【望郷者の集い ホワイトウォッシュ】
テクマールが属する下級貴族の集団。
我が強すぎるために
それぞれの王朝を追い出された はみ出し者の集まりで、
現在はへつらう形で 一応スザーレカンに服属している。
少ないが自ら王朝を離れた者もおり、
テクマールはその一人である。
この集団には共通の癖がある。
それは 人であったころの体を切望するネクロン達の中でも
とりわけ肉の体に執着が強い点である。
ネットワークを自ら遮断し
あくまで発声を伴う会話でのコミュニケーションにこだわる、
極小サイズのナノスカラベを寄せ固めた物を食器に並べ、
料理や酒に見立てて食事を行うなど。
また さらに病的なケースでは 性快楽を得るために
人工の性器を製作することに固執する者達が居たり、
しまいには 痛みやかゆみ 排泄の感覚などといった
機械体であるメリットの消失につながる感覚を欲する者まで出てきている。
そして彼らは
自身以外の存在を害獣とみなすネクロン種族の中でも ことさら固定観念や偏見が強く
自らが差別によって追放された者であるにも関わらず
差別意識が より一層 強固であるという特徴も持つ。
加入者が今だ後を絶たないのは スザーレク王から直々に
「来るものは決して拒むな。」と命を受けているためである。
この掃き溜めに集まる変質的で狂気じみた考えを持つ者達は
毒にも薬にもなりうると沈黙の王は知っているのだ。
そもそも
役に立たなければ 盾にでも おとりにでも 使えば良い
それだけである。
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【解体者テクマール】
彼は惑星マンドラゴラの名家出身で、
ネクロンとなった後も優れた戦士だった。
特に 複数のク・タン シャードを同時に運用する器量 技術は
あの嵐の王からも一目置かれていたが、
テクマールは自らの足で王朝を去ることになる。
彼もまた 他のネクロン達と同じく肉体の再生を切望する一人で
熱心な研究者でもあったが、
彼を取り巻く環境はお世辞にも良い物とは言い難かった。
特に彼の嫌気を増長させたのが
嵐の王以外の王族 貴族たちの態度であった。
他種族を害獣と見下すあまり ろくに調査を行わない、
議論するのも甚だしいとする風潮ゆえに
肉体への帰還が遅々として進まないことへ疑問と怒りを感じるようになったのだ。
望郷者たちの門扉を叩いたテクマールは
他種族を改造し兵隊として使役する 本来ネクロン達が非常に嫌う
貴族らしからぬ行為を日々行っている。
尊敬の念を抱くイルミノール・スゼラスを訪ねなかったのは
煙たがられるか 小間使いとして使役されるだけだと知っているからだ。
新たなコミュニティにおいても
固執的かつ閉鎖的な 狭苦しい視線は変わることがなかったが、
一つ 今まででは得難い要素をテクマールは手に入れた。
あわよくばその過程で
生物の肉体への転移方法が見つかるかもしれない、
さらには テクマールはのちに
スゼラスに匹敵しうる存在となるかもしれないという理由から
彼の異端行為が黙認されているのだ。
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