No.1142420

英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~

soranoさん

第27話

2024-04-14 20:29:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:609   閲覧ユーザー数:559

 

ヴァン達が最奥に到着するとアレクサンドルとヴィオーラが待ち構えており、二人の背後にある台座にゲネシスが設置されていた。

 

~黒龍城塞・最奥~

 

「メルキオルもだらしないねぇ、9人も通しちまうなんて。ボスもあんなヤツのどこが良いっていうんだか。」

「……名高き”剣の乙女”と”氷の乙女”相手なら仕方あるまい。少々早いが”段取り”からは外れていないしな。」

ヴァン達を目にして呆れた表情で呟いたヴィオーラにアレクサンドルが静かな口調で指摘した。

「ハッ……どうやら単に黒月と戦争するだけが目的じゃ無さそうだな?」

「そちらの装置も含めて……一体、何を狙っているんですか?」

アレクサンドルの言葉を聞いてある事に気づいたアーロンは鼻を鳴らし、アニエスは真剣な表情でそれぞれ問いかけた。

「フフ、さてねぇ。別に話してやってもいいんだけど。折角こんな廃墟くんだりまでわざわざ足を伸ばしてもらったんだ。」

「”かの企業”と契約する裏技使いに東方人街きっての若き使い手、かの”大英雄”の好敵手に”飛燕紅児”の直弟子、そしてかつての祖国の同胞達……黒月との決戦を前に少々、肩慣らしに付き合って貰おうか?」

二人の問いかけにヴィオーラは嘲笑しながら答えを誤魔化し、アレクサンドルは静かな口調で呟いた後それぞれの武装を構えた。

「抜かせ……」

「ハッ、リィンのライバルって覚え方にはちと癪に来るが……」

「”かつての祖国の同胞達”という事は……」

「倉庫での動きを見て、まさかとは思いましたが……」

「……やはり、北の猟兵(おれたち)と何らかの関わりがある野郎のようだな。」

対するヴァン達もそれぞれの武装を構え、アーロンは殺気を纏って二人を睨み、クロウは鼻を鳴らして僅かに不愉快そうな表情を浮かべ、ある事が気になったアンゼリカはタリオン達に視線を向け、視線を向けられたタリオンとマーティンはそれぞれ真剣な表情でアレクサンドルを見つめた。

「かの企業……?」

「ハッ、情報通だな。――――――この得物か?」

「言われてみれば、ヴァンさんの武器は今まで見た事がないタイプの武器ですね……」

一方アレクサンドルが呟いたある言葉が気になったフェリは眉を顰め、ヴァンは鼻を鳴らして問いかけ、ヴァンの問いかけを聞いたリタは納得した様子で呟いた。

 

「撃剣(スタンキャリバー)――――――数年前からかの企業がテスターを募集していた試作品。どんな状況にも対応可能な性能を持ちながら扱いの難しさから広まらなかった武装……よもや使っている者がいるとはな?」

「そっちこそ、軍用格闘術にしちゃエゲツねえ武装を使うじゃねえか。それも含めての”旧大公国式”かい?」

「フ………」

「”旧大公国式”という事はまさか貴方は旧大公家の……!」

「なるほどな。まさか北の猟兵(おれたち)の方じゃなく、”連中”の方の元関係者がマフィアの幹部に転職していたとはな。」

ヴァンの問いかけに静かな笑みを浮かべたアレクサンドルが答えを言わない仲、ヴァンの話を聞いて察しがついたタリオンは驚き、マーティンは真剣な表情で呟いた。

「やれやれ、これだから男ってのは。武器なんざ使えりゃ何でもいいだろうに。―――ま、数十もの短針を一気に放てるコイツはアタシも気に入ってるがねぇ。こいつで屈強な男共のカラダをズタズタにするのが気持ちいいのさ!ま、お嬢ちゃんたちみたいな柔らかい肉も気持ちよさそうだけどねぇ。」

ヴァン達の会話に呆れたヴィオーラは残虐な笑みを浮かべてヴァン達を見回した。

「っ………」

「戦場に男も女もありません。」

「防御シャードで備えろ。少しは防げるはずだ。」

「いざとなったら私が囮になりますから安心して下さい。私は皆さんと違って、”肉体自体がありませんから。”」

「フフ、リタ君が言うと洒落にならないねぇ。」

ヴィオーラの言葉にアニエスは息を呑み、フェリは真剣な表情で呟き、ヴァンは二人に助言し、リタの申し出を聞いたアンゼリカは苦笑しながら指摘した。

「―――――さっきから聞いてりゃ、下らねえことをグチャグチャと……レイ達の仇や煌都の平穏……理由は腐る程あるが――――――」

するとその時顔を俯かせたアーロンが呟いた後アーロンの全身から紅昏きオーラが発生した。

「……!?」

「……ッ……」

アーロンの様子に気づいたアニエスは驚き、ヴァンは息を呑んだ。

「何より俺は、てめぇ自身にケジメをつけるためにここにやって来た――――――!助っ人に頼るのは癪だがここでまとめて決着をつけてやるよ!」

怒りと憎しみに満ちた様子のアーロンは二人を睨んで武装を構えた。

「ハハハ、そうこなくっちゃ!メインディッシュの一つは”アンタ”だしね!」

「抑えきれぬ怒りと慚愧の全てをぶつけてみせるがいい――――――!!」

「来るぞ!アニエス、今まで温存していた”切り札”を呼べ!」

「はい!来て――――――メイヴィスレイン!!」

そしてアニエスが召喚したメイヴィスレインを加えたヴァン達はヴィオーラとアレクサンドルとの戦闘を開始した!

 

「チッ、”また天使かい”……!」

「まさか、異種族と”契約”している者がいるとはな。―――――ダイヤモンドガード!!」

「オオオオォォォッ!百華斬!!」

「!」

メイヴィスレインの登場に舌打ちをしたヴィオーラは忌々しい表情を浮かべ、興味ありげな表情でアニエスを見つめたアレクサンドルは三重の絶対防御の闘気を展開するクラフトを発動して自身の防御を高めると、アーロンが先制攻撃代わりに連続突きからの剣圧を連続で放つクラフトを二人に放ち、アーロンのクラフトが放たれるとアレクサンドルは自身が展開した絶対防御の闘気で防ぎ、ヴィオーラは後ろに跳躍して回避した。

「ぬぅんっ!」

「!チッ……!」

反撃にアレクサンドルが重い一撃を繰り出すとアーロンは舌打ちをしながら側面に跳躍して回避し

「ハッ、甘いよ!」

「甘いのはそっちだぜ!」

「やらせません!」

「こっちだ!」

「チッ、鬱陶しいねぇ!」

回避後のアーロンに遠距離攻撃からの追撃をしようとしたヴィオーラだったがクロウとフェリの牽制射撃とヴァンのクラフト―――――コインバレットの回避の為に反撃を諦めて回避に専念した。

 

「叩き潰す――――――マイト・ハンマー!!」

「そこだよ―――――セイッ!!」

タリオンとアンゼリカはそれぞれ遠距離攻撃のクラフトでアレクサンドルに攻撃し、二人の攻撃によってタリオンが展開した絶対防御の闘気は消滅した。

「さすがに数が多いな……ならば、まずは弱者から消す!覚悟は決めたか?ぬぅぅんっ!!」

「もだえくるしみなぁっ!ヴェノムニードル!!」

絶対防御の闘気が消滅するとアレクサンドルは見た目は子供であることから、ヴァン達の中で戦力が最も低いと判断したアニエス、フェリ、リタ目掛けて装備した手甲からブーストを噴射させながらパンチを繰り出すクラフト―――――マキシマムブローを放ち、ヴィオーラはアレクサンドルとは別方向から毒針を放つクラフトでアニエス達を攻撃し

「甘い!」

「フフ、ここは私の出番ですね。」

ヴィオーラが放った無数の毒針はメイヴィスレインが簡易結界を展開して防ぎ、自分達に向かってくるアレクサンドルに対してはリタは槍を飛ばしてアレクサンドルに向かい

「自ら向かってくるとは、よほど死にたいようだな……!」

自分に向かって来たリタを見たアレクサンドルはそのままリタにパンチを繰り出したが霊体であるリタには物理攻撃は無意味である為、アレクサンドルが繰り出したパンチはリタの体をすり抜けた。

「何!?」

「ふふっ、”私は既に死んでいますよ?”―――――玄武の地走り!!」

「ぬうっ!?」

「フフ、これはどうかな?―――――ハァッ!」

「カハッ!?」

自分の攻撃がすり抜けた事に驚いているアレクサンドルにリタは槍を振るって衝撃波を放ち、至近距離で衝撃波を受けたアレクサンドルはダメージを受けると共に怯み、アンゼリカは一気に詰め寄って零距離で発頚を放つクラフト―――――ゼロ・インパクトをヴィオーラに叩き込み、零距離で強烈な一撃を受けたヴィオーラは呻き声を上げて怯んだ。

「星の光よ―――――エトワールレイ!!」

「そこですっ!ヒートエッジ!!」

「こいつももらっとけ!」

「ハァァァァァァ………!喰らいやがれ!!」

「そらッ!鷹爪脚!!」

「行くぜ―――――蒼破崩拳!!」

「吹っ飛べ――――――バースト・タックル!!」

二人が怯むとアニエスは光線を放つクラフトで、フェリは炎の斬撃を叩き込むクラフトで、マーティンはブレードライフルを連射して攻撃するクラフト―――――マーダーバースト、クロウはクラフト―――――クリミナルエッジ、アーロンはヴィオーラを足場にして高く跳躍した後で目標をアレクサンドルに変えて急降下と共に蹴りを繰り出すクラフトで、ヴァンは踏み込みからの掌底、タリオンは全身に闘気を纏っての勢いよくタックルするクラフトでそれぞれ二人に追撃してダメージを与え

「「聖なる炎よ、邪悪なる者達に裁きを――――――贖罪の聖炎!!」」

「ぐああああああああ―――――っ!?」

「あああああああぁぁ―――――っ!?」

更にメイヴィスレインとリタが放った聖なる炎で敵を包み込み焼き尽くす最上位神聖魔術が放たれ、二重の最上位神聖魔術による聖炎に包まれ焼き尽くされた二人は悲鳴を上げて怯んだ。

「とくとみやがれ――――――ハッ!セイッ!でやあぁぁっ!」

二つの最上位神聖魔術による大ダメージを受けて悲鳴を上げた二人を見て好機と判断したアーロンは二人目掛けて斬りこんで次々と斬撃を叩き込み

「舞い上がれ――――――鳳皇嵐舞!!」

止めに全身に鳳凰のオーラを纏って空へと舞い上がって攻撃を叩き込んだ!

 

「っ……オオオオオオッ!」

Sクラフトを叩き込んだアーロンは更なる追撃を二人に行う為に全身に紅昏いオーラを纏いながら凄まじい攻撃を行い

「ちっ……!?」

「ぬう……っ!?」

アーロンの凄まじい攻撃にヴィオーラは舌打ちをした後回避に専念し、アーロンの攻撃を防御し続けたアレクサンドルは攻撃の凄まじさに防御態勢を崩すと共に唸り声を上げた。

「……許さねえ……絶対に……」

「ア、アーロンさん……」

「なんという鬼気……」

「あの男から感じるこの凄まじい邪気は一体……」

「……?”アーロンさんとは別の凄まじい邪気の魂”……?」

「今の彼、不味くないかい?」

「ああ、まるでかつてのリィンが”鬼の力”を暴走させた時とそっくりだぜ。」

アーロンの様子にアニエスとフェリが驚いている中、メイヴィスレインは厳しい表情でアーロンを見つめ、ある事に気づいたリタは真剣な表情でアーロンを見つめ、アーロンの状態を直感で不味いと感じたアンゼリカの言葉に頷いたクロウは真剣な表情で呟いた。

「―――――落ち着けや。麒麟児。このままだとコイツらの狙いに嵌っちまうかもしれねぇぞ……?」

するとその時ヴァンがアーロンに忠告した。

 

「なにィ……ッ!?」

「さっきその女はお前の事をメインディッシュの一つと言った。本命の一つはあくまで黒月との決戦なんだろうが……」

「っ………」

ヴァンの忠告を聞いたアーロンは唇を噛みしめてオーラを収めた。

「やれやれ、アタシとしたことがつい口を滑らせちまったか。まあいいさ、ここまで来たら全部教えてあげようじゃないか。まずは昔話―――いいや、御伽話と洒落込もうかねぇ。」

「お、御伽話……?」

「……………………」

ヴィオーラが口にしたある言葉を聞いたアニエスは困惑し、アーロンは真剣な表情で黙り込んだ。

「煌都ラングポート、とりわけ東方人街で伝えられてきた忌まわしき伝承さ。数十年前から百年に一度、時代の節目に煌都に現れるという――――――黒月を含めた東方人たちを導き、支配し、隷属させる絶対的な存在。」

「君主にして戦士、解放者にして支配者――――――絶大な力とカリスマ性を備えた人の枠を遥かに超える――――魔人。いつしか畏怖を込めてこう呼ばれるようになったという――――――”大君(たいくん)”、とな。」

「……!!」

「”大君”……」

「あのお婆さんから聞いた……」

「この地と同じく、長老たちに封じられた煌都の闇って所か……いずれにせよ大昔の話なんだろうが?」

ヴィオーラとアレクサンドルが語った話を聞いたアーロンは血相を変え、アニエスとフェリは呆け、静かな表情で呟いたヴァンはヴィオーラとアレクサンドルに指摘した。

 

「そう、昔の話。先代の”大君”が煌都に現れたのはもはや半世紀前も昔のこと。代々の中でも特に傑物だったそうでねぇ。黒月や”銀”すら従え、導力革命直後の変革期の中でも見事にラングポートを治め――――――東方人たちの勢力を更に拡大させたそうだ。フフ……そういう所はウチのボスと似てるかもしれないねぇ。」

「だが、その統治は次第に歪んでいった。ひたすら正しい判断を下す”大君”。だがそこに少しの情を挟む余地もなかった。正しさに従い創造し、正しさに従い破壊する。――――――魂すら支配するかのような人在らざる魔人。共和国政府の介入すら物ともせずのしかかる”恐怖”が煌都を蝕んでいった。」

「結局――――――当時の黒月長老たちはその”恐怖”に耐えられなかったらしい。主として仰いでいた”大君”を裏切り、恥も外聞も捨てて”銀”や外部の力を借り……死闘の果てとある地に”大君”を封じ込めて孤独の中で息絶えさせたそうだ。――――――その場所が、ここ”黒龍城塞(ヘイロンジャーイセン)”ってわけさ。」

「そ、そんなことが40年前に……」

「鉱山閉鎖っつうのは表向きの理由って訳か……」

「今の話はリーヴェルト少佐達から煌都についての情報を予め聞かされていた自分達も初耳ですね……」

「半世紀近く前に起こって”黒月”が”闇”に封じた話だそうだからな。情報局もだが、メンフィル帝国すらも掴めていないのだろうな。」

ヴィオーラとアレクサンドルが語った”大君”の話を知ったアニエスは驚き、ヴァンは重々しい口調で呟き、タリオンとマーティンはそれぞれ真剣な表情で呟いた。

 

「馬鹿……な……そんな話が……」

「ア、アーロンさん……?」

「チッ……しっかりしろ!!」

「この地に封じられた……―――――!まさか。」

呆然とした様子のアーロンにフェリは驚き、ヴァンはアーロンに声をかけ、察しがついたリタは真剣な表情でアーロンを見つめた。

「……やはり聞いていた通りだったようだな。アーロン・ウェイ――――――お前が、当代の”大君”だ。」

「え……!?」

「ま、まさか………」

「チッ、ある意味ギリアスの野郎と”同じ”って事かよ!」

「それも話を聞いた感じたオズボーン宰相――――――いや、”黒に全てを捧げたオズボーン宰相よりも不味い存在かもしれないね”……!」

アレクサンドルの指摘にフェリは驚き、アニエスは信じられない表情を浮かべ、クロウとアンゼリカは厳しい表情で呟いた。

 

「ふざけんなッッ!!俺はアーロン・ウェイ――――――!ユエファ・ウェイの息子で煌都生まれの煌都育ち!オフクロが亡くなってからは血は繋がっていなくても姉貴と本当の姉弟同然に育ってきたし、皆と面白おかしく暮らしてきた!そんなワケのわからねえ―――――大昔の疫病神と一緒にするんじゃねえ!!」

するとその時アーロンが怒りの表情で声を上げて反論した。

「アハハハハッ!”人間ですらない化物と人間であるアンタが本当の家族”だなんて、笑える話だねぇ!」

「”人間ですらない……?”」

「まさかマルティーナは――――――」

アーロンの反論を聞いて嘲笑を浮かべながら声を上げたヴィオーラの言葉を聞いたアニエスは困惑し、ある事に気づいたヴァンは真剣な表情を浮かべ

「……姉貴は異種族――――それもセイとホアンを生き返らせてくれた”そこの天使と同じ種族だ。”……最も、この事実を知っているのは俺と死んだオフクロだけで、アシェンすらも知らねぇ。姉貴が”天使”――――――異種族だなんて黒月あたりが知ったら、面倒な事態になりかねない事を懸念した当時のオフクロが姉貴に正体を隠す事ができるなら隠すように助言したからな。」

「そういえば、ロイド君達の話によるとルファディエルさん達――――――”天使族”は人間の姿に変身できるという話だったよね?」

「ああ。見た目は普通の人間だったら、知っている奴等以外に気づくなんてそれこそ人間以外の存在か、”本気”を出すために正体を現した時だろうな。」

「ええっ!?そ、それじゃあマルティーナさんもメイヴィスレインさんと同じ天使様なんですか……!?」

「……………ええ。アニエスを通して貴方達が出会った彼女からは私達”天使”特有の気配が感じられましたから、彼女は間違いなく”天使”です。――――――それも恐らく、私よりも位階が上の。」

「だからマルティーナさんと出会った時、メイヴィスレインと少しだけ似た雰囲気を感じたのね……」

「第五位のメイヴィスレインよりも上という事は、最低でも第四位――――――このゼムリアで活動している最も位階が高い主天使(ドミニオン)って事になるじゃねえか。道理でメルキオルを含めたアルマータの幹部連中を纏めて撃退できた訳だぜ。――――――つーか、メイヴィスレインもそういう大事な事は気づいた時点で俺達にも報告しろよな!?」

ヴァンの推測の続きを答えたアーロンの話を聞いてある事を思い出したアンゼリカの言葉に頷いたクロウは真剣な表情で呟き、フェリは驚き、メイヴィスレインの話を聞いたアニエスは呆けた表情で呟き、真剣な表情で呟いたヴァンは疲れた表情でメイヴィスレインに指摘した。

 

「チッ、あの化物姉の件は無意味か。だが、その件を抜きにしてもこの”黒龍城砦”に来て思い当たることも多いんじゃないかい?」

「ッ……!」

一方動じていない様子のアーロンを見て舌打ちをしたヴィオーラは話の続きをしてアーロンに問いかけ、ヴィオーラの問いかけにアーロンは唇を噛み締めた。

「この廃墟を、壁や床を、玉座を見て―――――本当に何も知らないというつもりかい?」

ヴィオーラが怪し気な笑みを浮かべてアーロンに問いかけるとアーロンの脳裏に見覚えのない風景が思い浮かべられた。

「ぐっ……ッ………なん、だっ……これはっ……オレの……じゃッ………」

「す、すごい脂汗……!」

「アーロンさん、大丈夫ですか!?」

片手で頭を抑えて痛みに耐えている様子のアーロンをフェリは驚き、アニエスは心配そうな表情でアーロンに声をかけた。

「てめぇら……やっぱりコイツを――――――!」

「その通り―――――もう一つの主目的だ。」

「クク、それじゃあそろそろ”仕上げ”と行かせてもらおうかねぇ。」

ヴァンの問いかけにアレクサンドルが肯定するとヴィオーラが3つ目のゲネシスの元へと跳躍して手に取った。

 

「3つ目の”ゲネシス”……!」

「おっと、嬢ちゃんたちじゃないよ。ボウヤ―――――受け取りな!」

「……!?」

ヴィオーラがアーロンにゲネシスを投擲するとアーロンは反射的に投擲されたゲネシスを掴み、掴んだゲネシスを見つめた。

「それはこの地に封印されていたもの。所有者だった先代”大君”と共にな。今―――――それを前の主に”返した”、」

「……まさか!」

「いけない……!」

アレクサンドルの話を聞いてある事を察したヴァンとアニエスは血相を変え

「それを捨てろ、小僧!」

「オオオオオオオオオオオッ!!!」

ヴァンはアーロンに警告したがその警告は遅く、アーロンは咆哮を上げながら紅昏いオーラに包まれた!

「く、昏き”息吹”が……」

「場の記憶を”喰らって”……!?」

「い、一体何が起ころうとしているのですか……!?」

「話の流れから察するに、恐らく奴は”大君”とやらに―――――」

アーロンの様子を見たフェリは驚き、ヴァンはアーロンに起こっている事を分析し、信じられない表情をしているタリオンの疑問にマーティンが厳しい表情で答えかけたその時、アーロンを覆っていたオーラが消えるとそこにはアーロンの姿はなく、真紅の髪の”魔人”がいた―――――!

 

 


 
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