No.1141972 【獣機特警K-9ⅡG】刑事アキ、初めての事件(3・終)【交流】2024-04-07 17:48:48 投稿 / 全10ページ 総閲覧数:154 閲覧ユーザー数:145 |
ラミナ署。
アキ「ふぅ~食った食ったあ! ごちそうさまでした警部!」
ミハエル「どういたしまして。さて、食後の頭の体操の時間だ。君の考えを聞かせてくれ」
アキ「はい。さっきの男と男のカップル、事件と状況は同じですね。でも片や人里遠く離れた家、片や市街地のホテル。この差はいったい…?」
ミハエル「もう答えは出ているよ。よーく考えるんだ、よーくな」
アキ「はいっ! うーん。似た状況なのに、めっちゃ近い場所とめっちゃ遠い場所…毒死と衰弱死…遅効性の毒…死亡時期の開き…手首と足首の深い傷…う~んう~ん…。そうか、分かったぞ!」
ミハエル「何だ、言ってみろ」
アキ「まず、犯人の真のターゲットは吐さんだった。四月一日さんは言ってみれば巻き添え死」
ミハエル「うむ。続けて」
アキ「現場の家に着いたあと、四月一日さんは、事前に渡されていたあの薬を、毒薬とも知らずにビールで飲みながら、吐さんをキツくベッドに縛り上げた。即効性の毒にしなかったのは、四月一日さんにすぐに死なれては吐さんを縛ることが出来ないから。そして、仕事の成果を満足気に眺めながら残りのビールを飲んでいるうちに、突然毒が回ってきて死亡」
ミハエル「うむ」
アキ「困ったのが縛られたままの吐さん。叫べばすぐに誰かが駆け付けてくれるホテルと違い、ここは森の中の一軒家、誰も助けなんか来やしない。ロープから抜け出そうとしたが、キツく縛られすぎててそれも出来ずに10日後に衰弱死。吐さんの手首足首の傷は、その時に激しく暴れて出来たもの──といったところでしょうか?」
ミハエル「よろしい、100点満点だ」
アキ「ヘヘッw 行きましょう警部!」
ミハエル「行くってどこへ? どこへ行くんだい?」
アキ「それは…その…さっきの繁華街を探しまくって…」
ミハエル「その必要はないさ。だって彼は“真面目なサラリーマン”なんだろ? 決戦は明日、今日はもう帰っていいぞ」
翌日昼12時、AT-ATA商事の前。
社員たちがぞろぞろと出てくる。
ミハエル「横屋里さん!」
横屋里「おや、ミハエルさん。また何かご用ですか?」
ミハエル「おいしい店を見つけましてね。お昼ご一緒にどうですか? おごりますよ」
横屋里「おいしい店って、こんな何も無い裏通りに連れてきてどういうつもりですか!?」
ミハエル「まあまあ。お待たせアキ君。まずはあれを」
アキ「はい」
ミハエル「まずはこれ。これはあなたもご覧になってると思いますが、現場の床に落ちていたビールの缶です」
横屋里「はい、見ております」
ミハエル「これには2人分の指紋が付着していました。一つは毒で死亡した被害者、そしてもう一つは横屋里さん、あなたの指紋だ」
横屋里「それは、あの家に置いてあったのを四月一日さんが勝手に飲んだんじゃないんですか?」
ミハエル「でしょうな。あと、隣の部屋のゴミ箱からこんな紙切れも出てきましてね」
横屋里「!!!!!」
ミハエル「この小さな紙には毒薬が付着していました、遅効性の毒薬がね。この紙にも被害者の指紋が着いていました。──そして横屋里さん、あなたの指紋もね!」
横屋里「くっ…!」
ミハエル「そして今四月一日さんと言いましたね。私はあなたに被害者のお名前は一言も言ってないはずですが?」
横屋里「しまった!!」
ミハエル「ちょっと署までご同行を」
横屋里「クソッ!」
ダッ!
アキ「あ、待てこの!」
ドカッ!
すぐに追いつき、タックルを食らわすアキ。
横屋里「クソッ、離せこの!!」
アキ「誰が離すもんか! 高校時代、100m走でもインターハイにも出たことのあるこのボクから逃げられると思うなよ!」
横屋里「クソッ! クソッ! クソーッ!!」
・・・・・・
ラミナ署喫茶室。
ミウ「あーコーヒーがおいしいー」(ズズーッ)
テムナ「ホンマやなあ。めっちゃ落ち着くわー」(ズズーッ)
ミハエル「よう、隣いいか?」
ミウ「いいわよ」
ミハエル「どっこいしょっと! あー疲れたあ~」
ミウ「ねえ、横屋里は吐いたの?」
ミハエル「ああ、すっかりゲロロったよ。吐氏がアル中…おっと、大の酒好きだったってことは話したよな?」
ミウ、テムナ「うん」
吐『しかし社長、何でわざわざそんな遠い場所で?』
横屋里『不満かね? 君が好きそうな酒をたっぷり買っておいたんだが』
吐『さ、酒!?』(ぢゅるり…)
横屋里『仕方ないな、ではこの仕事は他の若い子に回すとするか』
吐『行きます行きます! 俺行きます!!』
横屋里『ハハハハハ、なかなか現金な奴だなw ロープの準備は出来てるかね?』
吐『もちろんです社長!』
横屋里『よろしい。玄関は閉まっているが、勝手口の鍵は開いているから、現地に着いたらそこから出入りしてくれ』
吐『分かりました! 今回もキッツく縛られて来ますんでw』
横屋里『ハハハ、それは頼もしいw それと四月一日さん、これはサービスのお薬です』
四月一日『お薬? 今回は私はプレイはせず眺めて楽しむだけですけど?』
横屋里『素敵な夢が見られる薬ですよ。30分程で効いてきます。現地の冷蔵庫にビールが冷えてますから、まずはそれでこいつを飲んでから、彼をキッツく縛り上げて下さい。縛り終わった頃には素敵な夢が見られるはずです』
四月一日『そういうことですか。へへへ、何から何まですみませんねえw』
ミハエル「横屋里は会社に内緒で人材派遣業をやっていたんだ」
テムナ「人材派遣業?」
ミハエル「男性客の注文を受けて男性社員を派遣する会社さ。性的な意味でね」
ミウ「アッー!」
テムナ「アッー!」
ミハエル「アッー! だからさすな!」
ミウ「だから横屋里は羽振りがよかったのね」
ミハエル「うむ。裏稼業でたんまり儲かっていたのはいいが、雇っていた縛られ役専門の吐から、『本業の会社にバラすぞ、この60過ぎのジジイが!!』と執拗に脅されていたそうだ」
ミウ「あー」
ミウ「それで酒を餌にして、片道2時間も掛かる人里離れた場所へとおびき出し、客もろとも吐さんを消したというわけね」
テムナ「そんな場所やったら発見が遅れても不自然やあらへんもんな。吐はんが死んだ頃を見計らって余裕で見に行けるというわけや」
横屋里『フッ、バカな奴め。私を脅迫などするからさ。お客には少々気の毒だったが、まあ仕方あるまい。さて、次は警察を呼ばないとな』
ミウ「でも現場にはたくさん酒が置いてあったんでしょ? 吐さんは大の酒好き、もし四月一日さんが薬…いや毒を飲んだ後、二人で酒盛りが始まったらどうするつもりだったのかしら?」
テムナ「せやなあ。先に四月一日はんだけ死んでもうたら元も子もないやん」
ミハエル「そこもちゃんと分かってるよ。現場には酒のたぐいはあのビール1缶しか無かっんだ」
吐『何だ社長の奴嘘つきやがって! 酒がたくさんあるとか言ったくせにビールが1つだけかよ!』
四月一日『まあまあ。勘違いってこともありますよ。ということで、このビールは私がいただきますね、薬を飲みますんで。あなたは早く服を脱いでベッドに横たわって下さい』
吐『へーい』
ミハエル「まあこんなとこだろう」
ミウ「四月一日さんも吐さんも1ヶ月も行方不明だったのに、確か家族からは捜索願は出てなかったわね」
ミハエル「まず、四月一日氏には家族はいない」
ミウ「吐さんは? 彼にはいるんでしょ?」
ミハエル「わざと出さなかったんだろう。家族に事情を聞いたとき、みんななんか嬉しそうだったんだ。下手に見つけられて助かられては困るってな」
ミウ「あー…」
テムナ「まあ家にいる時はいつも酒呑んでる鼻つまみ者ならしゃあないわな」
ミウ「自業自得、身から出た錆ってやつね」
ミハエル「それと、あれは報告書に書いたほうがいいのかなあ?」
ミウ「あれって?」
ミハエル「吐はな、黄門様に倍部を挿れられた状態だったんだ」
ミウ、テムナ「ブーーーーーッ!?」
ミハエル「あーあ、きったねえなあ…」
ミウ「これが吹かずにいられるかアッー!」
テムナ「ウチらのコーヒー返せやアッー!」
ミウ「ま…まあ書いたほうがいいんじゃない?」(=▽=)
テムナ「物事は出来るだけ正確を期さんとな」(=▽=)
ミハエル「じゃあ後で書き加えとくよ」
ミウ「しかし、黄門様に倍部を挿れたまま全裸で縛られていたのが最期の姿とか、吐さんの遺族も情けなくていたたまれないでしょうね」
テムナ「いや、案外大爆笑してたかもしれへんでw」
ミハエル「おいおい、いくらなんでもそれは言い過ぎw」
ミウ「でもさあ、アキちゃん今回大活躍だったんじゃない?」
テムナ「せやな!」
ミハエル「あの子を見てると、まだ若くてがむしゃらで猪突猛進だった頃の俺を思い出すんだ。あの子には是非大きく育ってもらいたいんだよ…」
テムナ「こいつ、目を細めてやがるでw」
ミウ「うん!w」
アキ「ミハエル警部ー!」
ミウ「あ、噂をすれば」
アキ「お電話です警部」
ミハエル「サンキュ。でもこれ君のスマホじゃないか」
アキ「それが奥様、電話帳を1行間違えてタップしたらしくて」
ミハエル「ネフティスちゃんからか!? 早く貸すんだ! あ、ネフティスちゃん? どうしたの~?」(デレデレ)
ミウ「この人…」
テムナ「途端に鼻の下のばしよって…」
ミハエル「えっ、今夜一緒に外で食事!? もちろんOKさ! うん、うん、じゃあ店で落ち合おうぜ。楽しみにしてるよ~♥」
ピッ。
ミウ、テムナ、アキ「……」
ミウ「アキちゃん、仕事を覚えるのはいいけど、全部が全部この人の真似をしちゃダメだからね」
テムナ「せやで」
アキ「はあ…」
ミハエル「うるせえよ二人とも!」
=END=
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