No.114464

真恋姫無双 美陽攻略戦 第十六ターン

Thyleさん

第16回目の投稿です。
読みにくい点や日本語がおかしい部分があるかもしれませんが、宜しくお願い致します。

2009-12-26 01:53:09 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:1621   閲覧ユーザー数:1467

 

 美陽攻略戦

 

 

 

 

 

 

 

          (はじめに)

 

                恋姫キャラがやっと動き出します。 

                曹家の暗躍の開始と、孫家の出陣です

 

               

 

 

           

 

          前回のあらすじ

                

               七乃「奥様知ってます?麗羽のとこののおジーちゃん

                  が死亡したのよ(噂を広めるオバサン化!!)」

 

         

              

          ※できましたら、今後参考に致しますので

             本編・外伝・テキトーシリーズのどれが面白かったか

              コメントを頂けたら幸いです。宜しくお願い致します。                       

 

 

 

 

 

 

第十六ターン

 

 

 

                     長安  光化門

 

           この辺りは長安の地方豪族・高級官僚の居住区として広く区画され、

              また城に近いことから街道には城門司馬の兵達が巡回し、

             不審者や流民の類は排除され長安で一番厳重な区画であった。

 

                その一区画にある重厚な門の前に

            司馬、華琳、そして護衛として呼び戻された春蘭が佇んでいた。

 

               司馬は周囲を確認し華琳達の様子を窺った。

                 「華琳、兵は配置している?」

          「ええ、貴方に言われたとおり、この屋敷を囲むよう配置したわ。

                         しかし、ここが根城の一つとはね……」

 

          「北郷もとい、司馬!! 

            もし華琳様の身に何かあったら、ワタシは華琳様しか助けんからな!

                               自分の身は自分で守れよ!」

          司馬は春蘭の言い草に苦笑で応え、そして真剣な表情で華琳達に質問をした。

 

           

          「……華琳、春蘭、これから起こることについて……

                            このオレを、信じてもらえるか?」

           

                 華琳達は不思議そうな様子で司馬を見つめた。

 

          「質問の意味がよく分からないけど、

                  私は貴方に会った時から信じているからここにいるのよ」

          「ムッ?ワタシはオマエを信じる信じない以前に、

                        華琳様が信じるからオマエを信じているが」

 

            

             司馬は目を閉じ、そして微笑むようなありがとうと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          そして、司馬は門を叩き屋敷の者に来客を告げ、

                     華琳達は屋敷の者の先導に導かれるように入った。

 

 

                   「……司馬、ここはまるで……」

 

 

                口頭一番に話したのは、武人である春蘭であった。

 

          敷地内は中央に池があり、離れには亭が設けられ、

               四季の木々が植えられているごく一般的な貴族の屋敷であった。

 

          しかし、その気持ち悪い程ありふれた雰囲気とは裏腹に、

                 いつ物陰から襲われるような気配が屋敷中に充満していた。

 

                 幾戦の経験を持つ春蘭は己の本能が危険だと告げ、

                鋭い眼差しで周囲を警戒し華琳を守るよう歩いていた。

 

          華琳自身もこの屋敷の異様さに気づき神妙な顔つきで周囲を警戒しながら歩いた。

 

 

           貴族が住む居住区にいるはずが、まるで油断したら即命を落とす

                      ような危険な貧民街を歩いているようだった。

 

 

 

 

        屋敷の者は終始無言で回廊を歩き、その後に続く司馬も臆することなく歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              そして、その足が止まり屋敷の者は無言で一室を指差した。

 

                         部屋に入れ。

 

              司馬は懐から木綿の布を出し、それを華琳と春蘭に渡した。

             「部屋に入ったら、これで鼻と口を被い煙を吸わないように」

 

               司馬の指示で二人は布で口元を押え部屋の中に入った。

 

          弱々しい灯籠の光で部屋は薄暗く、室内は眼に沁みるような煙で充満していた。

                   春蘭は煙を少し吸い、クシャミをした。

 

 

                      「……なに、これ。」

 

                

                部屋の暗さに目が慣れた華琳はその光景に驚愕した。

 

           

             部屋には複数の男女が寝台や長椅子に横たわり、

                   皆虚ろな目で翡翠製の長い煙管を吸っていた。

 

 

           ある男は、震える手で黒い樹脂を練り香のように丸めじりじりと熱し、

           そこから立ちのぼる煙を何度もに吸い続け、またある女は衣服が乱れ

           裸体を顕わにしているのを気にせず歯茎に黒い飴状のものを懸命に塗

           りつけることに夢中になっていた。

 

 

          司馬は面布を着け、黒い塊を丸め煙管に入れている丸め係と呼ばれる男に、

           例の男はと尋ね男は部屋の片隅で椅子により掛かり、四肢を放り投げ

            強い陶酔感に浸っている男を指差した。

 

 

          男は司馬が近づいても、

             何も反応せず、ただ何も無い空中を見つめてへらへらと笑っていた。

 

                       「この男は?」

 

         華琳はこの部屋の異様さを見て躊躇していたが意を決したのか司馬に質問をした。

 

          「この男は軍の将軍達に朝廷の意を伝える勅令の役職に就いている者。

            仕事を放り出し博打で多額の借金を作り、その地位を利用して賄賂

              を要求しそれを返済に充てていた。……そう、よくいる小役人だ」

 

                  司馬は不快感をあらわに吐き捨てるように言った。

 

 

 

        「しかし、コイツは俺達にとって遊戯をひっくり返す最高の手札になってくれる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           司馬か華琳に説明をしていると、

                  司馬様といって人相の悪い下男が司馬の耳元で囁いた。

 

 

          わかった。すぐ行く。と言い下男を下がらせ華琳達に神妙な顔つきで言った。

 

          「阿片窟の主たちが、華琳に会いたいそうだ。華琳、これからが本番だ……」

 

 

 

                      司馬達が隣部屋に入ると

 

 

            数人の下男が大量の乳液に湯を注ぎ、慎重に上澄み液を掬い取り、

            湯煙が立つ釜の前でその上澄み液を煮詰め、その隣では目の粗い布

            で濾し、釜に付着した黒い飴状のものを木製の型に入れていた。

 

 

           華琳はそれに興味を示し、

             それらの工程を眺めている華琳に司馬は説明するように言った。

 

 

                  「これが阿片の精製作業なんだよ」

                     

                      「これが阿片……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        華琳は長安に来る前、

        華琳と同郷である沛国譙県に住む華佗から麻沸散の原材料を出すように命令した。

 

                 しかし華佗は案の定それを拒否した。

 

       

        そこで邑の民政の取りまとめ役である三老から元化(華佗の字)を説得する

         ように圧力をかけた。そして、華佗は渋々ながら一本の蕾の付いた草を渡した。

 

 

                 

                  その時、華佗は華琳に警告をした。

 

 

 

            これは、特に心に強く作用し、初めて使用する者は身体が受け付け

           ず強烈な嘔吐感に襲われる。しかし、数回使用して身体が慣れるとあ

           らゆる抑圧から解放され、不安、欲望といった感情が消え、しばらく

           強い陶酔感に浸る。

           

            だが、次第に心が冒され、常に筋肉が痙攣し、ついにはじっとして

           いられなくなり、そわそわした動きを見せるようになり、嘔吐感も

           酷くなり、何を食べても吐くようになる。

           

            まるで風邪をひいた時のように悪寒と手の震えが出て、汗も止まら

           なくなり、最後は呼吸が出来なくなり、行動障害の作用まで出て昏倒

           し死亡する。

 

 

            オレは人々の命を救う為に麻沸散を考案したが、

                     逆に人々を不幸にするものを創ってしまった。

 

 

              これを世に出したら想像もできないようなことが起きる。

 

 

                  アンタにはその覚悟ができているのか?

 

 

          このとき華琳は、

           人を幸福にするか不幸にするかはそれを用いる者の心次第よ

                                  と華佗に言った。

 

 

        実際にこの光景をみて、

           華琳は内心、己の判断は間違っていたのだろうかと考え込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          そして、案内された一室に入ると大きな円卓の向こうには、

             眼鏡をかけた細目の青年が中央に座り、その左右には長身の

              槍を肩で抱きかかえている女性と10代と思われる従者の

               少女が立っていた。

 

          

          青年は、これは司馬様と儀礼的な挨拶をして椅子に座るように勧めた。

 

         

          華琳達が椅子に座ると、すぐに侍女が西方からもたらさせた

            葡萄酒や酒のつまみとして山盛りのメンマが出された。

            

          しかし、華琳達は毒を入れられている可能性がある為これらの

              ものに手をつけなかった。

 

             

                 これを見た眼鏡をかけた青年は

         

         「毒など入っていませんよ。

                 もっともあの光景を見た後では食欲もなくなりますがね」

     

          華琳達の意図を酌んだかのように、わざとらしく肩をすくんでみせた。

 

   

         「まさか、洛陽の経済を牛耳る大商人『四富』の一角を担ぐ波才殿が、

           黒山賊の総帥の一人とはね。それと武器を持っているこちらの女性は?」

 

   

         華琳の質問に波才は微笑み

         

 

         「彼女は私と同郷のもので許の曹孟徳様がこちらにいらっしゃることから、

           今回護衛として同席してもらっています。

             

             名は…まあ我々の間では本名を知る必要はありませんね。

                     仲間内では『常山の昇り竜』と呼ばれております」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          その頃、長安の鎮西府では先程までハチの巣を突いたように

           慌しかったのが一変し、今では出陣の準備が整い兵達が整然

            と行軍の隊列を組み指揮官からの出陣の命令を待ち待機していた。

 

 

            

            先頭には馬に乗った将軍達が立ち並び、そのすぐ後ろにはその

            部隊を示す旗や指し物が立ち並ぶ。

 

            歩兵は、200名を指揮する曲長から軍侯、部、司馬、校になる

           につれて兵の動員数や指揮官の権限が大きくなり、最終的には下級

           将軍が軍の各部署内での実質的な軍事管理者となり、その下級将軍

           を指揮する高級将軍が総大将となって軍隊全体を統括するようにな

           っている。

 

 

           この行軍の先鋒には南方で生産された糸から織られた鮮やかな錦の旗に

           大きく『孫』の一字が描かれていた。この軍団を指揮するものは別部司

           馬である孫堅の名代雪蓮であった。

 

 

 

         別部司馬というのはその名前の通り、 

           非主力部署を意味し総大将の下にある常時主力として置かれる

                 将軍たちとは、別途に設けられる少数の戦闘集団であった。

 

 

            別部司馬の組織では、総大将指揮下にある将軍たちとは異なり、

            (総大将の命令・許可という制約があるが)別部司馬自身が流動的な

              戦局を判断して比較的自由に指揮下の兵団の采配を振るうことが

               できる。

 

            

         そして、今回の総大将として任命された車騎将軍 張温が

                 後曲につき 中央には孫家と同じ別部司馬だか

                     官位は孫家より高い盪寇将軍の周慎が就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      この決定を聞いて孫家の勇猛果敢な家臣達は総大将は匹夫だ、臆病者だと哄笑していた。

          

         本来、別部司馬は主戦力の軍団の左右に配置し、

               戦局に応じて別部司馬が独自の判断で指揮するものである。

 

 

        しかし、今回兵の動員数が少ないことから総大将は自己の保身の為、

           別部司馬達を先鋒・中央に配置し敵からの攻撃を受けさせる壁とし

             て用兵をして、もし旗色が悪くなったらすぐさま長安に引き返すの

              では下級将軍達に憶測させるものであった。

 

 

          だが、どのような事情があるにせよ総大将の決定であることには変わりなく、

          また先鋒を賜った孫家としては武功を立てる絶好の機会と孫家の猛者は奮い

           立たされ士気は天にも昇っているようであった。

 

 

 

 

         出陣前に雪蓮は己が率いる軍団を検分する為、軍団の周囲を馬で走らせていた。

 

 

 

         今回動員できる兵数が少ないく、行軍中に敵兵からの奇襲を受ける

           ことを考慮して冥琳の指示により隊列の端には騎兵を配置し、

            その隣には矛・戟を装備した兵が立ち並び、中央には祭か引き

             連れて来た孫家の私兵である弓弩を装備するものが配置されている。

 

 

 

           本来の隊列では敵の奇襲に際して、敵を確認したら外側にいる騎兵

           が素早く迎撃し、それを支援するように長距離から攻撃できる弓弩

           兵が敵を殲滅し、弓弩兵の懐に入られた敵兵に対して二番目の列に

           並ぶ長い矛を持つ兵が応戦する。

         

           そしてその隊列を突破され混戦状態になると中央に配置されている

           柄の短い戟を持つ兵がその間を潜り抜け残存兵を打ち倒す。

 

 

 

        しかし、今回の方針としては本国から引き連れて来た弓弩兵を出来るだけ

         温存するように、私兵達は中央に配置された。これにより敵からの攻撃に

           より一番死傷者が出やすい弓弩兵を温存することができるようになった。

 

 

 

      雪蓮は朝廷から与えられた他の兵種の面構えをみた。孫家の私兵達の士気の高さと

       は裏腹に、官軍の兵は誰もががこれから始まる戦に萎縮しているようであった。

 

         

      祭が言ったように与えられた兵の錬度は低いようで、もし奇襲を受けたら簡単に士気

       は落ち下手をすれば集団としての機能が働かなくなり瓦解する恐れがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             このような状態で戦をしたら死傷者ばかり多くでる。

                 これではあまりにも兵達が憐れだ。

 

 

        雪蓮は眼下の兵達を眺めれながら考えていると馬を走らせ冥琳がこちらにやってきた。

            

           「雪蓮、もうすぐ出陣だ。早く先頭に来て出陣の命令を……雪蓮?」

                       

                     「……冥琳」

                 

                雪蓮は真面目な顔つきで冥琳を見た。

 

                   「どうしたんだ?雪蓮」

 

                   「せんそ――はんたい!」

             

               余りのことに冥琳は呆れ顔で雪蓮に尋ねた。

 

       「だって、私だって五分五分の条件ならヤリ甲斐はあるけど、

                      今回は兵の数だけではなく、質まで悪いのよ」

         

          冥琳はため息をつきながら、雪蓮に兵達の統率について説明をした。

 

               雪蓮の考えるように兵の逃走による軍団の瓦解

               を考慮して、各部署の前線指揮官は孫家の下級

               士官を配置した。

 

               これに官軍の無能な前線指揮官よりこちらの判

               断を素早く察して各自が判断してくれる。

 

               また、彼らには逃走兵が出たならば即座に切り

               殺すように指示しておいた。兵士の逃走による

               瓦解という最悪の想定は避けられると考えられる。

 

          

     しかし、兵達は戦闘の恐怖に立ち竦み思うように動けないことも考えていた方がよいだろう。

 

          そこで、雪蓮の出番だが、どんな弱兵でもその上に立つ者が

           勇猛で豪胆ならばそれを見た兵は奮い立たれ、少しでも勝

            機がみれれば兵の士気はあがり上手く用兵をすることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    「う~、何か面倒な役ね」

 

 

          「そう言うな、少しでも勝てる確立を高くする用兵は

                 人を魅了する演技や神懸りな演出が必要なんだ。

               それより、早く先頭に行き雪蓮の命を待つ、将兵に号令を…」

 

 

               雪蓮は冥琳に促されて軍団の先頭に馬を走らせた。

 

 

          先頭には既に参軍(軍事参謀)として、祭が馬上で二人を待っており、

                今だ遅しと雪蓮の命を待っていた兵達は

                       己の将軍が来たことにより一斉に直立した。

 

 

 

               雪蓮は馬上から眼下に広がる一万の兵達を見た。

               彼らの中には極度な緊張で震える者も見られた。

 

 

 

          冥琳の言うとおり、兵達を駆り立てる為には

                      英雄のように兵達を陶酔させる必要を感じた。

 

 

          雪蓮は孫家嫡子の顔になり、

            馬上から将兵に聞こえるように、威風堂々とした勇姿を兵達に見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     「もの共聞け!!

       我が孫家父祖、孫武は言った。

    

       『勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む』

    

        すなわち、

         勝つとは戦を始める段階ですでに勝った状態を作っておいた結果である。

 

         そして、勝ち戦にするには、敵に対してためらう事が最大の害となる。

 

                 将よ! 敵は朝廷に楯突く烏合だ。

 

                 兵よ! 敵は田を食荒らす飛蝗だ。

 

                将兵たちよ、なにも恐れ迷うことはない。

                  

                         我らの猛攻を敵に見せ付けてやれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               「これより、我ら武人の亀鑑となる。 全軍出陣!!」

 

 

 

 

 

           第一陣として、孫別府司馬率いる将兵一万が先鋒として長安を出陣した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (あとがき)

 

 

 

       はじめまして、この度は  美陽攻略戦 第十六ターン をご覧になって頂きまし

       てありがとうございました。

            

               やっと、恋姫キャラが動き出しました。

       

               急いで書き上げましたのでとても眠いです。

 

               次回は今年が終る前にテキトーシリーズを作文する予定です。

                   (まあ、あくまで予定なので来年早々になるかも……)

 

      

      

 

       最後まで、本編を読んで頂きまして大変ありがとうございました。

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
22
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択