No.1117766

【サイバ】女の友情【交流】

Dr.Nさん

いつも元気なフクさん。しかし、たまには落ち込むことも──。

  フク https://www.tinami.com/view/781452
   愛 https://www.tinami.com/view/744298
  美歩 https://www.tinami.com/view/746224

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2023-04-03 21:07:10 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:269   閲覧ユーザー数:254

昼、長野屋酒店。

 

フク「うんうん、さすが熊北先生、いいこと言うねえ!」

 

スマホを見てしきりに頷いているのは、この店の主フク。

 

とそこへ。

 

愛「ごめんくださーい!」

フク「おや、愛さんいらっしゃい!」

愛「いつものみりん、無くなったんでくださいな」

フク「いつものヤツだね。はいよ!」

愛「ありがとうございます。このみりん、フクさんとこにしか売ってなくて。ウチはこれじゃないとダメなんです」

フク「フフフ、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。こちらこそいつもありがとうね」

愛「ところで、さっきから何スマホ見てしきりに頷いていらっしゃったんですか?」

フク「あら、見てたんだね恥ずかしいw これだよ」

 

フクは愛の方にスマホの画面を向けた。

熊北皐の世間ブッタ斬りコラム

第69回「候補者の表の顔とウラの顔」

愛「熊北皐? 有名な方なんですか?」

フク「有名も何も、今ネットで大人気のコラムニストの先生だよ」

愛「へえー」

フク「政治から経済、社会、サブカルチャーまで、舌鋒鋭く叩いて斬り捨てる! 特に選挙が近い今の時期なんか、候補者を容赦なく叩きまくりさ!」

愛「そうなんですか。でもテレビでは見たことありませんわこの方」

フク「そりゃそうさ。熊北先生は大のテレビ嫌いだからね。時々、テレビのことも容赦なく叩いているよ。それにほら」

筆者紹介:くまきた・さつき 50歳 男性 コラムニスト。──

 

スマホの画面には、プロフィールとともに、イケメンの熊の中年男性の写真が。

フク「ね、ちょっとカッコいいだろ熊北先生w」

愛「はあ、確かに。でも奉さんには負けますけど」

フク「はいはい、ごちそうさまw」

愛「あっと、もうこんな時間ですわ。じゃあまた寄らせていただきますわね」

フク「うん、ありがとね!」

愛が帰った5分後。

 

フク「いらっしゃいませ!」

水色豚「ウィ~ヒック!」

フク「あぁ、またあんたかい…」

 

酒の臭いをプンプンさせた水色豚の中年男がやってきた。

 

水色豚「またあんたかいとはご挨拶だな、ウィ~ヒック! 日本酒とビールと焼酎とワインとウィスキーとウォッカを届けてくんな! 全部いつものヤツな。ウィ~ヒック!」

フク「まあウチも商売だから売るけどさ、それ全部昨日買ったばかりじゃないか。飲み過ぎだよお客さん」

水色豚「ほっとけ! 俺は酒がないと生きていけねえんだよ、ウィ~ヒック! それに仕事も捗るし、プレイだって…」

フク「プレイ?」

水色豚「な、なんでもねえ!;;;; じゃ、頼んだぞ! ウィ~ヒック!」

フク「はいはい、毎度ありがとうね。…やれやれ、行っちまったよ。昼間っから酒とか、どんな生活をしてんのかねえあの人? あの人も年の頃は熊北先生と同じぐらい、先生の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ」

 

ところが。

3日後。

 

夜、リビングでテレビを見ているフク。

 

ズズーッ。

 

フク「あーお茶がおいしい。やっぱ喉が渇いたときはお茶に限るよ。あたしだって酒屋だけに酒の恐ろしさは知ってるつもりさ。酒にすがる惨めな人生だけは送りたくないからね」

フィーア『では次のニュースです。18歳未満と知りながら、男子高校生にみだらな行為をしたとして、人気コラムニストの男が逮捕されました』

フク「やれやれ、世の中にはいろんな趣味の人がいるもんだ」

フィーア『逮捕されたのは、コラムニスト熊北皐こと、吐 瀉豚容疑者50歳で

(手錠をかけられて連行される水色豚の中年男がテレビに映し出される)

フク「ブーーーッ!? あ、あの男はいつも買いに来る!」

フィーア『酒を煽りながら世間を叩くのと、男の子から叩かれるのがとっても気持ちよかったと容疑を認めているとのことです』

フク「偉そうに世間叩いてるくせに、自分は叩かれて喜んどるんかーい!」

 

 

・・・・・・

翌日、長野屋酒店。

 

フク「はぁ…」

 

力なくため息をつくフクの手のスマホには、『熊北皐容疑者の逮捕を受け、当コラムは終了とさせていただきます。ご了承下さい。』の文字が表示されている。

 

愛「ごめんくださーい」

フク「ああ、愛さん。いらっしゃい…」

愛「ニュース見ましたわ。熊北先生、あんなことになるとは」

フク「うん。やってることもアレだけど、イケメン熊じゃなくて、実際は豚顔豚体型のまごうことなき豚のオッサンだったとはねえ…。あれじゃテレビに出ないはずだよ、はぁ…」

愛「じゃああのイケメン熊の写真は?」

フク「AIに作らせたんだってさ。他人の写真を使ったらすぐバレるからって」

愛「あー。酒浴びてるくせに、そういう知恵だけは働くのね」

フク「だねえ…」

 

『あーやっぱりフクさん落ち込んでるわ』

『様子見に来てよかったわね』

 

フク「?」

美歩「こんにちは!」

京香「こんにちはフクさん!」

フク「あんたたちお揃いでどうして?」

美歩「愛ちゃんが、ひょっとしたらフクさんが落ち込んでいるんじゃないかと言ってたんで」

京香「今日はお願いがあって来ました」

フク「お願い?」

京香「はい。実は今度、天壱酒造(うちの蔵)で新商品を出すんです。それで、ここ長野屋酒店さんで、大々的にその発表試飲会をやってはいただけないかと思いまして」

美歩「うちの新聞社とか、てんくうTVさんも呼んで大々的に。ダメかしら?」

フク「ダメなもんかい! そうと決まれば張り切って行くよー! 早速だけど、詳しい話を聞かせとくれ!」

愛「よかった。いつものフクさんに戻ったわ」

美歩「やっぱフクさんはこうじゃなきゃ!」

京香「だね!」

 

 

=END=

 

 

 


 
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