No.112688

真・恋姫†無双 金属の歯車 第十八話

真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定は知っていれば、にやりとできる程度のものです。
・この作品は随分と厨作品です
・過度な期待どころか、普通の期待もしないでください。

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2009-12-17 02:39:35 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2931   閲覧ユーザー数:2648

「行くんだな。一刀」

「ああ、いつまでも休んでいるわけにはいかん」

 二人の御遣いは三度別れの時を迎えていた。

劉備軍は思った以上の進行速度で、既に益州の諷陵に入っているとの報が入った。一刀がうかうかしている時間はなかった。

「弾丸と・・・こいつを手に入れたのは大きかった。礼を言う」

 一刀がこいつと言って手をかけたのは、あちらの世界で造られた脇差だ。

「熱破断ブレード・・・予備としてこれを持つのは心強い」

「刃物を使わない俺にとって無用の長物だ。折れるまで使ってくれ」

 話すことが無くなった二人は互いの拳を突きつけあった。

「死ぬなよ、ゴースト」

「もう死んでるさ」

 

 

 第十八話 理想人達 ~SONS OF LIBERTY~

 

 

「ご主人様!」

 魏呉の戦いから数日、益州では一刀と桃香達がようやく再会した。

桃香は一刀の姿を見るやいなや頭から突っ込んでくる。桃香の頭突きは見事に一刀のみぞおちに収まった。

「ぐぇ」

 蛇が踏まれたようなような声をあげる。

「た、ただいま・・・桃香」

「主、そこは耐えるのが漢でしょう」

「無茶言うな、星」

 なんとか漢の面目を保とうとしたが叶わなかったらしい。とりあえず泣きじゃくっている桃香の頭をこれでもかと言わんばかりに撫で回す。

「約束、聞こえていたからちゃんと戻ってきたよ」

「うん・・・・うん!」

 桃香に星、鈴々に恋、音々音。朱里に白蓮の姿も見える。先ほど月と詠にも会った。

二人足りないのが気に掛かるが、今は全体の事が大事だ。

「・・・とりあえず状況を説明してくれ」

「はい。現在、私たちは益州の国境近くにある、この諷陵に入城しています。入城は速やかに、そして穏やかに進みました。思った以上に州牧である劉璋さんから人心が離れていると言うことでしょう」

「そうか・・・戦うことはなかったんだな」

「城内の住人たちが諸手を挙げて歓迎してくれた。もはや劉璋を認めるものは居ないのかもしれん」

 朱里の説明に星の感想が今の状態が良好であることを示していた。

「・・・愛紗と雛里は?無事なのか?」

「それが・・・愛紗さんと雛里ちゃんは、北方に現れた謎の部隊の確認に向かっています。定時報告の伝令は届いているので、まだご健在ではあると思いますが・・・」

「北?曹操軍ではないのか!?」

 一刀が声を荒げたそのときだった。後ろで扉が開かれる音に振り向く。

そこにいたのは愛紗と雛里だった。元気そうな姿に胸をなで下ろす。

「ただいま戻りました、桃香様。・・・お帰りなさいませ、ご主人様」

「心配かけたな」

「信じて・・・おりましたよ?」

「それは嫌味か?愛紗」

 そう言って愛紗と雛里の頭を撫で回した。

 

 

「・・・で、どこの部隊だった?」

「・・・実は馬超でした。かの錦馬超です」

「馬超?確か彼女のお父上は涼州州牧、馬騰殿・・・」

「馬騰は死んだ。曹操に殺されたんだ」

 そういって馬超が扉から姿を見せる。懐かしい顔だったが同時に疲れ切っているように見えた。

「馬超。待っていてくれと言ったはずだが・・・」

「あまりにも遅かったからさ。何か揉めてんのかと思って・・・。ごめんな」

「久しいな、馬超。反董卓連合以来だな」

「ああ、劉備さんもお久しぶり」

「うん!」

 疲れ切った顔が少し揺らいだ。そういえばこの二人は再び会う約束をしていた。もっとも二人ともこんな場所でこうした形で出会うとは思っていなかっただろう。

「それで・・・馬超殿はどうして益州に?」

「戦いに負け、行く先もなく放浪している途中に関羽にあってね」

「勝手ながら我らの仲間にならないかと勧誘したのです。そのためもう一度我らの主に会って欲しいと」

 問題はその主だった。桃香は安心しきったのか、少しだらしない。

そのお目付役は腕を組んで、全員の様子を見ていた。

「しゃんとしなさい、桃香」

「は、はい!」

 既に時遅し。この言葉が一番ぴったりだった。

「・・・そうだ、馬超。馬岱は無事か?」

「ここにいるぞ~!」

 そういって元気印の馬岱が扉から入ってくる。顔見知りの無事を確認して再び胸を撫で下ろす。

一度とはいえ共に戦った仲、戦友だ。

「・・・お姉様ってば、お顔真っ赤だよ?」

「た、たんぽぽっ!?」

 従姉妹のやりとりに少し首をかしげていると、あちらでどんどん話が進んでいった。

「それでお姉様?仲間になるって決めたのー?」

「まだわからんって」

「えー。でもたんぽぽ、もうお腹減らして歩き回るのイヤだよぉ・・・」

「よし、餌付けしてやろう。飯の用意をしてやる」

「ホントっ!?わーい♪」

 料理狂の一刀の悪のりに付き合う馬岱。それをみた馬超が少し焦りを見せる。

「たんぽぽ!それに北郷殿も!」

「そうは言ってもさ、お姉様だってこの先どうなるかわからないんでしょ?だったらここでお世話になっても良いなーって、たんぽぽは思うんだけどー」

「家臣という訳ではない。ただ仲間として、私たちの理想に手を貸して欲しいんだ」

「・・・理想か」

 馬超は愛紗の一言に目を瞑り長考する。

「そうだよ!みんな仲良く、平和に暮らせる世の中を創ること!それが私たちの理想だよ!」

「今の世の中、どっかおかしいのだ。力があればどんなことでもまかり通るのなら、力のない人たちには地獄でしかないのだ」

「だからこそ、圧政に苦しみ、日々の暮らしの中で笑顔を浮かべることさえ忘れてしまった人々を助け、共に笑って過ごしたい。私たちはそのために戦っているのだよ」

「話はわかるよ。けど力でその理想を実現しようとするあんたらだって、端から見れば、他の奴らと一緒じゃないのか?」

 鈴々と星の言葉に馬超は反論する。しかし桃香は気丈だった。

「それはわかってる。けど一緒に見えるからといって何もしないなんておかしい。私たちは私たちのやり方が力尽くだって、そんなことわかってる。けど自分足りの目指している理想がきっとみんなのためになるって・・・そう信じてる」

 そこまで一気に言って桃香は肩を落とす。

その間にも英雄の器を持つ者の言葉に、誰も口を挟もうとはしなかった。

「結局は独りよがりだって思ってる。でも今の世の中がおかしいと思うから。傍観せずに行動してるの」

「そんなことして、貴方に何の得があるって言うんだよ?」

 成長した桃香に変わってお目付役が一言、不敵な笑みを浮かべながら言い放った。

「自己満足だ」

「あとはね、笑顔!みんなの笑顔!それさえあれば他に何も要らないよ!」

「皆が笑って食事をし、仕事をし、そして満足して眠れる日が来ることこそ、私たちにとっては何よりの褒美」

「みんな幸せなら、鈴々だって幸せなのだ!」

「無欲すぎると思うが、広大な天の下にこういう人間達が居ても、それはそれで良いのではないかな?」

 三姉妹の言葉と星の一言。そして朱里と雛里の首が取れそうな頷き。

それを感じて馬超が頬をゆるめた。

「そんな夢物語を、この乱世の時代に思い描いている人がいるとはね」

「乱世だからこそ、夢を忘れるわけにはいかないよ!」

「・・・確かに」

「その夢を実現させるために・・・錦馬超。あなたの力を貸して欲しいのだ」

 あと一押しだと思ったのか、それとも自分たちの理想を伝えたいのか、愛紗が言葉を続ける。

「自分たちの勢力を広げるためだけに、あたしのこと誘っているんだと思ったけど、やっぱり違うんだな」

「戦いを無くすために戦う。確かにそれは矛盾している」

「わかってる。いや・・・わかった」

 一刀が言葉を続ける。しかし武人である馬超はそんなことは分かっていた。

「あ、じゃあ・・・」

 愛紗が少しうわずった声を上げる。

「ああ、あたしで良ければ力を貸すよ。あんたたちの部下になる」

「部下というか・・・」

「仲間になって欲しいのだ!」

 お目付役は桃香達の成長に目を細めていた。

歳はそんなに喰っていないが、皆の成長はとても喜ばしいものだった。

「私は馬孟起。真名は翠!」

「たんぽぽはね、馬岱!真名は蒲公英!よろしくね、桃香様、ご主人様!」

「ご主人様ぁ!?」

「それはダメ!ゼッタイダメ!」

 そろそろ食事の用意をしようと動き始めていた一刀が、凄い勢いで腕を交差し拒絶反応を示す。しかし中国にバツの文化はない。

「だってみんなご主人様って言ってるもん。だからたんぽぽもご主人様って呼ぶの!」

「・・・あたしもそう呼ぶ方が良いのかな?」

「やめい!全員やめい!」

 一刀の必死の説得は数の暴力には勝てなかった。

馬従姉妹の自己紹介の後、それを皮切りに皆がそれぞれの真名を交換し合った。

「さて翠と蒲公英が私たちの仲間になったところで・・・」

 そういって一刀は輪の中心に歩み出す。

「私の話をする時がきた」

 一刀は愛紗の顔をみて苦笑いをする。

「私が・・・私たちがこの世界に来た目的を」

 

 

おまけ:今後の予定。

三人の御遣い。彼らの思い(Sense)はどこに向かう。

 

零話裏 狐ノ称号 ~Cane・Werner~

 

狐の称号。それは最高の称号。それは人殺しの業。


 
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