<夢のはじまり>
「……初めまして、になるのかしら?」
この人は?
――”流琉”、この人は黄漢升。秋蘭さまに並ぶ程の弓の名手。
秋蘭さま並? 敵、だよね?
――うん。この時は敵。
……秋蘭さまよりも……真桜さんよりも大きいなんて!
――あ、そっちの意味。
「秋蘭さま、ここはわたしが!」
「たんぽぽちゃん!」
「生きてます。しばらく動けないとは思いますが」
伝磁葉々にあんな使い方があったなんて。でも絡めとるのに紐、切り離して使ったら困らない?
――それは大丈夫。
「いきます!」
「手が光ってる?」
「どぉりゃぁぁぁぁーーーー!!」
凪さんと同じ『氣』? それが紐になるなんて!
――そう。この技「超・伝磁葉々」なら今までよりも有効な距離が大きいの。
「春蘭さまほどではありませんが。わたしの援護が入った時点であなたの負けです」
「くっ」
「終わり、です。ごめんなさい、兄様、璃々ちゃん……」
璃々ちゃん?
――黄漢升の娘……。
そんな……。
<夢のおわり>
scene-戦場1
虎牢関を突破した反董卓連合。
次なる攻城戦も終わりに近づいていた。
「待て! 貴様が張遼かっ!」
「あちゃあ……このクソ忙しいときに。一騎打ちの申し込みなら、もう締め切っとるぞ!」
「ふんっ! そんなことは知らん! 私との勝負に応じるまで追いかけるまでだ!」
「その目……ダメっちゅうても仕掛けてくる目やな。恋や華雄っちとおんなじ目ぇや」
「……貴様も同じ目をしているぞ?」
「あかんなぁ。自分を殺しとるつもりやったんやけど……ええよ。どうせこの戦、ウチらの負けや。最後くらい自分の趣味に走ってもバチあたらんやろ。……名ぁ名乗りぃ!」
「我が名は夏候元譲!」
scene-戦場2
「季衣! 春蘭さまが張遼さんと!」
「わかった! 流琉! いっちー、ちびっこ! 呂布はまかせるよ!」
「うん!」
「おっしゃ! ここはまかせろ! ……って、どこ行くんだよ?」
「だから、チビにチビって言われたくないのだ! 逃げるのか?」
「違う! もっと大事なとこ。あとで流琉のご飯あげるから負けんなよ~」
「行っちゃったのだ」
「スゲエ速さだな」
「けど、ご飯くれる約束したのだ!」
「季衣ってば」
「よっしゃ! やる気でてきたぜぇ!」
scene-戦場1
「……それよりあんた、あとどどのくらい戦えそうや?」
「ふんっ。貴様の倍は合数を重ねてみせるわ! そんなことは気にせず、掛かってこい!」
「ええなぁ……それ、良すぎるわ……! なら遠慮なく行くで!」
「おう! 来、」
「危ないっ! でええええいっ!!」
「季衣!?」
「……ぐ……っ!」
「ちょ……一騎打ちに急に飛び出してくんなんてしつけがなってないでちびっこ! ……その腕!」
「わたしをかばったのか!?」
季衣の右腕に刺さっている一本の矢。
「……こんなのカスリ傷です!」
「季衣! はやく手当てを」
「春蘭さま、大丈夫ですってば。それよりも存分に戦って下さい!」
「しかしだな……」
「春蘭さまが張遼を倒すまではボクは手当てなんかしてられません! 二人の一騎打ちを邪魔させないためにもここを動きませんからね!」
「そうか……張遼!」
「おう。ちびっ子はあんたが勝つ信じて疑わないようやな」
「無論だ。行くぞ!」
scene-曹操軍本陣
「季衣!」
「兄ちゃん」
「無茶しおって」
「無茶じゃないよう」
「とにかく手当てだ!」
「うん」
「ちびっこ、あんた名前は? ウチは張遼。真名は霞や」
「ボクは許緒。真名は季衣だよ。よろしくね、霞ちゃん」
「おお、よろしゅうや」
「春蘭、うまくやったんだな」
「……ふん」
「ボクが怪我したの、春蘭さまたちのせいじゃないから気にしなくていいのに」
「せやかてなあ」
「霞ちゃんも元気だしなよ~。霞ちゃん、ボクたちと兄ちゃんのキューピッドなんだから♪」
<あとがき>
あいかわらず本編と変わらないとこは大幅に省略しているので説明不足ですね。ごめんなさい。
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タイトルの『対』は『たい』じゃなくて『つい』です。
3話目、反董卓連合(というか張遼戦)編です。
あいかわず短いです。
<夢のはじまり>~<夢のおわり>の間は流琉の夢です。