教室に向かっている途中である。
「う~、やっぱり心配だよ~~」
「フェ、フェイトちゃん落ち着いてください」
「そうそう、エリオくんとキャロちゃんはしっかりしてるんだから大丈夫だよ」
廊下での会話である。フェイトがエリオとキャロのことが心配で落ち着かないのである。ユーノを含む他の四人は苦笑気味であるが。
「フェイトさんも心配性だよな。………つーか親ばかだよな」
「………稟それは言っちゃいけないよ。そういうところも含めてフェイトの魅力なんだから」
「………ユーノ、恥ずかしくないか?」
「………実はかなり恥ずかしい」
後ろを歩く二人はそんな話をしていたが。
そんなこんなしているうちに教室にたどり着く。そしてエリオたちのことで頭がいっぱいのフェイトがドアを開けようとするのだが
「っつ!!!」
ユーノは何か得体のしれない悪寒に襲われてとっさにドアを開けたフェイトの前に体を潜り込ませようとする。すると………
「フェイトちゃん俺様の胸の中にようこそ!!!」
「え?きゃあ!!」
樹がいきなりフェイトに抱きつこうとした………が、樹のその奇行はなんとか間に合ったユーノによって阻止される
「………………ユーノ俺様の無念の中にようこそ」
「……樹、いいから離れてくれないかい?」
ユーノが抑揚がない声でそういう。その声からは感情が一切読めなかった。後ろにいるフェイトと稟だけはユーノが今にもキレそうな状態であることを把握していたが
。樹がユーノから離れるとフェイトはユーノに声をかける
「ゆ、ユーノありがとう」
「ううん、ぼくがしたかったからしただけだからね」
フェイトにそう柔らかく笑いかけながら返す。そして樹の方に向き直って
「でだ……………樹?次はないからね?」
このときのユーノは本当に鬼みたいに怖かったとは樹の談である。そういったあとフェイト達の方にむいて入ろうかと促すと教室に入って行った。
その後ろには楓達がいたのだが
「楓ちゃん、桜ちゃん俺様の胸の中にようこそ!!!」
「「きゃあ!!」」
「樹、俺はちゃんと前に警告はしたからな?」
樹がフェイトにしたように楓と桜にも抱きつこうとしたのだが、ゴスッという音とともに稟の一撃により沈んだ。その時に稟の手に奇麗な剣が握られていたらしいのだがそのあと手にはカバンしかもっていなかったので見間違いだったのだろう…………ということにしておく
教室に入ると一人の女子生徒がよってきた、むろん麻弓である
「おはようなのですよ~みんな」
「「「「「おはよう麻弓(ちゃん)(タイムさん)」」」」」
「じゃ、わたしはあのゴミを始末してくるわね。今日はちゃんと縄も鉄製だから大丈夫なのですよ」
とりあえずは朝から元気な奴である。
そしてすぐに樹を縛る。速さが神がかっているのはキャリア故だろうか
だが……………
「あれ?どないしたん」
「え、樹君どうしたの?」
そこにはいってきたなのはとはやてがそんな反応をしたのはむしろ当然だと思うのだ
「でも朝の樹君の状態には驚いたよ」
時間は過ぎ今は昼休み留学生組と稟一行+麻弓に樹は昼食をとるために屋上に来ていた。これだけきれいどころが集まってるだけあってかなり目立っている
「そうやで、朝からいきなり縛られた男の人が教室に転がってるんやもん。しかも縄が鉄製やし」
なのはの言葉にその時一緒にいたはやても同意する。
「すまん、俺が樹を気絶させた後に麻弓が縛ったんだが……」
「とりあえずは稟もタイムさんも悪くないんだけどね…………今回のは完全に樹の自滅」
「………樹君なにしたん?」
ユーノが完璧に弁護する気がないという珍しい光景にはやてとなのはは驚いて聞き返す
「………………たの」
そのときフェイトが口を開く
「ん?どうしたんやフェイトちゃん」
「えっとね、樹君が教室に入ったわたしにいきなり抱きつこうとしてきたの」
「「は?」」
なのはとはやては思わず耳を疑った
「ユーノがかばってくれたから助かったけど、すごくこわかった」
「そのあとわたし達も教室に入ろうとしたんですけど……………」
「わたしたちの方にも抱きつこうととびかかって来て……………」
フェイトの言葉を聞いて楓と桜はうんうんとうなずき、楓と桜が続けて言う
「「そして土見君が間に入って助けたんやね(だね)」」
先が読めたのでなのは達がそういうと
「「はい(うん)」」
楓と桜は顔を赤くしてうなずく
「で、その歩く女の敵をロープで縛ったというわけなのですよ」
後ろで樹が「俺様はすべての女性の味方だ!!!」とか言っていたが気にしてはいけない
結論
「「とりあえず樹君の近くには女の子一人でいるのは危なんだね(やね)」」
by なのは&はやて
先ほどの話もひと段落し昼食に入ろうかという話になったときに樹が口を開いた
「そういえば、稟にユーノ知ってるかい?」
「「なんのこと(だ)?」」
とりあえず主語がないことを言われても普通はわからないので割と普通の反応だと言える。
これが稟と楓、桜やユーノとフェイト達だと伝わるかもしれないが
「緑葉くんもしかして親衛隊のこと?」
「ん、さすがに麻弓はわかるかい」
「「「「「「「親衛隊?」」」」」」」
…………訂正、樹にも幼馴染がいたことを忘れていた。本人はかなり不本意なのだろうが
「芙蓉楓親衛隊、通称KKK。正式名称は『きっときっと楓ちゃん』。
八重桜親衛隊、通称SSS。正式名称は『サンサン桜ちゃん』。
フェイト・T・ハラオウン親衛隊、通称FFF。正式名称は『ふんふんフェイトちゃん』」
「……………なんなんだ、それは?」
「…………右に同じ」
とりあえず稟もユーノもわかりたくないのだろう。樹の言ったことに一応の抵抗を試みてみる…………まあ、逃避でしかないのだが
「まあ、楓やサッちゃん、フェイトのファンの生徒たちによるファンクラブみたいなもんね」
「ちなみに稟は楓ちゃんと桜ちゃんの親衛隊の、ユーノはフェイトちゃんの親衛隊のブラックリストの筆頭だから気を付けなよ」
とりあえずこの話を聞いた他のみんなの心は重なった“バーべナ学園それでいいのか?”と
「まぁ、しかたないか。光陽学園時代にも楓には親衛隊はいたし、桜のファンも結構いたしなぁ。しっかしまたえらくけったいな名前を付けたなぁ」
と稟、実は中学時代からであったためもう諦めている。親衛隊員と殴り合いになったりしたこともあったとか
「え、えっと」
困惑気味に楓、慣れないものは慣れないのである
「な、なんでわたしもなのかなあ?ごめんね稟くん迷惑かけちゃうね」
と桜、実は桜のファンも中学時代けっこういたのだが楓のと違い表面化してはいなかったため今回の困惑もひと際である
「中学時代もフェイトちゃん人気あったしなあ」
とはやて、中学時代にフェイトが告白された人数について思い出しながら言う…………軽く二桁は超えていたらしい
「まあ、しょうがない……のかな?」
となのは、中学時代は表面化していたフェイトとは違い秘密裏にファンクラブがあったりしたのだが本人は自覚がない、ちなみにはやてもである
「まぁ、フェイトだからね………あんまりいい気はしないけど」
「わたしは別に嬉しくはないんだけどなぁ…………ユーノが好きでいてくれえばそれだけでいいし」
と最後の方はボソッとユーノとフェイト、ちなみに二人のどちらかに憧れているという若手の管理局員は多数いるし秘密裏にファンクラブも存在する
「まぁ、楓達にとっちゃメイワク以上の何物でもないんだろうけど」
と麻弓、完全に他人事である。ちなみにこんなことを言っている本人も容姿はアイドル並みである
「当然の帰結だね。楓ちゃんレベルの美少女達には当然与えられてしかるべき評価だよ」
と何故か偉そうに樹。容姿端麗、頭脳明晰、とりあえずモテル男である。ただし極上以上の相手にはモテナイ
とりあえずこうしてみるとすっごいメンツである
SIDE RIN
「……また稟くんに迷惑かけちゃいますね……」
「……今度はわたしもだから簡単に考えて二倍だし……」
楓と桜が暗くうなだれながらそう呟く。稟はそんな二人の頭に手を置くと普通に笑いかけた
「気にするなってそういう奴らの相手をするのは充分慣れてるよ」
稟の頭の中では中学時代に楓の親衛隊と追いかけまわされたり殴り合ったりした光景が浮かぶ。
さすがにあれだけケンカと追いかっけこを続ければそれなりの対処法もちゃんと身についていくものなのだろう
「それでも心配なものは心配です」
「あの……少しでも迷惑になったら、本当に言ってくださいね。そのときはわたし………」
「……楓それ以上は言ったら怒るぞ。大丈夫、今更追いかけまわされた位でねをあげるほど弱くないぞ」
桜の後に悲しげに言う楓の声を遮って稟はそう言う
「だから心配なんです。稟くん誰かのためにすぐに我慢しちゃう人ですから」
「だから心配なの。稟くん誰かのためにすぐに我慢しちゃう人だから」
まるで自分を責めるように呟く楓、そして後悔するように呟く桜。おそらく二人の脳内にはそれぞれ幼い日の光景と中学時代の前半の光景が映っているのだろう。
「なあに、大丈夫さ。楓ちゃん、桜ちゃん、フェイトちゃん」
SIDE YUNO
「………ユーノに迷惑かけちゃうかな……」
苦笑しながらフェイトはそう呟く。ユーノはその呟きを聞き逃さなっかった
「迷惑なんかじゃないよ。トレーニングだと思うことにするよ。いざとなったら魔法でも使って逃げるしね」
ちなみにこの世界魔法を使うことに対しての規制はほとんどない、強いて言うなら壊したりけがをさせたりしなければそれでいいのだ
「ユーノはそうやってすぐになんでも我慢しようとするんだ。無限書庫での事だって………とにかく無理だと思ったらいってほしいよ」
フェイトのその言葉に苦笑しながらユーノは了解と返す
「なあに、大丈夫さ。楓ちゃん、桜ちゃん、フェイトちゃん」
「なあに、大丈夫さ。楓ちゃん、桜ちゃん、フェイトちゃん。この俺様が我慢する暇があるような抹殺方法を伝授するわけないじゃないか」
「「待てやこら」」
とりあえずユーノと稟はユニゾンする
「おまえずいぶんと楽しい意味にとれる言葉を発しなかったか?」
「ていうか発したよね?樹」
「稟、ユーノ友人としての忠告だ。人間なんて脆いものだからね、気をつけた方がいいと思うよ」
樹は否定する気もないらしい。普通に流している
「人間やめてる緑葉くんが言うと説得力無いわねぇ」
みんな心の中で『麻弓さすがにそれはひどい。でも否定できない』と思ったらしい
「つまりは」
「ねぇ」
「「裏切り行為ってことだよな」」
とりあえずユーノと稟もう一度ユニゾン
「どっちの味方になった覚えもないしね、裏切った覚えはないよ」
「なあ、釘バットとか落ちてないかなぁ」
「そうだね稟」
稟とユーノがこういうことを言いたくなるのもしょうがないと思う
「どうぞ稟くん♪」
「バルディッシュでいいなら貸すけどユーノ?」
楓さんどこから出したの!!あとフェイトさんデバイス起動しないで!!
((追求するのはやめとこう))
恋人たちの行動に戦慄を覚えた稟とユーノであった
で、取り合えず釘バットとバルディッシュで樹を沈めておく
((うん使い心地は最高だな))
「でもな麻弓、楓の親衛隊なんて前の学校にもあったしその対処には比較的慣れてるんだ。命の危険なんて…」
「うん、そうだよタイムさん。さすがにファンクラブみたいなもんなんだろ?」
そういうふたりを無視して麻弓は手帳を取り出しぱらぱらとめくりだす。そしてお目当てのページに行きつくとそれを読み上げ始めた
「バーベナ学園、芙蓉楓および八重桜、フェイト・T・ハラオウン親衛隊。その構成員は全校男子のおよそ三分の一を占め現在も拡大中」
「「どこからそんな情報を……」」
とりあえずみんな唖然としているようだ
「ただし、あくまでこの数字は正式な構成員のみ、草と呼ばれる隠密構成員や隠れファンなども合わさると全校男子の7割オーバーは確実」
「ちなみに楓やサッちゃんに至っては近隣の学園にもファンは多く、フェイトちゃんもこうなるのは時間の問題……こうして読み上げるとやっぱり罪づくりよね、三人とも」
「そ、そんなつもりは全然ないんですけど……」
「ま、もしそんなつもりだったとしたら親衛隊なんてできないのですよ。そういうのって以外にばれやすいし」
という楓をバッサリといき
「……なんで私まで有名になってるんだろ」
「それだけかわいくて気遣いもできるいい女なんだからむしろ当然ね」
桜もばっさり
「わたしついこの前に転校してきたばっかりなんだけど……」
「あきらめなさ~い。美少女の運命なのですよ~」
フェイトもバッサリ
「まあそういうところが三人が三人たる所以なのさ」
「「樹、おまえ(君)もたいがい丈夫だな(よね)」」
釘バット&バルディッシュで殴られたはずの樹がなぜか復活していた
「で、問題なのはそういう近隣の隠れファンなんかがこのバーべナには予想以上に集まってきてるってことなのですよ」
バーべナは設備もよく新しい学校のため近隣から通ってくる生徒も多いのである
「その数、実に光陽学園時代の二倍はくだらないわね」
「倍以上ってそれなんかくるってないか?」
稟は自分の耳を疑った、心情的にはあり得ないだろそれ!!みたいなかんじである
「しかもさすがはバーベナ、人間族から回復魔法の得意な神族、攻撃魔法の強力な魔族とより取り見取り。で、嫉妬の炎はそのまま破壊の魔力に変換中っと」
他人事のように言ってのける麻弓……実際他人事なのだが
「とりあえず、いつどこで襲われるかわからないから、警戒を怠らないことをお勧めするわよ」
「あ、あうぅ~」
「ご、ごめんね稟くん」
「……ユーノ魔法は使う方針でお願い」
とりあえず稟やユーノとしては親衛隊なんてものが 存在していること自体が驚きだったのだが
「ため息しか出ないよな」
「同感。稟なにかあったらすぐにぼくが魔法使うからその方向で。稟はあんまり得意じゃないしね」
「了解」
「まぁまぁ、お二人さん魂がこぼれないだけましじゃない」
麻弓の楽しそうな声に殺気を覚えたが抑えた、麻弓は楽しんでるし、すきあらばかみついて傷口に塩をぬる気まんまんだ
「まあ、連中の気持ちもわからないでもない。桜ちゃんやフェイトちゃんのはまだいいとして、楓ちゃんの稟に対する尽くし方は尋常じゃないからね。言いかえればそれだけ楓ちゃんの時間を奪っているわけだ。楓ちゃんのことを大事にしていないと思われてもしょうがないんじゃないかい」
「いえ、わたしがお願いしてやらせてもらってるんです。稟くんのお世話をするのはわたしの生きがいですから。これだけはずっと桜ちゃんにだって譲りません」
樹の至極真っ当な意見は楓の言葉により封殺
「稟………殴っていいかい。余の男の涙の数だけ」
樹は親の仇でも見るような笑顔のもとにこぼれたその一言
「断固………」
それに返そうとした刹那………
「「「「「「そのとーりっ!!!!!!!!!!」」」」」」
そいつらは出番を待っていたかのように現れた
あとがき
久しぶりの更新グリムです。
今回は親衛隊結成の話、ちなみになのはたちにも親衛隊はひそかにですが存在してます。
後、自分は樹の扱いがかなりひどいと思うんですよね。個人的には好きなんですがいじりやすいので。と、話が唐突でしたね
では今回はこれで失礼したいと思います
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19からそのまま続きです。取り合えずは登校から。