No.113822

恋姫無双~天の御使いの守護者~ 第3話

鴉丸さん

第3話です


やっと、狂骨が動く

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2009-12-23 09:42:40 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2281   閲覧ユーザー数:2102

 

 

「それじゃあ、今日の政務はもうないのか?」

 

 

「はい ご主人様が頑張ったので予定していた量が終わりました」

 

 

一刀は自室で朱里からそんな事を聞いていた 久しぶりに出来た休み

 

 

「そういえば……雛里はどうなの?」

 

 

「なんか吹っ切れたようにお仕事していましたけど……」

 

 

朱里は、この前の一件で部屋に1日篭りきっていたが、翌日には吹っ切ったように明るい笑顔を振りまく親友を思い浮かべた もう大丈夫なのか? と聞くと

 

 

「うん もう迷わないよ……もう、ご主人様に悲しい思いはさせないから」

 

 

と、自分でも赤くなるほどの綺麗な笑顔で雛里はそう返した

 

 

「……何があったんだろうね? でも、あの……狂骨だっけ? 刑天と一緒に居たけど、白装束の連中と関係あるんじゃないかな?」

 

 

「ですよね……」

 

 

もう関係ない、と言っていたけど前は自分の命を狙っていた男 敵が味方になるのはこの時代珍しくは無い でも、やはり警戒してしまう

 

 

「まあ「ご主人様!」愛紗?」

 

 

朱里と話をしていると、愛紗が扉を壊すほどの勢いで入ってきた

 

 

「愛紗さん、どうしたんですか?」

 

 

「朱里、ご主人様……反乱です!」

 

 

「「え!?」」

 

 

 

 

「……」

 

 

野宿している川のほとりで狂骨は釣り糸をたらしながら、水面をただボーっと見ていた その後ろでは―――

 

 

「は・な・せ!」

 

 

「旦那様落ち着いてください! さすがに餓虎で斬るのはやりすぎです!」

 

 

狂骨のヘタレにイライラが頂点に達した刑天が、餓虎で狂骨を叩き斬ろうとしているのを聖が腰に抱きついて必死に止めていた

 

 

「KO☆RO☆SU!」

 

 

「駄目です! 駄目なんです!」

 

 

自分の後ろでそんなやり取りが交わされているのに、気付かずにため息を吐いている狂骨 ある意味大物かもしれない

 

 

「だぁ~! いつまでうじうじしている! お前らしくないだろうが!」

 

 

「だが……」

 

 

いまだに踏ん切りがつかない狂骨 だが、その時何かの音が聞こえた

 

 

「ん?」

 

 

「旦那様……様子を見てきます」

 

 

聖が、様子を見るために自分の得物を持ち馬で様子を見にいった

 

 

 

 

「さて……いい加減にしておけよ?」

 

 

「刑天……」

 

 

「いつまで下を向いている? 覚悟を決めたのならただ走れ……そんなにまた忘れられる事が怖いなら、太公望に頼んでみたらどうだ?」

 

 

「だが……俺が勝手に「聖は、太公望に頼んで俺と生きていくために不老不死にしてもらうそうだ」……」

 

 

刑天が突然話した言葉 それは、狂骨と合流する前に聖の口から聞かされた言葉 狂骨は以前本人から聞かされた言葉

 

 

「俺は、最初その考えを否定した 俺に縛り付けるわけにはいかないからな だが、聖は「だから、どうしたんです?」と言ってのけたよ」

 

 

その時のことを思い出しているのか優しげな笑みを浮かべる刑天

 

 

「その時ほど、女は強い……どんなに俺が強くなろうと、聖には敵わない……そう思ったよ」

 

 

そして、狂骨の目を見据え

 

 

「だから、一歩踏み出してみろ……鳳統は、お前が思っているほど弱くは無いぞ?」

 

 

「……「旦那様! 狂骨殿!」」

 

 

二人が話していると、聖が走りこんできた

 

 

「どうした?」

 

 

「それが、張翼が反乱しています! すでに、成都は包囲されています!」

 

 

以前から劉璋と張翼が険悪だったのは知られていた そして、劉璋が高齢と言う事もあり張翼が実権を握ると思われていたが、一刀がやってきた事によりそれも無くなった そもそも張翼は若干自己中心的な考え方だったので、一刀が蜀を治めるのは不満は出ていなかったが、ここで反乱を起こし蜀を自分の手におさめようとしていた

 

 

「狂骨……行かなくていいのか?」

 

 

「……「蜀にあったよな? 確か……落鳳破……だったか? 正史で鳳統が死ぬのは」ッ!」

 

 

刑天の言葉に狂骨は童子切を抜き、走り去って行った

 

 

「やっと行ったか……さて、どうなると思う?」

 

 

「大丈夫ですよ あそこまで思いあっているんですから」

 

 

「フッ……それもそうか さて、俺らも行くとするか 狂骨が蜀に参入するかは分からんが……どっちにしろ北郷にはここで倒れてもらうわけにはいかんからな」

 

 

「はい……行きましょう旦那様」

 

 

刑天と聖もそれぞれの得物を持ち、成都へと向かった

 

 

 

 

 

 

「雛里!」

 

 

「星さんは、そのまま進軍を! 桔梗さんは、防御を徹底してください!」

 

 

張翼率いる反乱軍に対し、一刀たち蜀軍は部隊を二手に分けて対応していた 一方は、一刀と朱里が指揮を もう一方は雛里と詠が指揮を取っていた

 

 

「反乱軍の癖に、意外と統率取れているじゃない」

 

 

詠が口元を悔しそうに歪める 張翼に鍛えられているのか反乱軍には結構てこずっている 元々、蜀に古くから住んでいたので土地勘は反乱軍のほうがあるので、地形をうまく使っているのだ

 

 

「隙ありぃ!」

 

 

「え!?」

 

 

突然後ろから敵があわられた その突然の出来事に動きが止まる雛里たち それが、命取りとなった

 

 

「しまった! アイツラのほうが「クッ……下がれ、雛里、詠!」」

 

 

桔梗がフォローに走ろうとするが、図ったかのように反乱軍の攻勢が強くなった

 

 

「このままじゃ「死ねぇ!」うあ!?」

 

 

雛里が乗っていた馬に男が斬りつけ、雛里が落馬してしまった さらに、後ろは崖 逃げるところはどこにも無い 一番近くに居た蒲公英が反乱軍を斬り伏せ走ってくるが、どう見ても間に合わない

 

 

「……最後にご主人様に会いたかったな」

 

 

雛里の目の前にいた男は剣を振り下ろし、その衝撃で雛里の体は崖から落ちていった

 

 

「雛里ー!」

 

 

「やった! 鳳雛を殺したぁ! 俺がやったんだぁ!」

 

 

嬉しそうに叫ぶ男 蒲公英が怒りに顔を染め斬りかかろうとした瞬間、圧倒的な威圧を持つ何かが近づいていた

 

 

「邪魔だぁー!」

 

 

風が吹くと共に男の体は二つに分かれていた その風は、勢いを止めることなく雛里の後を追うように崖から飛び降りていった

 

 

「ご主人様……ご主人様ぁ!」

 

 

「雛里ー!」

 

 

互いに伸ばされた手 それが今繋がった

 


 
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