No.1127782 【獣機特警K-9ⅡG】真夏の夜のミステリー【交流】Dr.Nさん 2023-08-19 20:46:59 投稿 / 全10ページ 総閲覧数:289 閲覧ユーザー数:277 |
午後9時、ラミナ署。
ノートパソコンで報告書を書いているのはミハエル。
ミウ「ミハエルさん」
テムナ「こんな時間まで報告書かいな。お疲れやで」
ミハエル「おう」
ミウ「で、何の事件の報告書なの?」
ミハエル(モノローグ)「事件の舞台となったのはラブホテル裸見那、その201号室と玄関先。被害者はAとBの二人、いずれも豚型ファンガーの男性。豚男Aはホテルの玄関先で全裸の状態でナイフで滅多刺しにされ、豚男Bは部屋で全裸で全身を縛られた状態で、やはりナイフで滅多刺し。鑑識からの報告によると、凶器は同じ1本のナイフだそうだ。そして、犯人は──」
ミウ「あー、あの事件ね。で、犯人は?」
ミハエル「それがなあ。実はその前日、一人の豚の女が遺書を残し首を吊って自殺したんだ」
ミウ「うん」
ミハエル「彼女はAの恋人で、その遺書には、Aが浮気をしていたことを知って大変ショックを受けたことと、Aに対する恨みつらみがビッシリと書かれていた」
ミウ「そんなことがあったんだ。かわいそうに」
テムナ「信じていた彼氏が別の女と浮気って、そらショックやで」
ミハエル「男とな」
ミウ、テムナ「は!?」
ミウ「まさかとは思うけど、Aの浮気相手って豚男Bのこと?」
ミハエル「そのまさかだよ」
ミウ「アッー!」
テムナ「アッー!」
ミハエル「ホテルの従業員の話によると、午後11時頃AとBが仲睦まじく二人でチェックイン、201号室の鍵を渡したそうだ」
ミウ「アッー!」
テムナ「アッー!」
ミハエル「そして、よく聞いてくれ。全ての状況を突き合わせた結果、犯人は前日に自殺したその豚男Aの彼女としか考えられないんだよ」
ミウ、テムナ「はあ!?」
テムナ「死んだ女が犯人て、んなアホなー」
ミウ「ミハエルさん、あなた疲れてるのよ」
ミハエル「そう言うと思ったぜ。二人ともこれを見てくれ」
と言うと、ミハエルは横にあるタブレットの動画アプリの再生ボタンを押した。
ミハエル「これはいずれもホテルから提供されたフロントの映像なんだが、まず午後11時、二人の豚男が揃ってチェックインしている。これはさっき話した通りだ」
ミウ「アッー!」
テムナ「アッー!」
ミハエル「そして午後11時15分、1人の豚の女がフロントも通さず、部屋方向に駆け抜けている」
テムナ「なんや鬼の形相やな」
ミハエル「そして午後11時17分、豚男Aが何者かから逃げるように全裸で外方向に走り、そのすぐ後を、ナイフを手にしたさっきの女が鬼の形相で追いかけている様子がこれだ」
ミウ「こわっ」
ミハエル「更に午後11時20分─」
ミウ「あ、さっきの女の人戻って来たわ」
テムナ「ナイフ血だらけやん。全身も血だらけや」
ミウ「返り血かしら?」
ミハエル「そして午後11時23分のフロント」
ミウ「あ、あの女の人が一人で。なんかナイフの血や返り血の量が増えてるような」
テムナ「それに、さっきと違って足取りはゆっくり、表情も満足げで穏やかやな」
ミウ「つまりこういうこと? この女の人が、豚男Aと豚男Bがいる201号室を突然訪ねた。その時、二人とも全裸状態だった」
女『Aさん…』
豚男A『お、お前は!? だがお前は昨日死んだはず!!』
ミウ「前の日に彼女が自殺したばかりなのに、もう次の日には浮気相手の男と!」
テムナ「許せん!」
ミハエル「身に覚えのある豚男Aがまず身の危険を感じ、服も着ないまま慌てて部屋の外へ逃げ出した」
ミウ「しかし、玄関先で追いつかれてしまい刺された」
テムナ「そしてAを刺した女は急いで部屋に舞い戻り、今度はBを刺した」
ミハエル「だいたいそんなところだろう」
ミウ「でも待って。さっき、豚男Bは全裸の状態で全身を縛られてたって言ってたわよね?」
テムナ「抵抗出来ないように、女がBを縛ったんかいな?」
ミハエル「そんなことをやってたら逃げられちまうだろ? Bを縛ったのはAさ。男同士のS○、この後自分たちに降りかかる運命も知らず、ウキウキだったんだろうな」
ミウ「アッー!」
テムナ「アッー!」
ミウ「にしてもさあ、前の日に死んだ人が犯人だなんて」
テムナ「やっぱり信じられへんで」
ミハエル「じゃあ決定的なのを見せてやろう。時間的には一番最後、ホテルから少し離れた場所の映像なんだが、よーく見ててくれ」
ミウ、テムナ「あっ!!」
ミウ「女の人がスーッと消えたわ!」
テムナ「なんや全ての恨みを晴らして、穏やかで満足げな表情でな!」
カラン…。
ミウ「血の付いたナイフだけが残されて、地面に落ちた…」
ミハエル「もちろんそのナイフも回収済み。鑑識によると、刃の部分からはAとB両方の血液が検出され傷口とも一致、柄の部分からは、前日に自殺したはずの女の指紋と手汗のDNAが検出され、他は一切何も出なかったそうだ。そしてな、まだ火葬前だった女の棺を開けると、遺体の口元は微笑み、そして入れる前には何も無かったはずなのに、服にAとBの血がベッタリと着いていたんだ」
ミウ、テムナ「ギャーッ!!」
ミウ「ということは、彼氏の浮気を苦に自殺した女の人が…」
テムナ「死んでも死にきれずに黄泉帰ってってことかいな…」
ミハエル「そう結論付けざるを得ねえ。(タンッ!)よし、報告書作成終わりっと。
翌日。
ミウ「ミハエルさーん、署長が呼んでらっしゃるわよー」
ミハエル「おう」
署長室。
エルザ「報告書読ませてもらったぞ」
ミハエル「おう」
エルザ「だ・が・な! 前日に自殺した女が犯人だと!? バカも休み休み言え!!」
ミハエル「しかし姉さん、全ての状況を突き合わせると、そう考えざるを得ないわけで…」
エルザ「もういい! お前はこの事件から降りろ! あとの指揮は私が執る!!」
署員食堂。
ミハエル「チッ、
ミウ「まあ死んだ人が犯人だなんて、信じろって方が無理よ」
テムナ「せやなあ」
ミウ「それに署長、単に自分が現場に戻りたいだけだったりしてw」
テムナ「あーそれはあるなw」
ミハエル「チェッ」
更に一週間後、署長室。
エルザ「例の事件なんだが、調べ直した結果、やはり事件の前日に自殺した女性が犯人だと結論に至った。正直、すまんかった」
ミハエル「だろ! たく、人のこと散々言いやがって…ってやっぱり幽霊かよ、うわあああっ!!!」
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