No.1127155 英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~soranoさん 2023-08-11 11:54:53 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1276 閲覧ユーザー数:1027 |
~幻想機動要塞・右ゲート・最奥~
「どっこいしょっと……吹き飛びなぁっ!!」
戦闘開始時ルトガーはクラフト―――――ブラストストームをランディ達に放ち、襲い掛かる無数の弾丸を目にしたランディ達はそれぞれ散開して回避した。
「まだだぜっ!――――――喰らえやぁっ!!」
無数の弾丸の掃射を終えたルトガーが続けて自身の得物に雷を宿して跳躍して強烈な一撃を叩き込むクラフト―――――ラグナドライバーをフェミリンス目掛けて放ち
「光よ――――――滅!!」
対するフェミリンスは上位神聖魔術を神槍に込めて強烈な一撃を放つクラフト―――――闘聖の滅燐撃で対抗し、二人のクラフトがぶつかりあった瞬間凄まじい衝撃波が二人を中心に発生し、二人は鍔迫り合いの状態になっていた。
「やれやれ、戦場の叫び(ウォークライ)と要塞との連動による2重強化によるコイツも相殺するとか、相変わらず化物じみた姉ちゃんだな。」
「……私からすれば、女神たる私の莫大な魔力による上位神聖魔術を込めた一撃を相殺した貴方の方が”化物”と呼ぶべき”人”ですわ。」
苦笑しながら指摘したルトガーの言葉に対してフェミリンスは静かな表情でルトガーに対する賞賛の言葉を口にした。
「収束せよ、大地の魔力よ―――――メテオグレイブ!!」
「おっと!」
するとその時魔術の詠唱を終えたリリカがルトガー目掛けて地属性の魔力が収束された球体をルトガー目掛けて放ち、リリカの反撃に気づいたルトガーはフェミリンスとの鍔迫り合いを止めて回避行動に移った。
「エニグマ駆動―――――ハイドロカノン!!」
「甘いぜぇっ!!」
リリカは続けてルトガー目掛けて強烈な水流を放つアーツを発動し、ルトガーは自分目掛けて襲い掛かる水流を得物の一振りで切り裂いて無効化した。
「甘いのはお前の方だ――――――竜牙衝!!」
「っとぉ!アーツを囮にして奇襲をかけるとは相変わらずやるじゃねぇか!」
ルトガーがリリカのアーツを無力化した瞬間ルトガーの側面に回ったジェダルが鋭い斬撃をルトガーに放ち、ジェダルの奇襲攻撃を間一髪のタイミングで自身の得物で受け流したルトガーはジェダルとリリカの連携に感心の言葉を口にした。
「吹き飛びなぁっ――――――黒燐衝撃!!」
「ぬるいなぁっ!――――――そらよっ!!」
「!」
エルンストが放った闇の衝撃波を発生させる魔術を得物の一振りで無効化したルトガーはエルンスト目掛けて閃光手榴弾を投擲し、自身の目の前に投擲された手榴弾を目にしたエルンストは転位でその場から離れて手榴弾による閃光爆発攻撃から逃れた。
「これで終わりだ――――――喰らえっ!!」
「!スタンハルバード……そいつがバルデル達から離れ、得物(ベルゼルガー)を捨ててまで選んだお前さんの新たな”道”か、ランドルフ?」
エルンストへの攻撃によって自分への注意が逸れている隙にルトガーにクラフト―――――デスストームで強襲したランディだったが、ルトガーはすぐに強襲に反応してランディの強襲攻撃を受け流した後ランディの得物であるスタンハルバードに視線を向けた後ランディに問いかけた。
「ああ……別にベルゼルガーを捨てはしていないが、こいつが叔父貴をブチのめして修羅として生きるしかなかった俺自身と完全に決別させてくれたベルゼルガーと並ぶもう一つの”相棒”だ。」
「ほう……あのシグムント相手にベルゼルガー以外の得物で超えるとはな……なら、バルデルの代わりに確かめさせてもらうぜ――――――猟兵(おれたち)と同じ生き方しかできなかったお前さんが見つけた”新たな道”とやらを!」
「余計なお世話だっつーの!」
ランディの話を聞いて興味ありげな表情で声を上げたルトガーの言葉に対してランディが疲れた表情で反論すると二人は同時に攻撃を放った。
「ハァァァァァァ………ラグナドライバー!!」
「こいつはどうだい?クリムゾン――――――ゲイル!!」
ルトガーが雷を宿した強烈な一撃を放つと対するランディは炎を宿した強烈な一撃を放ってルトガーのクラフトを相殺し
「行くぜぇっ!!」
「喰らえっ!!」
ルトガーが強襲攻撃を仕掛けると対するランディも強襲攻撃(デスストーム)で相殺し
「こいつで止めだ――――――トールハンマー!!」
「うおおおおおおおぉぉぉ……薙ぎ払えっ!!」
ルトガーのが強襲攻撃を放った後に放たれた雷のエネルギーには全身に闘気を纏って放った薙ぎ払いによって自分へと襲い掛かった雷のエネルギーを薙ぎ払った。
「邪悪なる者達を浄化せし焔よ、燃えよ―――――贖罪の聖炎!!」
「月女神リューシオンよ、清浄なる青の裁きを今ここに――――――青燐の裁き!!」
「闇の炎に呑まれちまいなぁっ!――――――闇界獄滅炎!!」
「ぐおおおおおおおお……っ!?」
ルトガーの注意がランディに逸れている隙にそれぞれ魔術の詠唱を終えたフェミリンス、リリカ、エルンストはそれぞれ高火力の魔術をルトガーに放ち、3人が放った高火力の魔術をまともに受けたルトガーはダメージを受けると共に怯んだように思われたが――――――
「オオオオオオオォォォォ―――――この程度かぁっ!」
何とルトガーは自身の戦場の叫び(ウォークライ)――――――タイタニスレイジで全身に闘気の鎧を纏う事で3人の魔術によるダメージを最小限に抑えると共に自分へと発動していた3種類の魔術を吹き飛ばした。
「ええっ!?不死者なのに、弱点であるの光の魔法――――――それも私だけでなく女神であるフェミリンス様の高位の光の魔法を受けても怯まない所か、咆哮で魔術を吹き飛ばすなんて……!?」
「要塞との連動による強化の影響があるとはいえ、今の猟兵王は下手をすれば”神格者”に迫るかもしれませんわね。」
「クク、いいねぇ!面白くなってきたじゃないかっ!」
自分達の魔術を吹き飛ばしたルトガーの様子を見たリリカは信じられない表情で声を上げ、フェミリンスは警戒の表情でルトガーの状態を分析し、エルンストは好戦的な笑みを浮かべてルトガーを見つめた。
「チッ、親父や叔父貴といい、オッサンといい、揃いも揃っていい年している癖に張り切りすぎなんだよ、化物共が!」
「無駄口を叩く暇があるなら、反撃の隙を与えないように追撃しろ!左右から波状攻撃を仕掛ける!リリカ達は援護と魔法による波状攻撃を仕掛けろ!」
ルトガーの”化物”っぷりに舌打ちをして声を上げたランディに指摘したジェダルはそれぞれに指示を出した後ランディと共にルトガーに接近戦を仕掛けた。
「禍汲斬(ガルベリオ)!!」
「そらそらぁっ!」
ルトガーはジェダルが放った闘気を纏った薙ぎ払いを自身の得物を振るって弾き
「オオオォォォ……喰らいやがれっ!!」
「よっと!――――――お返しだ!」
「!!」
ジェダルの攻撃の後にジェダルとは正反対の方向からランディが放った闘気の竜――――――サラマンダーに対しては身体を軽く横に逸らして回避した後反撃に自身の得物の銃口の部分から収束した雷光エネルギーを放つクラフト―――――プラズマカノンを放ち、ランディは間一髪のタイミングで襲い掛かる雷光エネルギーを回避した。
「さてと――――――いっちょ、やるか!そらそらぁっ!」
「「!!」」
「―――――どうやら大技を放つようですわね。貴女達への攻撃は私が防ぎますから、貴女達は反撃と前衛二人への回復の準備を。」
「はい……っ!」
「ハッ、言われなくてもそのつもりさ!」
反撃を回避されたルトガーは続けて自分と直接戦闘しているメンバー――――――ランディ達全員目掛けて掃射攻撃を行い、ルトガーの掃射攻撃に対してランディとジェダルはそれぞれ自身に向かって来た無数の銃弾を側面に跳躍する事で回避し、リリカ達への攻撃はフェミリンスがドーム型の結界を展開する事で防ぎ、結界を展開しながら指示をしたフェミリンスの指示にそれぞれ同意したリリカとエルンストはアーツや魔術の準備を開始した。
「まだまだぁっ!」
掃射攻撃を終えたルトガーは続けて空高くへと跳躍して地上にいるランディ達目掛けて自身の得物による爆撃を行い
「こいつで止めだ――――――ギルガメス――――――ブレイカー!!」
最後に凄まじい闘気を込めた一撃を戦場に叩き込んで凄まじい威力の衝撃波を発生させ
「うお……っ!?」
「さすがに全ては防ぎきれないか……!」
ランディとジェダルはそれぞれの得物で防御したが、ルトガーのSクラフトの威力は凄まじく、二人の防御態勢をも崩すと共に二人にダメージを与えた。
「リューシオンよ、青き癒しの風を英雄達に――――――リューシオンの天癒!!」
するとその時リリカが高位の治癒魔術を発動してランディとジェダルが受けたルトガーによるダメージを完全回復させ
「喰らいなぁっ!――――――アルジェントアーク!!」
更にエルンストが発動したアーツによって上空に異空間から現れた巨大な異界の船が怒涛の爆撃と砲撃を地上に向かって放った。
「チ……ッ!」
上空から襲い掛かる怒涛の爆撃と砲撃に対してさすがのルトガーも対処法がないのか、舌打ちをして回避行動に専念していたが
「クク、まだ終わらないよぉっ!さあ、もっと楽しみなっ!あっはははははははははははははははッ!!」
「うおおおおおおお……ッ!?」
エルンストが続けて放った転移によって爆発を連続させるSクラフト―――――転移爆発による連鎖する爆発が加わった事によって逃げ場がなくなると回避行動も意味をなさず、エルンストによるアーツやSクラフトが次々と命中した事で思わず声を上げて怯んだ。
「これで滅せよ――――――爆殲禍汲斬(リム=レスペリオ)!!」
「これで終わりだ………クリムゾン…………セイバー――――――――――――ッ!!」
「ガフっ!?」
ルトガーが怯むとその隙を好機と判断したジェダルが広範囲を薙ぎ払う強力な一撃を、ランディが灼熱の炎を纏ったスタンハルバードによる強力な一撃をルトガーの左右から放ってルトガーに命中させてルトガーに大ダメージを与え
「天より来たる聖なる光よ、魔を滅せよ――――天界光!!」
「があああああああ――――――ッ!?」
そこにダメ押しするかのようにフェミリンスが究極神聖魔術をルトガーに放った、不死者であるルトガーにとって弱点であり、かつ莫大な魔力があり、更に魔術の中でも”究極”を冠する神聖魔術をその身に受けたルトガーは悲鳴を上げる程の大ダメージを受けたが
「クク……マジで今のは効いたぜ……!」
「ええっ!?ジェダルとランディさんの奥義をまともに受けた上不死者なのに、神聖魔術の中でも最高位――――――それも女神であるフェミリンス様が放った神聖魔術も受けてなお耐えるなんて……!?」
「確かに耐えはしたようだが奴はもはや虫の息だ。恐らく後一撃入れる事ができれば奴は完全に沈む。」
何とルトガーは全身から煙を出しながらも戦闘不能にならず、立って武器を構えており、ルトガーの様子を見たリリカが驚いている中ジェダルは冷静にルトガーの状態を分析していた。
「ハハ、この猟兵王がただでやられると思ったら大間違いだぜ?オオオオオオオォォォォ――――――ッ!!例え勝てなくてもせめて一矢は報いさせてもらうぜ!」
一方ルトガーは自身の戦場の叫び(ウォークライ)―――――タイタニスレイジを発動して全身に莫大な闘気を纏ってSクラフトの構えをし
「既に一度死んだ癖に、往生際が悪すぎだぜ!オオオオオオオォォォォ――――――ッ!!こいつで引導を渡してやるぜ、オッサン!」
ルトガーの行動を見たランディは厳しい表情で呟いた後赤き咆哮――――――クリムゾンクライを発動した後武装をスタンハルバードから自身の得物であるブレードライフルへと変更し
「”ベルゼルガー”か!いいぜ……闘神(バルデル)の代わりにそいつで俺の幕を閉じられるか、試してみなぁっ!オオオオオオオォォォォ――――――ッ!!」
「親父は関係ねぇっつーの!オオオオオオオォォォォ――――――ッ!!」
そして互いを睨み合ったルトガーとランディはそれぞれ再び咆哮を上げて全身に更なる闘気を纏うと共に戦場を自分達の咆哮と闘気によって震わせ
「ギルガメス――――――ブレイカー!!」
「メルカルト――――――ッ!!」
それぞれ全身に莫大な闘気を身に纏った二人はそれぞれのSクラフトを同時に発動してお互いに向けて突撃して互いの最後の一撃を放った!
~少し前~
ルトガーとの決戦に決着が着く少し前、シャーリィとレオニダスとの決戦に決着が着こうとしていた。
「「「太極烈波――――――ッ!!」」」
「ぐう……っ!?この程度で……倒れるものか――――――ッ!!」
エステル達との戦闘によって重なり続けていたダメージや疲労に加えてエステル、ヨシュア、ミントの協力技による大ダメージを受けたレオニダスだったが、それでもなお倒れず再びウォークライを発動して全身に凄まじい闘気を纏って立ち直り
「ど、どうなっているのよ!?普通ならもう倒れてもおかしくないダメージを負っているはずよ……!?」
「もしかしてこの要塞との一体化によるものなのかな……?」
「それもあるとは思うけど……彼を不屈にさせている一番の要因はこの戦いは絶対に退けない決戦だからだろうね。」
普通なら倒れてもおかしくないダメージを負ってもなお倒れない様子のレオニダスを見てエステルは困惑し、不安そうな表情で呟いたミントの推測に続くようにヨシュアが厳しい表情で自身の推測を答え
「不味いわね……今の彼の目は”死兵”と化する者達がするような目だから、自分の命と引き換えにしてでも私達を道連れにするつもりよ!――――――双竜の大竜巻!!」
(恐らく次に放つ一撃が奴の”全て”をかけた一撃だ。それを放つ前に討て!劫火に呑まれよ――――――ッ!)
「お願いですから、いい加減倒れて下さい~!ベーセ=ファセト――――――ッ!!」
「異界より来たれ、悪を滅ぼす聖剣――――――セレスレジェンド!!」
「聖なる炎よ、邪悪なる者達に裁きを――――――贖罪の聖炎!!」
「青き月女神よ、邪悪なる者に汝の怒りの鉄槌を――――――神槍の流星!!」
パズモ、サエラブ、テトリ、ニル、フィア、ユリーシャが次々と放った高火力のクラフトや魔術は全てレオニダスに命中したが、レオニダスは怯む事なく力を溜め続け
「この一撃で全て決める……!ディザスター――――――アーム!!」
力を溜め終えたレオニダスはエステル達目掛けて突撃してSクラフトによる渾身の一撃を叩き込もうとした。
「氷よ、貫きなさい――――――イルレスの氷柱。」
「ガフッ!?」
するとその時フルーレティが発動した魔術によってレオニダスの足元から無数の氷柱が発生した後氷柱はレオニダスを貫き、無数の氷柱によって貫かれたレオニダスは口から大量の血を吐くと同時にその場で停止させられてしまった。
「ふふっ、自分の命を引き換えにしてでも私達を道連れにしようとした一撃を止められた気分はどう?」
「ぐっ………!一矢を報いる事すらできないとは…………!無念………!――――――止めを刺すならさっさと刺すがいい。」
フルーレティは不敵な笑みを浮かべながら転移でレオニダスの目の前に現れて問いかけ、レオニダスは呻き声を上げて悔しそうな表情を浮かべた後自身が無数の氷柱に貫かれている事で身動きすらできず、更に氷柱に貫かれた事によって自身の得物であるマシンガントレットが義手ごと破壊された事で攻撃手段を失った事に気づくとフルーレティを睨みながら止めを刺すよう促し
「じゃあね。そこそこ楽しませてもらったよ。」
「俺も今から団長と共にそちらに逝く、ゼノ……達者でな、フィー………」
レオニダスの言葉に対してフルーレティは何の躊躇いなく自身の得物である鞭をレオニダスの首筋目掛けて振るい、レオニダスが目の前に襲い掛かる鞭を見つめながら遺言を呟くとレオニダスの首はフルーレティが振るった鞭によって刈り取られた事でレオニダスは絶命した!
「「サザンクロス!!」」
「「Σアセンション!!」」
「アハハ、いいよ、もっと面白くなってきたよっ!」
エリィとノエル、ティオとワジによる広範囲を攻撃するコンビクラフトによって逃げ場のない連携攻撃を放たれたシャーリィは自身が追い詰められている状況でありながら、その状況を楽しみながら自分に来る攻撃を捌いたり回避したりしていた。
「――――――いいえ、”貴女にとっての楽しみはこれで終わりよ。”そこっ!」
「わっ!?」
するとその時ルファディエルがシャーリィの足元目掛けて広範囲の衝撃力がある光の魔力弾を次々と放ち、足元に次々と放たされた衝撃力のある光の魔力弾によって足元が崩され、シャーリィは思わず立ち止まった。
「動きを止めなさい、ノエル!」
「イエス・マム!電磁ネット、発射!!」
「あうっ!?」
そこにルファディエルの指示を受けたノエルが電磁ネットを発射し、発射された電磁ネットはシャーリィに覆い被さるとシャーリィにダメージを与えると共にシャーリィの動きを制限した。
「エリィ、ティオ、セティ、エリナ!遠距離攻撃で追撃しなさい!」
「はいっ!セティちゃん、お願い!」
「わかりました!精霊達よ、悪を討つ力をここに!」
「了解しましたっ!行きましょう、エリナさん!」
「はいっ!」
「オーバルドライブ……―――――リミットブレイク!」
「浄化の煌槍が汝を貫く!」
「あぐっ!?」
そしてルファディエルの指示によってエリィとセティ、ティオとエリナはそれぞれ互いに視線を交わしてコンビクラフトを発動した。するとセティの祈りによってエリィの目の前に大型の魔法陣が現れ、そこにライフルを取り出したエネルギーをチャージし始め、ティオは自身の翼で空高く舞い上がってシャーリィの頭上のへと移動したエリナの得物に凄まじい導力を送り込み、エリナは敵の周囲に魔術による神聖属性の槍を三本顕現させてシャーリィへと襲い掛からせた。
「「エクステンドゲート!!」」
「「これが私達のニーベルン・ヴァレスティ!!」」
「うわあああああああっ!?」
チャージを終えたエリィはシャーリィ目掛けてエネルギーを放つとエネルギーは魔法陣を貫いて騎神や機甲兵をも易々と覆う程の極太のエネルギーと化したレーザーでシャーリィを攻撃し、エリナはティオの強化によって凄まじい導力を付与された変形した槍剣から無数の導力レーザーをシャーリィ目掛けて放った。二組が放ったコンビクラフトをまともに受けたシャーリィは大ダメージを受けると共に怯み
「今よ!強力な一撃による同時攻撃で相手を吹き飛ばしなさい、ロイド、ワジ、シャマーラ、ユウナ、ラグタス将軍!」
「ああ!キーア!今こそ力を貸してくれ!」
「うん!頑張って、ロイド………!」
「は~い!一緒に行こうか、ユウナちゃん!」
「はい、シャマーラ先輩!」
「「ハァァァァァァ…………ッ!!」」
「ja(ヤー)!我が深淵にて煌めく蒼金の刻印よ、巨いなる腕(かいな)となりて我が右手に集え……!」
「うむ!――――――この一撃に沈むがよい!オオオオォォォォォ………ッ!」
ルファディエルの更なる指示によってロイドはキーアに呼びかけ、キーアは全身から神秘的な光を放ちながら強く祈り、ロイドに膨大な神気が纏わせ、シャマーラとユウナは互いに視線を交わしてその場で全身に闘気を溜め込み、ラグタスは拳を構えて力を溜め込み、ワジは聖痕(スティグマ)を解放して自身の右腕に古代遺物(アーティファクト)による力を宿らせ
「「ゼロ!エクシード――――――――――――――ッ!!」」
「「ハーツオブバルキリー!!」」
「滅せよ!絶拳!!」
「砕け!アカシック・アーム!!」
キーアの加護を受けたロイドは回転しながら巨大な球体となって突撃し、シャマーラとユウナは同時に強烈な一撃をシャーリィの目の前の大地に叩きつけて凄まじい衝撃波を発生させ、ラグタスは拳による渾身の一撃を、ワジは古代遺物を纏って巨大な腕と化した右手をシャーリィに叩き込むと同時に爆発を起こした。
「あぐっ!?」
ロイド達の強烈な一撃を受けたシャーリィは吹き飛ばされ
「たたみかけなさい、メヒーシャ、ギレゼル!!」
「おうっ!それじゃあ、仲良く共同作業と行こうじゃないか、メヒーシャちゃん♪くかかかかかっ!」
「おぞましい事を言うな、悪魔が!」
吹き飛ばされたシャーリィを見たルファディエルは更なる指示を出し、ルファディエルの指示に答えたギレゼルはからかいの表情でメヒーシャに話しかけ、対するメヒーシャは不愉快そうな表情で答えた後ギレゼルは暗黒の魔力を、メヒーシャは光の魔力をそれぞれの得物に宿らせ
「「カオスクロス!!」」
「かふっ!?」
それぞれ高速飛行で吹き飛ばされるシャーリィに十字(クロス)を切るように突きを叩き込んだ。すると光と闇の魔力が交わった大爆発が起こり、吹き飛ばされているシャーリィを更に勢いよく吹き飛ばして壁に叩きつけた。
「ラテンニール!」
「任セロ!闇ノ深淵ニテ重苦に藻掻キ蠢ク雷ヨ、彼ノ者ニ驟雨ノ如ク打チ付ケヨ………!グラビティ――――――ブレス!!」
「うああああああああ――――――ッ!?」
シャーリィが壁に叩きつけられるとルファディエルの言葉に答えたラテンニールが大魔術を発動した。ラテンニールが発動した大魔術によってシャーリィの頭上に発生した巨大な雷球がシャーリィを包み込んで雷をほとばしらせると共に凄まじい重力でシャーリィを圧し潰そうとしていた。
「ハア……ハア……アハハ!凄いよ!シャーリィに反撃すらさせず連携攻撃でここまで追い詰めたんだから!」
大魔術が終わると満身創痍の状況でありながらもなお立ち上がったシャーリィが好戦的な笑みを浮かべてロイド達を見回し
「まさか大魔術を受けてもなお、立っていられるなんて……!」
「普通ならとっくに倒れていてもおかしくないダメージを負っているはずなのに、何でまだ立っていられるの~!?」
「さすがのルファディエルさんも、これは想定できていなかったのでは……?」
「いえ、”想定通りよ!”――――――魔術で閃光を発生させるから、”全員、目を瞑りなさい!”命を糧とし、彼のものを打ち砕け――――――セイクリッドシャイン!!」
シャーリィの様子を見てセティとシャマーラは驚き、ティオが不安そうな表情で呟くとティオの不安が無意味である事を口にしたルファディエルはその場にいる全員に警告をした後Sクラフトを発動した。すると閃光がシャーリィを包み込んだ後炸裂し
「わざわざ閃光を発生させる事もそうだけど、目を瞑る事をシャーリィにも忠告するなんて、どうやら焦りのあまり、ミスしたみたいだねぇ!」
ルファディエルのSクラフトが終わると更なるダメージを負ってもロイド達のように目を閉じて閃光による目くらましを回避したシャーリィは不敵な笑みを浮かべてルファディエルを見つめて指摘した後反撃の構えをした。
「フフ、その言葉そっくりそのまま返させてもらうわ。――――――私達の連携攻撃に気を取られて、貴女と戦っていた”私達の内の一人の姿を見失ってしまった”という致命的なミスをしてしまった貴女にね。」
「え――――――!!」
しかし静かな笑みを浮かべて指摘したルファディエルの指摘に一瞬呆けたシャーリィがある人物が今までの連携攻撃に一切参加しない所か、姿も見失ってしまった事に気づいて血相を変えたその時
「泡沫(ほうまつ)の爪、散りゆく華に別れを――――――ハァァァッ!絶!秘技・幻朧舞踏!!」
シャーリィがロイド達の連携攻撃に気を取られている隙に隠形術で姿と気配を完全に消していた”シャーリィが見失っていたある人物”―――――リーシャがシャーリィの背後に現れると同時に分け身達と共に得物である斬魔刀を振るった。すると無数の剣閃がシャーリィに刻み込まれた!
「がふっ!?あはは………”銀(イン)”のリーシャを見失うなんて……確かに致命的な……ミス……だね………今度は殺って……くれたん……だ……リーシャ………」
無数の剣閃による刻み込みによって急所も斬られたシャーリィは全身から大量の血を噴出しながら地面に倒れて満足げな笑みを浮かべて絶命し
「……銀(イン)として……リーシャ・マオとして人を殺すのは貴女で最後です、シャーリィ・オルランド。」
対するリーシャは静かな表情で呟いて武装を収めた。
「状況はどうなっているのよ!?」
レオニダスとシャーリィとの決着がついたその頃、ロイド達の元へと急行していたフィー達が到着し、到着するとサラは真剣な表情で声を上げて周囲を見回し
「おい、全身血塗れになって倒れている女と首を刈り取られたあの大男は……!」
「紅き戦鬼と破壊獣(ベヒモス)……!」
「……既にあの二人との決着は着いたようだな。」
「はい。そしてあの様子ですと猟兵王との決着も着く寸前なんでしょうね。」
「レオ………団長――――――ッ!!」
シャーリィとレオニダスの死体に気づいたアッシュは厳しい表情で声を上げ、ラウラは信じられない表情で呟き、アルゼイド子爵とセドリックは重々しい様子を纏って呟き、辛そうな表情でレオニダスの死体に視線を向けたフィーはそれぞれの闘気を溜め込んだ後互いに最後の一撃を放ったランディとルトガーの様子を見て思わず声を上げた。
「ギルガメス――――――ブレイカー!!」
「メルカルト――――――ッ!!」
それぞれのSクラフトを放ち終えた二人は互いに背を向けた状態で立っていたが
「ぐっ…………」
「ランディッ!」
「大丈夫!?」
ランディが呻き声をあげて地面に膝をつき、それを見たロイドとエリィは声を上げて仲間達と共にランディにかけより
「心配すんな……セティちゃん達に作ってもらった防具もそうだが、強化してもらった得物のお陰で致命傷は避けられたからな……」
「喋らないでください、傷が開いてしまいます!今治療します!」
「キーアも手伝う!イーリュン、お願い……!」
痛みを我慢するかのように表情を歪めながら言葉を口にしたランディにセティが指摘した後治癒魔術をランディにかけ始め、セティに続くようにキーアもランディに治癒魔術をかけ始めた。
「クク……………”戦神(メルカルト)”か。団を抜けてから器がデカくなったな。これなら”闘神(バルデル)”も心残りはねぇだろうな……」
一方ルトガーはランディ達に背を向けたまま口元に笑みを浮かべてランディに対する賞賛の言葉を口にするとルトガーの腹から大量の血が噴出し、大量の血を噴出させたルトガーは仰向けに地面に倒れ
「団長――――――ッ!!」
大量の血を噴出させ、地面に倒れるルトガーを目にしたフィーは声を上げてルトガーにかけより、フィーに続くように仲間達もルトガーにかけよった。
「すぐに治療を――――――」
ルトガーの様子を見たセドリックは真剣な表情でオーブメントを取り出して治癒アーツの準備を始めようとしたがそれを制止するかのように軽く手を挙げた。
「え――――――」
「オイ、何のつもりだ!?ふざけてる場合じゃ――――――」
ルトガーの行動にセドリックが呆けている中アッシュは真剣な表情でルトガーを見つめて指摘しようとしたが
「ハハ………いいんだよ、これで。”最初から”そのつもりだったしな。元々とっくに死んでる身……先に逝ったレオもそうだがゼノも待ちくたびれているだろう。引き時くらい弁えねぇと年長者として恰好がつかねぇだろ?」
「………そん………な…………」
満足げな笑みを浮かべて語るルトガーの話を聞いたフィーはその場で崩れ落ちた。
「ハハ……泣くなフィー。せっかくなら笑って送ってくれや。これでも満足しているんだぜ……?……若い頃から各地の団を渡り歩いて、気の合うヤツらと”西風”を立ち上げて……好敵手(バルデル)の息子に好敵手(バルデル)の代わりの決着をつけてもらった上――――――”娘”の成長した姿まで見られたんだ。」
「………ぁ…………」
「オッサン………」
ルトガーの話を聞いたフィーは呆けた声を出し、ランディは複雑そうな表情でルトガーを見つめた。
「ま、その点だけはアルベリヒに感謝する必要があるかもしれねぇな……ハハ、あの痩せっぽちでボーッとしたチビスケがここまで育つとは……お前が俺を”人の親”に……いいや――――――”人間”にしてくれた。ただ血と硝煙に塗れるだけだった外道の人生を一瞬で変えちまったんだ……ありがとうな、フィー。」
「団………長……ぐすっ……ううん、お礼を言いたいのはこっちの方。……団長が拾って、育ててくれたから……あの頃があったから、今のわたしがいる……だから……ありがとう――――――お父さん。」
起き上がったルトガーに優しく頭を撫でられたフィーは呆けた後涙を流しながら笑顔を浮かべてルトガーを見つめ
「……クク……こいつはいい冥途の土産ができたもんだ。」
フィーの笑顔を目にして一瞬呆けたルトガーは苦笑を浮かべた後紫の騎神――――――ゼクトールに視線を向けた。
「世話になったな、ゼクトール。好敵手(バルデル)の息子――――――いや、戦神(ランドルフ)と吹かせる”西風”、煉獄で楽しみにさせてもらうぜ。」
「我も世話になった、猟兵王。いつか生まれ変わり、また会う時を楽しみにしている。」
「な………」
「”紫の騎神がランディと吹かせる西風を楽しみにしている”って………」
「まさか――――――」
ルトガーとゼクトールの会話を聞いてある事を察したランディは絶句し、エリィが信じられない表情で呟き、ヨシュアが真剣な表情で呟いたその時何とランディはリィンやクロウ達―――――”起動者(ライザー)”のように光に包まれて操縦席があるゼクトールの核(ケルン)の中に現れた。
「ええっ!?ラ、ランディ先輩がエリゼさん達のように紫の騎神の中に入ったって事は……!」
「ランディさんが紫の騎神の起動者(ライザー)に………」
「さすがにこれは僕達にとっても想定外過ぎる展開だよ……」
その様子を見ていたノエルは驚きの表情で呟き、ティオは呆けた表情で呟き、ワジは疲れた表情で呟いた。
「な、何で俺に紫の騎神(コイツ)を託したんだよ、オッサン!託すなら俺じゃなくて、あんたの娘の妖精だろうが!?というかお前も何で俺をお前の起動者(ライザー)として認めたんだ!?」
一方ランディは困惑した様子でルトガーとゼクトールに指摘し
「我はお前達との決戦を最後まで見届けるというルトガーの願いに応えたまでだ。そしてその決戦によって、お前は”試練”を乗り越え、我が認める実力を示したまでだ。」
「なるほどね……一体何の意図があってそんなことを考えたのかまではわからないけど、どうやら予め猟兵王と紫の騎神の間で私達――――――いえ、ランディと猟兵王との決闘を”起動者の試練”の代わりにすることが決められていたようね。」
「”意図”……”予め決められていた”………――――――!”そういう事か”………」
「ロイド君は何かわかったの……!?」
ゼクトールのランディに向けた言葉を聞いてある程度の事情を察したルファディエルは推測を口にし、ルファディエルの推測を聞いて更なる推測に気づいたロイドは複雑そうな表情で呟き、ロイドの様子が気になったエステルは驚きの表情でロイドに訊ねた。
「ああ………猟兵王が娘のフィーではなく、ランディに紫の騎神を託した理由は恐らく………生前につける事ができなかったランディの父親であり、猟兵王にとっては好敵手の人物――――――”闘神”との決着をつけてくれたランディに対する”報酬”の為に、予め紫の騎神と俺達――――――いや、ランディ達と猟兵王との決闘を”起動者の試練”の代わりにすることについて話し合っていたんだと思う。」
「”ランディ先輩に対する報酬”って………そもそも、ランディ先輩――――――あたし達が猟兵王達との決着をしに来るかどうかわからないのに、どうしてそんな大切な事を………」
「その点に関しては憶測にはなるけど、”長年培ってきた猟兵としての感”で、特務支援課(わたしたち)――――――いえ、ランディが娘(フィー)の代わりに引導を渡しに来ると確信していたのではないかしら。」
ロイドの推測を聞いて新たな疑問を抱いたユウナにルファディエルが説明し
「仮にその推測が正解だったとして、幾らランディさんに対する”報酬”とはいえ、どうして娘のフィーさんを差し置いてでも猟兵王さんは騎神をランディさんに託したの?」
「……それについては戦闘が始まる前の彼らの話――――――フィーに猟兵以外に生き方の選択肢を与える為に、彼らは自らフィーを突き放し、サラさんに預けた話が関係しているのだと思う。」
「紫の騎神――――――猟兵王が深く関わっていた兵器――――――いえ、”得物”をフィーさんに託せば、フィーさんは父親のように猟兵としての生き、死ぬ事を選ぶ事を危惧したという訳ですか……」
ミントの疑問に答えたロイドの推測を聞いたリーシャは複雑そうな表情で呟いた。
「そう………だったんだ………本当に……みんな……わたしに甘すぎ………」
「フフ、まさかそこまで考えていてフィーをあたしに預けるなんて…………敵わないわね。」
「クク、こんな短時間で俺の考えを全て見抜くとか、とんでもねぇ連中の仲間になったようだな、ランドルフ。」
「ま、その点に関しては否定しねぇよ。――――――それよりも、本当にいいんだな?」
ロイド達の話を聞いていたフィーは驚いた後ルトガーを見つめて微笑み、サラは苦笑し、苦笑を浮かべたルトガーはゼクトールから出て来たランディに視線を向けて声をかけ、声をかけられたランディは苦笑しながら同意した後真剣な表情でルトガーに確認した。
「ああ。お前なら俺の次にゼクトールに相応しいだろうし、ゼクトールの起動者(ライザー)になった事によって起こる様々な面倒事に娘(フィー)を巻き込む訳にもいかねぇからな。」
「む、”紫の騎神の起動者(ライザー)になった事によって起こる様々な面倒事”って、もしかして……」
「”騎神”の起動者(ライザー)は様々な勢力からマークはされるだろうし、勧誘とかもあるという事だろうね。――――――当然、七耀教会もその勢力の中の一つになるだろうねぇ?」
「洒落になっていませんよ、ワジさん……」
「ったく、勘弁してくれよな………」
ルトガーの話を聞いてある事を察したノエルは表情を引き攣らせ、口元に笑みを浮かべて答えたワジの推測を聞いたエリナは呆れた表情で指摘し、ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。
「じゃあな――――――フィー。いつまでも達者でいろよ………ランドルフ、他の連中もおかげで楽しかったぜ………サラの嬢ちゃんにⅦ組の連中、娘の事は頼んだぜ………」
そしてルトガーは満足げな笑みを浮かべてフィー達を見回して最後の言葉を口にした後目を閉じて意識を失い、絶命した。すると不死者であるルトガーの肉体は段々と透明になった後光に包まれ、消滅した。
「…………………………」
「……フィー…………」
「……………………」
ルトガーが消滅した場所を黙って見つめているフィーをラウラは心配そうな表情で見つめ、アッシュは重々しい様子を纏って黙り込み
「………さよなら、お父さん………」
フィーは空を見上げてルトガーに対する別れの言葉を告げた。
~同時刻・左ゲート・最奥~
同じ頃左ゲートの最奥へと急行していたアリサ達は最奥に到着していた。
「どうやら戦闘はまだ発生していないようだけど………」
「!いや………皇子達が想定していた通り、戦闘は既に終わっていたようだぜ。」
最奥に到着し、周囲を見回して戦闘が起こっていない事を確認したトワが呟いた後ある光景――――――四肢がバラバラになって絶命したフランツと気絶しているゲオルグ――――――ジョルジュを見つけたクロウはアルベリヒ達に視線を向けて重々しい様子を纏って呟いた。
「と……う……さ……ま………?」
「お嬢様………」
アルベリヒ達に近づいたアリサは呆然とした様子で地面に崩れ落ちて四肢を斬り落とされ、胴体と首だけになったアルベリヒの遺体を見つめ、その様子をシャロンは辛そうな表情で見つめ
「………遺体の状況や黒の工房と戦闘をしたメンバーから考えて、この惨状を作り出したのは恐らく――――――いや、間違いなくセリカ殿だろうな………」
「そのセリカさん達は既にこの場から去ったようだね……」
「?何で遺体の周囲にだけ強力な聖なる霊力が………」
アルベリヒの遺体を見つめて状況を分析したミュラーは重々しい様子を纏って呟き、オリヴァルト皇子は複雑そうな表情で周囲を見回して呟いている中、アルベリヒの遺体の周囲に残っている神々しい霊力に気づいたセリーヌは困惑の表情で呟き
「ジョルジュの方はどうなの~!?」
「ジョルジュ先輩は気を失っているだけで、命に別状はありません……!今治療しますね、ジョルジュ先輩……!」
ミリアムの疑問にエマは答えた後ジョルジュに治癒魔術をかけ始めた。
「アルベリヒが………父様が……討たれる事については……諦めていたけど………どう……して……どうして、ここまで惨い殺し方をしたのよ……?うああああああああぁぁぁ………ッ!」
「…………………………………」
「アリサちゃん………」
「クロスベルで邂逅した時点で、敵には一切の容赦をしない野郎という事は察していたが、幾ら何でもこれは惨過ぎるだろ………!」
そしてアリサはフランツの遺体に縋りついて大声で泣き始め、その様子を見守っていたシャロンは辛そうな表情を浮かべ、トワは心配そうな表情で見つめ、クロウは厳しい表情でこの場にはいないセリカを非難した。
「セリカ殿なら一太刀で滅する事も容易だったろうに、何故このような惨い事をしたのだ………?」
「ハハ………セリカさんの真の意図なんて………それこそ、神――――――いや、”神殺しのみぞ知る”、だろうね………」
複雑そうな表情で呟いたミュラーの疑問に対してオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた。
「――――――それについては恐らく、アルベリヒを完全に滅する為に、アルベリヒを言葉通り身動きできない状態にさせる為だったと思うよ。」
「え――――――」
するとその時男性の声が周囲に聞こえ、声を聞いたアリサが呆けた声を出すとアリサの目の前に幽体のフランツが現れた。
「父……様………?」
「おいおいおい……!本人の遺体はそこにあるのに、一体どうなっているんだ……!?」
「それに髪の色が………」
「ま、まままままさか、ゆ、幽霊~~~~!?」
幽体のフランツの登場にアリサは信じられない表情を浮かべ、クロウは困惑し、幽体のフランツの髪の色が遺体のフランツの髪の色と異なる事に気づいたトワは戸惑い、幽体のフランツの正体を察したミリアムは表情を青褪めさせた。
「ああ。異世界の女神が力の一部をこの場に残してくれたお陰で、女神の元へと向かうはずだった私自身の魂をこの場に残り、幽体ではあるが君達の前に姿を現す事ができたんだ。」
「なるほどね………”あの世”に向かうはずだった魂を押しとどめた挙句幽体を具現化させる程の力まで残すとか、それこそ神々が持つ”奇跡”の力がなければ実現不可能でしょうね。」
「異世界の女神の力………――――――!サティア殿か………」
「どうやらサティアさんはせめて、お互いの”別れ”ができるように場を整えてくれたみたいだね。」
フランツの説明を聞いてセリーヌは納得した様子で呟いた後疲れた表情で溜息を吐き、ミュラーとオリヴァルト皇子は静かな表情で呟いた。
「彼女の気遣いには心から感謝しているよ。――――――アリサ……すまなかった。10年以上ぶりになるのかな?」
「父……様………」
フランツに話しかけられたアリサは呆けた表情でフランツを見つめ
「積る話はあるが、残念ながら時間はそんなに残っていないから、君達にどうしても伝えておかなければならない事を伝えておくよ。」
「わたし達にどうしても伝えておかなければならない事、ですか?それってもしかして”全ての元凶”に関する事でしょうか?」
フランツの話を聞いてある事が気になったトワは真剣な表情で訊ねた。
「いや、そちらは君達も知っているように私に憑依した”地精の長”を私ごと抹殺してくれた異世界の”神殺し”を含めてイシュメルガを完全に抹殺する手段は灰の起動者(ライザー)側にあるから心配無用だ。私が君達に伝えておかなければならないのは私の”研究者としての二つの成果”だ。――――――その内の一つは不死者と化したクロウ君と終焉の剣と化したミリアム君を人間として蘇らせる方法だ。」
「何……ッ!?」
「ほえ……ッ!?」
「ク、クロウ君とミリアムちゃんを人間に戻す方法があるんですか……!?」
フランツが口にした驚愕の情報にその場にいる全員が血相を変えている中クロウとミリアムは驚きの表情で声を上げ、トワは信じられない表情で訊ねた。
「ああ。――――――”秘蹟(サクラメント)プログラム”。このプログラムを利用すれば、騎神達のエネルギーを生体素子に変換させる事が可能だ。」
「ま、まさか………」
「そのまさかでしょうね。――――――暗黒時代の魔導師達が追い求めて止まなかった禁断の領域。だけど、女神の二つの至宝の力を掛け合わせれば多少の無理も通らせられるって事でしょうね。」
フランツの説明を聞いて察しがついたエマは信じられない表情で呟き、セリーヌは真剣な表情で答えを口にした。
「まさか騎神達のエネルギーで不死者や剣と化した二人を人間に戻す事ができるとは……」
「ハハ、これはまいった。死者を生者に戻すなんてそれこそサティアさん達――――――”神の領域”じゃないか。」
説明を聞いていたミュラーは驚きの表情で呟き、オリヴァルト皇子は苦笑していた。
「!ま、待って……それなら、父様だって何とかなるんじゃ……!」
一方ある事に気づいたアリサは明るい表情を浮かべたが
「いや――――――遺伝子情報に魂魄の残留度。この方法は不死者となって短ければ短いほど成功する。私が不死者となって10年、同じ方法は通用しないだろうね。」
「………そんな……」
「お嬢様………」
フランツの口から語られた推測を聞くと悲痛そうな表所を浮かべ、その様子をシャロンは心配そうな表情で見守っていた。
「ただこのプログラムを実行するには3つの条件が必要でね。一つ目はイシュメルガを完全に抹殺する事、二つ目はイシュメルガ以外の騎神達が揃っている事、そして3つ目は”大地”と”焔”、それぞれの眷属の長による要請(オーダー)が必要である事だ。」
「一つ目はともかく、残り二つが問題だな。」
「そうだね……騎神達はリィン君達と私達で大半を占めているとはいえ、紫の騎神は猟兵王――――――敵側だし、何よりも大地の眷属の長であるフランツさんが………」
フランツの説明を聞いたミュラーとオリヴァルト皇子はそれぞれ複雑そうな表情を浮かべた。
「その役目………僕がフランツ先輩の代わりを務める事はできませんか……?」
「ジョルジュ君……!」
「目を覚ましたみたいだな……」
するとその時目覚めたジョルジュが起き上がってフランツに近づいてフランツに訊ね、ジョルジュの様子にトワとクロウは安堵の表情で呟いた。
「残念ながら、”長”としての人格ではなく”ゲオルグ”としての人格を受け継いだジョルジュ君では無理だよ。………”大地の眷属の長”の代わりを務める事ができるとすれば、それこそ”大地の至宝(ロストゼウム)”を”大地の眷属”に託した人物――――――”空の女神”自身くらいだろうが………」
「え”。」
「おいおい……ここでまさかの”自称ただの人妻”の出番かよ。」
「……まあ、”あんなの”でも七の至宝(セプト=テリオン)を自らの手で作って、当時の人々に授けた張本人なんだから、”大地”に限らず”全ての至宝を授かった眷属の長の代役の権限”は当然あるでしょうね。」
複雑そうな表情で答えたフランツの説明を聞いたジョルジュとフランツ以外のその場にいる全員がエイドスを思い浮かべて冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中、アリサは思わずジト目で呆けた声を出し、クロウは疲れた表情で溜息を吐き、セリーヌはジト目で呟いた。
「?君達の様子から察するに、まさかとは思うが”空の女神”自身が”巨イナル黄昏”が発動したゼムリア大陸に気づいて、”巨イナル黄昏”を解決する為にゼムリア大陸に降臨したのかい……!?」
一方アリサ達の様子が気になったフランツは驚きの表情で確認し
「ええ……降臨した理由は違うけど、”本物の空の女神”が”全ての元凶”を完全に滅ぼす為に今はリィン達と行動をしているわ……」
「ちなみにお嬢様達の話によりますと、エイドス様は”巨イナル黄昏”発動後”黄昏”による世界への影響を最小限に抑える為に各国の霊脈に結界を展開して霊脈を伝っての”黄昏”の影響を防ぎ、更には戦争の間にエレボニアの各地の霊脈に結界を展開してエレボニアを結ぶ各霊脈の繋がりを遮断したとの事ですわ♪」
「…………………………」
「まさか……本当に”本物の空の女神”が降臨していたなんてね……ハハ、道理で今まで”闘争の場”が準備された状況で騎神同士がぶつかり合う機会があったにも関わらず、”相克”が発生しなかった訳だ………そういえば、君達による工房の本拠地の襲撃時に英雄王がオズボーン宰相に対して”相克の対策”を実行したと言っていたけど、まさか……」
アリサとシャロンの説明を聞いたフランツは驚きのあまり呆けた表情で黙り込み、ジョルジュは驚きの表情で呟いた後ある事に気づいた。
「うん、連合の要請も関係しているけど”焔と大地の至宝”の件についての”全て”を知ったエイドス様が”巨イナル一”を完成させない為にもエレボニアの各地の霊脈を結界で遮断して、”闘争の場”が準備されても”相克”しないようにしてくれたんだ。」
「ハハ……”相克”を発生させない為とはいえ霊脈を遮断するなんて、まさに言葉通り”神の所業”だね………」
そしてトワの説明を聞いたジョルジュは疲れた表情で肩を落とした。
「ふふっ、”空の女神”の降臨によって遥か昔から”巨イナル一”の完成に備え続けたアルベリヒの計画が”黄昏発動時から既に破綻していた事”はアルベリヒに寄生され続けた身とすれば、胸がすく思いだね。――――――話を戻すが私のもう一つの成果だが……”半分”は偶然にも既に君達が得てくれたようだね。」
「え…………それってどういう事、父様……?」
「!もしかして……ミリアムちゃんのスペアボディの事ですか?」
一方フランツは苦笑していたがすぐに気を取り直して話を続け、フランツの話の意味がわからないアリサが戸惑っている中、察しがついたトワがフランツに確認した。
「ああ。本来ならば”巨イナル黄昏”が終われば消滅するはずだった”剣”となってしまったミリアム君を”秘蹟(サクラメント)プログラム”で実体化させて現世に留まれるようにした後に君達や魔女の”長”の協力による完全蘇生の為に僅かな隙を見つけて作成したバックアップ素体だ。………連合によってバックアップ素体が保管されている本拠地が爆破された事を知った時はバックアップ素体を他の場所に移さなかった事を悔いたけど、まさか君達が既に見つけた上ミリアム君の魂の移し替えも終えていた事には驚いたよ。」
「ハハ、まさかこんな形でレン君とキーア君による”本来の歴史のネタバレ”に救われていたとはね。」
「もし連合が黒の工房の本拠地への対処についてⅦ組(かれら)との共闘を考えなかったら、取り返しのつかない事態に陥っていただろうな。」
フランツの説明を聞いたオリヴァルト皇子は苦笑し、ミュラーは複雑そうな表情である推測をした。
「ねえねえ!それよりも”1つの成果の内の半分は僕の肉体のスペア”って事、もしかして”もう半分の成果”はガーちゃん!?」
「その通り。ミルサンテの対岸の街道に本拠地のように異空間に隠している隠し区画があり、その奥にアガートラムが保管されている。君の今の肉体もそうだが、隠し区画やアガートラムはアルベリヒの目を盗んで作成したものだから、アルベリヒも把握していない為本拠地のデータにも隠し区画に関するデータはない為、まだ無事のはずだ。座標は――――――だ。」
ミリアムの質問にフランツが答え終わるとフランツの幽体が透け始めた。
「幽体が……!」
「……どうやら現世に留まっていられる限界が来たみたいね。」
「そ、そんな…………」
透け始めたフランツの幽体を目にしたエマは驚きの表情で声を上げ、フランツの状態を察して複雑そうな表情で呟いたセリーヌの言葉を聞いたアリサは悲痛そうな表情を浮かべ
「嘆く事はない、アリサ。僕は本来、こうして君達と話をする事もできず、消滅する可能性が高かっただろうからね。僕の肉体諸共アルベリヒを抹殺した上アルベリヒの魂だけを抹殺した異世界の”神殺し”殿もそうだが、君達に別れの言葉を告ぐ時間をくれた異世界の女神にも僕は感謝していると伝えておいてくれないか?」
「ええ……絶対伝えておくわ。」
フランツの言葉にアリサは辛そうな表情で頷いた。
「ジョルジュ、言うまでもなく君は幾らでも間に合う。このエレボニアを建て直すために私の分まで礎となって欲しい。それとシュミット先生には身体に気を付ける事と、研究の成果を見せられなくて申し訳ないと僕が謝罪していた事を伝えておいてくれ。」
「……わかりました、先輩。」
フランツの頼みに対してジョルジュは寂しげな表情を浮かべながら頷き
「シャロンさん、一度アルベリヒとして君が淹れてくれた紅茶を頂いたが……実に美味しかった――――――これからも妻やお養父さん、アリサに淹れてあげてくれ。」
「あ………はい……勿論でございます、フランツ様。」
フランツの自分への頼みに対してかつての出来事を思い出したシャロンは恭しく頭を下げて承諾の答えを口にした。
「アリサも――――――短い邂逅だったけど大きくなった君に会えて嬉しかった。どうか元気で――――――イリーナとお養父さんによろしく。」
「うん………私も嬉しかった!愛しているわ、父様……!」
そして笑顔を浮かべて別れの言葉を告げたフランツに対してアリサも笑顔を浮かべて別れの言葉を告げるとフランツの幽体は完全に消滅し、更にフランツの遺体も幽体に続くように消滅した。
~小庭園~
一方その頃リィン達が小庭園て待機していると中央部分に反応が起こり、中央部分は昇降機として稼働し始めた。
「これは……」
「どうやら左右のゲートの守護者達が倒した事で、最奥へと到る為の昇降機が起動したみたいね。」
「守護者達が倒れた事によって昇降機が起動したという事は、左右のゲートの守護者達はそれぞれ撃破されたという事ね。」
中央部分の変化を目にしたリィンは驚き、レンの分析を聞いたプリネは静かな表情で呟いた。
「――――――その様子だとエステル達の方も守護者を撃破したようだな。」
するとその時セリカの声が聞こえた後、左ゲートからセリカ一行とケビン達が現れてリィン達に合流した
「エステル達はまだのようだが………エステル達の合流を待つのか?」
「いえ――――――”全ての元凶”の抹殺に必要な人物であるセリカ殿とエイドス様の両名と合流した上最奥への道が開いた以上、自分達が先行してオズボーン宰相達との決着をつけるべきかと。オズボーン宰相と全ての元凶を少しでも早く討つ事ができれば、表の最終決戦での犠牲者を一人でも多く減らす事ができるでしょうし………――――――何よりもここからは”相手の命を必ず奪わなければならない領域”ですから、オズボーン宰相達を殺す事は”不殺”を貫いてきたアリサ達”紅き翼”もそうですが”遊撃士”や”警察”のエステル達やロイド達の役目ではありません。」
「お兄様………」
「確かに弟弟子の言う通り、ここからは”正真正銘の殺し合い”だから、ここから先は例え戦闘が発生しても相手を生かす事が前提の彼らの役目ではなく、殺し合いに慣れている私達の役目だね。」
「うむ、それでは行くぞ!」
セリカの確認に対して答えたリィンの説明を聞いてアリサ達への気遣いを知ったセレーネは辛そうな表情を浮かべ、静かな笑みを浮かべて呟いたシズナの言葉にリフィアは頷いた。その後リィン達は数組に分けて昇降機を使って順番に下へと降りた。
~中枢区画~
「―――――今更言葉は不要、か。」
「ええ、後はひたすらに”終局”を目指すのみでしょう。」
下へと降りてたどり着いた区画――――――中枢区画の周囲を見回したオーレリア将軍とミュゼは静かな表情で呟いた。
「リィン様。」
「ああ。――――――灰獅子隊総員並びに各勢力の協力者一同、これより幻想要塞の最終エリアの攻略を開始する!」
そしてルシエルに号令を促されたリィンはその場にいる前に号令をかけ
「おおっ!!」
リィンの号令に対してその場にいる全員は力強い答えを返した。
そしてリィン達は最奥を目指し、中枢区画を進み始めた――――――
エクステンドゲート(習得者、エリィ、セティ) 大型直線(貫通) 収束した精霊力を解き放つ協力技。威力5S&全状態異常のいずれか100%攻撃(ATSに反映) 使用条件、エリィ、セティのCPが100以上ある事
ハーツオブバルキリー(習得者、ユウナ、シャマーラ) 大円・地点指定 乙女の決意を込めた一撃を放ち、大地を割る連携技。威力4S&気絶、封技50%攻撃。使用条件、ユウナ、シャマーラのCPが100以上ある事
カオスクロス(習得者、ギレゼル、メヒーシャ) 中円 光と闇を交差させる一撃。威力5S+。使用条件、ギレゼル、メヒーシャのCPが最大の30%以上ある事
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第156話