No.1129478

聖剣伝説2 another 第20話 ~砂の国の少女~

※全90話程度。オリキャラ・独自設定多数。
 聖剣2の世界観・キャラを使った、オリジナルストーリーに近いです。
 聖剣シリーズ以外の要素も、度々登場します。

※pixivにて完結済の、同タイトルの作品の再掲です(ごく一部に修正点あり)。

続きを表示

2023-09-14 18:09:16 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:193   閲覧ユーザー数:193

第20話 ~砂の国の少女~

 

<カッカラ王国>

 

姫花(ひめか)「あっ………つ~~~~~い!!!」

程塚(ほどづか)「ははっ…言うと思った…」

 

遊太「いや、これは確かに…

   溶けてスライムになるレベルっすよ…」

名由多(なゆた)「…夏場の野球部の練習よりキツいかも…」

 

ポポイ「ったく かわい子ちゃんはともかく、

    男どもまでだらしねーなー!」

プリム「まあ、この子達のいた世界とは気候が違うから」

 

ランディ「あはは…じゃあ王様の所に行って話をする前に

     どこかのお店で 少し休憩しようか」

<カッカラ王国・食堂「夜明けの三日月亭」>

 

ギイッ

 

店主「おっ いらっしゃい」

ランディ「すみません、なるべく涼しい席でお願いできますか」

 

店主「あはは、お連れさん大分お疲れですねえ。

   じゃあ、一番奥の席にどうぞ。今、お冷もってきますから」

姫花「あ、ありがと……ございます……;;」

 

ガタン

 

プリム「なかなかいい雰囲気のお店じゃない?

    …って、そんなとこ見てる余裕ないかw」

名由多「の……のど渇いた…」

 

倒れこむように座った一行のテーブルに

砂漠の太陽のような赤い髪をなびかせた、

小さな可愛らしいウェイトレスが 水を運んでくる。

 

少女「おまたせしました~ お冷でーす!」

名由多「あ、ありが……」

 

…ジーッ

 

少女「??」

 

名由多「…………」

少女「なぁに?」

 

程塚「名由多君?」

名由多「……あっ、ううん!?お、お水ありがとっ…!」

 

ゴクゴクッ

 

遊太「ぷは~っ 生き返るゥゥ!!」

姫花「オヤジか、あんたは…」

 

少女「ごちゅーもん、お決まりですか~?」

ランディ「えっとじゃあ飲み物と、

     何かオススメの 軽く食べられるものを」

少女「かしこまりましたぁ~!」

 

トタトタ

 

少女「おじさぁ~ん、オーダー入りましたー!」

店主「リリィ、いつも言ってるだろう?

   仕事中は『マスター』」

少女「あっ…えへへへっ♪」

 

ジーーーッ

 

程塚(…名由多君…)

姫花「ランディ、ここの王様とも顔見知りなんだっけ?」

ランディ「うん。それに先にジェマが

     伝書鳥を飛ばして 事情を説明してくれてるから

     スムーズに話が進むはずだよ」

 

ポポイ「それにオイラ達、

    この国の干上がったオアシスを 元に戻してるからな!

    オイラ達の頼みごとだったら ぜってー断れねーのさ!」

遊太「その言い方だと何か 弱味握ってるみたいじゃね?w」

姫花「へ~ ホントに世界中に知り合いがいるんだね~」

 

トタトタ

 

少女「おまたせしましたぁ!

   フルーツジュースと マスターの気まぐれサラダでーす!」

名由多「あっ……あ、ありがと…」

 

プリム「わ~このサラダ美味しそ!」

少女「えへへ、オススメですよー♪」

 

パクッ

 

姫花「…!?お、おいしっ!?」

少女「えへ、マスターとくせーのドレッシングが決め手なんです!

   ほかのお客さんにも ひょうばんなんですよ~?」

 

ポポイ「こりゃうめー!おかわりほしーぞ、おかわり!」

遊太「ちょ、食べるのはやっ!?」

 

…ジーッ

 

少女「??」

名由多「……!あっ、ごごごめんっ…!」

 

慌てて目をそらした名由多の隣に、少女はごく自然に腰をおろす。

 

少女「ねえねえ!おなまえ なんてゆーの??」

 

ストン

 

名由多「えっ!?え、えっと…

    名由多 耀助(なゆた ようすけ)」

少女「ヨースケくん??じゃあ、ヨーくんだねっ!」

名由多「よ、ヨーくん!?」

 

少女「リリィはね、リリィ!9さい!ヨーくん、いくつ?」

名由多「えっと…10歳」

 

少女「あ~リリィよりお兄さんだ!

   でもリリィだって、もうすぐ10さいになるんだよ?」

名由多「そ、そうなんだ…」

 

リリィ「ねえこの人たち、みーんなヨーくんのおともだち??」

名由多「あ、うん…」

 

リリィ「すご~い、おともだちいっぱいだねっ!

    ねえねえリリィとも おともだちになって!!」

名由多「え、えっ!?え、えと、あの、そのっ…///」

 

スタスタ

 

店主「こーらリリィ。お客さん達の邪魔しちゃダメだろう?」

リリィ「え~なんでぇ、マスター!」

 

ランディ「あはは、僕らは構いませんよ」

程塚「そうそう、名由多君も嬉しそうだしw」

名由多「えええっ!?な、ななななんでっ…!?」

 

リリィ「ねえねえマスター!

    ちょっとヨーくんと あそんできてもいーい?」

名由多「えっ…!?」

店主「こらこら、またそんな勝手に…」

 

姫花「…名由多君、行ってきたら?

   あたし達は もうちょっと休みたいし」

名由多「!?で、でも…」

ポポイ「オイラはこのサラダ、あと2皿食いたいし!」

遊太「2皿も食うんかい!!」

 

リリィ「おねーちゃんたちは いいって!

    ねえマスター、いいでしょ~!?」

 

チラッ

 

店主「…いいんですか?」

ランディ「大丈夫ですよ。急ぐわけでもないですし」

 

店主「仕方ないなあ。

   まあ、今は他にお客さんもいないから いいけれど…

   すぐに戻るんだぞ?」

リリィ「わぁい、マスターありがと~!

    じゃあヨーくん、いこっ!」

 

急に手を握られ、名由多は慌てふためく。

 

名由多(!!わっ、わわわっ…///)

 

リリィ「ほらぁ、はやくはやくっ!」

名由多「ちょ、ちょちょっと待って…!!」

 

トタトタトタッ ギィッ トタトタ

 

 

姫花「あははっ、名由多君ってば

   真っ赤になっちゃって、かわい~w」

程塚「ったく、わかり易い奴だな…」

 

プリム「一目惚れってやつかしらねw」

ランディ「あはは、可愛い子だったもんね」

ポポイ「ん?何の話だ?」

遊太「ポポイはお子様っすなあ…」

 

店主「すみませんねえ…

   オアシスが干からびた時に、

   この国からどんどん人が出ていったせいで

   あの子と同い年くらいの子が ほとんどいないものですから」

プリム「そっか。それであんなに懐いてたのね」

 

店主「ええ…

   それにあの子、両親がいないんですよ」

プリム「えっ!?」

 

店主「数年前に母親と2人で この国に流れ着いてきたんですが

   無理をして砂漠を渡ってきたせいか、

   すぐに母親は亡くなってしまって…

   父親はよくわかりませんが、元々いなかったらしくて」

 

姫花「…そんな風に全然みえないよね…」

遊太「だよねえ、滅茶苦茶明るい子なのに」

 

店主「あの子なりに 周りに気を遣ってるのでしょう…

   それからずっと 私が引き取って面倒を見てるんですが

   表に出さないだけで、本当は寂しいのかもしれません」

ランディ「……」

 

店主「…おっと!すみません、変な話をしてしまって。

   どうぞごゆっくり」

 

スタスタ

 

プリム「…強い子なのね」

姫花「うん。まだ あんなちっちゃいのにね…」

 

ポポイ「あ、おーいおっちゃん!サラダのお代わりなー!」

遊太「いやちょっとは空気読もうよ!?」

ランディ(……両親がいない、か…)

<カッカラ王国・オアシスの側>

 

タタタタタッ

 

リリィ「あーもう、またまけた~!」

名由多「はあはあ…リ、リリィちゃん ちょっと休憩しない?」

 

リリィ「ねえねえヨーくんって なんでそんな走るのはやいの~?」

名由多「あ、それは…野球部で鍛えてるからかな」

 

リリィ「やきゅーぶ??なぁにそれ?」

名由多「えっと、何て言えばいいかなあ…あ、こんな感じの」

 

名由多は目についた木の実と、木の棒を拾いあげる。

 

名由多「こんな丸いボールみたいなのを

    こういう棒みたいので 打ったりするんだ」

リリィ「えーなにそれ!?おもしろそー!!

    ねえねえ、ヨーくん ちょっとやってみせて!!」

名由多「え!?い、今!?」

 

ヒョイ

 

リリィ「この木の実、なげたらいーのー?」

名由多「あ、うん…じゃあ、投げてみて」

リリィ「よぉ~し、いっくよ~??」

 

ポーイ パッカン!

 

リリィ「わー!すごいすっごい、ヨーくんカッコいー!!」

名由多「えっ…!?か、カッコいいかな…///」

 

リリィ「やきゅーぶたのしそー!リリィにも できるかなぁ?」

名由多「うん、きっと出来るよ。

    今度パパか誰かと 一緒にやってみたら?」

 

リリィ「……」

名由多「?リリィちゃん?」

 

リリィ「あっ、リリィね。パパもママもいないんだ」

名由多「えっ!?そ、そうなの!!?」

 

リリィ「うん。リリィがちっちゃいときに ママしんじゃって。

    パパはもっとちっちゃいときに どっかいっちゃったんだ」

 

名由多「…ご、ごめんっ!!」

リリィ「?なんでヨーくんあやまるの??」

名由多「だ、だって…悲しいこと思い出させちゃって…」

リリィ「ううん、リリィさみしくないよ?

    おじさん すっごくやさしいし、それに今は…」

 

キュッ

 

名由多(あっ…)

 

リリィ「ヨーくんもいるし!えへへへっ♪」

名由多「(ドキン)……リリィちゃん…」

 

グイッ

 

リリィ「ねえねえヨーくん!町からでて ちょっといったとこにね、

    リリィのひみつのばしょあるの!

    あっまくておいしい くだものなってるんだ~!」

名由多「そ、そうなんだ」

リリィ「うん、だれにもナイショなんだけどね~

    ヨーくんにだけ おしえたげる!」

 

名由多「あ、でも…お店のおじさん、早く帰ってきなさいって」

リリィ「だいじょーぶだよ!

    夜になるまで、お店いっつもヒマなんだもん!

    ねえほら、はやくいこー!!」

 

グイグイッ

 

名由多「…う、うん!じゃあ行こ!」

 

トタトタトタッ

<カッカラ王国・アムール3世の家>

 

ポポイ「いや~マジであのサラダ美味かったな!」

遊太「いやポポイ、5皿は食いすぎ…」

 

姫花「名由多君ってば、全然帰ってこないから

   先に王様のとこ来ちゃったけど…大丈夫かなあ?」

程塚「店主さんに伝言頼んできたし、問題ないだろ。

   せっかくのデートを 邪魔するのもヤボだしなw」

 

ランディ「え、もう調べ始めてくださってるんですか!?」

アムール3世「うむ、ジェマ殿からの手紙に

       詳しく書いてあったからの。

       ただ異世界についてはともかく、

       剣の方は 実物を見せてもらいたかったんじゃが」

プリム「すみません、今本人が外してて…」

 

ポポイ「その辺に少年クンがいないか

    もっかい見てきたらいーんじゃねーの?

    ちっさい国なんだしさ、すぐ探せそうじゃん」

 

アムール3世「ち、ちっさくて悪かったのお!?」

姫花「ぽ、ポポイってば失礼すぎるからぁ!」

ランディ「そうだね。そろそろ戻ってきてるかもしれないし」

 

ザワザワ ザワザワッ

 

程塚「ん?何か、外が騒がしくねえか」

ランディ「!!あ、あれは…!」

 

                     (続く)


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択